
ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載企画「レコメン図」。今回ご登場いただくのは「Vimclip」や「龍雅-Ryoga-」といったダンスボーカルグループでパフォーマーとして活躍し、現在はソロとして俳優活動もされている「三谷 怜央(みたに・れお)」さん。5月30日にはリーダーを務める、新感覚アイドルユニット「Hi!Superb」のデビューシングルも発売になった三谷さんに、前編ではダンスや表現することへの思い、そしてHi!Superbとしての活動についてお話をうかがいました!
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――三谷さんがダンスを始められたのは高校生の頃だそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
中学生の時にストリートダンスに出会ったことですね。もともと、赤ちゃんモデルをしていたこともあって、事務所を転々としながら養成所にも入っていたりしたんですけど、レッスンでジャズダンスを少しだけやったことがあったんです。その時はそこまで熱心ではなかったんですが、ダンスへの抵抗感みたいなものがなくなったのは、このお陰かなと。ストリートダンスに出会ってからは急激にダンスが好きになって、ダンススクールに通いながら、駅前で練習しているダンスサークルみたいな人たちにも混ざって教えてもらっていました。
そこから高校生になって部活に入ることを考えた時に、入りたい部活がなかったんです。中学校ではずっとバスケをやっていて、全国大会にも出場するくらいの強いチームだったんですけど、進学でそれがバラバラになってしまったので「またバスケ部に入ろう」という気持ちになれなくて。
「このぽっかり空いた穴をどうしようかな」と思った時に浮かんだのが、ダンスだったんですよね。「とりあえず、ダンスでこの辺で一番有名になろう」と思って、ダンス同好会を作るところから始めました。僕の通っていた高校にはダンス部がなかったので、仲が良い友達5人くらいに声をかけて、先生にお願いをして。活動するうちに部員もバーっと増えて、男女合わせて30〜40人くらいになりました。
――同好会スタートから、一気に大所帯に……。三谷さんはきっと仲間を集めるのが上手なんですね。
そういうのが好きなんです。どうせやるなら気の合う人とやりたいじゃないですか。だから、ただ運動神経がいいんじゃなく、長く付き合っていけそうな相手に声をかけるようにしてました。小学生でバスケを始めた時にも、最初はいっしょの入部者ゼロのところから、友達を誘って10人くらいで入って。結果として小学校の地区大会で優勝した経験があったので、ダンスをやる時にも「まずメンバー集めから始めなあかんな」と。
――リーダーの素質がその頃からあったんですね。
と言っても、僕の隣にマツコ・デラックスさんばりに賢い男子がいて、その人がみんなを引っ張ってくれていたんで、かなり助けられました。ダンスについては素人レベルの人が集まっていて、教えられそうな人といえば、ちょっとかじっている僕だけ。だから、その時に自分が習っていたブレイクダンスとかを全員に教えて、コンクリートの上で傷だらけになりながらやってましたね。釘が刺さったこともあったり(笑)。
今でも、同好会の時からのメンバーは5人中4人がプロとしてダンスを続けてるんですよ。全国大会のコンテストで特別賞をいただいたことが、今の自分に繋がっている部分もありますし。振り返ってみると、すごくいい時間が過ごせたなと思います。
――これまでさまざまなジャンルのダンスを経験されているかと思いますが、三谷さんが感じるダンスの魅力とはどんなものですか?
入り口はブレイクダンスだったんですが、自分なりに好きなジャンルを見つけたくて、今ほど盛り上がる前のYouTubeで外国人アーティストの動画を探していたんです。その時に見つけた僕の大好きなグループが「B2K」という黒人の方4人組なんですけど、当時まだR&Bっていうジャンルすら知らなかった自分から見てもカッコいいと感じるくらい、すっごく上手くて。
いかにも「踊ってます」っていう大げさな振り付けじゃないのに、指の動きひとつひとつをとっても音に合っていて、“踊ってる”んですよ。「仕草で魅せるセクシーさやオシャレさってあるんだ!」と思って、ダンスの魅力を改めて感じたし、自分もこんなふうに踊りたいなと。そこからは関連する動画やDVDを手当たり次第に見て、それをコピーしながら毎日練習していました。
――そこがルーツになったんですね。では、ご自身のダンスを通して表現したいのはどんなことですか?
