ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載企画「レコメン図」。第14回にご登場いただくのは、新生代BOYSグループ「XOX(キスハグキス)」のメンバーとして活躍するかたわら、「B-PROJECT on STAGE 『OVER the WAVE!』」や「舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り」などに出演し、俳優としても注目を集める「木津 つばさ(きづ・つばさ)」さん。
「大正浪漫探偵譚−六つのマリア像−」「ダンガンロンパ3 THE STAGE 2018 〜The End of 希望ヶ峰学園〜」と、新たな出演予定も続々と決まっている木津さんに、前編ではこのお仕事を始めたきっかけや、メンバーへの思い、演技する上で心がけていることなどについてお話をうかがいました!
人生を変えたキーパーソンとは?
――まずは、現在のお仕事を始めたきっかけについてうかがいたいのですが、WEGOとSony Musicによる「BOYSグランプリ2014」、こちらのオーディションに応募しようと思ったのはどういう気持ちからだったのでしょうか?
懐かしいですね。広島にいるときにSony Musicさんに「こういうオーディションがあるので、受けませんか?」って声をかけてもらったんです。もちろん、受かるか受からないかは、その時点では分からない状態で。
それで「受けてみようかな」と思ったんですけど、「一人で東京に行くなんて、大変でしょ」って初めは両親からけっこう反対されていたんです。そうしているうちに、応募期限が過ぎてしまって。「あぁ、忘れてた……しょうがないか」って思ってたら、親友が勝手に応募してたんですよ(笑)。恥ずかしかったので「やめろよ」みたいに言ったりもしましたけど、何だかんだ、そいつのおかげで今の僕があるというか。
――いいご友人ですね。以前はこのお話はないしょだったんですか?
僕がやらせてもらっているラジオ番組で「もう解禁してもいいんじゃない?」となりまして。でもまぁ、受かる受からないは本当に分からなかったんで、何もできていなかったら受かっていないでしょうし。運があったんだなぁと思います。
――当時は高校生だったんですよね?
広島にいる普通の高校生でした。だから、最初にSony Musicさんに声をかけてもらった時はびっくりしましたし、相手の人のことも「あやしい」としか思わなかったですね。
友達といた時に声をかけられて、名刺をもらったんですけど「ウソつけ、そんなことないだろ!」「そんなに簡単に人を信じちゃいけない!」と。若さゆえの大人への不信感だったんでしょうね(笑)。今となってはもう感謝しかないです。
――ちなみに、オーディションに申し込みをしてくれていたご親友とは、今でも連絡をとったりされているんですか?
連絡とってますね! 地元の友達なんですけど、年末年始に広島に帰った時にも会って、いっしょに初詣やスキーに行ったんですよ。ずっと前からの幼なじみだし、彼は僕の人生のキーパーソンだと思ってます。「離れてても応援してる」って言ってくれてるので、心強いし、支えられてるなって感じますね。
今を支える高校時代の夢
――そして無事にオーディションを通過し、「XOX」のメンバーとして活動を始められたわけですが、ダンスや歌はそれまでにも経験があったのでしょうか?
いやいや、ないですないです。でも、もともと夢があって、その夢を追いかけてる時に少しだけ演技や歌の勉強をさせてもらってたので、全くやったことがないって言ったらウソになるんですけど。……これ、今まであんまり言ってないんですが、声優になりたかったんですよ。
――そうだったんですね!
声優になりたくて、高校に行きながら声優の専門学校にも通わせてもらってて。そこのレッスンにダンスや歌、お芝居もあったんですよね。でも、そういう勉強を始めたのも高校生の時からだったし、経験も全然積んでなかったので、緊張しまくりでした。
――意外なお話が聞けました。アニメもよくご覧になっていたんですか?
