
ドーモプラスがブレイク期待のアーティストを定期的に紹介! 今回はサーキットに参加すると入場規制続出のポップバンド“ドラマストア”のインタビューをお届け! 5月にニューミニアルバム『swallowtail』を発売し、目が離せない彼らに突撃してきました。
僕らなら、どんなドラマも描ける
――まずバンド結成の経緯について教えていただけますか。
長谷川:僕が学生時代に組んでいたバンドを解散したのがきっかけですね。そのあとに当時から交流があった和也君(松本 和也/Drums & Chorus)と他のメンバーを集めて10月に結成、12月には初ライブみたいな。
――前身バンドがあってのドラマストアなんですね。
長谷川:ずっと神戸で活動してたんですけど、そのときに仲良かったバンドがドラムの入れ替わりが激しくて。
松本:僕がそのバンドに入って、ライブ終わりに楽屋にいたら海君(長谷川 海/Vocal & Guitar)がバーンって入ってきて「お疲れ! 新しいドラムええやん!」って(笑)。海君のライブを見たことがあったから「あのバンドの人や!」ってなって、好きな音楽の話をしたらめっちゃ一致したんですよ。
長谷川:UNISON SQUARE GARDENとポケモンの話で一気に仲良くなってここまできたよな(笑)。
――ドラマストアは以前おふたりがやっていたバンドの音楽性を引き継いでるんですか。
長谷川:そんなことはないですね。和也君はギャンギャンのギターロックだったし、僕はもっとふわふわしたポップスをやっていました。
松本:なんかキュンキュンする音楽やってたよな。
――では音楽性としては、長谷川さんがもともとやっていたものを引き継いでいる部分が大きいんですか。
長谷川:そういうわけでもないですね。もともと僕が音楽をやろうと思ったきっかけのバンドが、前身でやっていたような音楽性だったんですよ。“耳で聴く絵本”っていうキャッチコピーでやっているバンドで、当時は僕も同じようなことがしたいと思っていました。
でも、このメンバーで新たにやっていくことになって、ドラマストアというバンド名に着地したときに、何を歌っても成功だなって。コメディドラマがあればヒューマンドラマもあっていいし、SFや恋愛、サスペンスもあっていい。そうなったときに書き手としての余白が広がりましたね。
色とりどりの音楽歴
――先ほどUNISON SQUARE GARDENの名前があがりましたが、他にみなさんはどのようなアーティストに影響をうけてきたのでしょうか。
長谷川:YUIさんが大好きです。あとは絢香さん、最近だと大塚愛さんやYUKIさんを聴いています。第一章EXILEや一青窈さんも好きだったし、コナンが好きなのでZARDさんや愛内里菜さん、小松未歩さんも好んで聴いていましたね。バンドにハマり始めたのは高校の終わりから大学くらい。 NICO Touches the WallsやUNISON SQUARE GARDENが最初でした。
実はピンクレディーも大好きなんですよ。それこそ母の影響なんですけど、テレビで特集をやっているとボロボロ泣きながら見ちゃう。阿久悠さんの曲はいま聴いても勉強になるものばかりなのに、それを70年代からやってるからすごい……。
鳥山:僕はポルノグラフィティとか、けっこう聴いていましたね。周りが音楽に興味がないような小学生のころから聴いていたので、ちょっと先輩の世代とも話せるかな。
長谷川:俺のほうがついていかれへんと思うわ(笑)。名探偵コナンとかシャーマンキングのキャラソンとか聴いてたもん。
――松本さんはいかがですか。
松本:小学生のときは、TOKIOとカーペンターズをめっちゃ聴いていました。中学生のときは90年代を遡ってチェッカーズ。バンドに興味を持ったのは高校生になって軽音楽部に入ってからですね。藍坊主、UNISON SQUARE GARDEN、UVER worldをずっと聴いていました。
長谷川:中学生でカーペンターズやチェッカーズって高尚やね! そのころの俺なんて「恋はスリル、ショック、サスペンス」を踊ってたわ(笑)。
――髙橋さんは、どうでしょう。
髙橋:中高はゴリゴリの音楽ばっかりでしたね。 MR.BIGやQUEENが好きだったので。
松本:こいつ(髙橋)がサポートで入ったときに音がゴリゴリすぎて、マネージャーも思わず「お? どした、どした?」って(笑)。すぐに機材を買い替えてました。
音楽を通して感じかたを共有したい
