
「私は家事ぐらいしかできることがないから……」という声を時々聞きますが、家事の中には企業で役立つスキルがたくさん含まれています。
複数の仕事を一度に行う「マルチタスク」、分単位で仕事をこなす「時間管理能力」、近所やママ友、PTAなどでの「コミュニケーションスキル」、子育てで培った「人を育成する能力」など、家事には様々なスキルが必要です。
これらの能力を再認識し、家事力・主婦力をいかせるパートを見てみましょう。
主婦の家事力を生かせるパート① 家事代行
厚生労働省の調査*1) によると、平成8年を境に共働き世帯数が専業主婦世帯数より多くなっています。
出典: 専業主婦世帯と共働き世帯の推移 - 厚生労働省
共働き世帯が多くなって早20年が経つというのに、女性が家事を負担する時間は男性に比べてはるかに多く、その差は約6倍にも。*2)
出典: 平成 28 年社会生活基本調査 生活時間に関する結果 - 総務省
これではやっていけないと、20代~30代の家庭を中心に、料理、掃除などの家事をプロに任せる人が増えてきました。
料理をしながら掃除、洗濯、子どもの世話と、手際よく仕事をこなせるのは主婦だからこそなせるワザ。最近求人も増えている「家事代行」では、様々な顧客の要望にピンポイントでこたえるため、まさに主婦の力が必要とされています。
主婦の家事力を生かせるパート② 飲食店での調理/盛り付け
飲食店の求人は数も多く、日々身につけた調理スキルを使えるため、ブランクのある人でも安心して働ける職場だと言えます。レストランや居酒屋のみならず、介護・保育施設などでも調理スタッフを募集することもあり、幅広い業界から仕事が選べるのも魅力です。
調理の仕事で2年間働くと、「調理師免許取得試験」という国家資格を受ける資格が得られることがあります。
『食堂などの飲食店や給食施設などで、2年以上の調理業務経験を経た上で、各都道府県の実施する調理師試験を受け、合格した後に、住所地の都道府県知事に免許を申請し、取得します。』 *3) 東京都福祉保健局Webサイトより
専門学校に2年通えば、実務を2年経験した人と同じように試験を受けることができますが、学校を卒業するには100万円以上学費がかかります。それに比べ、2年実務をつんで資格を取る場合、給与をもらいながら受験資格を得ることができるのです。
調理師は単に調理ができるだけではなく、栄養や衛生などの正しい知識を学ぶため、病院やホテルなど、高い信頼が必要となる職場へのキャリアも開けます。もちろん、資格を持っていることで給与交渉がしやすいというメリットもあるでしょう。
資格取得を目指す場合、その仕事内容が試験を受けるにあたっての「実務経験」として認められるかどうかは就職前に確認しておいてください。
主婦の家事力を生かせるパート③ スーパーやコンビニでの接客業や商品管理
毎日各スーパーで良し悪しを見極めている主婦だからこそ、商品の陳列一つ、接客一つとっても学生アルバイトとは視点が異なります。
30代、40代、50代にもなってくると、人生経験から様々な仕事を臨機応変にこなす力があり、落ち着いた接客でお客様の満足度も高まることから、パートの力を頼りにしている企業も多いのだとか。長く働いていると商品の発注なども任されるようになり、店舗運営のノウハウも身につけられます。
商品が値下がりする時間にあわせてシフトに入れば、仕事後に安くなった商品を買って帰ることもでき、一石二鳥ですね!
主婦の家事力を生かせるパート④ コールセンター
実に様々な企業がコールセンターを活用しており、家電、服飾、保険、クレジットカード、携帯電話会社など、入社する会社によって、さまざまな商品を扱うことになります。インバウンド、アウトバウンドと2種類があり、前者はお客様からかかってくる電話に対応するもの、後者は企業側からお客様に電話をかけるというものです。
コールセンターでは、かかってきた電話に十分対応できるだけの人手を集めなければなりません。
多くの人手を確保するために、「午前のみ」「夜間勤務」などと柔軟にシフトが組めるようにしていたり、他のパートに比べて時給を高く設定していたりするところもあります。
主婦の家事力を生かせるパート⑤ 介護/ケアワーカー
介護を必要とする人は年々増加していますが、一方で働き手不足の業界。国も介護職員の処遇改善のために予算を確保する等の対策を行っています。
厚生労働省の以下調査 *3) によると、介護職を選ぶ理由として最も多かったのは「通勤が便利」であること。その次に「やりがい」を求めて選ぶ人が多いことがわかります。
出典: 介護人材確保対策 - 厚生労働省 *4)
介護職では、必要な資格取得をバックアップしてくれる職場もあります。
仕事内容は様々ですし、体力が必要な業務もありますので、「自分にできるかどうか自信がない……」という方は、4時間程度の短いシフトからはじめ、様子を見ながらシフトを増やしていくとよいでしょう。
需要があり、長く安定した仕事がオススメ
社会で必要とされる職場で経験をつんでいけば、未経験から始めてもキャリアアップが期待でき、安定して仕事に就くことができるでしょう。
参照:*1)専業主婦世帯と共働き世帯の推移 - 厚生労働省
参照:*2) 平成 28 年社会生活基本調査 生活時間に関する結果 - 総務省
参照:*3) 調理師の資格を取得するには - 東京都福祉保健局
参照:*4)介護人材確保対策 - 厚生労働省