
「進路が決まらない」「満員電車で足を踏まれた」……。苦悶・不満がたまりやすい日常の中で、なんとなくやりすごして私たちは生活している。そんな日常を独自の目線で、きらきらと輝かせて歌う2つのバンド。それが越谷の”KOTORI”と府中の”kobore”だ。今回は静岡での対バンライブを控えた、横山(KOTORI)と佐藤(kobore)の対談が実現。両バンドのボーカルの素顔に迫った。
――では初めに今のバンドを結成したきっかけを教えてください。KOTORIは、どういった経緯があったんですか?
横山:もともと高校の時からバンドをしていたんですけど、バンドをするつもりで宮崎から上京しました。東京でバンドをやりたいから、東京の大学に行くって感じでしたね。バンドを組むのにも誰も知り合いがいないからとりあえず軽音部に入ったら、KOTORIのドラムの田代と出会ったんです。その時はオリジナルのバンドのことは考えずに、軽音部でコピーバンドをやっていました。
その3か月後くらいですかね。オリジナルのバンドをやりたいと思っていた時に、田代に「ボーカル探してるんだよね。」って言われたんです。「でも女の子のボーカルがいいんだよね」って言ってて「じゃあ、むりやん!」ってなって(笑)。でも「ツインボーカルっていう手もあると思うんだよ」って言われて、「なんやこいつ」と思いました。とりあえず1回スタジオ入ろうってなって。メンバーの候補にもう一人、女の人がいたんですよ。
うちのドラムとベースは高校の時から一緒にバンドをやってて。そこに僕と女の人が加わる形で、スタジオに入りました。そうしたら、それぞれ1曲ずつ披露する流れになったので、僕はaikoの『カブトムシ』を弾き語りで歌いました。その日は特に何もなく終わったんですけど、やっぱり女の子を入れないで3人でやろうってなったんです。でも、ギターはもう1本欲しいよね、ってなって。その時は軽音部の先輩にサポートギターとして入ってもらいました。ある程度のKOTORIってものができたのは、その時ですね。
その後に、軽音部の違う先輩にサポートギターをしてもらってCDを1枚作りました。それから1年もせずに、その人はやめちゃったので2か月くらいは3ピースで活動していましたね。今までやっていた曲が4人用の曲だったので、ヤバい!ってなって。それで、3ピース用の曲を作ろうと思ってできたのが『19歳』。でもやっぱり4人でやりたくて。その時に、ドラムの田代が今のギターの上坂を連れてきたんです。1回スタジオ入ったら、もう完璧で「これや」って(笑)。今の形に落ち着いたのは、去年の9月くらいかなぁ。
――激動の1年だったんじゃないですか?
横山:そうなんすよ。あいつが入ってから、全力ダッシュしてる感じですもん。なんでこんな風になったのかわからないけど(笑)。すごいっすよね、全然繋がりなかった人と繋がりができてる。
――最近の活動も、とても勢いがありますもんね。
横山:いやいやいや、一般人ですよ(笑)
佐藤:最近、天狗になってるらしいっすよ(笑)
横山:いやー、言われるんすよ。天狗だなって、有名じゃんって(笑)
佐藤:この前Twitterにあがってた、KOTORIのライブ写真が天狗でしたね(笑)
――そういうことを言えちゃうくらい仲がいいんですね。
横山:生意気くらいがいいんすよ。
――koboreは、どういった経緯で結成されたんですか?
佐藤:エモーショナルになるような話はなくて、本当にノリで結成しました(笑)。もともと弾き語り思考だったんですよ。実際『ヨルノカタスミ』に収録されている曲も、自分の弾き語りからできた曲がほとんどで。バンドは、すごいやりたかったです。でも、付いてきてくれるメンバーがいないし、思考の合わない人が多すぎて。だったら一人でやっていくほうが楽かなって思っていましたね。
そんな時に、高校の先輩になる今のギターと高校の後輩になる今のベースが、たまたま僕の弾き語りを見に来てくれたんですよ。その時に2人が「これをバンドでやったらすごいカッコいいんじゃないの」って言ってきて。最初は「嫌だ、弾き語りのほうがかっこいいし」って言ったんですけど、すごいゴリ推しされて(笑)。「そこまで言うなら、やってみる?」みたいな。それがきっかけだったので、最初の頃はドラムがいない形式で活動してました。弾き語り風なアレンジをしながらスタジオに入ってたら、僕も楽しくなってきて。それで、ドラム入れたいよね、って話になったんです。
そんな時に、僕が働いているライブハウスで、偶然会ったのが今のドラム。呼んだバンドにたまたまいて、2年ぶりくらいの再会でした。彼に「歌ものやりたいんだよね」って言われたので誘いました。スタジオに一緒に入ったら、めっちゃ良くて感動しましたね。
――意図せずにできたバンドなんですね。
佐藤:最初は嫌でしたもん、バンド組むの。
横山:すごいと思うわ。僕は、バンドじゃないと生きていけない。一人の力じゃ絶対に無理だと思ってるので。だから、弾き語りの人すごい。
佐藤:僕も最初こそ弾き語りでやっていこうと思っていたんですけど、バンドをやり始めたら、やっぱりバンドがいいなってなりました(笑)。それほどメンバーに助けられてますし、一緒にいる期間が長ければ長いほどバンドになっていくんだなっていうのを、弾き語りをしていたからこそ強く感じますね。
――KOTORIの新しいアルバムである『tokyo』は、とあるアーティストの影響を色濃く受けているとお伺いしましたが、お二人は影響を受けたアーティストはいますか?
