
ドーモプラスがブレイク期待のアーティストを定期的に紹介!今回は、結成1年未満にも関わらずSUMMER SONIC 2016、METROCK ZEROに出演した名古屋のエモーショナルギターロックバンド“バンドハラスメント”のインタビューをお届け! 新しいアルバムの発売も控え、注目必須の彼らに迫りました。
――まず、バンドハラスメント結成のきっかけについて教えてください。
斉本:僕とはっこー君は小学校から一緒で、中学校の同級生だったんですよ。それで中学3年生くらいの時にバンドやろうぜってなったのがきっかけですね。ギターのワタ君は高校の先輩。僕が高校2年の時に井深じゃないボーカルと4人でやってました。その頃は別に夢とか、どうなりたいとかもなかったですね。その後、ボーカルがやめちゃって、井深君を誘いました。
――今のバンドハラスメントの形になったのは、いつ頃ですか?
ワタさん:2015年の10月くらいなんで、1年半前くらいです。
――それまでは前身バンドで動していたけども、ボーカルチェンジを経てバンドハラスメントとして活動を再開されたんですね。
斉本:そうですね。前身バンドから数えて井深が2人目のボーカル。僕が大学1年生の時に色々あって、前任のボーカルが脱退することになって…。
ワタさん:音楽性が合わなかったっていうのはあるよね。
はっこー:年齢差とかもありつつ。先輩だったので、それこそバイトの生活リズムが合わなかった!
斉本:たしかに。あの頃は夜しか時間が合わなかったね。
――どのような経緯があって井深さんを誘ったんですか?
斉本:あの…、真面目な話をいうと、僕が作った曲を表現できるのがコイツしかいなかったんで誘ったって感じでしたね。他のバンドのボーカルで、引き抜きました。まぁ、井深のバンドも解散しそうだったしね。
井深:僕は出身が岐阜なんですけど、名古屋に出てきたくて。どっちみち解散するつもりではいたので、あの時はタイミングがぴったりだった。
――運命の出会いみたいな感じですね。
井深:そうですね。
斉本:運命の出会いですね、実に。実に運命の出会い。
――そもそも中学3年生でバンドをやろうと思ったきっかけはなんだったのですか?
斉本:僕は、はっこー君と同じラグビー部に所属してて。なんていうんだろう…、カーストが部内で低めだったっていうか(笑)。上位の人たちがバンドをやるってことだったので、下の人たちもやるか!って(笑)
はっこー:2バンドできたという(笑)
――それは打倒スクールカースト上位バンド!みたいな感じだったんですか?
斉本:色々あったんすよ。はっこーヤンキーだったしね(笑)
はっこー:え、ヤンキーでカースト低いのは嫌なんだけど(笑)。ヤンキーではないですよ(笑)
斉本:めちゃくちゃ陰キャラでした。
はっこー:陰キャラでした、本当に。
――ステージでキラキラしているみなさんとは、真逆な感じがしますよね。
はっこー:今でも陰キャラだよね(笑)
斉本:陰キャラっす。僕ら友達いないですもん、本当に。このメンバーしかいないです。
はっこー:バンドやってたら友達できないっていうのはあるよね。
斉本:ライブばっか誘いすぎてな。もう友達じゃなくなる(笑)
はっこー:ラインがライブの誘いばっかりになって、全部シカトされて。
斉本:友達なんかいないっす。あ、でも、ボーカルは友達いるんですよ。
井深:僕は、友達めっちゃ多いっすね。
はっこー:それこそカースト上位の人。
――バンドハラスメントのスクールカースト上位感をつかさどっているのは、井深さんなんですか?
井深:そういうわけでもないっすよ(笑)
斉本:一応年齢は1番下だからね。
――影響をうけたアーティストは、どなたですか?
はっこー:BUMP OF CHICKENです。
井深:なんだろうなー。ONE OK ROCK、Mr.Childrenとか聴いてましたね。
ワタさん:僕はセッション系の音楽とかが好きでした。ギタリストが好きだったんで、ジェフ・ベックとか。
斉本:僕は、あんまり聴かないので…。ないですね(笑)
はっこー:ガチであんまり音楽聴かない。
――以前のインタビューでは、oasisなどを聴くと拝見したのですが…。
斉本:oasisは家の車で、ずっと流れてました。親が好きだから流れてただけで、知ってるくらいですかね。 THE BEATLES、oasis、奥田民生さんとか。
――曲作りは自分たちでされてますよね?