――それだけいろんなルーツを持っている人たちが、ひとつの音楽を作ってるって面白いですね。ドラマストアの“君を主人公にする音楽”っていうキャッチコピーは、いつごろできたんですか。
長谷川:去年のツアーでとり(鳥山 昂/Guitar & Keyboard)が入ったんですけど、そのときにプロフィールとかを一新する機会があったんですよ。それに伴って、もともとのドラマストアのコンセプトを踏襲したうえで、いまのキャッチコピーになりました。
改めて自分たちがどうやって音楽と向き合っていきたいかを考えたときに、リスナーが僕たちの曲と出会って新たな解釈とかを生み出してくれたら嬉しいなって思ったんです。僕の作った曲がメンバーのアレンジによって新たなドラマを持っていくみたいに。
リスナーの子が自分の想定していなかった捉え方をしているのって、めっちゃ面白くないですか。僕は発信者でありつつ、リスナーの声を受け入れる受信者でありたい。だから、リスナーのいまに1番あうような音楽だったらいいなって。そして、僕らの曲にどう自分自身を投影したか聴かせてほしいですね。
――リスナーに能動的であってほしいと。
長谷川:ロックバンドではないので、「ついてこい」とか「踊れ」とか言いたくないんですよ。だからこそ逆に「どう思うの、聴かせて?」って。もともと好きなものを共有しながらする会話が好きなので、そういう音楽にドラマストアが着地していれば望ましいかな。
――ドラマストアの音楽を通して、お互いの感じかたを共有したいと。
長谷川:僕はその傾向が強いかもしれないですね。もちろん音楽を通して背中を押したいっていう思いもあります。でも、それ以上にファンのかたとドラマストアの音楽を好きっていう感情を軸にして、解釈の誤差を共有しながら一緒に進んでいけることが嬉しい。よくある押しつけの音楽になってないことが、自分たちの音楽の誇りのひとつかな。
――正統派ドポップにも誇りを持ってますよね。
長谷川:そうですね。いまの時代、正統派・超王道が1年で流行るわけないと思ってるんですよ。ライブハウスでやってる以上、きっと最短のマーケティングは「かかってこい、踊れ」っていう音楽をすること。それを求めてる人が多いことも、もちろんわかってるんです。
でも僕らは売れるための音楽をしたいと思っているわけではないので。ドラマストアとしての音楽を突き詰めた先を見据えているので、需要を満たすだけの経済商品にならないように気をつけていますね。
十二分に伝えるには日本語しかない
――ドラマストアは歌詞へのこだわりが強いイメージがあるのですが、その点に関しては長谷川さんのエッセンスが強いのでしょうか。
長谷川:そうですね。きっちり前作を超えないといけないというか、日々成長して新しいことをしたいと思っています。
――歌詞を読んでいると、同じ言葉でも「僕」や「ボク」のように表記を変えてますよね。
長谷川:自分のなかでパッと設定する主人公が“俺”なのか“僕”なのか、“カタカナ”なのか“ひらがな”なのか。相手を“君”と呼ぶのか“あなた”と呼ぶのかっていうところまで、主人公像をイメージして書いているところはあります。
けっこうな比率で、僕は妄想から歌詞を書くんですよ。同系統の音楽をやっているバンドマンのなかでは実体験の割合が圧倒的に低い書き手なので、自分のなかで自由に設定を作って動かしているところはありますね。
それこそ今作の「未来へのブーケトス」は設定から決め始めました。オケ先行でメロや歌詞をあとでつけるという手順でできた曲なんですけど、オケを作っている時点ですごい多幸感に溢れた曲になるという着地が見えて。
ただ大掛かりな“ウエディングドレス”や“大告白”じゃなくて、「ちっさい花束を作りました」くらいのささやかな幸せのほうがあっているだろうなと。書きはじめから“最近一緒に住みはじめた付き合いたてのカップルで、できれば結婚したいと思っているけど時期はまだ早い”。そんな設定でやっていました。
――曲を書くときって物語が歌詞になるのでしょうか。それとも、歌詞を書きながら物語を広げていくんですか。
長谷川:両方あります。僕が書きおろしてみんなで作るときとセッションで作るときがあるんですけど、僕が書きおろしていく場合はシンガーソングライター脳を打破して欲しいから1番までしか書いていかないんですよ。だから歌詞も必然的に1番までしかないですし、その先のアレンジによってどういう風に書き終えるかが変わってきますね。