リズミカルに動くのも得意ではありますし、それはそれで良いなと思うところがあるんですが、やっぱりR&Bの動きが好きです。メッセージやリリックに合わせた意味のある動きに惹かれるので、自分で振付をしたりする時には“言葉がなくても、身体だけで歌っているような表現ができる動き”を意識しながら作っています。
最初に通ったダンススクールで教わっていた師匠の言葉に「指の第一関節までオーラがにじみ出るように踊れ」というものがあって、もう15年くらい前になりますけど今でも覚えてますね。例えば“止まる”という動作でも、急ブレーキをかけるようにグッと止まるより、減速するようにゆっくりシュッと止まったほうが、より“止まる”ことが際立つ。ひとつの動作にもいろんなパターンがあるし、そういう部分について考えるのもとても楽しいので、それが生かせるR&Bというジャンルにウエイトを置きたいなという気持ちはありますね。
――ダンスは詳しくなくて恐縮なんですが、今の“止まる”のお話、とても分かりやすいです。
ほかにも、振付の中でタバコを吸う仕草をしてみたり、悲しみを表現する時に悲しげな表情もしてみたり……(イスに座ったまま、上半身の動きだけで次々と表現してみせる)。こういうのを取り入れていくと、演者としてもより気持ちが入るし、見ている側も感情移入しやすくなりますよね。
――これまでにVimclip(※1)、龍雅-Ryoga-(※2)でのパフォーマーを務められてきていますが、その中でそれぞれ心境の変化はありましたか?
(※1 2011年にデビューしたダンスボーカルユニット。2015年に解散)
(※2 2015年に結成、2016年にデビューしたダンスボーカルユニット。2017年末を持って活動休止)
Vimclipの時には僕自身がまだまだ子どもだったんですが、自分の意識がダンサーからパフォーマーに変わったなと感じた瞬間があったんです。ダンサーは自分のダンスのカッコよさを追求していく面が強いと思うんですけど。パフォーマーはどうかと言うと、ステージの雰囲気や楽曲の見せ場であったりを、お客さんにきちんと伝わるよう、ボーカルと意思疎通しながらクリエイトしていかないとならないので。
ダンサーは自分のステージの主人公だけど、パフォーマーの場合はグループの主人公はボーカルなんです。でも、バックダンサーになってもダメで、ボーカルと同じラインに並び立ち、自分の存在意義を示さないとならない。そういう部分で、Vimclipの時には考える時間がかなり多かったですね。グループ内での仲は良かったですけど、ボーカルより目立ちたい、自分のことを覚えてもらいたいっていう思いも強かったですし。
――では、龍雅-Ryoga-ではどうでしたか?
龍雅-Ryoga-では、僕自身がリーダーとしてやらせてもらって。グループは変わっても、意識の上で常に“三谷怜央”としてステージに立っていたので、その面ではあまり心境の変化的なものは感じなかったです。グループとしての知名度を上げたい、そして僕のことも知ってほしいという気持ちも地続きであって、「自分自身で覚えてもらうきっかけを作らなきゃ」って考えてましたね。
ミュージックビデオでもパフォーマーは動きが全てなので、どんなにこだわって練習した部分も、カットされてしまったら何も形に残らない。その葛藤や切なさを抱える中で「自分だけが映っているミュージックビデオがあったらいいのに」みたいな、自分のやったことが残るような活動がしたいという気持ちは、以前から薄々あったなと思います。でも、そのためにはもっとさまざまな経験を積まないと。ダンスだけじゃなくて、お芝居の要素も必要になってくるので、Vimclipの頃から舞台に挑戦させてもらったりもしていますし。
――では、所属しているグループが変わっても、意識としてはずっと“表現者・三谷怜央”という感じなんですね。
そうかもしれないです。いつでも「グループで頂点取りたい」というのは当たり前にあるんですけど。その前提として、自分が表現者としてまっすぐ一生懸命にやっていたら、見てくれる人はいると思うので。ソロになっても、そこはずっと変わらないですね。経験を積んだことで、自分の立ち居振る舞いこそ変わりましたけど、21歳の頃から「こういうことがしたい」と描いていたものを、今やっとクリエイトできるようになってきたなと感じてます。
――ちなみに、21歳の頃から描いて追いかけていたものとは、言葉にするなら何ですか?
