ドーモプラスが俳優をはじめ、さまざまな分野で光を放っている仕事ビトにクローズアップし、これまでの道のりを辿る連載企画「マイ・ブックマーク」。第3回目にお話をうかがったのは、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」白布賢二郎役や、舞台「レイルウェイ」滑川達也役などで注目を集める俳優・佐藤 信長(さとう・のぶなが)さん。


後編では、念願叶って掴んだ白布役についてや、意外な(!?)ストレス解消法、アルバイトでの思い出について、たっぷりと伺いました!


インタビュー前編はコチラ

2年越しの共演で同志がくれた言葉



――佐藤さんにとって、刺激しあえる同志のような存在はどなただと思いますか?


舞台『露出狂』で共演した菊池 修司ですね。僕よりひとつ年下で、当時はお互い初舞台だったので、右も左も分からない“ザ・新人”として稽古中も本番もテンパったりしてたんですけど。昨年の10月、ちょうど2年ぶりに演劇「ハイキュー!!」()でまた同じ舞台に立つことになって。


現場ではチームごとに過ごすことが多かったんですが、先輩や年上の人もけっこういる中で、修司が芝居に関する自分の意見なんかを堂々と言っているのを見て「2年間ですごく変わったんだな」と。それにすごく刺激を受けましたね。


(※ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝最強の場所(チーム)″。 佐藤さんと菊池さんが演じたのは、白鳥沢学園高校バレーボール部に所属する白布賢二郎(佐藤さん)と五色 工(菊池さん))





――演劇「ハイキュー!!」への出演は念願だったと伺っていますし、その作品で再共演できるっていいですよね。


修司がいなかったら多分、僕は演劇「ハイキュー!!」であれほどまでに(役作りを)詰められていなかったかもしれないです。稽古の終盤で……気持ちが間に合っていないというか、何というか、ヤバイなってタイミングがあったんですけど、その時に修司が「ちゃんとやったほうがいい」って言ってくれて。


演劇「ハイキュー!!」はもともと原作から大好きな作品なので、エンジンをかけて臨んではいたんですけど、それで「さらに追い込んでやろう」っていう気持ちになれたんです。修司とはスタートラインは同じでしたが、演劇「ハイキュー!!」ではすごく引っ張ってもらったなという思いがあります。





――尊敬もできて、高め合える相手なんですね。


趣味がいっしょで、二人ともバイクが好きなので、プライベートでもよく会ったりするんです。演劇「ハイキュー!!」で再会して、チーム内でも個人でもぶつかり合ったりもしましたけど、それがあったからこそ本音を全てさらけ出せるようになれましたし、一歩上に行けたのかなと思います。





「運命を感じた」白布役への思い



――主題がバレーボールですし、運動量も相当多かったのではと思うのですが、いかがでしたか?


もう何十本も舞台を経験されているような先輩でも「これが一番」って言うくらい、運動量がすごい作品で、熱量も高かったです。みんなけっこう体力は削られていたと思いますけど、それ以上に舞台も原作も好きだし、演ってる時は楽しい。だから頑張れました。それに応援してくださる方もたくさんいるので。





――演劇「ハイキュー!!」へ白布役での出演が決まった時のブログには、とても熱意が込もっていましたね。


決まったのが本当に嬉しくて、少しずつ書き溜めては推敲して、情報解禁時間になると同時にポチッと投稿しました。


――そこまで演りたいと思える役に出会えるのはすごいことだと思います。


僕も長くバレーボールをやっていて、ポジションも白布と同じセッターで。キャプテンでエースの牛島若利役を演じた有田賢史くんは、本当にバレーで全国制覇をしている人なんですけど、僕は同じ九州出身なので、高校時代に実際に試合を見たことがあるんです。それが原作とも重なるので、何だか運命を感じたりもして。


実は前に一度、ちがう役で受けた演劇「ハイキュー!!」のオーディションに落ちているんです。その時もすごく悔しかったですが、今になって思うと落ちてよかった……っていうのも変かもしれませんけど。そのお陰で白布役に巡り会えたので。





――ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのエピソードもそうでしたが、佐藤さんは逆境に燃えるタイプなのかなという印象が……。


それもありますね。1回目に演劇「ハイキュー!!」のオーディションを受けたのは事務所に入って間もないくらいの時だったので、オーディションがどんなものなのかもよく分からずに気付いたら落ちてたくらいの感覚だったんですけど。落ち着いてから考えてみたら「うわ〜、出たかったなぁ!!」っていう気持ちに襲われて。


それからまたチャンスが巡ってきたので、「絶対受かりたい」という思いで挑みました。マネージャーから「白布役で決まったよ」って電話があった時には、めっちゃ嬉しくて舞い上がりました。(宮城で)一番強い高校のレギュラーのセッターですから。





――ブログでも「白布が一番好き」と書かれていましたね。その役に抜擢されるなんて、たしかに運命を感じます。


修司も同じ時にオーディションを受けていたので、いっしょに出られると決まった時には、電話しながらすごく興奮していたのを覚えてます。ずっとまた共演できるのが楽しみでしたし、しかもそれが演劇「ハイキュー!!」で。修司の五色は役柄も見た目もとても合ってたと思います。





非日常のスピード感が癖になる、ストレス解消法とは?



