ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載企画「レコメン図」。第6回は雑誌「smart」の専属モデルや、俳優として活動中の「瑛(あきら)」さんをお迎え! 前編では、この世界に足を踏み入れた意外なきっかけや、モデルのお仕事などについてお話をうかがいました。
――瑛さんがこの世界に入ったきっかけは「Sony Music×smart」のオーディションでグランプリを獲得されたことがきっかけだそうですが、オーディションを受けたきっかけは?
当時美術大学に行きたかったんです。その資金を貯めるためにアルバイトを中心にして、サブでモデルをやって、2年くらい浪人して行こうかなくらいに考えてたんですけど、その時にちょうどオーディションのことを知って。賞金が30万出るってことだったので、それ目当てで受けたら、受かったんですよ。そのままレッスンに行かせてもらって、芝居の道を勧められるままにやってみたら、そのまま芝居の沼に落ち着いた感じです。
――まさかの理由ですね(笑)。
そうですよね。最初はお金が目的で始めたので、全然本職にするつもりはなかったんです。でも結局、美大の学費はとんでもなく高いし「2年浪人するくらいなら、今のこの仕事も全然楽しいから、この仕事を中心にして行こうかな」って思ったのが、本腰を入れるきっかけになりました。
――オーディションを受ける以前に「モデルをやらないか」って声をかけられたりしたこともあったりしたんですか?
なかったですね。俺、モデルを始める前はすごいダサくて。服装とか、今とは全然ちがったんですよ。髪も天然パーマなので縦に伸びずに横に広がってくし、半年くらい切らないままだとボンバーヘッドになってたりして。だから原宿歩いたりするとむしろ野暮ったくて、スカウトとかは全くなかったです。
――じゃあオーディションを受けるとなった時に、何とかしなきゃと変えたんですか?
そうですね。「何とかするか」って服を選んでオーディションに行って、受かった時に用意された服を着せてもらったんですけど、それで「服着るのってこんなに楽しいんだ」って気付きました。そこからだんだんオシャレになっていったって感じです。……あーでも、思ってみればやっぱり、高校の時に若干は目覚めてましたね。でもまだ全然ダサかった。あの俺、高校デビューなんですよ。
――そうなんですか!?
はい。高校デビュー前までがボンバーヘッドでした。文化祭のクラスの出し物で「女々しくて」を踊ることになって。その時に髪をセットしたら、クラスの女の子とかに「何あのイケメン!」「めちゃくちゃカッコいいじゃん!」って言われて「あれ、俺ってもしかしてカッコいいの?」って思ったのが始まりでしたね(笑)。そこからだんだんオシャレを気にするようになりました。
――女子がざわついたその反応で「自分はもしかして磨いたら光るんじゃないか?」と感じたと(笑)。
そんな感じです。それから、高校2年の夏にオーディションに応募して、今に至るんですけど。あの時、あのクラスの出し物に出ていなかったら、自分はそのままボンバーヘッドだったと思います(笑)。誘ってくれた彼には感謝ですね。
――以前はイギリスに住んでいたとのことですが、いつ頃日本に移られたんですか?
7歳の頃で、ちょうど物心の芽生えるあたりというか。小学校入る手前くらいまであちらにいたので、すごくイギリスの環境に慣れちゃってて。引っ越してきてから順応するまでに時間がかかりましたね。大人だったらまだ切り替えられると思うんですけど、子どもだったのでその影響もあったりして。学校でもあまり日本語がうまくしゃべれませんでした。今はもう大丈夫ですけど。
――今も日常で英語と日本語の両方を使ったりしてます?
しないですね。父親がイギリス人なんですが、今もまだあちらにいるので。あんまり日本では英語を話す機会がないです。
――そうなんですね。では次にモデルのお仕事についてうかがいたいと思います。モデルを務められている『smart』など、雑誌の写真という静止画の状態で自分の魅力や自分らしさを出していくために、心がけていることはありますか?
