
富士山の麓で開催されているスペースシャワーTV主催の野外フェス「SWEET LOVE SHOWER 2017」。
山中湖交流プラザきららにて、8月25日(金)、26日(土)、27日(日)に開催されたこのイベント。今回はイベント3日目、最終日の8月27日(日)の様子をドーモプラス編集部がピックアップしてお届けします!
山中湖交流プラザきららで開催されている「SWEET LOVE SHOWER」。毎年メジャーから注目の若手まで幅広いバンドやアーティストが出演しています。今年は開催場所を山中湖に移してから11回目の開催となり、総勢63組のアーティストがライブを披露しました。
ステージは、「LAKESIDE STAGE」、「Mt. FUJI STAGE」、「FOREST STAGE」、「WATERFRONT STAGE」の4つと、特設ステージの「SPACE SHOWER STUDIO」で構成されていて、ステージ間の距離が短く、段差も少なく移動しやすいのが特徴です。
また天候が良ければ会場内のどこからでも富士山を眺めることが可能な、最高のロケーションとなっています。
フェスならではの楽しみといえば、現地でしか味わえないフェス飯。SWEET LOVE SHOWERでしか味わえないスペースシャワーTVレギュラー番組とのコラボメニューは、今年も大人気。なんと、購入者全員に各番組オリジナルコースターや缶バッジ、ステッカーがプレゼントされるという嬉しい特典つき。
その他のフードエリアにも各国のグルメが集結していて、丼もの・ラーメン・デザートなど、様々なメニューを味わうことが出来ます。
FOREST STAGEエリアには、オシャレな雑貨やカフェなどが立ち並ぶ「FOREST MARKET」が初登場! オリジナルのハンドメイドのアクセサリー・アロマや植物など、ライブの合間にお買い物が楽しめるマーケットも多数出店されています。
様々な来場記念品が自分で楽しく作れるワークショップ、夜にはライトアップされるオブジェのフォトスポットなど、思い出作りにぴったりなエリアとなっています。
「SWEET LOVE SHOWER」のもう一つの魅力が、「熱気球体験」や「カヌー体験」といった、山中湖のロケーションを存分に生かした様々なアトラクション。
今年は新アトラクションの「クライミングウォール」が登場! 大自然の中、気持ちのいい風を感じながら、高い壁を登るスリルを味わうことができます。是非ライブの合間に体験してみてはいかがでしょうか。
天候が変化しやすい山中湖ですが、今年はなんと三日間とも晴天に恵まれ、富士山を望む圧倒的な景色の中で熱いステージが繰り広げられました。そんな8月27日(日)の出演アーティストの中から、ドーモプラス編集部がピックアップしてライブレポートをお届け!
昨年FOREST STAGEに初出演し、しっかりとSWEET LOVE SHOWERに爪痕を残したMy Hair is Bad。今年はMt.FUJI STAGEで、満員のオーディエンスが朝から彼らの登場を待っていた。
「おはようございます! 新潟県上越市、My Hair is Badです! 朝早くからありがとう!」「ドキドキしようぜ!」と椎木 知仁(Gt.Vo)が叫び、「アフターアワー」でスタート。一度耳に届くとそこから離れようとしない椎木の声、山中湖の風に似合う疾走感と強靭さを兼ね備えた山本 大樹(Ba.Cho)のベースラインを、何にも怯むことはないと思わせるような山田 淳(Dr.)のドラムが当たり前のように支えている。
続く「元彼氏として」でも、ライブでしか味わえない速いテンポの演奏が歌詞と共に迫って来て、聴く人の胸を熱くする。さらに冒頭からラストまで、息つく間もなく歌詞と演奏をぶつける「告白」。女性の部屋と男性の心、どちらの景色も鮮やかに浮かぶ「接吻とフレンド」。どれも耳が感じる心地よさと、圧倒的な存在感を兼ね備えている。
「7分間この時間を俺にくれ!」という椎木の叫びで始まった「フロムナウオン」。「99%が必然だったとしても、その1%の偶然に俺は賭けたい。1%の偶然が99%の必然を食うところが見たい。俺はそれに賭けてるんだ!」と、その時の感情を乗せて絞り出される言葉たち。いつだって今が全て、過去も未来も見つめられる今の自分が全て。それをここまでぶつけて来るバンドは他にないだろう。
“夏の匂いがした”という一言で締めくくる「真赤」の後、「夏が過ぎてく」でもひとつの色で会場を染め上げたような雰囲気のまま、マイヘアにとって今年最後の夏フェスを締め括った。
