
ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載インタビュー「レコメン図」。今回登場していただくのは、舞台「刀剣乱舞」江雪左文字役や、舞台「文豪ストレイドッグス」国木田独歩役などで活躍中の俳優「輝馬(てるま)」さん。
8月から上演中の「七つの大罪 The STAGE」にヘンドリクセン役で出演されている輝馬さんに、後編ではお芝居へのモチベーションについてや、オフタイムの過ごし方、アルバイト経験についてなど、たっぷりお話を聞かせていただきました。
インタビュー前編はコチラ
成長に必要なものは「リスペクトと挑戦」
――配役される時には、オーディションを受けたり、オファーをされたりと形はいろいろあるかと思いますが、自分がその役にキャスティングされた理由や、そこで何を求められているかについて、考えることはありますか?
ありますね。以前は、似ている役へ配役されることがかなり多かったんです。メガネキャラだったり、高身長で、固定観念の強い堅物で、背筋をスッと伸ばしているような。
でも20代後半になった頃からは、ちょっと気持ち悪い役や、クレイジーな役が多くなってきたので、それは多分、自分が年を重ねて経験を積んで来たからじゃないかなと思って。
だから「この役が合うんじゃないか」と周りの方からいただくお話が、最近すごく嬉しいんです。誰しも「この人はこういう人」というイメージを相手に持っていると思うんですが、僕がみんなに与えているイメージに広がりが出たり、いい意味でズレてきたんだなと感じられるので。
――役柄の守備範囲が広がると、さまざまなことに挑戦できそうですよね。
ですよね。この前やった役だと、400年生きた僧侶とか(笑)。「400年生きた僧侶ってどないやねん」って思いましたけど、素直に嬉しかったです。
このまま、(やれることの幅が)広がっていって、いろいろなことにチャレンジできるようになったらいいなと思います。
――ちなみに、お芝居へのモチベーションとなっているものや、憧れの役者さん、「こうなりたい」という理想像はあったりしますか?
うーん……やっぱり、本番ですね。お稽古ももちろん楽しいんですが、本番がとても楽しいので。お客さんの前に立つ瞬間や、終演後にはすごくやりがいを感じますし、ほかの仕事でもそうであるように、自分の関わっているプロジェクトが成功したら嬉しいものじゃないですか。
僕、役者という仕事はその点がかなりいいなと思っていて。公演期間が10日間あったら、その間は毎日その感覚を味わえるので、テンションも上がるし楽しいです。
僕の尊敬している方が、「Color of Life」に出演されていたAKANE LIVさんという方なんですが、その方のお芝居や歌、ダンスが本当にすばらしくて。今までに2回、舞台でごいっしょさせていただいたことがあるんですけど、今も連絡を取り合っているくらい大好きな先輩ですね。
理想像でいうと、歌や演技、殺陣、ダンスにアクションと、それぞれで「こうなりたい」と思う人が何人もいるんです。その方たちをリスペクトしながら、いいとこ取りをすることで自分を形成していきたいなと。
――演技も歌もダンスも、なんでもソツなくこなされる印象があるんですが、そうやっていろいろな方から吸収されているんですね。
そういう部分が大きいかもしれないです。人間って、しゃべりは上手いけど字は下手くそとか、得意不得意があるものなので、いろんな人をリスペクトしたり、挑戦したりを繰り返して成長するものだと思うんです。
結果としてできなかったとしても、やることに意味がありますし。その積み重ねでこれまでやってきたので、僕自身としても、今の自分は好きですね。
演じることへの追究心「自分の底を知りたい」
――では、今後やってみたいお仕事や、挑戦してみたい役柄などがあったら聞かせてください。
挑戦したいお仕事は、とっても変態な役ですね。
――えーと、例えばどういう……?
(舞台上では)物理的には無理だと思うんですけど、猟奇的な振る舞いをしてしまう部分があったり。そういう役をやってみたいですね。
これまでやった役は、堅かったり、芯がしっかりしていたり、真面目だったりとプラスの役が多かったんですけど。例えばフラれたり、怒られたりという時に、いくらでも暗くなろうと思えばなれるんですよ。
だから、狂気に満ち満ちたような役に挑戦して、マイナスに振り切った自分の底を知りたい気がするんです。今まで経験した役柄でも、人を殺したり、呪ったりはしたことはありますけど、もっと振り切った役もやってみたいなという気持ちはありますね。
背徳感満載!? 輝馬流オフの楽しみとは
――話はがらりと変わりますが、オフの日や空いた時間に、息抜きとしてどんなことをされていますか?
ゲームです(笑)。こんなんでごめんなさい、本当。
――結構インドア派なんですね(笑)。
そうなんです、根暗なので。インドアって言い方、便利ですよね(笑)。家でゲームをしたり、寝ることも好きなので、休みの日は寝てたりもします。それから……あ、料理もしますよ! 写真集でも、料理をしているカットを撮影してもらいましたし。
外に出るなら、散歩はちょこちょこします。物欲があまりないので、服を見て回ったりして歩くというよりは、本当に散歩程度でひと駅歩いてみたりしていますね。
――散歩は体力作りも兼ねていたりするのでしょうか?