心がけているのは楽しむことですね。趣味の一環みたいな感覚で、完全に楽しんでやってます。一番最初に衣装を着せてもらったのがデビュー発表の時で。その服を着た時に「何だこれ、めちゃくちゃ楽しい!」ってニヤニヤが止まらなくなったんですよ。その気分が今だに続いてますね。俳優の仕事をするのもすごく好きで楽しいんですけど、もともとがモデルだったので、やっぱり撮られる瞬間が自分がすごく輝ける気がしてます。だから、心に留めてるのは、楽しいって気持ちと自分に自信を持つことなんだと思います。
――撮られるのって最初は緊張しませんでしたか?
一番最初にカメラのシャッター切られる時までは緊張してました。でも、シャッターボタン押された瞬間にもうニヤニヤが止まらなくなって。どうしてなのか自分じゃよく理解してないんですけど、とにかく楽しくて仕方なかったですね。
――ポージングや表情などは、練習するというよりは自然に出てきたものなんですか?
表情筋がやっぱり大事なので、顔の表情は練習したりしました。ほかのモデルさんがどうしているかは分からないですけど、俺の場合は顔の一部の筋肉だけ動かすっていうのを鏡の前でやったりとか。あと、カメラで撮ってもらった後、その度に自分でチェックして「ここの表情がこうだから、もうちょっとここの筋肉を上げよう」とかは考えます。
そのおかげで、目だけ笑わないって特技ができました(笑)。自然に笑うと下まぶたのあたりが上がるんですけど、そこを上げないようにすると、目だけ笑わないことが可能になるんですよ。表情筋に関して言うなら、目指してるのはコロッケさんです。
――目標は高く、ですね(笑)。撮影中やスタイリングの過程など、モデルのお仕事中に印象的なエピソードがあったら聞かせてください。
うーん。ひたすら楽しんでやってたら時が過ぎてたくらいの気持ちなので、そんなに大きなできごとはないような……。あーでも。知り合いの美容師さんと仲よくなった時に「写真を撮ってもらいたい」って言って写真を撮ってもらったことがあったんです。その次の時には、その人の知り合いのカメラマンさんを呼んで来てくれていて。俺もまた別のモデルさんを呼んでいてっていう感じに、だんだん大所帯になっていって。そういう撮影はやったりしてます。その人と今度「静岡にいい場所があるから、そこに撮影に行こうぜ」って話をしたり、そういういい巡り合わせみたいなのはありますね。
――静岡での撮影は海辺でされるんですか?
そうですね、海もでもやります。俺は山に行きたいんですけど、虫が多いからどうかなーって部分もあって。虫がとにかく苦手なんですよ。
――旅行を兼ねてという感じでしょうか。より自然な表情が撮れそうですよね。
しかもそのカメラマンさんが自然な表情を撮るのが得意な方で。シャッター押しながらしゃべったりするので、日常会話の中の瞬間が切り取られるみたいな感じです。「いつも自分ってこんな顔してるんだ」みたいな写真を撮ってもらえるのが、ちょっと嬉しかったりしますよね。
――ファンの方だと、そういう自然な表情を喜んでくれそうですよね。
そうですね。反応をもらって「その写真、好きなんだ……」とか思うと、けっこう小っ恥ずかしくなっちゃいますけど(笑)。
――では、俳優のお仕事についてもうかがいたいんですが、テレビドラマ『表参道高校合唱部!』の山田 アンドリュー役や、舞台『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』(通称:あんステ)の乙狩 アドニス(おとがり・あどにす)役と、テレビと舞台でのお仕事を両方経験されていますよね。それぞれに臨む上での気持ちや、演じている上での面白さのちがいはありましたか?