斉本:そうですね。基本的に僕がやって、アレンジとかをワタさんにやってもらったりしてます。
――斉本さんは、ドラム以外も演奏できるということですか?
はっこー:ギターやってたもんね。
斉本:って感じです。あんまりバンドが好きじゃないんで、この人に憧れてこうなりたくてバンドやってます、って言えないんですよね。それこそコアなバンドをバシって言えたら、かっこいいんでしょうけど(笑)。ふわっとしてますね、うちのバンドは全体的に。
――明確な目標がなくても、いい曲や歌詞が作れるのは斉本さんの凄さですよね。
斉本:元カノが好きなんで、それについて曲を書いてます。引きずってるんで。曲を書いてないで占い行こうっと(笑)
――でもバンドハラスメントとして1番最初にネットにあげた音源は、恋愛とは無関係の反骨精神むき出しのラウド系でしたよね?
斉本:そうですね。でもラウド系をやりたかったっていうよりは、ライブで盛り上がれるような曲を作りたいなって思って作りました。そしたら滑って(笑)。2曲目から俺らの好きなジャンルの曲に戻しましたね。
――好きなジャンルとしては、 J-ROCKですか?
斉本:J-ROCKとは言われたくないですね。ピンボーカルのバンドだけど、やってることはギターロックとそんなに変わらないと思ってて。使っているギターが、曲によってエレキじゃなかったりとかはあるんですけど…。基本はギターロックがいいなぁって思っちゃったり。
――では、歌ものですか?
斉本:歌ものでもいいです。J-ROCKはちょっと嫌だなってくらいです。
――MCでは「夢を追っている人を応援していきたい!」などとお話されると伺ったのですが、そういうものを歌っていく予定はないんですか?
斉本:MCは基本的にボーカルがやってるんで、ボーカルが言いたいことを言ってるって感じですね。
井深:そうですね。
斉本:夢を応援していこう!みたいな曲が僕は響かなかった人なんで。それこそバンドに憧れてないし。作れって言われたら作れますけど、たぶん内容が薄くなるんでやめておきます。
――本当に思ってることしか書けない…ということですね。
斉本:基本的に僕らのバンドのコンセプトに“嘘はつかない”っていう、幼稚園児が習うような単純なことがあって。嘘はつかないで、嘘で幸せにするんだったら本音を言って不幸にしよう。っていうぐらいのスタンス。それでツイッターが炎上したりとかするんですけど(笑)。だから僕らが夢を叶えた時に、そういうことは書けるようになるのかなって思います。今の僕らが書いても説得力がないっていうか。僕らが言えるのは、大人はクソってことと(笑)。あと、俺たちの恋愛観はこうだぞ!とか、そういうことですね。
――先ほどバンドに対して“夢などなかった”というお話があったかと思うのですが、具体的に“夢”を意識し始めたのはいつ頃ですか?
斉本:つい最近ですね。あ、有名になろうっていうのはずっとあった。
はっこー:なんか意識のレベルが変わったって感じですね。覚悟というか。
斉本:前は「女かバンドか」って言われたら女だったんですけど、今はバンドです。それくらいの覚悟の違いですね。夢になりました。高校生の時はやっぱり違ったよね、彼女が好きだった。
――「音楽で食べていくぞ」といった感じなんですか?
斉本:「食べていくぞ」は、あんまり思わない。
はっこー:食べれなくても(笑)
斉本:楽しいっていうか…。遊び!遊びでやりたいです、ずっと。この4人で、やりたい何かを、って感じですね。まぁ、それがバンドなんですけど。YouTuberではない(笑)
井深:好きだけどね、毎日見てるけどね(笑)
――現時点での夢はなんですか?
斉本:夢については、井深君があの…(笑)
井深:現時点での…夢。とりあえず、まだワンマンライブをしたことがないので、そのワンマンを成功させたい。あと、作品を出すごとに自分たちのことを知ってくれてる人が少しずつ増えて、各地を回ってより多くの人に知ってもらって、最終的にそういう形でもワンマンができればいいなっていうのはありますね。
――2016年、METROCK ZERO等のイベント出演や全国ツアーがあったかと思うのですが、振り返ってみていかがですか?