僕、アニメ大好きなんですよ。自分が落ち込んでた時に元気にしてくれたのも、友達の存在と、アニメだったんです。そうやってアニメに助けられてたので「自分も誰かを助けたいな」っていう思いもあって、声優が夢になった部分もあるんですよね。声優のお仕事はまだしたことないんですけど、ぜひやってみたいです。勉強したことも生かせたらいいなって思いますし。
XOXのステージはホームのような場所
――それでは話を戻しまして、XOXのツアーやリリースイベントでいろんな場所を巡られていましたが、思い出深いエピソードがあったら聞かせてください。
思い出深いエピソードかぁ……。この記事が出る頃には、メンバーの1人であるとまんが脱退してるんですけど、彼との思い出がすごくあるんですよね。
この前のツアーがいっしょに回れる最後のツアーだって、自分たちは事前に知ってたんです。ファンの方には知らせないままやっていたので、もしかしたらいつもと変わらないライブに見えていたかもしれないけど、僕たちにしたら余計に心にくるというか、感極まるものがあって、思い入れのあるツアーになりましたね。
――とまんさんの卒業ライブが来週あるんですよね?(※取材は1月上旬に行いました)
そうなんですよね。いっしょにライブをするのはもうそれが最後なので淋しいですけど、それぞれの道、それぞれの物語なので、この先とまんさんが自分自身で活動することに意味を見つけられたらいいなって思います。僕たちはその手助けをするためにも、ちゃんと明るく送り出してあげたいですね。
――いいライブになるようお祈りしてます。ツアーやリリースイベントでパフォーマンスをしたりしている時に、嬉しくなる瞬間ってあると思うのですが、それはどんな時ですか?
やっぱりファンの方たちが笑顔になってる時ですかね。メンバー同士でお互いの顔を見合ったりもするんですけど、それで目が合った時にも嬉しくなったりしますね。
それが普段は目が合わないタイミングだったりするとさらに「今、通じ合ってるな」って感じます。メンバーも汗だくでいい顔してて、ファンの方たちも盛り上がってくれて……そういうのが感じられるとすごく嬉しい気持ちになりますね。
――今度、木津さんのバースデー・イベントもあるそうですね。
どうなるのか僕にも未知数なんですけど、めちゃめちゃ楽しみです。ファンの方たちに会うのも久しぶりなので、ちょっと緊張しちゃう(笑)。僕たちがこうやって活動できてるのもファンのみなさんのお陰なので、ありがとうっていう気持ちをちゃんと伝えられればいいなって思います。
――昨年は木津さん個人での活動も多かったかと思いますが、XOXのステージでファンの方たちに迎えられると「戻ってきたな」って感覚になったりします?
お家に帰った時の感覚というか「いつもの場所だ」っていう気持ちはありますね。地方にもたくさん行かせてもらっていて、それぞれの土地にそれぞれのファンの方たちがいるんで、みなさんの顔を見ていると安心します。
舞台に立っている時には客席が遠いですし、芝居をしているので“ちゃんと(ストーリーを)お客さんに届ける”っていう気持ちの上でもお客さんのほうはあまり見ないようにしてるんです。だから、しっかり顔を見られるライブやイベントでは「帰ってきたな」っていうホーム感がすごくありますね。
木津つばさ、メンバー愛を大いに語る
――それでは、先日の田中理来さんへのインタビューでもうかがったのですが、メンバーのみなさんの好きなところや尊敬してるところを聞かせていただけますか?
アイツ、ちゃんと言ってました?