映像はすごく自然体で映らなきゃいけなくて。外人気質だからなのか分からないですけど、自分はすごくジェスチャーが多いんですよ。それだとやっぱり不自然に見えるので、若干身振り手振りを抑えたりはしましたね。舞台は逆に、遠くのお客さんには突っ立ってるように見えたら面白くなくなってしまうので、ジェスチャーを大きくしなきゃいけない。それぞれの演じ方のちがいが楽しかったです。あとは本当に、役に没頭してました。
でも『表参道高校〜』の時はまだ演技を始めたばかりで、すごく急なレギュラー出演だったので、まだ芝居とは何かというのを分かってなかったんです。今やったらもっとちがう結果になったんじゃないかなと思ったりしますね。それぞれの舞台で、後悔はけっこうしてます。いちいち自分のDVDを見つつ「ここはもうちょっとこうしたかった」とか、反省するポイントがたくさんあって……(苦笑)。次へのステップアップにしてます。
――後悔できるポイントがあるってことは、先に進めてるってことですもんね。『表参道高校〜』では、歌などのレッスンもかなりされたと聞きました。何でも、合唱部のメンバーで合宿もしたとか。
しましたね! 普通は撮休っていうのがあってお休みをいただけるんですけど、そこに練習を入れて、毎日のように合唱の練習をしてました。あの頃は今よりも細かったので、毎日筋トレもしなきゃいけなくて。体幹を鍛えないと、ズシッとしたいい声が出ないので。その筋トレも含めて地獄でしたね。
――歌はもともと得意だったんですか?
いや、歌もそんなに得意なほうじゃなくて、カラオケの採点で80点台をとれるくらいでした。音程は取れるんですけど、テクニックがないから棒読みに聞こえたり、すごく下手に聞こえてしまって。ただ、SONYさんのレッスンや、合唱部のレッスンでだんだん上手くなってきて、やっと最近ビブラートが出せるようになりました。
――それは手応えを感じますよね。瑛さんのモットーは「THE ONE AND ONLY(=唯一無二)」ということですが、それを掲げているのはどういう思いからなんでしょう?
もともとこれはヒーローのセリフなんです。スパイダーマンが昔からすごく好きだったので、彼の言葉から取ったんですけど。スパイダーマンもその、唯一無二じゃないですか。何が自分の唯一無二になってるのかは分からないんですけど、自分のキャラクターであったり、表情や顔、姿そのもの……そういう、自分が自分でいることで唯一無二になっていけたらっていう気持ちが込めてありますね。そんなに深い意味はなくて、そのまんま唯一無二になりたいっていう発想ですね。
だから、人から「○○に似てる」って言われるのはあんまり好きじゃないです。「その人はその人でしょ」って思っちゃうし、自分は自分でありたい。ざっくりとした「こうなりたい」っていうイメージはあるんですけど。例えば、ローラさんやファレル・ウィリアムスさんが俺の憧れで、そういう存在になりたいっていう気持ちはあるんですけど、その人自身になりたいっていうのとは全然ちがう。
「この顔になりたいNo.1」とかよく聞きますけど、自分はピンとこないんですよね。やっぱり自分の顔もそうだし、自分っていうことを大事にしてほしいなって俺は思います。
――その人がその人らしく輝いているのに憧れるっていう感覚なんでしょうか?
そうですね。すごいかっこいいと思います。この人じゃないとできない役とか、この人だからこそできる役とか、この人だからこの舞台に立ち続けられるみたいな、そういう“その人だから任せられるもの”がひとつあればすごくすてきだと思いますね。自分じゃなきゃできないことを、自分自身も仕事としてやっていけたらなと。
――その目標に近づくためには自分を磨くことが必要なのかなと思うんですが、そのためにやってることってあったりしますか?
最近ほんのちょっとずつ筋トレを始めたことですかね。あとは、日頃から仕事上で自分自身でいることや、役をもらった時にも自分らしさを織り交ぜつつもちゃんと役を大事にすることで、きっと成長していけるんじゃないかなぁと感じてるんですけど。何がその成長の糧になるかはあんまりまだよく分かっていない……と言うより、やっていて後から気付くんじゃないかなと思います。なので、毎日楽しく生きるってことですかね。
甘めの顔立ちに垢抜けた服装の瑛さん。まさか高校デビューの経歴があったとはびっくりですよね。「自分が自分であることを大事に」という言葉が印象的でした。後編では『あんステ』についてのお話や、趣味についてうかがっていますのでお楽しみに。
取材・文:古原孝子
Photo:比留川義一
最初は、全然本職にするつもりはなかったんです。
――瑛さんがこの世界に入ったきっかけは「Sony Music×smart」のオーディションでグランプリを獲得されたことがきっかけだそうですが、オーディションを受けたきっかけは?