――では話は変わりますが、自分なりのストレス解消法や、気持ちを切り替える方法はどんなものですか?


ドライブや、バイクに乗ることですね。いっしょにバイクに乗る友達がいて、千葉とか箱根とか、いろいろなところに走りに行ってます。それから、一番最高なのはサーキットでバイクをかっ飛ばすことなんですけど、周りからは「危ないんじゃないのか」と言われたりして……。


でも、マニアックな話をすると、公道でバイクを乗り回すより、サーキットで走るほうが安全なんだというのを、僕はすごく言いたいんですよ(笑)。だって、対向車もいないし、障害物もない、見通しもかなりいいですし。革ツナギを着たりと、装備もちゃんとしてやるので。





――なるほど。不用意に車道へ何かが飛び出してきたりもしませんしね。サーキットで走ると、スピード感は全くちがうのでしょうか?


全然ちがいますね。時速300kmとかの世界なので、日常生活では考えられない速さでシャシャシャーッて周りの景色が流れていきます。





――時速300km!! 新幹線と同じか、それより早いくらいなのでは?


そうかも……? もう、気持ちよすぎてヤバイんですよ。最高です。この仕事をやっている方にも、バイクに乗る人は意外と多いんですが、サーキットまで行く人はなかなかいなくて。でも、「金色のガッシュベル!!」――僕の小学校時代に大人気だったんですけど、その作者の雷句誠さんがサーキットで走ってらっしゃったのをSNSで見かけたので「そのうちお会いできたらいいなぁ!」なんて思いながらいつも走ってます。





殺陣を身に付けて「いつかは○○役を演じたい」



――今後の目標や、やってみたいお仕事について聞かせてください。


名前が信長なので、いつかは織田信長役をやってみたいんです。そのためにはきっと殺陣が必要になってくるので、まずはもっと身体を動かせるようにならないとなって。





――殺陣はまだ経験されていないのでしょうか?


ない……というか、舞台で一度だけ、30秒くらいのシーンをやったことがあるだけなので、型も何も分からない状態なんですけど。前に、殺陣があって信長が出てくる舞台のオーディションを受けた時に「佐藤信長です。殺陣はできません」って言う羽目になって、かなり恥ずかしかったんです。「信長なのに、殺陣できないんかい!」みたいな空気になるじゃないですか。


――(笑)。


その悔しさもあるので、殺陣をできるようになって挑戦したいなと。信長が信長役をやるっていうだけで、ちょっと面白いなとも思いますし(笑)。それから僕、悪い役をやりたいんですよ。意地悪で「憎たらしい!」って思われる感じの。





――佐藤さんのルックスでは、あまり悪そうな感じはしないですが、そこは敢えて、ですか。


よくそう言われるんですけど、「腹黒そう」とも言われるんですよ。僕、香川照之さんが好きで。優しい人の役もされていますけど、憎たらしい役を演じている時の香川さんがすごく好きなんです。お芝居で行き詰まった時には「香川さんだったらどうするかな?」って自分の中で想像してやってみたり、香川さんが出演されている作品を観て「自分もこれをやってみたいな」って考えたりしてます。





悲喜こもごものアルバイト経験談



――それでは、DOMOがアルバイト求人媒体ということにちなんで、アルバイトについてのお話も伺いたいと思います。これまでに経験されたアルバイトの中で、印象に残っているものはありますか?


いい思い出があるバイト先と、そうじゃないバイト先があるんですけど……。


――では、いい思い出があるバイト先からお願いします。


僕、某コーヒーショップでバイトをしていたことがあって。都内のおしゃれな街にあるお店で働いていたんですが、お客さんもスタッフもみんないい人だったんです。接客以外でもお客さんといろいろな話をして仲よくしてもらっていましたね。


そこでバイトをしていた時には、接客に関することが最低ラインだとしたら、それ以上にお客さんに対して何ができるかを一生懸命考えたりしていたんです。友達みたいに話せるお客さんがたくさんいたので、カスタムの提案をしてみたりと、混んでいない時にはカウンター前で話し込んだりすることもあって。





――わりとアットホームな雰囲気の店舗だったんですね。


そうなんです。基本的には混んでるんですけど、そうではない時にはお客さんの心を掴みにいってました。それでまた来てもらうのがとても嬉しかったので、人と接する楽しさを学べたように思います。満足してもらうにはどうしたらいいかを考えて、そしてきちんと満足して帰ってもらい、それが自分の喜びになる……特にこれという大きな思い出があるわけではないんですけど、働いていてずっと楽しかったのを覚えています。





――では次は、よくない思い出のほうを聞かせてください。


大学生だった頃は、チェーンの牛丼屋でバイトをしてたんです。


――また、全く毛色のちがうお店で働かれていたんですね。


本当ですよね。ここで一度やってしまったのが、牛丼を注文された時に携帯の画面でたまごの無料クーポンを見せられたんですけど、そのたまごを出し忘れてしまったんです。それでお客さんにめちゃくちゃ怒られて、何度も謝罪したんですけど収まらず……結局、ひとつ上の先輩にいっしょに謝ってもらって切り抜けました。





――ちなみに、アルバイトの経験が今のお仕事の役に立っていると感じることはありますか?


