
ドーモプラスが定期的に、気になるクリエイターを紹介する「クリエイティブなヒト」。第2回はふんわりとかわいらしい女の子のイラストで人気の、会いに行けるイラストレーター・つるしまたつみさんにフィーチャー。後編では、全国各地のイベントでの思い出や今後の目標などについてお話しいただきました。
――イベントでは今までにどんな都市に行かれました?
つるしま:いやぁ、けっこう行きましたね。イベント自体がある程度大きな都市で開かれるんですけど、北海道・新潟・仙台・名古屋・大阪・福岡……とかまぁいろいろ。
――全国各地ですね。フォロワーさんも、いろんな地方にいらっしゃるんですか?
つるしま:そうですね。若い方が多いので、東京でばかりイベントをやっていても、あんまり会いに来てもらえないじゃないですか。そこで、顔を合わせる機会を増やしたいなという思いもあって、地方に飛ぶようにしてます。
――会場ではこんな感じにフレンドリーにお話しされてるのかと思うんですけど、ファンの方はびっくりされたりしませんか?
つるしま:ツイッターでは女子高生みたいなキャラクターでやってるので、多分そんなには驚かないんじゃないかなと思います。
――ツイッターで見かけたイベントの感想に「すごくかわいい絵だから、行ってみたら男の人でびっくりした」というのがありまして(笑)。
つるしま:ツイッターでは「17歳女子高生で、顔出ししてる男の人は彼氏」っていう設定でやってるんですよ(笑)。それが設定だと分かって来てくれてる方には、僕が男だと分かると思うんですけど、知らない方からは女性が描いてると思われることが多いですね。
――男性の方もイベントにはいらっしゃいますか?
つるしま:アイドルのファンの方が来てくださって、僕がその場で似顔絵を描くイベントでも、そのアイドルの似顔絵を描いてくださいってお願いされます。
――自分の顔を描いてもらうのではなく、推しメンの顔を描いてもらうとはナイスアイデアですね。ちなみに、ツイッターなどを通じてファンの方が増えたとのことですが、そこから徐々に名前が広がることでお仕事が来るようになった面もありますか?
つるしま:それはある気がします。本当はそうじゃないと思うんですけど、外見上では“ツイッターのフォロワー数が多いほど有名”みたいなイメージってあると思うので。そういうところから依頼してくださったりっていう方も、中にはいるかもしれないですね。
――初期のお仕事では本の挿絵で民族衣装なども描かれていましたが、ジャンルは問わず描いていこうという気持ちはあるんですか?
つるしま:依頼をいただいて、面白そうだったらお受けしたいと思ってます。今の自分の描きたいものと、合っていたりすれば。
――では特に細かくこだわることなく、「何かあったら相談していただければ」っていう気持ちなんですね。
つるしま:そうですね。僕の作風は「夢カワ(=夢カワイイ)」みたいな感じに言われることが多いんですけど、自分自身ではそう思ってなくて。特にジャンルにこだわってるつもりはなく、ただ今の自分が描きたいものを描いてるという感覚ですね。
――先ほど“ファンの方と顔を合わせる場を増やしたい”とのことでしたが、つるしまさんのホームページにある「今会えるイラストレーター」という言葉、これをコンセプトにしているのはどういう思いからなんでしょう?
つるしま:肩書きはちょっとふざけた感じなんですけど。今、YouTubeやニコニコ動画といったソーシャルプラットフォームを使うことで、一般の人が個を発信できる場がかなり多くなってきていますよね。そして、それを見るユーザーの方にとっても、発信されたものを受け入れやすい環境になってきている。そんな中でここ数年はイラストに関しても、作品だけを見るのではなく、その中の描き手個人の魅力を見てくれる人がだんだん増えてきてると感じていて。僕もそういう風になれたらいいなと思ってるんです。
――「この人がこれを描いてるんだな」と、その作品の奥まで見て欲しいと。
つるしま:そうですね。イラストだけじゃなくて、描いている個人も含めてのエンターテイメントというか。だから、イラストレーターと言えるのか分からないですけど。まぁ言葉にするならば、エンターテイナーみたいな感じになりたいです。
――なるほど。では、今後はイラストを発表していくだけではなく、もう少しちがった形でもファンの方と会えたらという気持ちはありますか?
つるしま:イラストの仕事がメインなので、あんまりイベントに出ちゃうと、そこがおろそかになっちゃうんで。それを両立できる上手い方法を見つけたいなと思ってますけど。その辺に関して計画していることもあるので、今後を楽しみにしていてもらえたらと思います。
――それは期待できますね。エンターテイナーになりたいというのは「人を楽しませたい」という気持ちが根っこにあるからですか?