当時美術大学に行きたかったんです。その資金を貯めるためにアルバイトを中心にして、サブでモデルをやって、2年くらい浪人して行こうかなくらいに考えてたんですけど、その時にちょうどオーディションのことを知って。賞金が30万出るってことだったので、それ目当てで受けたら、受かったんですよ。そのままレッスンに行かせてもらって、芝居の道を勧められるままにやってみたら、そのまま芝居の沼に落ち着いた感じです。
――まさかの理由ですね(笑)。
そうですよね。最初はお金が目的で始めたので、全然本職にするつもりはなかったんです。でも結局、美大の学費はとんでもなく高いし「2年浪人するくらいなら、今のこの仕事も全然楽しいから、この仕事を中心にして行こうかな」って思ったのが、本腰を入れるきっかけになりました。
あの俺、高校デビューなんですよ。
――オーディションを受ける以前に「モデルをやらないか」って声をかけられたりしたこともあったりしたんですか?
なかったですね。俺、モデルを始める前はすごいダサくて。服装とか、今とは全然ちがったんですよ。髪も天然パーマなので縦に伸びずに横に広がってくし、半年くらい切らないままだとボンバーヘッドになってたりして。だから原宿歩いたりするとむしろ野暮ったくて、スカウトとかは全くなかったです。
――じゃあオーディションを受けるとなった時に、何とかしなきゃと変えたんですか?
そうですね。「何とかするか」って服を選んでオーディションに行って、受かった時に用意された服を着せてもらったんですけど、それで「服着るのってこんなに楽しいんだ」って気付きました。そこからだんだんオシャレになっていったって感じです。……あーでも、思ってみればやっぱり、高校の時に若干は目覚めてましたね。でもまだ全然ダサかった。あの俺、高校デビューなんですよ。
――そうなんですか!?
はい。高校デビュー前までがボンバーヘッドでした。文化祭のクラスの出し物で「女々しくて」を踊ることになって。その時に髪をセットしたら、クラスの女の子とかに「何あのイケメン!」「めちゃくちゃカッコいいじゃん!」って言われて「あれ、俺ってもしかしてカッコいいの?」って思ったのが始まりでしたね(笑)。そこからだんだんオシャレを気にするようになりました。
――女子がざわついたその反応で「自分はもしかして磨いたら光るんじゃないか?」と感じたと(笑)。
そんな感じです。それから、高校2年の夏にオーディションに応募して、今に至るんですけど。あの時、あのクラスの出し物に出ていなかったら、自分はそのままボンバーヘッドだったと思います(笑)。誘ってくれた彼には感謝ですね。
――以前はイギリスに住んでいたとのことですが、いつ頃日本に移られたんですか?
7歳の頃で、ちょうど物心の芽生えるあたりというか。小学校入る手前くらいまであちらにいたので、すごくイギリスの環境に慣れちゃってて。引っ越してきてから順応するまでに時間がかかりましたね。大人だったらまだ切り替えられると思うんですけど、子どもだったのでその影響もあったりして。学校でもあまり日本語がうまくしゃべれませんでした。今はもう大丈夫ですけど。
――今も日常で英語と日本語の両方を使ったりしてます?
しないですね。父親がイギリス人なんですが、今もまだあちらにいるので。あんまり日本では英語を話す機会がないです。
やっぱり撮られる瞬間が自分がすごく輝ける気がしてます。
――そうなんですね。では次にモデルのお仕事についてうかがいたいと思います。モデルを務められている『smart』など、雑誌の写真という静止画の状態で自分の魅力や自分らしさを出していくために、心がけていることはありますか?