斉本:運がよかった。
はっこー:わりと(笑)
井深:流れがよかった。
斉本:運がよかったんで…。占い師のところにいきます(笑)
井深:まぁ、楽しかったね。
斉本:もう、この4人じゃないとバンドやる気ないんで全員が。ボーカル抜けたり、ギター抜けたり、ベース抜けたり、ドラム抜けたり。そうしたら、もうやめるってみんなの中でもう決めてるので。それが確認できたというか、そう思えた1年でしたね。
――現在、アルバイトはされていますか?
斉本:してないですね。やめました。
井深:やめました。
斉本:もう、貧乏でもね。音楽で食ってるわけでもないんですけど、今はみんな貯金で頑張ってます。ちょっと制作がかぶって、みんなバイトやめたって形なんです。
――では制作期間が終わったら、またアルバイトを再開されるんですか?
斉本:僕たち、毎日ずっと一緒にいるんですよね。朝から晩まで。自分でいうのもあれなんですけど、僕ら年が若いから勝てないんですよ、先輩に。勝つためにはバイトできないっていうか、練習しないといけないんで。それで頑張ってます。
――以前は何のアルバイトをされてましたか?
斉本:前は、宅配をやってましたね。
はっこー:僕は、ライブハウスで働いてました。照明とかPAとか。あとは、バーカウンターもやってました。
井深:飲食店でホールやってました。
ワタさん:僕、楽器屋です。
斉本:ワタ、就職した話はしなくていいの?(笑)
ワタさん:僕、実は専門学校を卒業した後にギター講師として働いてたんですけど、やめたんです(笑)
斉本:僕らが辞めさせた(笑)。ある時、バンドが頑張って行こう!ってなったんですよ。そしたら次の日にワタさんが「仕事辞めてきたからー」って言って(笑)。「がんばろうなー!!」って。みんなで名古屋の今池にあるすき家で飯食ってたらいきなりですよ?(笑)
はっこー:俺ら3人「えーっ!!!」ってなっちゃって(笑)
――もし次にやるなら、何のアルバイトをしてみたいですか?
斉本:次にやるなら…、次やるならかぁ。居酒屋で働いてみたいですね。ホールがいいなぁ。
はっこー:僕は個人のカフェとかで働いてみたい。マニュアル化されてるところはけっこうきついんで、個人のオシャレなカフェみたいな(笑)
井深:俺も飲食店のホールかな。ホールが好き。人と会話をしている分、働いてる感がない。
斉本:ただ笑顔がきつい。
井深:それはわかる(笑)
ワタさん:僕はスーパーとかの裏の…。
斉本:品出し?
ワタさん:そう!ああいうやつやってみたい。
――バンドハラスメントは名古屋を拠点とするバンドですが、よく出ているライブハウスはどちらになるんですか?
斉本:あんまり決まってないですね。ホームはおいてないです。
――それは何か理由があるんですか?
斉本:特に理由はないんですけど、あんまり馴染めないんですよ。しいていうなら、仲がいいのは今池にあるリフレクトホールっていうところかな。
はっこー:僕がバイトしていたところです。
斉本:そうそう。そこの人とは良く話します、たくさん。
はっこー:めっちゃ出るわけではないけど、なんか話すみたいなね。
斉本:店長さんの年が近いんで、色んな遊びを教えてもらったり。
――名古屋で遊ぶときは、どこに行くんですか?
斉本:名古屋で遊ぶ日がないって言ったら、忙しいアピールみたいになっちゃうんですけど…。基本的には遊びにいきたいと思わない人たちが集まってるんで(笑)。どっか行きたいと思う?
ワタさん:まじで思わない…。
斉本:だったら寝てえしな(笑)
はっこー:YouTube見てるのが楽しい!
斉本:そうそうそうそう。YouTuber見てるのが一番楽しい。
井深:ど陰キャラ(笑)
斉本:陰キャラバンドなんで。
――静岡には行ったことありますか?