うーん……めっちゃ単純に言ったら「幸せ」ですね。僕にとっては、音楽に触れていることが一番の幸せ。音楽なくしては生きていけないので、おじいちゃんになって身体が動かなくなっても、僕はずっと音楽を聴いてると思います。音楽があったから、ダンスにもB2Kにも出会えたし、俳優業にもチャレンジしてみようと思えたし。僕のエンジンは音楽なんです。幸せをたくさんもらったので、これから還元できたらいいなと思いますね。
――6月15日に開催されるライブイベント「Harmonixx -zero-」では、三谷さんと、同じ事務所の岸本勇太さんがそれぞれソロ楽曲も披露されるということですが、それに向けての手応えはいかがですか?
その一日で、自分が持ってるものは全て出そうと思っています。僕も勇太も現在ソロ活動をしているんですが、音源などまだ形になるものとしては出していないので、初披露となる曲をみなさんがどう受け止めてくれるかが楽しみですね。そして、勇太らしさ、僕らしさをしっかり印象付けられるようなライブにしたいなと。楽曲については今のところ音源化の予定は決まっていないので、この日にしか聴けないものに期待を寄せていただけたらと思いますし、それを裏切らないようにしっかり臨みたいと思います。
――楽曲制作には、作詞などで関わられたりもしているんですか?
曲については、ディレクターの方にディレクションしていただいているんですが、5曲くらい作ったうちの1曲は、まるごと僕の書いた歌詞を採用してもらってます。この曲はまだInstagramにも載せていないので、完全に初出しで。トラックをいただいた時に「こういう詞を書きたい」というのがすぐに浮かんだので、翌日にはできた詞を送って、すぐにレコーディングしたら「いいね」って。浮かんだら早いんですよ。
歌に関してはまだまだ勉強しなきゃいけないですが、リズム感があるほうだと思うし、僕にしか表現できないことは必ずあるはずなので、これまで培ってきたものを信じて魅せよう、聴かせようって考えています。僕には僕の歩んできた道、そしてだからこそ出てくるワードがあると思うので、それを曲に落とし込んで聴き手に何かを届けられたらいいなと。昔から自分の人生を楽曲に描くってすてきだなと思っていたので、それが今できていることに喜びを感じてますね。
――今年3月にHi!Superb(※3)のデビューが発表され、その活動も並行してされているかと思うのですが、三谷さんの中でのHi!SuperbやLEOさんの位置付けは、どんな感じなのか気になるのですが。
(※3 ハイシュパーブ、通称ハイシュパ。キャラクターとACTORのシンクロ率100%の新感覚アイドルユニット。メンバーはLEO(Actor:三谷怜央)、RYO(Actor:滝澤諒)、OMI(Acotor:大海将一郎)、MAGURA(Actor:助川真蔵)、SION(Actor:吉高志音)の5人組)
ハイシュパは、くくりとしてはVimclipや龍雅-Ryoga-と同じダンスボーカルグループなんですけど、ちがうところは、僕らが担当しているのは彼らのCV(=キャラクターボイス)で、あくまで主人公は彼らなんです。感覚としてはLEOと三谷怜央はチームで、彼は彼で僕をいろんなところに連れて行ってくれるし、僕は僕で彼をバックアップしながらキャラクターとして成長させるというか。持ちつ持たれつだなと感じてます。
今、二次元とか2.5次元とかよく言いますよね。ハイシュパはそこの境目がないので、テレビの中、マンガの中、そしてリアルの世界と“どこにでも行ける”のがポイントだと思います。だから、僕の中で勝手にですけど「全次元を制覇してやろう」って(笑)。
――まさに超次元アイドル……新しいですよね、形として。
“シンクロ率100%”ですからね。僕もマンガを読んだりしながら「『NARUTO』の世界入りたいな」とか思ってたことがあったんですけど、何だかそれを実現できたような感覚です。
――“シンクロ率100%”については、LEOさんはどれくらい三谷さんなんですか?
