「パートだから残業代や有休がない」と思い込んでいる方が意外と多いようですが、パートでももちろん残業代は支払われますし、有給休暇をとる権利もあります。
知らないでいると損することが多い法律ですが、難しいと思いこまず、以下の要点だけでも頭に入れておきましょう!
パートの残業(時間外労働)代、正しく計算されている?
会社が支払う給与額を疑う人は少ないかもしれませんが、給与計算もしょせん人の手で行うことですから、間違いがあることもあります。通常の場合は「時給×1.25倍」。1日8時間を超えた時はもちろん、週40時間を超えた時も残業になります。
毎日8時間以内、月曜~金曜で働く場合、時間外労働代(以下、残業代)は発生しませんが、「土曜も働いている」という人は要注意。月~土で8時間勤務だと、6日×8時間=48時間となり、週40時間を超えてしまいます。この場合、土曜は1時間目から1.25倍となり、終日「残業代」がつくことになります。
また、時間外労働時間(以下、残業時間)が22時以降になる場合は「時給×1.5倍」になります。もし10時間勤務の内、2時間が22時以降となった場合、22時以降の残業時間は1.5倍で計算されるべきものです。
この点も会社がきちんと法律を把握していないことがありますので、22時以降に勤務している人は残業時間を計算し、タイムカードと給与明細を確認してみてください。
残業代の計算は「1分単位」が正しい
会社によっては1日の残業代を「15分単位」「30分単位」でつけるという決まりを作っているところもあるようですが、法律的には「1分単位」で請求可能。14時終了のところ、14:20におわれば、20分の残業代がつきます。
30分単位の会社だと、14:30にならないと残業代がつかないと言われるでしょうが、これは法律違反です。
ちなみに「早出」も勤務時間にカウントしますので、会社から求められて30分、1時間早く行って働いたという場合は、勤務時間に合算しましょう。
扶養範囲で働くパートなら「突然の残業依頼」に要注意
無計画に残業を引き受けている、昼休みにご飯を食べながら電話番をしている、という人はいませんか?予定していた勤務時間以上に働き、扶養の範囲以上に稼ぐことにもなりかねませんので、働いた時間を日々加算しながらチェックするようにしてください。
ちなみに、休憩時間は基本的に自由でなければなりません。もしお弁当を食べながら電話をとっているということがあれば、これは勤務時間とみなされ、後から残業時間として加算されることもあります。こういう状況にある人は、「昼休みは自由にしていたい」と相談するか、「勤務時間としてカウントしてほしい」と申し出ることもできます。
(ただし、労働時間が6時間を超え・8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならないという法律もあります。)
2019年4月から残業に関する法律が厳しくなりました
残業が発生する会社では、「36協定」(時間外労働・休日労働に関する協定)という協定を結びます。2019年4月以降、残業が月45時間・年360時間を超えた場合は、会社が罰せられることになり、従来よりも法律が厳しくなりました。
パートでこれほどの残業をしている人は少ないかもしれませんが、過重労働でお悩みの方は、まず会社に相談しましょう。改善が見られない場合は労働基準監督署に相談してください。
パートも正社員も同等! 残業代請求ができる証拠を残しておく
パート、正社員と雇用体制が違っていても、法律では各自の権利が平等に定められています。もし正社員との待遇差が激しい、パートには残業代がでない、などという不利益を被っている場合は、きちんと意思表示をしていきたいものです。
そのためにも、タイムカードは毎月コピーをとっておくこと、サービス残業を証明するために帰社時にメールを送ること(メールの記録から会社にいることを証明できる)などを徹底し、自分の身は自分で守るよう心がけてください。
辞めてしまったパートでも、時効はあるものの、残業代をさかのぼって請求することが可能です。手帳や給与明細などで勤務記録がある場合は、諦めずに請求してみてくださいね!