会社で正社員の人が健康診断を受けているのを横目に、「パートは受けられないのかしら……」ともやもやしている人、いませんか?

結論を言うと、パートでも要件を満たしていれば正社員同様に健康診断を受ける権利があり、会社には受診させる義務があります。


以下の内容を確認し、まずは自分が要件を満たしているかどうかを確認し、満たしていれば積極的に健康診断を受けるようにしてください。



健康診断を受けられるパートの要件



企業における定期健康診断は、労働安全衛生法によって実施が義務づけられています。パート対象者の条件は以下の通りです。



1.1年以上*雇用される予定で、週所定労働時間が正社員(通常の労働者)の3/4以上のパート社員 
 *特定業務従事者は「6か月以上雇用される予定であるもの」
 →会社は健康診断を受けさせる義務がある

*特定業務=労働安全規則第13条第1項第2号に掲げる業務


図:労働安全規則第13条第1項第2号に掲げる業務 ―厚生労働省

2.週所定労働時間が正社員の1/2以上、3/4未満であるパート社員
 →健康診断を受けさせる義務はないが、受けさせることを推奨

3.週所定労働時間が正社員の1/2以下のパート社員
 →ルールなし

正社員の「週所定労働時間」は会社にもよりますが、「1日8時間×5日=40時間」が通常です。

40時間の3/4は「週30時間」ですから、例えば月曜~金曜まで、1日6時間働いていると上記「1」に該当し、健康診断を受ける権利があります。


「1」の場合、「1年以上雇用される予定の人」という条件もありますので、半年で契約が終了するという前提がある場合はあてはまりません。

ただし、「半年後も契約が更新される予定」ということであれば、対象になります。



健康診断を受ける頻度は年1回が基本



会社が従業員に健康診断を受けさせる頻度は、上記の特定業務を除き、通常は1年に1度と定められています。

各健康診断において、実施する頻度や検診をする項目などが以下の通り決められています。




図:健康診断の種類 -厚生労働省


図:一般健康診断の項目 -厚生労働省

入社前の健康診断「雇入れ時健康診断」はパートにも適用される



新しく人を雇う時も、健康診断を実施する義務が会社にはあります。

入社してから健康診断を個別に促すか、入社前3ヵ月以内に健康診断を受けていれば、その結果を提出してもらうということでもよいとされています。


入社時の健康診断も、パート社員は上記「1」の条件に当てはまっていることが条件となります。



パートの健康診断|よくある質問4つ



パート社員の健康診断について、よくある質問をまとめてみました。



1.健康診断の費用はパート勤務者が負担するの?

会社の義務で健診を受けてもらう場合には、会社が費用を負担することとされています。

ただし、会社が負担するのは法定分の項目のみ。

胃カメラや大腸のカメラ検査など、詳しい検査を受けたい場合には自己負担が発生することもあります。



2.健康診断は勤務時間中に行く?時給は発生するの?

会社の義務として健康診断を実施するので、その時間も勤務時間として扱うことが望ましいとされています。

ただし、健康診断の時間は労務の提供をしていないため、労働時間として取り扱うことまで、法律で決まっていません。

企業によっては「時給で働く社員については、健康診断に行っている時間は勤務とみなさない(時給は発生しない)」というところもあるでしょう。


あらかじめ、時給が発生するかどうかは確認しておいてください。



3.扶養の範囲で働いているけど、健康診断の対象になる?

健康診断を受ける・受けないは、雇用期間や週所定労働時間で判断されるもので、扶養に入っているかどうか、という基準ではありません。

しかし、扶養の範囲で働くとなると、必然的に週所定労働時間が短くなり、結果的に「必須条件」からは外れる可能性は高いでしょう。


その場合、会社によって受診させるかさせないかのルールが異なりますので、上司や人事部に確認してみるのが最も確実です。



4.会社の健康診断を断ることはできる?

会社において、1年に1回の健康診断や雇い入れ時の健康診断は「義務」であり、社員の健康と安全を守るために作られたルールです。

よほどの理由がない限り、できるだけ受診するようにしてください。


しかし、健康診断を受けられない/受けたくない明確な理由があれば、可能な範囲でそれを会社に説明し、断ることは可能です。

要件を満たさないパート社員にも健康診断を実施するという優良企業も!



法律で決められている要件は上述のとおりですが、「週所定労働時間が正社員の1/2の人にも健康診断させることが望ましい」という表記もあります。


社員思いの会社であれば、週所定労働時間が1/2(多くの場合は週20時間以上)でも受けさせてくれるところもあるようです。



健康あっての仕事。健康診断は積極的に受診しましょう


会社には、従業員の健康や安全を守る義務(安全配慮義務)があります。

健康診断のみならず、十分な業務・作業スペースの確保や、積極的なハラスメント対応なども含まれます。


中には色々な事情で「健康診断を受けたくない」という人もいるかもしれませんが、仕事ができるのも健康であってこそ。

1年に1度、会社で受診する機会があるのであれば、積極的に受けてみてください。


2019年5月29日公開/2023年10月9日更新


<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
外資系企業、IT企業、ベンチャー企業などにおいて、採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。現在はWEB系の会社を経営するかたわら、スペインにある学費が15万円/年~の公立大学や、1週間から留学可能な語学学校の紹介をするなど、子どもから大人までの学習支援を行っている。

WEB事業 :https://dy-planning.net/
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