――日本語詞へのこだわりも強いのでしょうか。“Need You”なども和製英語として歌ってらっしゃいますよね。
長谷川:そうですね。僕も少しだけ留学経験がありますし、英語っぽい発音をしろって言われたらできます。でも英語を十分にしゃべられない以上、英語の歌詞を使うのは違う。
十二分に伝わって欲しいのだったら、十二分に伝わる言語で話さないと。語呂感やスタイリッシュさを英語に求めるのは、僕のなかではちょっと違うんですよね。全員がタイ語をペラペラに話せるようになったら、タイ語で曲を作るかもしれないですけど(笑)。
――音の運びや歌詞の選びかたなど、歌謡曲のような空気感もありますよね。
長谷川:歌謡曲っぽいって、僕と和也君の間では昔からよく出てくるワードやったよな。
松本:大好物です。
長谷川:やっぱりここ二人(長谷川、松本)が、ドポップにどっぷりハマって惚れた状態で音楽を始めてるので、そこは根ざしてるかもしれないですね。
――メンバーから、長谷川さんの歌詞に対してダメだしとかってされないんですか。
長谷川:最近になってようやく、和也君から歌メロのダメだしをされるようになったんですよ。王道なんで進んでいくにつれて、必殺技が増えるのは当たり前。その過程で僕らが想像している以上の完成に到達するために、和也君が「ああしてほしい、こうしてほしい」って言ってくれるようになったんです。でも、歌詞だけは言われないですね。僕はできたものしか見せないタイプなので、ダメ出しをされたことはないです。
松本:ほんまにいいとしか思ってないです。絶対に書かれへんもん!
長谷川:タイトルとかは、よく話しあいますよ。「表題曲にしてはインパクトが薄い」とか。今まで名前次第で売れかたが変わった商品とかいくらでもありましたし、曲も一緒だと思っているので受けいれてます。
松本:書いた気持ちとか内容を全無視でいうけどな(笑)。カタカナがいい、アルファベットがいい、っていう領域。
長谷川:歌詞やタイトルに情が沸くと「海君も頑張ってたし、これでいいか」ってなっちゃうと思うんですよ。でも、そうなったら4人でやっている意味も和也君がコンポ―スしてる意味もなくなっちゃう。和也君は歌詞を書いた経緯と見えかたを完全にわけて、良いか悪いかを話してくれるので助かっています。歌詞を褒めてくれるのは、とりですね。僕らは本が好きなんで。
松本:本を貸しあってるのはいいのですけど、解釈に対して言いあいしてるんですよ。そしたら、もう、とりは「え、嫌なんですけど。もう貸したくないです」って(笑)。
鳥山:けっこう殺伐としてますよね。
長谷川:そうやって感じ方の違いを共有するのが読書家の楽しいところだと思うんですけどね。
――ドラマストアの音楽性に関してもそうでしたけど、長谷川さんは根本的に“感じ方の共有”をするのがお好きなんですね。
長谷川:中学校のとき、ディベート大会で優勝しましたからね(笑)。自分を高める方法のひとつです。
1小節1音に意味を
――真っすぐに言葉が飛んでくる歌詞はドラマストアの特徴のひとつだと思うのですが、クリーンな音色や聴きやすいメロディなど曲づくりに対する特色もしっかりありますよね。
松本:音色のシンプルさに関しては器用さがないから(笑)。でも、ピアノ本来の音色で勝負したいってところはありますね。
――ピアノのフレーズも秀逸ですよね。和音やメロももちろんなんですが、フィルのセンスがすごくいいなと……。
長谷川:伴奏やリフはとりの仕事ですけど、フィルやトータルバランスを見てるのは和也君ですね。僕もピアノをやっていたからめっちゃわかるんですけど、鍵盤って弾かなすぎると怖いんですよ。だけど、スタジオで「そんな弾かんでも、ちゃんと音が詰まる」って。和也君は、そういうバランス能力にすごい長けてます。音がわからないから、やりとり自体は「こんな感じ」って適当なんですけど(笑)。
松本:どの楽器にも、わりと口出しはしますね。任せたらあかんっていうわけではないんですけど、いい意味で変にしたいっていうのは常に考えてて。王道に自信を持ってやってるけど、“ベタ”とか“ありきたり”って言われたくないんですよ。
長谷川:昔より曲に対するこだわりも増えたよね。
松本:1小節だったり1音だったりに「それ意味ある?」って考えるようになりました。1個1個にすごい意味を求め始めちゃって、制作期間中のスタジオは8割が会話ですね。「これは意味がない」「これは美しい」ってやっています。