昨年も200本近くのライブを行ってきたMy Hair is Bad。どんなに小さなライブハウスでも、この広大なMt.FUJI STAGEでも、一番後ろまで伝わって来る熱量が全く変わらないことに驚かされる。これからももっと大きい場所でのライブを予感させる彼らだが、“どこだってライブハウスになる”というイメージも陳腐に思えるほど、広さや距離などたいしたことのない次元に居ることを感じさせる。そんな圧倒的で、今この瞬間にしか見られないライブをこれからも積み重ねてくれるのだろう。
美しく晴れ渡った空の下、LAKESIDE STAGEに降り立ったSHISHAMO。宮崎朝子(Gt.Vo)が「ラブシャ! ラブシャ!」とコール&レスポンスで勢いよく観客を煽り、「好き好き!」でスタート。松岡彩(Ba)、吉川美冴貴(Dr)と息の合った軽快な演奏と、甘酸っぱい歌詞のバランスが絶妙だ。
男子の片想いを描いた「量産型彼氏」、8月に発売されたばかりの「BYE BYE」と続く。失恋というテーマで描かれた夏の歌は数多く存在するが、伏線を張った上で“空を飛んでる姿だって知らないでしょ?”と表現してしまう宮崎の高い作家性に、鳥肌が立ってしまうほど。
スクリーンの映像と歌詞に誘われ、誰もが自然にタオルを回してしまう「タオル」から、「君と夏フェス」へとつなげ一気に盛り上げる。ラストはCMソングに起用され、広くお茶の間にも届いた「明日も」。どこか懐かしいメロディに、くるくるとリズムを変えながら自由に伸びていくボーカルが、青空にとても似合う。
観客をいじったり突っ込みを入れたりする姿も全く媚びていないが、ひとたび演奏が始まれば、可愛さと力強さが共存した姿で自然に愛されている。スリーピースであることを忘れてしまうほど、その演奏力と存在感に何度も驚かされる。これぞロックバンドだ、と感じる瞬間が何度もあったのだ。
10年ぶりにSWEET LOVE SHOWERに出演したCocco。青空に映えるひまわりと、優しい色の花たちを集めた二つの花束を手にして、颯爽とMt.FUJI STAGEに登場した。
バンドが力強く「強く儚い者たち」のイントロを奏でると、オーディエンスから歓声が上がる。最後の一音まで、誰もが名曲を噛み締めているのが伝わって来る。続く「Raining」「樹海の糸」でも、一瞬でリリース当時の気持ちが呼び起こされることに心から感動する。
これも演出ではないかと思うほど、山中湖の風が歌う彼女のドレスを美しく揺らし続ける。風が似合うというより、風がCoccoのもとに集まって来ているように見えてしまうのだ。Coccoも「今年……というか、歌手人生で一番、風が気持ち良いです」と口にして、「愛うらら」を温かい声で歌い上げた。
静寂を切り裂くシャウトから最後の一音まで目が離せない「Way Out」、活動休止後の復帰第一弾シングルとして印象的な「音速パンチ」まで、全身をしなやかに揺らしながら一気に歌い続けた。
今年デビュー20周年のCocco。あらためて、20年間人々を魅了し続ける楽曲に込められた魂と、唯一無二の表現力に心が動かされた時間だった。ここでCoccoの音楽に出逢った若い世代の目にも、彼女が風と共に歌う姿はとても魅力的なものに映ったのではないだろうか。
満員の熱気で満ちたLAKESIDE STAGEが、稲穂で黄色に染まっている。袴姿のレキシこと池田 貴史がステージに登場すると、待ちわびたオーディエンスが手にする稲穂が一斉に揺れ、歓声があがった。
間髪入れず「KMTR645」がスタートし、客席に投げられたイルカ人形たちが宙を舞う。この曲のフィーチャリングアーティストであるキュウソネコカミも、前日に自分たちの出番で「KMTR645」を披露している。3月に開催された「SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2017」ではレキシとキュウソネコカミが一緒にステージ上でこの曲を披露したが、別日にそれぞれの演奏を見られるのもまた面白い。
“世襲制!”という印象的な一言から、80年代を感じさせるロックサウンドが展開していく「KATOKU」、十二単を身にまといポップに歌い上げる「SHIKIBU」と続き、池田自身も「もう3曲歌っちゃった! でも、後の2曲がめちゃくちゃ長いから」と笑う。
昨年も降りしきる雨の中、上原ひろみと共に出演したレキシ。「晴れたー!!(笑)毎年、田植え田植えと言われていたけれども……(笑)」と笑いつつ、「狩りから稲作へ」を披露。会場を見渡すと、稲穂だけでなくススキを手にしている観客もちらほら。池田は「稲穂じゃないのよススキは」と観客をいじりつつ、この日大トリで出演するゆずの「夏色」を稲穂バージョンに変えて歌い出す。
“この長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せて 稲穂をいっぱい握りしめてゆっくりゆっくり振ってる~”とオーディエンスにも合唱させ、「これでもう今年が最後のラブシャ出演かもしれません(笑)」と笑いながら、ラストの「きらきら武士」へ。再び、黄色に染まった会場が笑顔に包まれた。