井深:個人的には。
斉本:行ったことないんですけど、さわやかには行ってみたいよね。名古屋から東京に行くのに、ほぼ静岡じゃないですか。静岡って広いなぁ、と思いますね。
はっこー:あ、沼津って静岡ですよね?沼津は行ったことあります。水族館に行ったことがあります。
井深:僕は浜松とかよく行きますよ。いとこがいるので。
斉本:あと静岡といえば、駿河湾沼津のサービスエリアでしょ。
はっこー:よく行くね。
斉本:よく寄るんですけど、女子大生がめちゃめちゃ多いんですよ。最高っす。最高っす!最&高ですね。
ワタさん:きゃりーぱみゅぱみゅ…(笑)
斉本:静岡にはライブで行ったことないので、いつか行けたらいいですね。
――バンドマンとしては、さわやかを食べるために静岡行きたい!みたいな流れってありません?(笑)
井深:さわやか本当に美味しいですよ!なんか、肉汁がすごい。あらびき感がちょっと雑っていうか…。なんで俺こんなこと言ってるんだ(笑)
斉本:基本的に井深君とはっこー君、ワタもだっけ?ツアーとか行くと、こいつらは絶対にその地方のものを食べたい人なんですよ。
はっこー:でも、佳朗(斉本)は絶対にチェーン店派なんですよ。ココイチとかマックとかコンビニとか。
斉本:絶対にチェーン店!もうめんどくさいっていう。
井深:冒険したくない人だよね。
はっこー:それこそ1日ツアーでオフとかあっても、どこにも行かないで引きこもってて(笑)。佳朗を置いて3人だけで旅行するみたいな。
ワタさん:広島に行った時は1番ひどかったよね。
井深:広島はひどかった(笑)
斉本:家で一日中寝てる、みたいな。興味ないんですよね、あんまり。旅とか旅行とかに。
――ではツアーで地方を回るときは、本当にライブを楽しみにして動いている感じなんですね!
斉本:そうです!(笑)。そういうことにしておいてください(笑)
ワタさん:いい方向にもっていってもらえたね(笑)
斉本:それこそ僕らは嘘をつかないんで、適当なことは言いたくないんですよね。「待ってろ!」みたいな。そんな前向きなことばっかりを言うバンドにはなりたくないです。
――ではドーモプラス読者の、頑張っている学生さんに向けてメッセージをください。
斉本:僕らがいま大学生なんで偉そうな感じになっちゃうから嫌なんですけど、親不孝なことはやめろ。
はっこー:間違いない。
斉本:別の道もあったなとは思ってる。なんていうんだろ…、悪口しか思い浮かばない(笑)
井深:僕は友達によく「やりたいことがみつからない」とか「やりたいことをやっているから、見ていて羨ましい」とか言われるんですよね。やりたいことを見つけるのに必死になってるとか言うんですけど、みんな本当は好きなこととかあったはずだし、僕らはその延長線上なんで。そういうのを見てると、探すのに必死にならずに自分の気持ちに素直になればいいんじゃないかなって思います。もちろん自分の将来を考えて努力してる人もすごいなって思うので、そのどっちかを見定められればいいんじゃないかな。僕らはたまたま、自分たちのやりたい道を素直に進んでるだけなんで。
斉本:そういうことだよね。だから、やりたいことが見つかったやつが偉いってわけでもないし、今見つからなくてもこれから徐々にみつかっていくと思う。それこそバイト先の人から影響を受けたことだっていくらでもあるし。バイトってめっちゃ大事だよね。
はっこー:超大事。
井深:アルバイトを通して自分のやりたいことがわかったりね。
斉本:まぁ、あとは親に心配をかけないこと!
はっこー:お母さんに迷惑かけちゃいけないんで。
斉本:あんまりコアなところで働くのはやめましょう、みたいな。栄のコアな場所とかね。お母さん心配しちゃうからね(笑)
――ちなみにバンドハラスメントの、2017年の展望はなんですか?
斉本:ワンマンライブをやります。やりたいライブハウスは決まってて。あそこでやるしかねえな、やりてぇって感じ。そんな大きくはないんですけど、こだわりがあるので。初めて好きになろうと思ったライブハウスなんです。これから好きになるって意味もこめて、そこでやります!やっと制作期間が終わって音源もバンバン出していくので、楽しみにしていてください。
自分の中にある「好き」という感情と向き合うのは、簡単そうに見えて思いのほか難しい。思い当たる節はないでしょうか。自分の中にある「好き」を誰かの「好き」と比較し、「対して好きじゃなかったのかもしれない」と封をしてしまった経験に。だからこそ、バンドハラスメントがとても眩しく見えました。自分の好きなことに自信を持ち、嘘をつかず真っすぐ音楽をしている彼らの姿が。彼らのライブには、音楽には、そんな輝きが限界値まで詰め込まれています。ぜひその極限の輝きを、ライブに足を運ぶことで五感に刻み込んでください。
取材・文:坂井彩花
Photo:伊藤由岐
実に運命の出会い(斉本)
――まず、バンドハラスメント結成のきっかけについて教えてください。
斉本:僕とはっこー君は小学校から一緒で、中学校の同級生だったんですよ。それで中学3年生くらいの時にバンドやろうぜってなったのがきっかけですね。ギターのワタ君は高校の先輩。僕が高校2年の時に井深じゃないボーカルと4人でやってました。その頃は別に夢とか、どうなりたいとかもなかったですね。その後、ボーカルがやめちゃって、井深君を誘いました。
――今のバンドハラスメントの形になったのは、いつ頃ですか?