ほぼ僕ですね。僕のしゃべり方や性格、血液型なんかも全部、LEOくんに反映されているので。ライブなどでの自己紹介の時にも、最初の頃は「どうしようか?」となったんですけど、初めの自己紹介あたりだけはキャラっぽくして、フリートークの時は普通に自分自身として話すというのが最近は定番化されつつあります。CV担当としてはキャラっぽさを匂わせたい気もするんですけど、それだと“シンクロ率100%”の部分が危うくなるので、さじ加減が難しいんですけど。とにかく今は次元の壁を壊していこうと。
――メンバーには「B-PROJECT on STAGE『OVER the WAVE!』」で共演されていた滝澤さんと大海さんもいらっしゃいますが、そこはいかがですか?
抜群にやりやすいですね(笑)。舞台稽古があると毎日家族よりも顔を合わせるし、しかも初演、再演とあったので、いっしょにいること自体に慣れちゃってます。共に目標に向かって進む仲間としても頼もしいですし、真蔵も志音もみんな、信頼できるメンバーだなって。
――みなさんチームワークよくやれているんですね。
そう思いたいです。最年長の僕からするとけっこう年が離れてるので、ジェネレーションギャップなんて、もう次のジェネレーションに行っちゃってるんじゃないかと思いますけど(笑)。年少組の性格がすごく大人なので、それに助けられてます。むしろ、自分が一番年下なんじゃないかと時々感じるほどに。僕、“頑固な大人”みたいなのが小さい頃から好きじゃなかったので、「子ども心を忘れない」っていう気持ちで常に臨むようにしてますね。
――では5月30日にリリースとなるデビューシングル『Turn Into Love』についてもうかがいたいのですが、この見どころや聴きどころは?
表題曲「Turn Into Love」は“魅せる曲”だなと思います。ここからHi!Superbがスタートするという大切な名刺がわりの曲だし、きっと僕たちをいろんなところに連れて行ってくれる曲になるだろうし。この曲の仮歌をいただいた時に「あ、キたな」って思って、ほかのメンバーの感想を聞いたら、みんなも「すごくいい」と。それで初めの一歩を5人揃っていっせーので踏めるなって感じたので、リリース前ながらすでに思い入れのある曲になってます。
ダンスについても完全に踊りまくる曲になっているので、カッコよさやセクシーさを感じてもらえると思いますし、ミュージックビデオではちらっと映る笑顔っていうかわいい要素もあるので、Hi!Superbらしさが詰まっているという意味でも、1曲目にふさわしい楽曲なんじゃないかなと。
――ライブやリリースイベントでもすでに披露されていますが、反響はいかがでした?
「Turn Into Love」はライブの一番最初にぴったりの曲だと感じましたね。LEOくんが召喚されて僕に降りてくるというか、全員がHi!Superbになるスイッチが入る曲なんです。圧倒的に“魅せる”曲なので、みなさんペンライトの振りどころは戸惑うみたいですけど(笑)。
――ステージに見入ってしまって、振るタイミングを逃すってありますよね。
初披露になった東京ドームシティホールのライブでは、初ステージ、しかもまだデビュー前なのに、ライブ中に特効(=特殊効果)を使ってもらえるということになって。パシャッ!てなるくらいの感じかなと思っていたら、サビのところでステージ後方から火が上がって、花火っぽいのがドーーーン!!って(笑)。地面がドドンって響くくらいの規模で、あれは僕の人生でも初でした。リハではメンバー揃って「いつくるか、いつくるか……」ってドキドキしてましたし、本番でもお客さんみんなが「えっ! 何ごと!?」ってなってて。あれはもう、スタジアムレベルのドーン!でしたね。本当、ド派手なお披露目になりました(笑)。
ダンスでは「R&Bのメッセージやリリックに合わせた意味のある動きに惹かれる」という三谷さん。仕草での表現の下りでは、実際に目の前で披露される僅かな動きから、意図が明確に伝わってきて舌を巻きました。Hi!SuperbのLEOとしての活躍も要チェックですね。後編ではお芝居についてや、「B-PROJECT on STAGE『OVER the WAVE!』」阿修悠太役の役作りなどについてのお話もうかがっていますのでお楽しみに♪