――かなり照れながらも、しっかりメンバー愛を語ってくださいましたよ。木津さんについては特に(笑)。
本当ですか? じゃあ、僕も負けじと語ります。
まずは志村禎雄という、年下の僕がこう言うのもあれなんですが、かわいくて犬っぽいところのある男の子なんですけど。彼がいるからみんなが明るくなれて、僕たちの中では太陽みたいな存在ですね。落ち込んでる時でも声を聞くだけで気持ちがラクになったりもするし、何か悩んでる時にはすぐに声をかけてくれるんですよね。
リーダー気質なところもあって、ちゃんとやる時はやる、楽しむ時は楽しむっていうオン・オフがしっかりできるので、そこが志村禎雄のすごいところだと思います。かわいいのでちょっといじっちゃったりもするんですけど、大人としてはちゃんと尊敬してますね。
バトシンはハーフで顔がすごく整ってるんですよ。一番最初の印象は「彫刻みたいな顔してるな」で、顔の彫りの深さに見とれちゃいましたし。話す時にもなかなか敬語が抜けなかったくらい、憧れる面や自分にはないところをたくさん持ってますね。男らしいし、ライブ中もひとつひとつの仕草がすごくカッコいい。
年下の僕と理来にとってはお兄ちゃんみたいな存在なので、悩んでたりするとすぐにLINEしてきてくれたり、会った時に「お前、元気ないなぁ?」って声をかけてくれたりするのが、僕はすごく嬉しいんです。それから彼、関西人なんですよ。それでふざけたがりな一面もあったりするんですけど、ボケてるのに面白くないっていうのが、僕たちからしたら一周回って面白いっていう(笑)。そんな愛らしいところもあります。
僕はみんなから「年下だからかわいい感じ」ってよく言われるんですけど、ぶっちゃけそんなことないんですよ。イメージとしてはそう見えるかもしれないですけど、実はそんなにかわいがられるタイプじゃない。
――では、年上のメンバーさんたちのほうが、むしろかわいいキャラだと?
かわいいと言うか、何だろう……ステージだとか表に立った時には“大人のお兄ちゃん”って感じなんですけど、ひとたび楽屋に帰ってくると急に子どもみたいになるんですよ。そういうところ、ありますよね?(マネージャーに同意を求める)――ね、マネージャーも言ってますから事実です(笑)。でも、そこがいいなと思うんですよ。
理来は、いっしょにいて一番バカができますね。最終オーディションの楽屋も同じだったんですけど。その時自分は出番が1番で、終わって戻ってきたらお腹が痛くなっちゃって……緊張が解けた後からくるタイプなんです(苦笑)。やべぇって思ってたら、理来がそばに来て「大丈夫か?」って話しかけてくれたので「コイツ優しいなぁ」って思いましたね。
「終わったらいっしょにラーメンでも行こう」って誘おうとしたら、1位になって呼ばれてステージに行っちゃったんですよ。「受かったんだ……じゃあ俺、誰とご飯食べようかな」って考えてたら、自分も名前を呼ばれて。行ってみたら、理来がすごく笑顔で迎えてくれたんです。
そういうところをずっと見てきてるので、もう家族みたいな感じなんですよね。アイツ、車の運転ができるんですけど、僕が仕事やプライベートで落ち込んでたり、悩んでたりすると「ドライブ行こうぜ」って車で迎えに来てくれるんですよ。本当に兄弟みたい。同じ年なので、お兄ちゃんであり、弟でもありみたいな。そういうところにも惹かれますし、何といってもしっかりしてて、大人なんですよね。だから安心して何でも任せられるなって思ってます。
まぁまとめて言うなら、みんな全部好きですよ、はい!(笑)
役作りで大切にしているのは「楽しむこと」
――では次に、お芝居について聞かせてください。2015年に劇団番長ボーイズ☆での公演で初舞台を踏み、昨年は「ミュージカル『薄桜鬼』原田左之助篇」「B-PROJECT on STAGE 『OVER the WAVE!』」「舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り」と立て続けに2.5次元作品に出演されましたが、役作りや稽古をする上でどんなことを心がけていますか?