つるしま:はい。イラストを描いているそもそもの理由もそこにあると思うんですけど。誰かを楽しい気持ちや幸せな気持ちにする少しの手助けをしたいんです。イラストを見て「今日1日がちょっと楽しくなったな」って思ってもらえたらいいなって。例えば、暗いモチーフのイラストにしても「これを見てちょっと気持ちがラクになった」とか「自分の気持ちを代弁してくれてる」って思ってくれてる人もいると思うんです。何て言うんですかね……誰かの心の不安とか、悩みとか、ちょっとでも解消する手助けになれたらいいなって。そういうふうに小学校の頃からずっと思ってます。
――すごいですね。小学校の頃から!
つるしま:文集にも書いてあったんですよ、「人を楽しくさせたい」って(笑)。
――その手段が、当初の漫画というものから形を変えてイラストになったんですね。
つるしま:そうですね。まぁ、媒体はそんなにこだわってなくて何でもよかったんですけど。絵を描くのが好きだったし、家という身近な環境にたまたま絵があって。漫画も小さい頃から親に渡されたものを読んでいたので、漫画しか視野になかっただけなんですよね。その視野が広がるタイミングがあって、その時に「あぁ、漫画じゃなくてもいいんだ」って思ったんです。そこからイラストに転向した感じですね。
――その“視野が広がるタイミング”って聞いてもいいですか?
つるしま:全然大丈夫です。あの、数年前に弟が亡くなっちゃったんですよ。そこで、家の事情で正社員にならなくてはいけなくなって。その当時やっていた漫画家のアシスタントって、パートみたいなもので正社員じゃないんですよ。そうすると辞めなきゃならないんですが、その頃はアシスタントをすることで漫画家に近付いてる気がしてたので「それを辞めてどこかで正社員になるんだったら、もう絵なんて辞めてやる」って気持ちでした。もう絶望してましたね。
それで仕事を探すうちに、Webデザイナーの事務所に履歴書を送ったんです。全然Webデザインなんてやったことないんですけど。面接の時に「何か成果物を持ってきてくれ」って言われたんですが、Webデザインは未経験だし、とりあえず自分ができることをアピールしようと思ってイラストを持って行ったんですね。
そうしたら「新事業でイラストレーターが欲しいから、イラストレーターとして入ってくれないか」って言われて、結局イラストをやることになり。そこで「あ、漫画じゃなくても楽しいんだ」って気付きました。イラスト描けたらいいんだなって。それが本当に人生の転機みたいなものだったなと思います。社長にも感謝してますし。
――そこで新しい道が見えたんですね。
つるしま:そうですね、その会社で正社員にもなれたわけですし。フリーの仕事は副業としてやってたんですけど、だんだん忙しくなったのもあって、今は会社を辞めてフリーランスになったという感じです。
――今後やってみたいことや、目標はありますか?
つるしま:目標ですか。うーん。大きな目標はまだ言えないんですけど、小さいことで言うなら、これからも今まで応援してきてくれた方が継続して応援してくれるようなものを提供していきたいなって思ってます。
――ちなみに「自分もイラストをやってみたい、描けるようになりたい」っていう方への、アドバイスは何かありますか?
つるしま:よく言う話ではあるんですけど、数を描くことだと思います。あとは、自分の好きなものやイラストをよーく見る。そして「どういうふうに描いたらこうなるのか」を考えて試してみることで、自分の中に取り入れることが大切だと思います。
――DOMOは静岡県をメインとした媒体なんですが、イベントで静岡にも行ったことはありますか?
つるしま:ありますよ!本当に全国でやってるので。
――静岡のイメージは?
つるしま:ももいろクローバーZですかね。あとは、茶畑。それから「さわやか」が美味しい。レアめのハンバーグが好きなので、「さわやか」のげんこつハンバーグは静岡に行ったら食べます。
――最後に、今頑張っている学生さんへの応援メッセージをお願いします。
つるしま:そんな大層なことは言えないですけど、自分が思ってるのは「どんなに廻り道しても、真にやりたいことを持っていれば、物事はそれが叶うほうに進んでいく」ってことです。だから、やりたいことがあったらそれを大切にして、ずっとやりたいと思い続けることが大事なんじゃないかと思いますね。
自分の描くものを通じて人を楽しくさせたいという、つるしまたつみさん。一度は筆を折ろうとした彼だからこそ、「やりたいことがあるのなら、それを大切にして強い気持ちを持ち続けることが大事」という言葉が強く心に響きます。現在計画中のプロジェクトもあるとのことで、今後の展開にも要注目ですね。
取材・文:古原孝子
Photo:くさかべまき
ツイッターでは女子高生みたいなキャラクターでやってるので
――イベントでは今までにどんな都市に行かれました?