取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
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ストリートダンスとの出会いからダンスの道へ
――三谷さんがダンスを始められたのは高校生の頃だそうですが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
中学生の時にストリートダンスに出会ったことですね。もともと、赤ちゃんモデルをしていたこともあって、事務所を転々としながら養成所にも入っていたりしたんですけど、レッスンでジャズダンスを少しだけやったことがあったんです。その時はそこまで熱心ではなかったんですが、ダンスへの抵抗感みたいなものがなくなったのは、このお陰かなと。ストリートダンスに出会ってからは急激にダンスが好きになって、ダンススクールに通いながら、駅前で練習しているダンスサークルみたいな人たちにも混ざって教えてもらっていました。
そこから高校生になって部活に入ることを考えた時に、入りたい部活がなかったんです。中学校ではずっとバスケをやっていて、全国大会にも出場するくらいの強いチームだったんですけど、進学でそれがバラバラになってしまったので「またバスケ部に入ろう」という気持ちになれなくて。
「このぽっかり空いた穴をどうしようかな」と思った時に浮かんだのが、ダンスだったんですよね。「とりあえず、ダンスでこの辺で一番有名になろう」と思って、ダンス同好会を作るところから始めました。僕の通っていた高校にはダンス部がなかったので、仲が良い友達5人くらいに声をかけて、先生にお願いをして。活動するうちに部員もバーっと増えて、男女合わせて30〜40人くらいになりました。
――同好会スタートから、一気に大所帯に……。三谷さんはきっと仲間を集めるのが上手なんですね。
そういうのが好きなんです。どうせやるなら気の合う人とやりたいじゃないですか。だから、ただ運動神経がいいんじゃなく、長く付き合っていけそうな相手に声をかけるようにしてました。小学生でバスケを始めた時にも、最初はいっしょの入部者ゼロのところから、友達を誘って10人くらいで入って。結果として小学校の地区大会で優勝した経験があったので、ダンスをやる時にも「まずメンバー集めから始めなあかんな」と。
――リーダーの素質がその頃からあったんですね。
と言っても、僕の隣にマツコ・デラックスさんばりに賢い男子がいて、その人がみんなを引っ張ってくれていたんで、かなり助けられました。ダンスについては素人レベルの人が集まっていて、教えられそうな人といえば、ちょっとかじっている僕だけ。だから、その時に自分が習っていたブレイクダンスとかを全員に教えて、コンクリートの上で傷だらけになりながらやってましたね。釘が刺さったこともあったり(笑)。
今でも、同好会の時からのメンバーは5人中4人がプロとしてダンスを続けてるんですよ。全国大会のコンテストで特別賞をいただいたことが、今の自分に繋がっている部分もありますし。振り返ってみると、すごくいい時間が過ごせたなと思います。
言葉がなくとも「歌っているようなダンス」をしたい
――これまでさまざまなジャンルのダンスを経験されているかと思いますが、三谷さんが感じるダンスの魅力とはどんなものですか?
入り口はブレイクダンスだったんですが、自分なりに好きなジャンルを見つけたくて、今ほど盛り上がる前のYouTubeで外国人アーティストの動画を探していたんです。その時に見つけた僕の大好きなグループが「B2K」という黒人の方4人組なんですけど、当時まだR&Bっていうジャンルすら知らなかった自分から見てもカッコいいと感じるくらい、すっごく上手くて。
いかにも「踊ってます」っていう大げさな振り付けじゃないのに、指の動きひとつひとつをとっても音に合っていて、“踊ってる”んですよ。「仕草で魅せるセクシーさやオシャレさってあるんだ!」と思って、ダンスの魅力を改めて感じたし、自分もこんなふうに踊りたいなと。そこからは関連する動画やDVDを手当たり次第に見て、それをコピーしながら毎日練習していました。
――そこがルーツになったんですね。では、ご自身のダンスを通して表現したいのはどんなことですか?