楽曲自体のクオリティの高さと、ライブで全力でふざけて観客を一人残らずレキシワールドに連れて行く空間作りのバランスが素晴らしい。だからこそ初期からレキシのライブを見ている人も飽きることはないし、レキシのステージでしか見られないものを知ってしまった人が、この日も沢山いたことだろう。
1月に竹村郁哉(Gt)、上野恒星(Ba)が正式加入し、再び4人編成となったYogee New Waves。一音目から懐かしさに目が覚めるような「Megumi no Amen」でスタート。粕谷哲司(Dr)の軽快なドラムから始まる「Good Bye」では、角舘健悟(Gt.Vo)の伸びやかな歌声が青空と溶け合って行くようで、とても心地良い。
続いて、5月に発売された2枚目のフルアルバム『WAVES』から、「Ride on Wave」、「World is Mine」を力強く歌いあげてオーディエンスを沸かせる。Yogee New Wavesは自身の活動について「都会におけるPOPの進化」をテーマに掲げているが、“終わりなき夜には価値はない”と歌いきる姿に、シティポップという一言では括れない才能と表現力を感じる。
たゆたう波の中にいるようなメロディが心地良い「Like Sixteen Candles」、日常に寄り添うようなアンセム「Dreamin’ Boy」で締めくくる。SWEET LOVE SHOWER初出演とは思えないほど、気負うことなく自分たちの音楽を届ける姿は、間違いなくオーディエンスにも山中湖の美しい景色にも愛されていた。
角館が「今日を忘れないよ!」と口にして、爽やかにステージを後にした。今年も多くの夏フェスに出演している彼ら。ぜひ、多くの音楽ファンにこのライブを生で味わって欲しい。
(文:竹内歩)
次回「SWEET LOVE SHOWER 2017」潜入レポ後編では、引き続き3日目のライブレポートと来場者のフォトスナップをお届けします!
山中湖交流プラザきららにて、8月25日(金)、26日(土)、27日(日)に開催されたこのイベント。今回はイベント3日目、最終日の8月27日(日)の様子をドーモプラス編集部がピックアップしてお届けします!
山中湖交流プラザきららで開催されている「SWEET LOVE SHOWER」。毎年メジャーから注目の若手まで幅広いバンドやアーティストが出演しています。今年は開催場所を山中湖に移してから11回目の開催となり、総勢63組のアーティストがライブを披露しました。
ステージは、「LAKESIDE STAGE」、「Mt. FUJI STAGE」、「FOREST STAGE」、「WATERFRONT STAGE」の4つと、特設ステージの「SPACE SHOWER STUDIO」で構成されていて、ステージ間の距離が短く、段差も少なく移動しやすいのが特徴です。
また天候が良ければ会場内のどこからでも富士山を眺めることが可能な、最高のロケーションとなっています。
フェスならではの楽しみといえば、現地でしか味わえないフェス飯。SWEET LOVE SHOWERでしか味わえないスペースシャワーTVレギュラー番組とのコラボメニューは、今年も大人気。なんと、購入者全員に各番組オリジナルコースターや缶バッジ、ステッカーがプレゼントされるという嬉しい特典つき。
その他のフードエリアにも各国のグルメが集結していて、丼もの・ラーメン・デザートなど、様々なメニューを味わうことが出来ます。
FOREST STAGEエリアには、オシャレな雑貨やカフェなどが立ち並ぶ「FOREST MARKET」が初登場! オリジナルのハンドメイドのアクセサリー・アロマや植物など、ライブの合間にお買い物が楽しめるマーケットも多数出店されています。
様々な来場記念品が自分で楽しく作れるワークショップ、夜にはライトアップされるオブジェのフォトスポットなど、思い出作りにぴったりなエリアとなっています。
「SWEET LOVE SHOWER」のもう一つの魅力が、「熱気球体験」や「カヌー体験」といった、山中湖のロケーションを存分に生かした様々なアトラクション。
今年は新アトラクションの「クライミングウォール」が登場! 大自然の中、気持ちのいい風を感じながら、高い壁を登るスリルを味わうことができます。是非ライブの合間に体験してみてはいかがでしょうか。
8月27日(日)ライブレポート
天候が変化しやすい山中湖ですが、今年はなんと三日間とも晴天に恵まれ、富士山を望む圧倒的な景色の中で熱いステージが繰り広げられました。そんな8月27日(日)の出演アーティストの中から、ドーモプラス編集部がピックアップしてライブレポートをお届け!