つるしま:いやぁ、けっこう行きましたね。イベント自体がある程度大きな都市で開かれるんですけど、北海道・新潟・仙台・名古屋・大阪・福岡……とかまぁいろいろ。
――全国各地ですね。フォロワーさんも、いろんな地方にいらっしゃるんですか?
つるしま:そうですね。若い方が多いので、東京でばかりイベントをやっていても、あんまり会いに来てもらえないじゃないですか。そこで、顔を合わせる機会を増やしたいなという思いもあって、地方に飛ぶようにしてます。
――会場ではこんな感じにフレンドリーにお話しされてるのかと思うんですけど、ファンの方はびっくりされたりしませんか?
つるしま:ツイッターでは女子高生みたいなキャラクターでやってるので、多分そんなには驚かないんじゃないかなと思います。
――ツイッターで見かけたイベントの感想に「すごくかわいい絵だから、行ってみたら男の人でびっくりした」というのがありまして(笑)。
つるしま:ツイッターでは「17歳女子高生で、顔出ししてる男の人は彼氏」っていう設定でやってるんですよ(笑)。それが設定だと分かって来てくれてる方には、僕が男だと分かると思うんですけど、知らない方からは女性が描いてると思われることが多いですね。
アイドルの似顔絵を描いてくださいってお願いされます。
――男性の方もイベントにはいらっしゃいますか?
つるしま:アイドルのファンの方が来てくださって、僕がその場で似顔絵を描くイベントでも、そのアイドルの似顔絵を描いてくださいってお願いされます。
――自分の顔を描いてもらうのではなく、推しメンの顔を描いてもらうとはナイスアイデアですね。ちなみに、ツイッターなどを通じてファンの方が増えたとのことですが、そこから徐々に名前が広がることでお仕事が来るようになった面もありますか?
つるしま:それはある気がします。本当はそうじゃないと思うんですけど、外見上では“ツイッターのフォロワー数が多いほど有名”みたいなイメージってあると思うので。そういうところから依頼してくださったりっていう方も、中にはいるかもしれないですね。
ただ今の自分が描きたいものを描いてるという感覚ですね。
――初期のお仕事では本の挿絵で民族衣装なども描かれていましたが、ジャンルは問わず描いていこうという気持ちはあるんですか?
つるしま:依頼をいただいて、面白そうだったらお受けしたいと思ってます。今の自分の描きたいものと、合っていたりすれば。
――では特に細かくこだわることなく、「何かあったら相談していただければ」っていう気持ちなんですね。
つるしま:そうですね。僕の作風は「夢カワ(=夢カワイイ)」みたいな感じに言われることが多いんですけど、自分自身ではそう思ってなくて。特にジャンルにこだわってるつもりはなく、ただ今の自分が描きたいものを描いてるという感覚ですね。
エンターテイナーみたいな感じになりたいです。
――先ほど“ファンの方と顔を合わせる場を増やしたい”とのことでしたが、つるしまさんのホームページにある「今会えるイラストレーター」という言葉、これをコンセプトにしているのはどういう思いからなんでしょう?
つるしま:肩書きはちょっとふざけた感じなんですけど。今、YouTubeやニコニコ動画といったソーシャルプラットフォームを使うことで、一般の人が個を発信できる場がかなり多くなってきていますよね。そして、それを見るユーザーの方にとっても、発信されたものを受け入れやすい環境になってきている。そんな中でここ数年はイラストに関しても、作品だけを見るのではなく、その中の描き手個人の魅力を見てくれる人がだんだん増えてきてると感じていて。僕もそういう風になれたらいいなと思ってるんです。
――「この人がこれを描いてるんだな」と、その作品の奥まで見て欲しいと。
つるしま:そうですね。イラストだけじゃなくて、描いている個人も含めてのエンターテイメントというか。だから、イラストレーターと言えるのか分からないですけど。まぁ言葉にするならば、エンターテイナーみたいな感じになりたいです。
誰かを楽しい気持ちや幸せな気持ちにする少しの手助けをしたいんです。
――なるほど。では、今後はイラストを発表していくだけではなく、もう少しちがった形でもファンの方と会えたらという気持ちはありますか?
つるしま:イラストの仕事がメインなので、あんまりイベントに出ちゃうと、そこがおろそかになっちゃうんで。それを両立できる上手い方法を見つけたいなと思ってますけど。その辺に関して計画していることもあるので、今後を楽しみにしていてもらえたらと思います。
――それは期待できますね。エンターテイナーになりたいというのは「人を楽しませたい」という気持ちが根っこにあるからですか?