心がけているのは楽しむことですね。趣味の一環みたいな感覚で、完全に楽しんでやってます。一番最初に衣装を着せてもらったのがデビュー発表の時で。その服を着た時に「何だこれ、めちゃくちゃ楽しい!」ってニヤニヤが止まらなくなったんですよ。その気分が今だに続いてますね。俳優の仕事をするのもすごく好きで楽しいんですけど、もともとがモデルだったので、やっぱり撮られる瞬間が自分がすごく輝ける気がしてます。だから、心に留めてるのは、楽しいって気持ちと自分に自信を持つことなんだと思います。
――撮られるのって最初は緊張しませんでしたか?
一番最初にカメラのシャッター切られる時までは緊張してました。でも、シャッターボタン押された瞬間にもうニヤニヤが止まらなくなって。どうしてなのか自分じゃよく理解してないんですけど、とにかく楽しくて仕方なかったですね。
――ポージングや表情などは、練習するというよりは自然に出てきたものなんですか?
表情筋がやっぱり大事なので、顔の表情は練習したりしました。ほかのモデルさんがどうしているかは分からないですけど、俺の場合は顔の一部の筋肉だけ動かすっていうのを鏡の前でやったりとか。あと、カメラで撮ってもらった後、その度に自分でチェックして「ここの表情がこうだから、もうちょっとここの筋肉を上げよう」とかは考えます。
そのおかげで、目だけ笑わないって特技ができました(笑)。自然に笑うと下まぶたのあたりが上がるんですけど、そこを上げないようにすると、目だけ笑わないことが可能になるんですよ。表情筋に関して言うなら、目指してるのはコロッケさんです。
ひたすら楽しんでやってたら時が過ぎてたくらいの気持ちなので
――目標は高く、ですね(笑)。撮影中やスタイリングの過程など、モデルのお仕事中に印象的なエピソードがあったら聞かせてください。
うーん。ひたすら楽しんでやってたら時が過ぎてたくらいの気持ちなので、そんなに大きなできごとはないような……。あーでも。知り合いの美容師さんと仲よくなった時に「写真を撮ってもらいたい」って言って写真を撮ってもらったことがあったんです。その次の時には、その人の知り合いのカメラマンさんを呼んで来てくれていて。俺もまた別のモデルさんを呼んでいてっていう感じに、だんだん大所帯になっていって。そういう撮影はやったりしてます。その人と今度「静岡にいい場所があるから、そこに撮影に行こうぜ」って話をしたり、そういういい巡り合わせみたいなのはありますね。
――静岡での撮影は海辺でされるんですか?
そうですね、海もでもやります。俺は山に行きたいんですけど、虫が多いからどうかなーって部分もあって。虫がとにかく苦手なんですよ。
――旅行を兼ねてという感じでしょうか。より自然な表情が撮れそうですよね。
しかもそのカメラマンさんが自然な表情を撮るのが得意な方で。シャッター押しながらしゃべったりするので、日常会話の中の瞬間が切り取られるみたいな感じです。「いつも自分ってこんな顔してるんだ」みたいな写真を撮ってもらえるのが、ちょっと嬉しかったりしますよね。
――ファンの方だと、そういう自然な表情を喜んでくれそうですよね。
そうですね。反応をもらって「その写真、好きなんだ……」とか思うと、けっこう小っ恥ずかしくなっちゃいますけど(笑)。
それぞれの演じ方のちがいが楽しかったです。
――では、俳優のお仕事についてもうかがいたいんですが、テレビドラマ『表参道高校合唱部!』の山田 アンドリュー役や、舞台『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』(通称:あんステ)の乙狩 アドニス(おとがり・あどにす)役と、テレビと舞台でのお仕事を両方経験されていますよね。それぞれに臨む上での気持ちや、演じている上での面白さのちがいはありましたか?