リズミカルに動くのも得意ではありますし、それはそれで良いなと思うところがあるんですが、やっぱりR&Bの動きが好きです。メッセージやリリックに合わせた意味のある動きに惹かれるので、自分で振付をしたりする時には“言葉がなくても、身体だけで歌っているような表現ができる動き”を意識しながら作っています。
最初に通ったダンススクールで教わっていた師匠の言葉に「指の第一関節までオーラがにじみ出るように踊れ」というものがあって、もう15年くらい前になりますけど今でも覚えてますね。例えば“止まる”という動作でも、急ブレーキをかけるようにグッと止まるより、減速するようにゆっくりシュッと止まったほうが、より“止まる”ことが際立つ。ひとつの動作にもいろんなパターンがあるし、そういう部分について考えるのもとても楽しいので、それが生かせるR&Bというジャンルにウエイトを置きたいなという気持ちはありますね。
――ダンスは詳しくなくて恐縮なんですが、今の“止まる”のお話、とても分かりやすいです。
ほかにも、振付の中でタバコを吸う仕草をしてみたり、悲しみを表現する時に悲しげな表情もしてみたり……(イスに座ったまま、上半身の動きだけで次々と表現してみせる)。こういうのを取り入れていくと、演者としてもより気持ちが入るし、見ている側も感情移入しやすくなりますよね。
「まずひとりの表現者として」どこにあっても揺るがぬ思い
――これまでにVimclip(※1)、龍雅-Ryoga-(※2)でのパフォーマーを務められてきていますが、その中でそれぞれ心境の変化はありましたか?
(※1 2011年にデビューしたダンスボーカルユニット。2015年に解散)
(※2 2015年に結成、2016年にデビューしたダンスボーカルユニット。2017年末を持って活動休止)
Vimclipの時には僕自身がまだまだ子どもだったんですが、自分の意識がダンサーからパフォーマーに変わったなと感じた瞬間があったんです。ダンサーは自分のダンスのカッコよさを追求していく面が強いと思うんですけど。パフォーマーはどうかと言うと、ステージの雰囲気や楽曲の見せ場であったりを、お客さんにきちんと伝わるよう、ボーカルと意思疎通しながらクリエイトしていかないとならないので。
ダンサーは自分のステージの主人公だけど、パフォーマーの場合はグループの主人公はボーカルなんです。でも、バックダンサーになってもダメで、ボーカルと同じラインに並び立ち、自分の存在意義を示さないとならない。そういう部分で、Vimclipの時には考える時間がかなり多かったですね。グループ内での仲は良かったですけど、ボーカルより目立ちたい、自分のことを覚えてもらいたいっていう思いも強かったですし。
――では、龍雅-Ryoga-ではどうでしたか?
龍雅-Ryoga-では、僕自身がリーダーとしてやらせてもらって。グループは変わっても、意識の上で常に“三谷怜央”としてステージに立っていたので、その面ではあまり心境の変化的なものは感じなかったです。グループとしての知名度を上げたい、そして僕のことも知ってほしいという気持ちも地続きであって、「自分自身で覚えてもらうきっかけを作らなきゃ」って考えてましたね。
ミュージックビデオでもパフォーマーは動きが全てなので、どんなにこだわって練習した部分も、カットされてしまったら何も形に残らない。その葛藤や切なさを抱える中で「自分だけが映っているミュージックビデオがあったらいいのに」みたいな、自分のやったことが残るような活動がしたいという気持ちは、以前から薄々あったなと思います。でも、そのためにはもっとさまざまな経験を積まないと。ダンスだけじゃなくて、お芝居の要素も必要になってくるので、Vimclipの頃から舞台に挑戦させてもらったりもしていますし。
――では、所属しているグループが変わっても、意識としてはずっと“表現者・三谷怜央”という感じなんですね。
そうかもしれないです。いつでも「グループで頂点取りたい」というのは当たり前にあるんですけど。その前提として、自分が表現者としてまっすぐ一生懸命にやっていたら、見てくれる人はいると思うので。ソロになっても、そこはずっと変わらないですね。経験を積んだことで、自分の立ち居振る舞いこそ変わりましたけど、21歳の頃から「こういうことがしたい」と描いていたものを、今やっとクリエイトできるようになってきたなと感じてます。
――ちなみに、21歳の頃から描いて追いかけていたものとは、言葉にするなら何ですか?