ワタさん:2015年の10月くらいなんで、1年半前くらいです。
――それまでは前身バンドで動していたけども、ボーカルチェンジを経てバンドハラスメントとして活動を再開されたんですね。
斉本:そうですね。前身バンドから数えて井深が2人目のボーカル。僕が大学1年生の時に色々あって、前任のボーカルが脱退することになって…。
ワタさん:音楽性が合わなかったっていうのはあるよね。
はっこー:年齢差とかもありつつ。先輩だったので、それこそバイトの生活リズムが合わなかった!
斉本:たしかに。あの頃は夜しか時間が合わなかったね。
――どのような経緯があって井深さんを誘ったんですか?
斉本:あの…、真面目な話をいうと、僕が作った曲を表現できるのがコイツしかいなかったんで誘ったって感じでしたね。他のバンドのボーカルで、引き抜きました。まぁ、井深のバンドも解散しそうだったしね。
井深:僕は出身が岐阜なんですけど、名古屋に出てきたくて。どっちみち解散するつもりではいたので、あの時はタイミングがぴったりだった。
――運命の出会いみたいな感じですね。
井深:そうですね。
斉本:運命の出会いですね、実に。実に運命の出会い。
今でも陰キャラだよね(笑)(はっこー)
――そもそも中学3年生でバンドをやろうと思ったきっかけはなんだったのですか?
斉本:僕は、はっこー君と同じラグビー部に所属してて。なんていうんだろう…、カーストが部内で低めだったっていうか(笑)。上位の人たちがバンドをやるってことだったので、下の人たちもやるか!って(笑)
はっこー:2バンドできたという(笑)
――それは打倒スクールカースト上位バンド!みたいな感じだったんですか?
斉本:色々あったんすよ。はっこーヤンキーだったしね(笑)
はっこー:え、ヤンキーでカースト低いのは嫌なんだけど(笑)。ヤンキーではないですよ(笑)
斉本:めちゃくちゃ陰キャラでした。
はっこー:陰キャラでした、本当に。
――ステージでキラキラしているみなさんとは、真逆な感じがしますよね。
はっこー:今でも陰キャラだよね(笑)
斉本:陰キャラっす。僕ら友達いないですもん、本当に。このメンバーしかいないです。
はっこー:バンドやってたら友達できないっていうのはあるよね。
斉本:ライブばっか誘いすぎてな。もう友達じゃなくなる(笑)
はっこー:ラインがライブの誘いばっかりになって、全部シカトされて。
斉本:友達なんかいないっす。あ、でも、ボーカルは友達いるんですよ。
井深:僕は、友達めっちゃ多いっすね。
はっこー:それこそカースト上位の人。
――バンドハラスメントのスクールカースト上位感をつかさどっているのは、井深さんなんですか?
井深:そういうわけでもないっすよ(笑)
斉本:一応年齢は1番下だからね。
J-ROCKとは言われたくないですね(斉本)
――影響をうけたアーティストは、どなたですか?
はっこー:BUMP OF CHICKENです。
井深:なんだろうなー。ONE OK ROCK、Mr.Childrenとか聴いてましたね。
ワタさん:僕はセッション系の音楽とかが好きでした。ギタリストが好きだったんで、ジェフ・ベックとか。
斉本:僕は、あんまり聴かないので…。ないですね(笑)
はっこー:ガチであんまり音楽聴かない。
――以前のインタビューでは、oasisなどを聴くと拝見したのですが…。
斉本:oasisは家の車で、ずっと流れてました。親が好きだから流れてただけで、知ってるくらいですかね。 THE BEATLES、oasis、奥田民生さんとか。
――曲作りは自分たちでされてますよね?
斉本:そうですね。基本的に僕がやって、アレンジとかをワタさんにやってもらったりしてます。
――斉本さんは、ドラム以外も演奏できるということですか?