いや、体力作りとしては、ジムに通ってます。ただ、筋トレがすごくキライなので、ひたすらランニングマシーンで走ってるんですけど。
あとは、背徳感満載の“お昼から飲み”ですね(いい笑顔)。友達と行くんですけど、僕、お酒が好きなんですよ。昼も営業している居酒屋に行って、ガラス張りの明るい店内で飲むのが、もう気分がよくて。
店内が暗いところだと、昼間っていうのが分からないからダメなんです。オープンテラスがあったりするような、そういうおしゃれなお店でもいいんですけど、必ず外が見えるところで飲みます。それが僕のオフの息抜きですね。
――家でゲームをしたりアニメを観たりするほかにも、ご友人とお酒を飲みに行くというような、社交的な趣味もあるのはいいですよね。バランスが取れる気がします。
先輩や後輩と、誘われたり約束したりして、いっしょにご飯に行くこともよくありますね。オフの日や仕事終わりのプライベートな時間に、情報交換をしたり、相手がお酒好きならがっつり飲みに行ったり。
――役者トークをしながら、お酒を酌み交わしたりもされるんですか?
役者以外の仕事をしている知り合いとも会いますよ。小学校の先生をやってるヤツだったり、公務員だったり、消防士もいたりと、全然ちがう職業同士で集まったりとか。同じ年の人と飲むこともけっこうあるんですけど、面白いです。
――そういう時にはどんなことをお話しされるんですか?
仕事の苦労話なんかですかね。職業が違っても、仕事の悩みってわりと同じだったりするじゃないですか。例えば人間関係であったり。それぞれの仕事の具体的な話をしても、お互いに分からなかったりするので、共有できる部分の話をしたり。そういうのって楽しいですよね、ほかの業種の愚痴って、あんまり聞けないですし。
今からでもやってみたいアルバイトは「コンビニ店員」
――それでは「DOMO」がアルバイト求人媒体ということで、アルバイトについてのお話もうかがわせてください。今まで経験されたアルバイトの中で、印象に残っているものや、今のお仕事に役立っているものはありますか?
18歳の頃、上京してから2〜3ヶ月くらいの間、家の近くのイタリアンで働いてました。かなりしっかりした高級感のあるお店で、どうして面接に受かったのか、今でも謎なんですけど。時給も高い分、従業員にも厳しいところでしたね。
そんなに長くは続けなかったんですが、あれはいい経験だったなと思います。先輩方やお客さんも優しかったですし、まかないも美味しかったので(笑)、恵まれた環境だったなと。それに、先輩たちが、今の僕の歳くらいの方ばかりだったんです。
――そういうところでバイトをすると、若くして年上の大人の方との接し方を学べそうですよね。
人との接し方という社交的な面でもそうだと思うんですけど、やっぱり上司や先輩がいるというのは大きなことだと思うんです。それと同時に、年下の子や後輩がいるというのも大切だなと、30歳近くになった最近になって思うようになりました。
今思い出してみても、18歳だった自分から見た、あの時の先輩たちはしっかりした人たちだったなと思うし、自分が同じくらいの年齢になったので、今度は後輩たちから「しっかりしてる先輩だな」と思われるようにならないとなって、ちょっとプレッシャーを感じてます。
――ちなみに、どのポジションで働かれていたのでしょうか?
ホールです。けっこう大変でしたけど、いいところで働かせていただきました。バイト先で学んだことで、今の役者の仕事にも生かされてる部分はあると思いますし。
それから僕、役者を辞めるとかではないんですけど、コンビニの店員さんをやってみたいんですよ(笑)。
――たしかにちょっと面白そうですよね。
コンビニってほとんどの人が行く場所だから、いろんなお客さんがくるじゃないですか。コンビニ店員として、その人たちの生活の一部になってみたいなと思うんです。
同じ空間に居合わせるという意味ではいっしょなのかもしれないですけど、役者は劇場に来たお客さんにお金を払っていただいて、舞台の上にいる姿を見てもらうので。
そうではなくて、その人の一日の流れの中の一部になってみたいなという気持ちがあって、コンビニの店員さんならそれができるんじゃないかと。まぁ、苦労することも、楽しいことも両方あると思うんですが、今と全くちがう環境を経験してみるという意味では、とても興味があります。
――生活に密着している業種ですもんね。
生活感があるし、どんな人が来るんだろうって思うし。いろんな人の生活の一幕を垣間見てみたいですね。それは普段の僕にはできないことなので。
――人間観察のしがいがありそうです。
本当ですよね。そうしたら、役者の仕事にも生かせると思いますし。機会があったら、ぜひコラボ企画でやらせてください(笑)。
――実現したら面白そうです(笑)。では最後に、現在夢に向かって頑張っている読者の方に向けて、メッセージをお願いします。
僕は今、役者が天職だと思っているんですけど、(人によって)何が天職になるのか、何を好きになるのか、あるいはキライになるのかは全く分からないと思うんです。天職になるか、好きなことをやるかどうかは、全部自分次第だと僕は思っているので、やりたいことを一生懸命、全力でやることが大事なんじゃないかと。
仕事でも、アルバイトでも、例えば派遣のバイトで1〜2日しか行かない職場だったとしても、そこで頑張ってみたなら、その先に繋がっていくものはきっとあると思います。僕もそうやって10年間全力で走って来たので、ぜひ全力でやってみてはいかがでしょうか。それでも後ろ指を指されることもあるかもしれないけれど、後ろ指を指す側になるよりは100パーセントいいと、僕は考えてますし。
恥ずかしがらずにガンガンやっていく――それは年齢も関係なく、10代でも20代でも、50、80でも!――そうしてやってみたら、結果は自ずとついて来るんではないかと。そして、人間関係に仕事に私生活と、常に楽しんで過ごしてもらえたら、すごくいいことだなと思います。
「コンビニの店員さんをやってみたい」と、ちょっと意外な願いを聞かせてくれた輝馬さん。演じてみたい役柄についてのお話や「リスペクトや挑戦で成長する」という言葉からは、演じることへの飽くなき追究心を感じました。今後も出演作が続々と決まっている輝馬さん、その活躍ぶりが楽しみですね!
取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)