映像はすごく自然体で映らなきゃいけなくて。外人気質だからなのか分からないですけど、自分はすごくジェスチャーが多いんですよ。それだとやっぱり不自然に見えるので、若干身振り手振りを抑えたりはしましたね。舞台は逆に、遠くのお客さんには突っ立ってるように見えたら面白くなくなってしまうので、ジェスチャーを大きくしなきゃいけない。それぞれの演じ方のちがいが楽しかったです。あとは本当に、役に没頭してました。
でも『表参道高校〜』の時はまだ演技を始めたばかりで、すごく急なレギュラー出演だったので、まだ芝居とは何かというのを分かってなかったんです。今やったらもっとちがう結果になったんじゃないかなと思ったりしますね。それぞれの舞台で、後悔はけっこうしてます。いちいち自分のDVDを見つつ「ここはもうちょっとこうしたかった」とか、反省するポイントがたくさんあって……(苦笑)。次へのステップアップにしてます。
――後悔できるポイントがあるってことは、先に進めてるってことですもんね。『表参道高校〜』では、歌などのレッスンもかなりされたと聞きました。何でも、合唱部のメンバーで合宿もしたとか。
しましたね! 普通は撮休っていうのがあってお休みをいただけるんですけど、そこに練習を入れて、毎日のように合唱の練習をしてました。あの頃は今よりも細かったので、毎日筋トレもしなきゃいけなくて。体幹を鍛えないと、ズシッとしたいい声が出ないので。その筋トレも含めて地獄でしたね。
――歌はもともと得意だったんですか?
いや、歌もそんなに得意なほうじゃなくて、カラオケの採点で80点台をとれるくらいでした。音程は取れるんですけど、テクニックがないから棒読みに聞こえたり、すごく下手に聞こえてしまって。ただ、SONYさんのレッスンや、合唱部のレッスンでだんだん上手くなってきて、やっと最近ビブラートが出せるようになりました。
自分が自分でいることで唯一無二になっていけたら
――それは手応えを感じますよね。瑛さんのモットーは「THE ONE AND ONLY(=唯一無二)」ということですが、それを掲げているのはどういう思いからなんでしょう?
もともとこれはヒーローのセリフなんです。スパイダーマンが昔からすごく好きだったので、彼の言葉から取ったんですけど。スパイダーマンもその、唯一無二じゃないですか。何が自分の唯一無二になってるのかは分からないんですけど、自分のキャラクターであったり、表情や顔、姿そのもの……そういう、自分が自分でいることで唯一無二になっていけたらっていう気持ちが込めてありますね。そんなに深い意味はなくて、そのまんま唯一無二になりたいっていう発想ですね。
だから、人から「○○に似てる」って言われるのはあんまり好きじゃないです。「その人はその人でしょ」って思っちゃうし、自分は自分でありたい。ざっくりとした「こうなりたい」っていうイメージはあるんですけど。例えば、ローラさんやファレル・ウィリアムスさんが俺の憧れで、そういう存在になりたいっていう気持ちはあるんですけど、その人自身になりたいっていうのとは全然ちがう。
「この顔になりたいNo.1」とかよく聞きますけど、自分はピンとこないんですよね。やっぱり自分の顔もそうだし、自分っていうことを大事にしてほしいなって俺は思います。
――その人がその人らしく輝いているのに憧れるっていう感覚なんでしょうか?
そうですね。すごいかっこいいと思います。この人じゃないとできない役とか、この人だからこそできる役とか、この人だからこの舞台に立ち続けられるみたいな、そういう“その人だから任せられるもの”がひとつあればすごくすてきだと思いますね。自分じゃなきゃできないことを、自分自身も仕事としてやっていけたらなと。
――その目標に近づくためには自分を磨くことが必要なのかなと思うんですが、そのためにやってることってあったりしますか?
最近ほんのちょっとずつ筋トレを始めたことですかね。あとは、日頃から仕事上で自分自身でいることや、役をもらった時にも自分らしさを織り交ぜつつもちゃんと役を大事にすることで、きっと成長していけるんじゃないかなぁと感じてるんですけど。何がその成長の糧になるかはあんまりまだよく分かっていない……と言うより、やっていて後から気付くんじゃないかなと思います。なので、毎日楽しく生きるってことですかね。
甘めの顔立ちに垢抜けた服装の瑛さん。まさか高校デビューの経歴があったとはびっくりですよね。「自分が自分であることを大事に」という言葉が印象的でした。後編では『あんステ』についてのお話や、趣味についてうかがっていますのでお楽しみに。
取材・文:古原孝子
Photo:比留川義一