うーん……めっちゃ単純に言ったら「幸せ」ですね。僕にとっては、音楽に触れていることが一番の幸せ。音楽なくしては生きていけないので、おじいちゃんになって身体が動かなくなっても、僕はずっと音楽を聴いてると思います。音楽があったから、ダンスにもB2Kにも出会えたし、俳優業にもチャレンジしてみようと思えたし。僕のエンジンは音楽なんです。幸せをたくさんもらったので、これから還元できたらいいなと思いますね。
自分にしか表現できないもの、それを聴き手に届けたい
――6月15日に開催されるライブイベント「Harmonixx -zero-」では、三谷さんと、同じ事務所の岸本勇太さんがそれぞれソロ楽曲も披露されるということですが、それに向けての手応えはいかがですか?
その一日で、自分が持ってるものは全て出そうと思っています。僕も勇太も現在ソロ活動をしているんですが、音源などまだ形になるものとしては出していないので、初披露となる曲をみなさんがどう受け止めてくれるかが楽しみですね。そして、勇太らしさ、僕らしさをしっかり印象付けられるようなライブにしたいなと。楽曲については今のところ音源化の予定は決まっていないので、この日にしか聴けないものに期待を寄せていただけたらと思いますし、それを裏切らないようにしっかり臨みたいと思います。
――楽曲制作には、作詞などで関わられたりもしているんですか?
曲については、ディレクターの方にディレクションしていただいているんですが、5曲くらい作ったうちの1曲は、まるごと僕の書いた歌詞を採用してもらってます。この曲はまだInstagramにも載せていないので、完全に初出しで。トラックをいただいた時に「こういう詞を書きたい」というのがすぐに浮かんだので、翌日にはできた詞を送って、すぐにレコーディングしたら「いいね」って。浮かんだら早いんですよ。
歌に関してはまだまだ勉強しなきゃいけないですが、リズム感があるほうだと思うし、僕にしか表現できないことは必ずあるはずなので、これまで培ってきたものを信じて魅せよう、聴かせようって考えています。僕には僕の歩んできた道、そしてだからこそ出てくるワードがあると思うので、それを曲に落とし込んで聴き手に何かを届けられたらいいなと。昔から自分の人生を楽曲に描くってすてきだなと思っていたので、それが今できていることに喜びを感じてますね。
シンクロ率100%のHi!Superbが「次元の壁を壊していく」
――今年3月にHi!Superb(※3)のデビューが発表され、その活動も並行してされているかと思うのですが、三谷さんの中でのHi!SuperbやLEOさんの位置付けは、どんな感じなのか気になるのですが。
(※3 ハイシュパーブ、通称ハイシュパ。キャラクターとACTORのシンクロ率100%の新感覚アイドルユニット。メンバーはLEO(Actor:三谷怜央)、RYO(Actor:滝澤諒)、OMI(Acotor:大海将一郎)、MAGURA(Actor:助川真蔵)、SION(Actor:吉高志音)の5人組)
ハイシュパは、くくりとしてはVimclipや龍雅-Ryoga-と同じダンスボーカルグループなんですけど、ちがうところは、僕らが担当しているのは彼らのCV(=キャラクターボイス)で、あくまで主人公は彼らなんです。感覚としてはLEOと三谷怜央はチームで、彼は彼で僕をいろんなところに連れて行ってくれるし、僕は僕で彼をバックアップしながらキャラクターとして成長させるというか。持ちつ持たれつだなと感じてます。
今、二次元とか2.5次元とかよく言いますよね。ハイシュパはそこの境目がないので、テレビの中、マンガの中、そしてリアルの世界と“どこにでも行ける”のがポイントだと思います。だから、僕の中で勝手にですけど「全次元を制覇してやろう」って(笑)。
――まさに超次元アイドル……新しいですよね、形として。
“シンクロ率100%”ですからね。僕もマンガを読んだりしながら「『NARUTO』の世界入りたいな」とか思ってたことがあったんですけど、何だかそれを実現できたような感覚です。
――“シンクロ率100%”については、LEOさんはどれくらい三谷さんなんですか?