はっこー:ギターやってたもんね。
斉本:って感じです。あんまりバンドが好きじゃないんで、この人に憧れてこうなりたくてバンドやってます、って言えないんですよね。それこそコアなバンドをバシって言えたら、かっこいいんでしょうけど(笑)。ふわっとしてますね、うちのバンドは全体的に。
――明確な目標がなくても、いい曲や歌詞が作れるのは斉本さんの凄さですよね。
斉本:元カノが好きなんで、それについて曲を書いてます。引きずってるんで。曲を書いてないで占い行こうっと(笑)
――でもバンドハラスメントとして1番最初にネットにあげた音源は、恋愛とは無関係の反骨精神むき出しのラウド系でしたよね?
斉本:そうですね。でもラウド系をやりたかったっていうよりは、ライブで盛り上がれるような曲を作りたいなって思って作りました。そしたら滑って(笑)。2曲目から俺らの好きなジャンルの曲に戻しましたね。
――好きなジャンルとしては、 J-ROCKですか?
斉本:J-ROCKとは言われたくないですね。ピンボーカルのバンドだけど、やってることはギターロックとそんなに変わらないと思ってて。使っているギターが、曲によってエレキじゃなかったりとかはあるんですけど…。基本はギターロックがいいなぁって思っちゃったり。
――では、歌ものですか?
斉本:歌ものでもいいです。J-ROCKはちょっと嫌だなってくらいです。
嘘で幸せにするんだったら本音を言って不幸にしよう。っていうぐらいのスタンス(斉本)
――MCでは「夢を追っている人を応援していきたい!」などとお話されると伺ったのですが、そういうものを歌っていく予定はないんですか?
斉本:MCは基本的にボーカルがやってるんで、ボーカルが言いたいことを言ってるって感じですね。
井深:そうですね。
斉本:夢を応援していこう!みたいな曲が僕は響かなかった人なんで。それこそバンドに憧れてないし。作れって言われたら作れますけど、たぶん内容が薄くなるんでやめておきます。
――本当に思ってることしか書けない…ということですね。
斉本:基本的に僕らのバンドのコンセプトに“嘘はつかない”っていう、幼稚園児が習うような単純なことがあって。嘘はつかないで、嘘で幸せにするんだったら本音を言って不幸にしよう。っていうぐらいのスタンス。それでツイッターが炎上したりとかするんですけど(笑)。だから僕らが夢を叶えた時に、そういうことは書けるようになるのかなって思います。今の僕らが書いても説得力がないっていうか。僕らが言えるのは、大人はクソってことと(笑)。あと、俺たちの恋愛観はこうだぞ!とか、そういうことですね。
この4人じゃないとバンドやる気ないんで全員が(斉本)
――先ほどバンドに対して“夢などなかった”というお話があったかと思うのですが、具体的に“夢”を意識し始めたのはいつ頃ですか?
斉本:つい最近ですね。あ、有名になろうっていうのはずっとあった。
はっこー:なんか意識のレベルが変わったって感じですね。覚悟というか。
斉本:前は「女かバンドか」って言われたら女だったんですけど、今はバンドです。それくらいの覚悟の違いですね。夢になりました。高校生の時はやっぱり違ったよね、彼女が好きだった。
――「音楽で食べていくぞ」といった感じなんですか?
斉本:「食べていくぞ」は、あんまり思わない。
はっこー:食べれなくても(笑)
斉本:楽しいっていうか…。遊び!遊びでやりたいです、ずっと。この4人で、やりたい何かを、って感じですね。まぁ、それがバンドなんですけど。YouTuberではない(笑)
井深:好きだけどね、毎日見てるけどね(笑)
――現時点での夢はなんですか?
斉本:夢については、井深君があの…(笑)
井深:現時点での…夢。とりあえず、まだワンマンライブをしたことがないので、そのワンマンを成功させたい。あと、作品を出すごとに自分たちのことを知ってくれてる人が少しずつ増えて、各地を回ってより多くの人に知ってもらって、最終的にそういう形でもワンマンができればいいなっていうのはありますね。
――2016年、METROCK ZERO等のイベント出演や全国ツアーがあったかと思うのですが、振り返ってみていかがですか?
斉本:運がよかった。
はっこー:わりと(笑)
井深:流れがよかった。
斉本:運がよかったんで…。占い師のところにいきます(笑)
井深:まぁ、楽しかったね。
斉本:もう、この4人じゃないとバンドやる気ないんで全員が。ボーカル抜けたり、ギター抜けたり、ベース抜けたり、ドラム抜けたり。そうしたら、もうやめるってみんなの中でもう決めてるので。それが確認できたというか、そう思えた1年でしたね。
次の日にワタさんが「仕事辞めてきたからー」って言って(笑)(斉本)
――現在、アルバイトはされていますか?