つるしま:はい。イラストを描いているそもそもの理由もそこにあると思うんですけど。誰かを楽しい気持ちや幸せな気持ちにする少しの手助けをしたいんです。イラストを見て「今日1日がちょっと楽しくなったな」って思ってもらえたらいいなって。例えば、暗いモチーフのイラストにしても「これを見てちょっと気持ちがラクになった」とか「自分の気持ちを代弁してくれてる」って思ってくれてる人もいると思うんです。何て言うんですかね……誰かの心の不安とか、悩みとか、ちょっとでも解消する手助けになれたらいいなって。そういうふうに小学校の頃からずっと思ってます。
――すごいですね。小学校の頃から!
つるしま:文集にも書いてあったんですよ、「人を楽しくさせたい」って(笑)。
――その手段が、当初の漫画というものから形を変えてイラストになったんですね。
つるしま:そうですね。まぁ、媒体はそんなにこだわってなくて何でもよかったんですけど。絵を描くのが好きだったし、家という身近な環境にたまたま絵があって。漫画も小さい頃から親に渡されたものを読んでいたので、漫画しか視野になかっただけなんですよね。その視野が広がるタイミングがあって、その時に「あぁ、漫画じゃなくてもいいんだ」って思ったんです。そこからイラストに転向した感じですね。
「漫画じゃなくても楽しいんだ」って気付きました。
――その“視野が広がるタイミング”って聞いてもいいですか?
つるしま:全然大丈夫です。あの、数年前に弟が亡くなっちゃったんですよ。そこで、家の事情で正社員にならなくてはいけなくなって。その当時やっていた漫画家のアシスタントって、パートみたいなもので正社員じゃないんですよ。そうすると辞めなきゃならないんですが、その頃はアシスタントをすることで漫画家に近付いてる気がしてたので「それを辞めてどこかで正社員になるんだったら、もう絵なんて辞めてやる」って気持ちでした。もう絶望してましたね。
それで仕事を探すうちに、Webデザイナーの事務所に履歴書を送ったんです。全然Webデザインなんてやったことないんですけど。面接の時に「何か成果物を持ってきてくれ」って言われたんですが、Webデザインは未経験だし、とりあえず自分ができることをアピールしようと思ってイラストを持って行ったんですね。
そうしたら「新事業でイラストレーターが欲しいから、イラストレーターとして入ってくれないか」って言われて、結局イラストをやることになり。そこで「あ、漫画じゃなくても楽しいんだ」って気付きました。イラスト描けたらいいんだなって。それが本当に人生の転機みたいなものだったなと思います。社長にも感謝してますし。
――そこで新しい道が見えたんですね。
つるしま:そうですね、その会社で正社員にもなれたわけですし。フリーの仕事は副業としてやってたんですけど、だんだん忙しくなったのもあって、今は会社を辞めてフリーランスになったという感じです。
――今後やってみたいことや、目標はありますか?
つるしま:目標ですか。うーん。大きな目標はまだ言えないんですけど、小さいことで言うなら、これからも今まで応援してきてくれた方が継続して応援してくれるようなものを提供していきたいなって思ってます。
――ちなみに「自分もイラストをやってみたい、描けるようになりたい」っていう方への、アドバイスは何かありますか?
つるしま:よく言う話ではあるんですけど、数を描くことだと思います。あとは、自分の好きなものやイラストをよーく見る。そして「どういうふうに描いたらこうなるのか」を考えて試してみることで、自分の中に取り入れることが大切だと思います。
「さわやか」のげんこつハンバーグは静岡に行ったら食べます。
――DOMOは静岡県をメインとした媒体なんですが、イベントで静岡にも行ったことはありますか?
つるしま:ありますよ!本当に全国でやってるので。
――静岡のイメージは?
つるしま:ももいろクローバーZですかね。あとは、茶畑。それから「さわやか」が美味しい。レアめのハンバーグが好きなので、「さわやか」のげんこつハンバーグは静岡に行ったら食べます。
――最後に、今頑張っている学生さんへの応援メッセージをお願いします。
つるしま:そんな大層なことは言えないですけど、自分が思ってるのは「どんなに廻り道しても、真にやりたいことを持っていれば、物事はそれが叶うほうに進んでいく」ってことです。だから、やりたいことがあったらそれを大切にして、ずっとやりたいと思い続けることが大事なんじゃないかと思いますね。
自分の描くものを通じて人を楽しくさせたいという、つるしまたつみさん。一度は筆を折ろうとした彼だからこそ、「やりたいことがあるのなら、それを大切にして強い気持ちを持ち続けることが大事」という言葉が強く心に響きます。現在計画中のプロジェクトもあるとのことで、今後の展開にも要注目ですね。
取材・文:古原孝子
Photo:くさかべまき
関連するワード