長谷川:半分喧嘩みたいになるときもありますけどね(笑)。本当に楽器を弾かないです。
松本:めちゃくちゃロジカルに話すから、すごい時間がかかる。「これでいいんちゃう?」っていう妥協はないし前作より進化したものを必ずやっているので、後悔はないですけどね。
――王道に意外性を混ぜる、アレンジャーとしての素質にも磨きがかかってますよね。
松本:「ラストダイアリー」なんて、もろそうやんな。けっこうやりたいことをやりまくってるけど、綺麗にまとまりつつ。バンドマン評価がすごい高いですね。プレイヤー目線で「それやっちゃうの?」みたいな。
長谷川:リリース直前まで悩んどったもんな。自分で言い始めたのに、最後には「わっからへんわ、もう!」って(笑)。リリースして他のバンドのかたや関係者のかたから評価されて「よかったんだな」って安心したよね。この曲で一皮むけたって言ってもらえるし。
――『swallowtail』でも、歌詞・曲ともにドラマストアらしさが発揮されてますよね。思い入れが強い曲ってどちらになりますか。
鳥山:僕的には「秘密」ですね。原案を持ってきたのは海君なんですけど、ストリングスや鉄琴を組み立てたものに海君の考えた歌詞やタイトルが乗ったときの達成感が1番ありました。海君が出したものをできるだけいい形にするのが、僕のパートやと思うんで。
長谷川:和也君が僕の肉体を作るトレーナーなら、とりはマネージャーですね。
――髙橋さんはいかがですか。
髙橋:「未来へのブーケトス」ですかね。海君の歌でこういう歌詞ってあまりイメージがなかったので、最初に送られてきた音源を聴いたときにうるっと。
長谷川:よかった! 僕はしいてあげるなら「三文芝居」ですかね。苦しんだっていう意味で、すごく印象深いかな。この曲はとりが音楽を作って持ってきたんですけど、みんなでああでもないこうでもないって。「三文芝居」がアルバムの頭に来る意味とか、リスナーがどう思うかとか歌詞でもすごく悩みました。だから一層、ここまでチャラくてもいいんじゃないかなっていう着地にしましたし。ただ、単純に曲とメロが難しくて(笑)。レコーディングにすごく苦労した覚えがありますね。ブースの向こうにいるとりとエンジニアさんに「まだいけます!」って言われながら……。
――松本さんは、いかがでしょうか。
松本:この曲が突出して、とかってないですね。結局は楽曲たちとツアーを回って、お客さんの反応を見てみないとなんとも言えないというか。もちろん全部自信がありますし、絶対に進化してる音源になっていることは間違いないです。
バイトで得る自分の武器
――ところで、DOMOはアルバイトの求人メディアなのですが、皆さんはいままでアルバイトって、どんなことをやってきましたか。
長谷川:最初にやったバイトなんだった? 僕、サンドウィッチ作ってたわ。
松本:小学生の塾講師かな。国語とか算数とか教えてたんだけど、わからんかったらちょいちょい答えみてやってましたね(笑)。
鳥山:塾の講師を1、2年弱くらい……。
髙橋:僕も塾講師でした。
長谷川:僕も一時期やってた! 耐えられなくなって、2ヶ月くらいでやめたけど(笑)。
鳥山:教え子が自分と同じ大学の同じ学部に入ってきて、いま抜かされそうなんですよ(笑)。
長谷川:だっさー!(笑)。あとは飲食か。楽しいし、ご飯食べれるしな。
松本:ずっと飲食やってたわ。ひとり暮らしには賄い大事。
長谷川:実は飲食業ってバンドに似てると思ってて。アパレルとかって、いかにして購買欲を沸かせるかって接客じゃないですか。でもごはんやバンドって、お腹減ったから来るし音楽聴きたいから来る。それに対して「このメニューめっちゃ美味しいですよね! だったら、これも好きですよ」ってするのが楽しくて。「この曲いいですよね! だったらこの曲も……」ってする感覚に似てるじゃないですか。
――飲食っていろいろありますけど、どんなことをされてたんですか。
長谷川:最初は料理が好きだったんでキッチンだったんですよ。背中に400度のピザ窯を背負ってピザ場1年。そのあと個人経営の居酒屋に移ったんですけど、キャラの良さを認められてキッチンからホールに転向しました。
――他には、どんなことをされましたか。
長谷川:テレアポもやっていました。職場が家から3分の場所だったので、これはやばいと思い家の周辺を走り始めたら3ヶ月で7キロ落ちたんですよ。その直後にインフルエンザにかかってダメ押しの10キロ痩せ。だからテレアポおすすめですね!