斉本:してないですね。やめました。
井深:やめました。
斉本:もう、貧乏でもね。音楽で食ってるわけでもないんですけど、今はみんな貯金で頑張ってます。ちょっと制作がかぶって、みんなバイトやめたって形なんです。
――では制作期間が終わったら、またアルバイトを再開されるんですか?
斉本:僕たち、毎日ずっと一緒にいるんですよね。朝から晩まで。自分でいうのもあれなんですけど、僕ら年が若いから勝てないんですよ、先輩に。勝つためにはバイトできないっていうか、練習しないといけないんで。それで頑張ってます。
――以前は何のアルバイトをされてましたか?
斉本:前は、宅配をやってましたね。
はっこー:僕は、ライブハウスで働いてました。照明とかPAとか。あとは、バーカウンターもやってました。
井深:飲食店でホールやってました。
ワタさん:僕、楽器屋です。
斉本:ワタ、就職した話はしなくていいの?(笑)
ワタさん:僕、実は専門学校を卒業した後にギター講師として働いてたんですけど、やめたんです(笑)
斉本:僕らが辞めさせた(笑)。ある時、バンドが頑張って行こう!ってなったんですよ。そしたら次の日にワタさんが「仕事辞めてきたからー」って言って(笑)。「がんばろうなー!!」って。みんなで名古屋の今池にあるすき家で飯食ってたらいきなりですよ?(笑)
はっこー:俺ら3人「えーっ!!!」ってなっちゃって(笑)
――もし次にやるなら、何のアルバイトをしてみたいですか?
斉本:次にやるなら…、次やるならかぁ。居酒屋で働いてみたいですね。ホールがいいなぁ。
はっこー:僕は個人のカフェとかで働いてみたい。マニュアル化されてるところはけっこうきついんで、個人のオシャレなカフェみたいな(笑)
井深:俺も飲食店のホールかな。ホールが好き。人と会話をしている分、働いてる感がない。
斉本:ただ笑顔がきつい。
井深:それはわかる(笑)
ワタさん:僕はスーパーとかの裏の…。
斉本:品出し?
ワタさん:そう!ああいうやつやってみたい。
静岡にはライブで行ったことないので、いつか行けたらいいですね。(斉本)
――バンドハラスメントは名古屋を拠点とするバンドですが、よく出ているライブハウスはどちらになるんですか?
斉本:あんまり決まってないですね。ホームはおいてないです。
――それは何か理由があるんですか?
斉本:特に理由はないんですけど、あんまり馴染めないんですよ。しいていうなら、仲がいいのは今池にあるリフレクトホールっていうところかな。
はっこー:僕がバイトしていたところです。
斉本:そうそう。そこの人とは良く話します、たくさん。
はっこー:めっちゃ出るわけではないけど、なんか話すみたいなね。
斉本:店長さんの年が近いんで、色んな遊びを教えてもらったり。
――名古屋で遊ぶときは、どこに行くんですか?
斉本:名古屋で遊ぶ日がないって言ったら、忙しいアピールみたいになっちゃうんですけど…。基本的には遊びにいきたいと思わない人たちが集まってるんで(笑)。どっか行きたいと思う?
ワタさん:まじで思わない…。
斉本:だったら寝てえしな(笑)
はっこー:YouTube見てるのが楽しい!
斉本:そうそうそうそう。YouTuber見てるのが一番楽しい。
井深:ど陰キャラ(笑)
斉本:陰キャラバンドなんで。
――静岡には行ったことありますか?