My Hair is Bad
昨年FOREST STAGEに初出演し、しっかりとSWEET LOVE SHOWERに爪痕を残したMy Hair is Bad。今年はMt.FUJI STAGEで、満員のオーディエンスが朝から彼らの登場を待っていた。
「おはようございます! 新潟県上越市、My Hair is Badです! 朝早くからありがとう!」「ドキドキしようぜ!」と椎木 知仁(Gt.Vo)が叫び、「アフターアワー」でスタート。一度耳に届くとそこから離れようとしない椎木の声、山中湖の風に似合う疾走感と強靭さを兼ね備えた山本 大樹(Ba.Cho)のベースラインを、何にも怯むことはないと思わせるような山田 淳(Dr.)のドラムが当たり前のように支えている。
続く「元彼氏として」でも、ライブでしか味わえない速いテンポの演奏が歌詞と共に迫って来て、聴く人の胸を熱くする。さらに冒頭からラストまで、息つく間もなく歌詞と演奏をぶつける「告白」。女性の部屋と男性の心、どちらの景色も鮮やかに浮かぶ「接吻とフレンド」。どれも耳が感じる心地よさと、圧倒的な存在感を兼ね備えている。
「7分間この時間を俺にくれ!」という椎木の叫びで始まった「フロムナウオン」。「99%が必然だったとしても、その1%の偶然に俺は賭けたい。1%の偶然が99%の必然を食うところが見たい。俺はそれに賭けてるんだ!」と、その時の感情を乗せて絞り出される言葉たち。いつだって今が全て、過去も未来も見つめられる今の自分が全て。それをここまでぶつけて来るバンドは他にないだろう。
“夏の匂いがした”という一言で締めくくる「真赤」の後、「夏が過ぎてく」でもひとつの色で会場を染め上げたような雰囲気のまま、マイヘアにとって今年最後の夏フェスを締め括った。
昨年も200本近くのライブを行ってきたMy Hair is Bad。どんなに小さなライブハウスでも、この広大なMt.FUJI STAGEでも、一番後ろまで伝わって来る熱量が全く変わらないことに驚かされる。これからももっと大きい場所でのライブを予感させる彼らだが、“どこだってライブハウスになる”というイメージも陳腐に思えるほど、広さや距離などたいしたことのない次元に居ることを感じさせる。そんな圧倒的で、今この瞬間にしか見られないライブをこれからも積み重ねてくれるのだろう。
SHISHAMO
美しく晴れ渡った空の下、LAKESIDE STAGEに降り立ったSHISHAMO。宮崎朝子(Gt.Vo)が「ラブシャ! ラブシャ!」とコール&レスポンスで勢いよく観客を煽り、「好き好き!」でスタート。松岡彩(Ba)、吉川美冴貴(Dr)と息の合った軽快な演奏と、甘酸っぱい歌詞のバランスが絶妙だ。
男子の片想いを描いた「量産型彼氏」、8月に発売されたばかりの「BYE BYE」と続く。失恋というテーマで描かれた夏の歌は数多く存在するが、伏線を張った上で“空を飛んでる姿だって知らないでしょ?”と表現してしまう宮崎の高い作家性に、鳥肌が立ってしまうほど。
スクリーンの映像と歌詞に誘われ、誰もが自然にタオルを回してしまう「タオル」から、「君と夏フェス」へとつなげ一気に盛り上げる。ラストはCMソングに起用され、広くお茶の間にも届いた「明日も」。どこか懐かしいメロディに、くるくるとリズムを変えながら自由に伸びていくボーカルが、青空にとても似合う。
観客をいじったり突っ込みを入れたりする姿も全く媚びていないが、ひとたび演奏が始まれば、可愛さと力強さが共存した姿で自然に愛されている。スリーピースであることを忘れてしまうほど、その演奏力と存在感に何度も驚かされる。これぞロックバンドだ、と感じる瞬間が何度もあったのだ。
Cocco
10年ぶりにSWEET LOVE SHOWERに出演したCocco。青空に映えるひまわりと、優しい色の花たちを集めた二つの花束を手にして、颯爽とMt.FUJI STAGEに登場した。
バンドが力強く「強く儚い者たち」のイントロを奏でると、オーディエンスから歓声が上がる。最後の一音まで、誰もが名曲を噛み締めているのが伝わって来る。続く「Raining」「樹海の糸」でも、一瞬でリリース当時の気持ちが呼び起こされることに心から感動する。
これも演出ではないかと思うほど、山中湖の風が歌う彼女のドレスを美しく揺らし続ける。風が似合うというより、風がCoccoのもとに集まって来ているように見えてしまうのだ。Coccoも「今年……というか、歌手人生で一番、風が気持ち良いです」と口にして、「愛うらら」を温かい声で歌い上げた。
