世界文化遺産の構成資産として登録されている三保の松原は、羽衣伝説の舞台として有名な場所。日本新三景や日本三大松原のひとつにもなっていますね。そんな三保の松原のほど近くに、民家を改築した和カフェ「みふくさぼう」さんがあります。
印象的な紺色の暖簾と風格ある門構えの「みふくさぼう」さん。日本庭園を眺めながら食事ができるということで、地元・清水を中心に話題沸騰中。
今回は、店長の武田様にお話を伺いながら、「みふくさぼう」さんの魅力に迫ってみました。
圧巻の広さで快適な和空間!
入店してまず驚くのは、シームレスで広々とした店内。居心地の良い和空間に心を鷲掴みされます。
空いていればぜひ座っていただきたいのが、しっかり手入れされている日本庭園を眺められる窓際の特等席。清水界隈でこういった環境のあるカフェはまずないでしょう。
え、なにこれめちゃくちゃ最高。
ただぼんやりするだけでも贅沢ですし、お庭を眺めながらお食事できるというのは、かなりポイント高いですよね。
やわらかな照明は、店内と雰囲気とベストマッチ。落ち着きを与えてくれます。
一人でも気軽に座ることができるカウンター席。実はただのカウンターではなく、すごく特別なんです。その秘密はまたのちほど。
実は個室もあるので、女子会やママ会など団体利用も可能。予約を推奨します。
夜はまた昼とは違った重厚な雰囲気を楽しめるのでおすすめ。足を運んでほしいので、あえてお庭の写真は載せません。
地産地消を意識したメニュー
今回試食させていただいたのは、看板メニューの「羽衣ごはん(1,350円)」。味噌汁とドリンク付きです。
マグロ・しらすで富士山を、スライスされた野菜で、天女の羽衣を表現したメニュー。そう、三保の松原に伝わる羽衣伝説ですね。
そびえ立つたっぷりのしらすとマグロは、迫力のビジュアル。
アーティスティックにスライスされた野菜は、食感に特徴あり。人参はコリコリ、キュウリはシャキシャキ、大根はサクサク。口の中で3つの心地良い音がハーモニーを奏でます。
「一富士二鷹三茄子」の茄子と言われる折戸なすや三保産のレッドオーレなど、地産地消を意識した素材。
一体感があっていいね!
野菜たっぷりでさっぱりヘルシー。静岡らしい、そして三保の土地ならではのメニューでした。天女の舞が見える(かもしれない)「羽衣ごはん」をみなさんも味わってみてください。
インタビューさせていただきました
――みふくさぼうさんのお名前の由来を教えてください。
最初は漢字(三福茶房)だったのですが、いろいろ理由があって、今はひらがなになりました。
最初に「三福」にした理由は、三保の土地というのと、私の名前とおじいさんの名前に「三」が入っているので、「三」は使いたいなと思っていました。
「ふく」は、幸福の「ふく」と満腹の「ふく」と、あと私がフクロウが好きなので、そこの「フク」からとりました。それで「三福」、茶房は普通にカフェという意味ですね。
――なるほど、だからロゴにフクロウが描かれているんですね。
そうなんです。どこかに入れたくて、デザインしていただきました。湯気がフクロウになっていて、ひっくり返すとわかるんですが、下のコップが「三」という字なんですよね。
――もともとこちらは民家だったんですよね?
そうですね。ずっと10年ぐらい空き家だったみたいなんですね。前の持ち主さんがきれいにお掃除したり、お庭を手入れしていたので、空き家だったけれど、見にきた時にすごくきれいでした。
――こちらの1階をリノベーションされたんでしょうか?
はい。でもあまり大きくは変わっていないんですよね。こちらの畳の部屋も元から畳でしたので。カウンターのお部屋は、飾り暖炉があったり、洋風な応接間だったんですよ。女性トイレがある場所はお手伝いさんのお部屋でした。そういった部分はリノベーションされています。
――三保の土地を選んだ理由は何かあるのでしょうか?
実家がこちら(三保)だからですね。将来的に清水に帰ってきたかったのと、実家が近かったので、こちらを選びました。
――みふくさぼうさんがスタートした経緯
結構、突発的だったんです。もともと全然違う職業だったので、その職業をやめて、次に何をやろうってなった時に飲食になったんですけど、飲食業をするなら何か成果を出したいと思って働いてきて、今の形態になりました。
――先ほどいただいた「羽衣ごはん」のこだわりを教えてください
土地柄、三保の松原が近いというのもあって、三保の松原と富士山をイメージして作ったものなので、自分たちのおすすめにしたいという気持ちですね。
三保産のものが結構入っていて、時期的にちょっと外れていますが、折戸なすは契約農家さんが、うちのためにハウスを試行錯誤でつくってくれて、冬でも提供できるようしてくれました。トマトは三保のレッドオーレ、しらすは福将丸さんの駿河湾産のもの。地産地消というのもあるんですけど、地元の人たちが頑張っているものがお皿の中に入っているので、ぜひみなさんに召し上がっていただきたいなと思います。
見た目も華やかなので、みなさん写真を撮っていただけますね。
――客層はどんな感じですか?
40〜60代ぐらいの8割がたは女性だと思います。
――インテリア等にもこだわりを感じますね。
そうですね。いろんな人が携わってこのお店を作ってくれたので、私だけの力じゃないんです。テーブルとかを作ってくれた木工屋さん、私たち用のお花を飾ってくれるお花屋さん、ライトを選んでくれたインテリアコーディネーターさん、全て私たちのことを思って、全力を尽くしてくれました。
こちらのテーブルは、オークとチークを重ねていて、ひとつずつデザインが違うなど、こだわって作られています。
うちのおすすめはカウンターなんですけど、貴重なキハダの一枚板で、元々は生薬になるような木を使っています。カウンターって普通は「カウンターかぁ」って気持ちになると思うんですけど、「ここに座ってみたい」っていうカウンターを作りたかったんです。
――普段の仕事で大切にしていることを教えてください。
感謝の気持ちです。
お客様に対しては勿論の事、働いてくれているスタッフ、取引のある業者様、支えてくれる家族、「みふくさぼう」を支えてくれている全ての皆様に日々感謝の気持ちを持ち仕事に励んでいます。
――今後の展望を教えてください。
「継続する事が最大のサービス」ということですね。
これは受け売りなのですが、「みふくさぼうへ行こう」と思う方がいる限り店を続けて行けたらと思っております。新しいことを行うのも大事ですが、継続出来る環境があってこそだと思うので、変化をしながらも「みふくさぼう」を守っていければと考えています。
――読者のみなさんへメッセージをお願いします
学生の皆様、自由に時間を使える学生時代を無駄に日々過ごすのではなく、一つでも自分の知識・スキルとなり得るものを経験しましょう。
就活中の皆様、一生涯働くかもしれない仕事です。真剣に考え・取り組み・選びましょう。
ありがとうございました。私自身、学生時代にかなり無駄な時間を過ごして、やり直したいなと後悔したこともあります。みなさんも「みふくさぼう」さんでお庭を眺めながら、今の自分や将来のことをゆっくり見つめ直してみてはいかがですか?
まとめ
オープンに携わった人たちのこだわりと思いが詰まった快適な和空間。昼はのんびり、夜はおしゃれに楽しめる「みふくさぼう」さんをぜひ利用してみてください。