接客で人と楽しく話せるようになったことは、プライベートだけじゃなくて役にも生きているきがします。あと、イヤな思い出ではあるんですけど、牛丼屋で怒られた経験も意外と生きているような……役でそういう感情になった時や、つらい時でもめげない、とか。そういうところで役に立っていると思いたいですね。





勇気を出して一歩前へ「夢を目指すなら早い方がきっと楽しい」



――もしも今、何でも好きなアルバイトができるとしたら、どこで働いてみたいですか?


テーマパークのキャストをやってみたいです。「自分の好きな場所を職場にしたら、どうなるんだろう?」って、遊びに行った時にいつも考えるんですよ。「楽しいだろうなぁ。早く上がりたいとか思わないんだろうな」って。


――アトラクションの説明をするスタッフもいますし、お芝居にも役立ちそうですよね。


確かに! そうですね。夢の国にいるっていうこと自体が楽しそうなので、チャンスがあったら挑戦してみたいです。





――笑顔がすてきなので、きっと似合うと思いますよ。では最後に、夢に向かって頑張っている読者の方に向けて、応援のメッセージをお願いします。


僕は中学校の頃から役者の道に進みたいと思っていたんですけど、そのための一歩を踏み出せなかった時間がすごく長かったんです。みなさんにもいろんな事情があるとは思いますが、やりたいことは早く始めるに越したことはないし、もし「これじゃないな」となっても、また次の仕事ややりたいことを見つけて、始めることができる。


まだ23歳の僕がこんなことを言うのもあれなんですけど、若いうちから好きなことをやったほうが楽しいんじゃないかと思うんです。何回も転職している友達もすごく楽しそうに働いていますし、プライベートでご飯に行った時にもずっと楽しそうなので。やりたいと思った時にやりたいことをやるほうが、いい方向へ働くと思いますし、始めの一歩はなかなか難しいでしょうけれど、勇気をもって踏み出してほしいなと思います。





負けず嫌いで逆境に燃えるタイプだったり、趣味はバイクでサーキットの風になったりと、穏やかなルックスからは予想外のギャップを見せてくれた佐藤さん。信長役のくだりをはじめ、笑いの絶えない取材となりました。自然体でありながら、常に上を目指すことを忘れない彼が、今後どんな活躍を見せてくれるのか楽しみですね♪


取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)


インタビュー前編はコチラ


【プロフィール】
佐藤 信長(さとう・のぶなが)
1995年3月30日生まれ、宮崎県出身。2017年からNHK Eテレ『高校講座物理基礎』物理家(ものりけ)長男役を一年間務める。その他、日本郵政CM『はじめてのお給料篇』、舞台作品としては、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』〝最強の場所〞白布賢二郎役、舞台『レイルウェイ』滑川達也役を務め、また新感覚アーティストグループ「TFG」に所属するなど幅広く活躍中。


<告知情報>
■「TFG結成記念!おひろめLINE LIVE」
出演:TFG(赤澤遼太郎/前川優希/佐藤信長/坂垣怜次/堀田怜央/桜庭大翔/健人)、永松文太
日程:2019年4月29日(月・祝)
時間:21:30~
TFG結成記念!おひろめLINE LIVEページ

■1st Fan Meeting「TFG おひろめFan Party」
2019年5月27日(月)14:30~ / 19:00~
場所:渋谷WWW X
出演:TFG(赤澤遼太郎、前川優希、佐藤信長、坂垣怜次、堀田怜央、桜庭大翔、健人)、永松文太


<佐藤 信長さんサイン入りチェキプレゼント>


DOMO(ドーモ)公式Twitterアカウントをフォロー&リツイートで「佐藤 信長さんサイン入りチェキを抽選で3名様にプレゼント!


【応募方法】
①「DOMO(ドーモ)」公式ツイッターアカウント(@domonet_jp)をフォロー

指定ツイートをリツイート

③抽選で3名様に、「佐藤 信長さんサイン入りチェキ」をプレゼント!!

【応募締切】
2019年4月25日(木)

【当選発表】
厳正な抽選の上、当選者の方へのみTwitterのダイレクトメッセージにてご連絡させていただきます。
@domonet_jpアカウントのフォローをはずされていた場合、当選連絡ができないのでお気をつけください。



【関連記事】
謙虚さと自信が演技を磨く。俳優・健人が見つけた彼なりの答え【マイ・ブックマーク vol.01】(後編)

「役作りとは“人間を作る”こと」俳優・永田崇人が芝居に注ぐ真摯な情熱【レコメン図 vol.24】(後編)

「役者は天職」俳優・輝馬、ニュートラルなまま役と向き合うその横顔【レコメン図 vol.21】(後編)

「常に全力で目前の壁に挑む」俳優・鷲尾修斗が舞台の上で背負うもの【レコメン図 vol.20】(後編)

【レコメン図 vol.05】滝澤 諒インタビュー(後編)

関連求人

関連するワード