井深:個人的には。
斉本:行ったことないんですけど、さわやかには行ってみたいよね。名古屋から東京に行くのに、ほぼ静岡じゃないですか。静岡って広いなぁ、と思いますね。
はっこー:あ、沼津って静岡ですよね?沼津は行ったことあります。水族館に行ったことがあります。
井深:僕は浜松とかよく行きますよ。いとこがいるので。
斉本:あと静岡といえば、駿河湾沼津のサービスエリアでしょ。
はっこー:よく行くね。
斉本:よく寄るんですけど、女子大生がめちゃめちゃ多いんですよ。最高っす。最高っす!最&高ですね。
ワタさん:きゃりーぱみゅぱみゅ…(笑)
斉本:静岡にはライブで行ったことないので、いつか行けたらいいですね。
――バンドマンとしては、さわやかを食べるために静岡行きたい!みたいな流れってありません?(笑)
井深:さわやか本当に美味しいですよ!なんか、肉汁がすごい。あらびき感がちょっと雑っていうか…。なんで俺こんなこと言ってるんだ(笑)
斉本:基本的に井深君とはっこー君、ワタもだっけ?ツアーとか行くと、こいつらは絶対にその地方のものを食べたい人なんですよ。
はっこー:でも、佳朗(斉本)は絶対にチェーン店派なんですよ。ココイチとかマックとかコンビニとか。
斉本:絶対にチェーン店!もうめんどくさいっていう。
井深:冒険したくない人だよね。
はっこー:それこそ1日ツアーでオフとかあっても、どこにも行かないで引きこもってて(笑)。佳朗を置いて3人だけで旅行するみたいな。
ワタさん:広島に行った時は1番ひどかったよね。
井深:広島はひどかった(笑)
斉本:家で一日中寝てる、みたいな。興味ないんですよね、あんまり。旅とか旅行とかに。
――ではツアーで地方を回るときは、本当にライブを楽しみにして動いている感じなんですね!
斉本:そうです!(笑)。そういうことにしておいてください(笑)
ワタさん:いい方向にもっていってもらえたね(笑)
斉本:それこそ僕らは嘘をつかないんで、適当なことは言いたくないんですよね。「待ってろ!」みたいな。そんな前向きなことばっかりを言うバンドにはなりたくないです。
自分たちのやりたい道を素直に進んでるだけなんで(井深)
――ではドーモプラス読者の、頑張っている学生さんに向けてメッセージをください。
斉本:僕らがいま大学生なんで偉そうな感じになっちゃうから嫌なんですけど、親不孝なことはやめろ。
はっこー:間違いない。
斉本:別の道もあったなとは思ってる。なんていうんだろ…、悪口しか思い浮かばない(笑)
井深:僕は友達によく「やりたいことがみつからない」とか「やりたいことをやっているから、見ていて羨ましい」とか言われるんですよね。やりたいことを見つけるのに必死になってるとか言うんですけど、みんな本当は好きなこととかあったはずだし、僕らはその延長線上なんで。そういうのを見てると、探すのに必死にならずに自分の気持ちに素直になればいいんじゃないかなって思います。もちろん自分の将来を考えて努力してる人もすごいなって思うので、そのどっちかを見定められればいいんじゃないかな。僕らはたまたま、自分たちのやりたい道を素直に進んでるだけなんで。
斉本:そういうことだよね。だから、やりたいことが見つかったやつが偉いってわけでもないし、今見つからなくてもこれから徐々にみつかっていくと思う。それこそバイト先の人から影響を受けたことだっていくらでもあるし。バイトってめっちゃ大事だよね。
はっこー:超大事。
井深:アルバイトを通して自分のやりたいことがわかったりね。
斉本:まぁ、あとは親に心配をかけないこと!
はっこー:お母さんに迷惑かけちゃいけないんで。
斉本:あんまりコアなところで働くのはやめましょう、みたいな。栄のコアな場所とかね。お母さん心配しちゃうからね(笑)
――ちなみにバンドハラスメントの、2017年の展望はなんですか?
斉本:ワンマンライブをやります。やりたいライブハウスは決まってて。あそこでやるしかねえな、やりてぇって感じ。そんな大きくはないんですけど、こだわりがあるので。初めて好きになろうと思ったライブハウスなんです。これから好きになるって意味もこめて、そこでやります!やっと制作期間が終わって音源もバンバン出していくので、楽しみにしていてください。
自分の中にある「好き」という感情と向き合うのは、簡単そうに見えて思いのほか難しい。思い当たる節はないでしょうか。自分の中にある「好き」を誰かの「好き」と比較し、「対して好きじゃなかったのかもしれない」と封をしてしまった経験に。だからこそ、バンドハラスメントがとても眩しく見えました。自分の好きなことに自信を持ち、嘘をつかず真っすぐ音楽をしている彼らの姿が。彼らのライブには、音楽には、そんな輝きが限界値まで詰め込まれています。ぜひその極限の輝きを、ライブに足を運ぶことで五感に刻み込んでください。
取材・文:坂井彩花
Photo:伊藤由岐