ほぼ僕ですね。僕のしゃべり方や性格、血液型なんかも全部、LEOくんに反映されているので。ライブなどでの自己紹介の時にも、最初の頃は「どうしようか?」となったんですけど、初めの自己紹介あたりだけはキャラっぽくして、フリートークの時は普通に自分自身として話すというのが最近は定番化されつつあります。CV担当としてはキャラっぽさを匂わせたい気もするんですけど、それだと“シンクロ率100%”の部分が危うくなるので、さじ加減が難しいんですけど。とにかく今は次元の壁を壊していこうと。
――メンバーには「B-PROJECT on STAGE『OVER the WAVE!』」で共演されていた滝澤さんと大海さんもいらっしゃいますが、そこはいかがですか?
抜群にやりやすいですね(笑)。舞台稽古があると毎日家族よりも顔を合わせるし、しかも初演、再演とあったので、いっしょにいること自体に慣れちゃってます。共に目標に向かって進む仲間としても頼もしいですし、真蔵も志音もみんな、信頼できるメンバーだなって。
――みなさんチームワークよくやれているんですね。
そう思いたいです。最年長の僕からするとけっこう年が離れてるので、ジェネレーションギャップなんて、もう次のジェネレーションに行っちゃってるんじゃないかと思いますけど(笑)。年少組の性格がすごく大人なので、それに助けられてます。むしろ、自分が一番年下なんじゃないかと時々感じるほどに。僕、“頑固な大人”みたいなのが小さい頃から好きじゃなかったので、「子ども心を忘れない」っていう気持ちで常に臨むようにしてますね。
新たな世界に踏み出す一歩「Turn Into Love」
――では5月30日にリリースとなるデビューシングル『Turn Into Love』についてもうかがいたいのですが、この見どころや聴きどころは?
表題曲「Turn Into Love」は“魅せる曲”だなと思います。ここからHi!Superbがスタートするという大切な名刺がわりの曲だし、きっと僕たちをいろんなところに連れて行ってくれる曲になるだろうし。この曲の仮歌をいただいた時に「あ、キたな」って思って、ほかのメンバーの感想を聞いたら、みんなも「すごくいい」と。それで初めの一歩を5人揃っていっせーので踏めるなって感じたので、リリース前ながらすでに思い入れのある曲になってます。
ダンスについても完全に踊りまくる曲になっているので、カッコよさやセクシーさを感じてもらえると思いますし、ミュージックビデオではちらっと映る笑顔っていうかわいい要素もあるので、Hi!Superbらしさが詰まっているという意味でも、1曲目にふさわしい楽曲なんじゃないかなと。
――ライブやリリースイベントでもすでに披露されていますが、反響はいかがでした?
「Turn Into Love」はライブの一番最初にぴったりの曲だと感じましたね。LEOくんが召喚されて僕に降りてくるというか、全員がHi!Superbになるスイッチが入る曲なんです。圧倒的に“魅せる”曲なので、みなさんペンライトの振りどころは戸惑うみたいですけど(笑)。
――ステージに見入ってしまって、振るタイミングを逃すってありますよね。
初披露になった東京ドームシティホールのライブでは、初ステージ、しかもまだデビュー前なのに、ライブ中に特効(=特殊効果)を使ってもらえるということになって。パシャッ!てなるくらいの感じかなと思っていたら、サビのところでステージ後方から火が上がって、花火っぽいのがドーーーン!!って(笑)。地面がドドンって響くくらいの規模で、あれは僕の人生でも初でした。リハではメンバー揃って「いつくるか、いつくるか……」ってドキドキしてましたし、本番でもお客さんみんなが「えっ! 何ごと!?」ってなってて。あれはもう、スタジアムレベルのドーン!でしたね。本当、ド派手なお披露目になりました(笑)。
ダンスでは「R&Bのメッセージやリリックに合わせた意味のある動きに惹かれる」という三谷さん。仕草での表現の下りでは、実際に目の前で披露される僅かな動きから、意図が明確に伝わってきて舌を巻きました。Hi!SuperbのLEOとしての活躍も要チェックですね。後編ではお芝居についてや、「B-PROJECT on STAGE『OVER the WAVE!』」阿修悠太役の役作りなどについてのお話もうかがっていますのでお楽しみに♪
取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)
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