静寂を切り裂くシャウトから最後の一音まで目が離せない「Way Out」、活動休止後の復帰第一弾シングルとして印象的な「音速パンチ」まで、全身をしなやかに揺らしながら一気に歌い続けた。
今年デビュー20周年のCocco。あらためて、20年間人々を魅了し続ける楽曲に込められた魂と、唯一無二の表現力に心が動かされた時間だった。ここでCoccoの音楽に出逢った若い世代の目にも、彼女が風と共に歌う姿はとても魅力的なものに映ったのではないだろうか。
レキシ
満員の熱気で満ちたLAKESIDE STAGEが、稲穂で黄色に染まっている。袴姿のレキシこと池田 貴史がステージに登場すると、待ちわびたオーディエンスが手にする稲穂が一斉に揺れ、歓声があがった。
間髪入れず「KMTR645」がスタートし、客席に投げられたイルカ人形たちが宙を舞う。この曲のフィーチャリングアーティストであるキュウソネコカミも、前日に自分たちの出番で「KMTR645」を披露している。3月に開催された「SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2017」ではレキシとキュウソネコカミが一緒にステージ上でこの曲を披露したが、別日にそれぞれの演奏を見られるのもまた面白い。
“世襲制!”という印象的な一言から、80年代を感じさせるロックサウンドが展開していく「KATOKU」、十二単を身にまといポップに歌い上げる「SHIKIBU」と続き、池田自身も「もう3曲歌っちゃった! でも、後の2曲がめちゃくちゃ長いから」と笑う。
昨年も降りしきる雨の中、上原ひろみと共に出演したレキシ。「晴れたー!!(笑)毎年、田植え田植えと言われていたけれども……(笑)」と笑いつつ、「狩りから稲作へ」を披露。会場を見渡すと、稲穂だけでなくススキを手にしている観客もちらほら。池田は「稲穂じゃないのよススキは」と観客をいじりつつ、この日大トリで出演するゆずの「夏色」を稲穂バージョンに変えて歌い出す。
“この長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せて 稲穂をいっぱい握りしめてゆっくりゆっくり振ってる~”とオーディエンスにも合唱させ、「これでもう今年が最後のラブシャ出演かもしれません(笑)」と笑いながら、ラストの「きらきら武士」へ。再び、黄色に染まった会場が笑顔に包まれた。
楽曲自体のクオリティの高さと、ライブで全力でふざけて観客を一人残らずレキシワールドに連れて行く空間作りのバランスが素晴らしい。だからこそ初期からレキシのライブを見ている人も飽きることはないし、レキシのステージでしか見られないものを知ってしまった人が、この日も沢山いたことだろう。
Yogee New Waves
1月に竹村郁哉(Gt)、上野恒星(Ba)が正式加入し、再び4人編成となったYogee New Waves。一音目から懐かしさに目が覚めるような「Megumi no Amen」でスタート。粕谷哲司(Dr)の軽快なドラムから始まる「Good Bye」では、角舘健悟(Gt.Vo)の伸びやかな歌声が青空と溶け合って行くようで、とても心地良い。
続いて、5月に発売された2枚目のフルアルバム『WAVES』から、「Ride on Wave」、「World is Mine」を力強く歌いあげてオーディエンスを沸かせる。Yogee New Wavesは自身の活動について「都会におけるPOPの進化」をテーマに掲げているが、“終わりなき夜には価値はない”と歌いきる姿に、シティポップという一言では括れない才能と表現力を感じる。
たゆたう波の中にいるようなメロディが心地良い「Like Sixteen Candles」、日常に寄り添うようなアンセム「Dreamin’ Boy」で締めくくる。SWEET LOVE SHOWER初出演とは思えないほど、気負うことなく自分たちの音楽を届ける姿は、間違いなくオーディエンスにも山中湖の美しい景色にも愛されていた。
角館が「今日を忘れないよ!」と口にして、爽やかにステージを後にした。今年も多くの夏フェスに出演している彼ら。ぜひ、多くの音楽ファンにこのライブを生で味わって欲しい。
(文:竹内歩)
次回「SWEET LOVE SHOWER 2017」潜入レポ後編では、引き続き3日目のライブレポートと来場者のフォトスナップをお届けします!