松本:ちゃうやろ!(笑)。
長谷川:とりは採点師やってなかったっけ。
鳥山:そうですね。同じ問題を延々と……。昔は紙の問題用紙に丸をつけていく方式だったんですけど、最近はパソコンなんですよ。
あと、結婚式のPAとかしました。「新郎新婦の入場です」って言われたら、パパパパーンって流すやつ。
松本:そういえばコンサートスタッフもやってたわ。ずっと立ってるだけとか座ってるだけなんですけど、絶対にステージを見たらいけないって言われてて。柵の真ん前がステージだったことがあるんですけど、あのときは「どうやっても見えてまうわ!」って思いました(笑)。お弁当も食べれて、めっちゃよかったです。
――何か珍しいアルバイトをしたことはありますか。
松本:スナックで働いたことがありますね。女の人にも来てほしいっていうお店だったので、男の人も接客するんですよ。男性がきたら女の子がついて、女性がついたら男の子がつくみたいな。
長谷川:へー! 僕、1回だけエド・はるみさんの付き人したわ。イベント会社に就職した友達から誘ってもらって。送迎から楽屋案内からスケジュールの打ち合わせ……。エド・はるみさん大好きなんですけど、公私混同したらあかんと思って真面目にやりました。でも、お帰りの際に「グーでした」って伝えて。
松本:音源渡したの?
長谷川:あ、渡してない……。
松本:海君、何してんの!!(笑)。
――なんだかんだみなさん、アルバイトの経験を生活に活かしてる感じがありますよね。
長谷川:だからこそ僕は、自分がアーティスト気質でないといえるんですよ。まだ世間的にはアーティストって専門職のイメージが強くて、お医者さまや土木建築家のかたみたいに突き詰める職業っていう認識が残っている。でも、いろんな人と関わって視野を広げることで、新しい可能性に気づいたり。全然関係ないところで自分は夢の武器を持っていたことに気づいたりするので、そういうきっかけを得られるアルバイトっていいですよね。
――では最後にドーモプラスを見ている読者のみなさんにメッセージをいただけますか。
松本:仕事とかしてても嫌だったらやめて、第二の人生、第三の人生を歩んでもいいんじゃないかなって思います。やめることってすっごく勇気のいることだし。頑張れじゃなくて、そんなに頑張らなくてもよくない? って。
髙橋:学生時代やからこそ、なんとかなるんで。いろんなことにトライしてほしいですね。
鳥山:やりたいことが見つからなくて悩んでいる人ってよくいますけど、なんとなく頑張ってる人もすごいと思うんですよ。それはそれでいいんじゃないかな。
長谷川:小中高って過ごしてきたなかで、圧倒的にキャリアが広がるのが大学。18歳、20歳っていう年齢もそうなんですけど、物理的・精神的・法律的にも世界が広がる年代だと思うので。やりたいことが見つからない人は積極的にいろんなことに手を出して、できるだけ多くの人と出会ってほしいですね。その先に、自分と向き合うきっかけが待ってると思うので。せっかく若いんだから、いまある環境を目一杯に楽しむ努力を。笑顔溢れる学生生活を送ってくれたらいいなと思います。
人は何かやりたいことがあるとき、目的と手段を混ぜて考えがちになってしまいます。手段ばかりに気をとられ、本当にやりたいことを見失ってしまう。そんなことも少なくないのではないでしょうか。
そんななか“流行りに乗る”という手段をとらず王道のポップスで勝負するドラマストアは、芯がある強いバンドのように感じました。みなさんも意志ある正統派ポップスに耳を傾けに、ライブハウスへ足を運んでみてください。
取材・文:坂井彩花
Photo:遥南 碧