
大道芸がお好きな方なら、静岡で毎年秋に開催される「大道芸ワールドカップin静岡」は、当然ご存知のことでしょう。
今回は、その大道芸ワールドカップ、オン部門出場のご常連。シュールな世界観でファンを魅了する大道芸人、加納真実さんをご紹介します。
青いジャージがトレードマーク、不思議な世界観のパントマイム
加納真実さんの大道芸は、主にパントマイム。
観客の想像力を刺激するパントマイムは、芸が細やかであるほど解りやすく、観る者を物語の中へ引き込んでいきます。
彼女のパントマイムは、繊細でありながら、かなりシュールなものも多いので、観る側の想像力が試されます。
得体の知れない生き物と格闘の末……。ウソ?! 目つぶし決まっちゃった?!
しかし、そのぶっ飛んだ世界観はある種の中毒性を持っていて、一度見たらもう一度観たくなる。そして、もう一度観る頃には、すっかり「加納真実のとりこ」になっているのです。
不気味な踊りの中に笑いを散りばめた「仮面舞踏会」
ただ寝そべっているだけなのに……。怪しすぎる!!
舞台上へと客上げされた観客も一緒になって、異様な世界を楽しみます。
今回、芝居小屋での公演は3日間でしたが、予約段階で連日満員御礼。3日間通しで公演を観た方もいます。チケットは予約完売だったにも関わらず、当日券を求めて来られた方や、静岡在住のファンのみならず、県外から加納真実さんを追いかけて観に来られた方もいたほどで、公演は大盛況のうちに幕を閉じました。
喜怒哀楽。すべてが詰まった「加納真実」の世界
笑いだけ、怒りだけ、悲しみだけでは、真に人間の感情というものは表現出来ません。
顔は笑っていても、心の中では怒っていることもあるし、悲しみで泣き暮らしていても、お腹も空けば、あくびもする。感情というのは、厄介で複雑なものです。
音楽と指先だけで、二人の恋の機微をしっとりと表現する「めぐり逢い」
彼女のパントマイムの中には、人間の持っている喜怒哀楽、そのすべてがあります。コメディであっても、笑いの対極にある悲しみや苦しみが巧みに織り交ぜられていて、そのエッセンスがあるからこそ、さらに笑いが際立つという仕組みになっています。
いつになく乙女な雰囲気の加納さん。あ……、いつものジャージがスカートになってる?!
まさに、一本の素晴らしい演劇を観ているような、そんな気になるのが「加納真実」の世界なのです。
今回、加納真実さんは、七間町で開催される「劇街ジャンクション」にも特別ゲストとして登場しましたが、あいにくの雨……。
それでも、大勢の観客が彼女を観に集まっていました。
いつでも全力!! アメニモマケズ、熱演です。
普段の生活がそのまま大道芸になる?! 加納真実さんの素顔
「スイッチ芸人」という言葉があるように、普段の顔と芸人としての顔がまるで違う人がいます。
加納真実さんは、どちらか? というと、これは自他とも認める「素の人」らしいのです。
お話を伺っている時、誠実な受け答えの中にも、ユーモアを交えたエピソードを披露してくださることから、気さくな人柄や、普段の暮らしぶりが見え隠れします。
こういう柔らかくて温かいお人柄が、どんなに荒唐無稽な作品も、ユーモアに溢れた優しい作品に仕上げられるのかもしれません。
ふざけているわけではありません。これも稽古の一環なのです。
すれ違う人に「カッコいいバックですね」と褒められた?! 大道芸アイテムを詰め込んだドラムバケツと共に、劇街ジャンクションへの出演準備中。
加納さんの似顔絵などを描いたアイシングクッキーが、劇街ジャンクションで販売されていました。
荒唐無稽、シュールなネタだけではなく、誰もが「あるある!」と思える身近なネタも、まずは自分の内側に取り込み、観察し、時には疑い、独自の感性で丁寧に育てた上で、外側に向けて発信する作品に仕立てる。
そんな「加納真実」という大道芸人は、人の心を掴み、集まった観客を惹き付け、熱狂させることの出来る、魅力溢れる方なのだと、改めて感じました。
今年も大道芸ワールドカップに「加納真実」がやってくる!
さて、今年も「大道芸ワールドカップin静岡2018」オン部門に、加納真実さんが出場されます。
今年の開催日は、11月1、2、3、4日の4日間!!
夜には気温が下がるので、暖かい格好でお出かけになるか、ひざ掛けのご用意を忘れずに。
加納さんがゲスト出演した、劇街ジャンクションも、「チーム劇街ジャンクション」として、フリンジ部門で出場されます。
「加納真実」は、もちろん、何が起こるかわからない、大道芸とアーティストのコラボが楽しめる「チーム劇街ジャンクション」も、見逃せませんよ。
写真撮影:佐治惣一朗
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