自分の好きなことなので、楽しみながらやるっていうのが一番の基本ですかね。家に帰っての楽しみは、自分が出る作品のゲームをすることや、アニメを観ることなんですよ。
稽古場では、どれだけその役柄に近付けるか、どれだけ自分が楽しめるかを心がけてます。そしてなおかつ、周りのみんなにも楽しんでもらえているかどうか。共演者の人が見ていて楽しいと思ってくれると絶対楽しい作品になると思うので、そこは考えるようにしてますね。微妙にニュアンスを変えてみたり、いろいろ工夫をしてみたりして、稽古の時から見ていてもカンパニーのみんなが飽きない芝居をしたいなって思います。
特に年末までやっていた「刀剣乱舞」の博多藤四郎は、すごくかわいくて太陽よりも明るいんじゃないかってキャラクターだったので、ちょっとしたおふざけを取り入れてみたり、毎公演舞台でもアドリブっぽくちがうことをやってみたりして。そういうのも自分の経験になると思いながら、稽古や役作りをしてました。
――ではひとつずつ詳しくうかがっていきたいのですが、まずは「ミュージカル『薄桜鬼』」。藤堂平助役として「HAKU-MYU LIVE2」さらに「原田左之助篇」にも出演されましたが、こちらが初めて関わった2.5次元作品だったんですよね。挑戦するにあたっての思いはどんなものでしたか?
ある作品のオーディションを受けた時に、それには落ちてしまったんですけど、そこにいたスタッフさんに「HAKU-MYU LIVE2」のオーディションの話をいただいたんです。いざ受けに行った時にはプレッシャーというか「期待してもらってたらどうしよう」っていう思いで、すごく緊張してましたね。
それまでこれほど大きな舞台には立ったことがなかったですし、そう簡単には2.5次元の人気作品には出られないだろうなと思っていたので。今でももちろん緊張はしますけど、一番最初のこの作品ではオーディションに受かってからもずーっと緊張しっぱなしでした。
そこから半年以上経っての「原田左之助篇」は、けっこう時間が空いただけに、やっぱり成長を見せなきゃいけないということで、より一層役作りに力を入れたんです。刀を振るために鍛えたり、仲間との仲も深めたりと、けっこう意識してやりましたね。
前作はライブだったので、お芝居は途中にちょっと入るくらいだったんですけど「原田左之助篇」では一気に芝居一色になったので、それでまた緊張したりもしましたし。
――ミュージカルだと、歌にダンス、お芝居と要素が多いですもんね。しかも殺陣もあるという。
そう、殺陣もあるんですよ。殺陣は初めてでしたし、言ってしまえば芝居も初めてみたいなものだったので。振り返ってみると、ここ2年間は本当に怒涛ですね。いやもう、ありがたいことです。そんな中でも僕を成長させてくれたのは「薄桜鬼」だなって、今でも思います。
――お次が「B-PROJECT on STAGE 『OVER the WAVE!』」の音済百太郎(おんざい・ももたろう)。こちらの役はいかがでしたか?
この役は、前作の役とは打って変わって、クールでかなりの不思議ちゃんキャラでしたね。オッドアイだし、髪も赤色のボブで。初めにやった藤堂平助は明るい役、次の音済くんがクールな役、その次の博多藤四郎がすごく明るい役っていう、交互にきてる感じとキャラの振り幅がちょうどいいなって思います。
音済くん役が決まった時には、クールな役をやってみたかったっていうのもあって、すごく嬉しかったんですよ。でもいざやってみると、性格が暗いか明るいかで言ったら、自分はわりと明るい部類なので、暗めのクールな役を演じるってなかなか難しいんだなって感じて。
そこでもまずやったことは、キャラクターに似せること。そして自分なりに「似てるな」って思えるところまでいってから、少しずつ崩しながら芝居を入れたりしていきました。音済くんの役作りでは、アニメも何度も観ましたし、舞台が始まった頃にちょうどゲームが出たので、そちらもめちゃくちゃやりましたね。だからより思い出深い作品になったなと思います。
僕が演じる音済くんを「いい」って言ってくれるファンの方もいて、新しく応援してくれる方がついてくれるのも嬉しかったですし、やってよかったなって感じましたね。
意外なきっかけから、芸能の世界に飛び込まれた木津さん。地元のご親友や、XOXメンバーとのエピソードからは周りの人を大切にされている様子がうかがえました。「稽古では同じカンパニーのみんなも楽しませたい」気持ちがあるからこそ、観客をも魅了する演技ができるのでしょうね。後編では「舞台『刀剣乱舞』」での博多藤四郎役について、そしてこれから叶えたい夢についてもうかがっていますのでお楽しみに!
取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)