横山:『tokyo』は”くるり”の影響が強いですね。J-ROCKが好きなんですよね。バンドをやろうと思ったきっかけも“9mm Parabellum Bullet”だったり。
――意外ですね。KOTORIは歌ものなイメージがあったのですが、最初はテクニカルでエフェクターの効いたバンドを目指していたということですか?
横山:スタートは”サカナクション”になろうと思ってました。その当時は“KANA-BOON”とか“indigo la End”が人気で、流行りに流されてました(笑)
佐藤:ミーハー?
横山:ミーハーというか、ちょっと好きだとめっちゃ好きになっちゃう。その曲ごとに好きだったりするので、影響を受けたアーティストは誰って聞かれると言えないですね。
佐藤:わかる。崇拝しているアーティストはいないですね、いろいろかじっちゃって(笑)。メタルとかデスコアも聴きますし、インストとかジャズとかフュージョンも聴きますし。洋楽もK-POPも聴きます。
――koboreから見たKOTORIって、どんなバンド・音楽ですか?
佐藤:僕はさっきの“KOTORI”が“くるり”の影響を受けているっていうの、すごく納得しましたね。“くるり”は朝起きて朝食を作っているときとかに聴きたくなる日常的な音楽。KOTORIもそういう感じかなって。バイクを乗っているときとかに聴きたい。すっごく悲しくなったときに聴くような感じではなくて、日常の中で聴きたい音楽。
横山:そういう音楽って中々なくないですか?
佐藤:煙草を吸っているときとか、なんにも考えなくていいときに流れてほしい曲がKOTORI。僕は結構そういうイメージですね。
横山:めっちゃいい。僕自身それがないなと思っていて、そういう曲を作れたらいいなと思っていたので。特になにもないけど聴きたくなる曲。
佐藤:そうっすね、『19歳』とか。
横山:ちょっと重くない?『19歳』だと。
佐藤:本来だと題材になっている年齢以外の人が聴いたら、共感って少ないじゃないですか。それなのに、19歳以外の人にも歌われてるから、すごいなって思いますよ。
横山:年齢の曲ってズルいと思うんすよね。だって、その先も後もあるし。未来も過去もあるし。
佐藤:この19ってところがいいですよね。大人なのか大人じゃないのかわからない、この中間。中間好きっすよね、KOTORI。
横山:中間好き(笑)
佐藤:エモいのかハッピーなのかみたいな、この中間。
横山:いろんなアーティストを聴く中で、一か所だけじゃ嫌みたいな感じになったんだよね。ここもかっこいいし、ここもかっこいいって。その結果、真ん中よりになった(笑)
――koboreから見たKOTORIって、どんなバンド・音楽ですか?
横山:僕にないものを持っていると思うんですよ。僕に言えないことを言っちゃう人。僕だったら言えないですもん「愛してる」とか。ここは、僕との大きな差だと思うんですよね。「好き」って言えるか言えないかって。僕は、「好き」って言えないから遠回しになるっていう。なんか変な表現をしちゃって。
佐藤:僕はド直球ですからね(笑)
横山:言えないから、憧れでもありますよね。すげえなコイツって思う。
佐藤:でも、あんな「好き」という表現の仕方を思いつく横山君すごいなって思いますよ?
横山:僕は逃げてる。恥ずかしいじゃないですか(笑)
佐藤:僕は思いつかないです。「好き」っていう言葉が存在しちゃっているから。それでよくない?って。めんどくさがりなんですよね。
横山:ストレートに伝えられるアイツはモテますよ。koboreはモテる音楽で、KOTORIはモテない音楽って感じじゃないですか。実際に僕はモテないし(笑)
佐藤:いやいやいや(笑)
横山:koboreは、かっこいいと思います。ライブ見たんですけど、「良い」とか「感動した」とかあるじゃないですか。でも、「かっこいい」だけなのもまた、ストレートじゃないですか。それもまた、いいなって思いました。
佐藤:めっちゃ嬉しかったですね、見に来てくれて。かれこれ2年間くらい、一方的にKOTORIを見続けてきたので。まさかツアーのサポーターをさせてもらえるとは、思わなかったなぁ。
横山:僕も超たのしみですもん。
――両バンドとも日常を大切に歌い上げるバンドだという印象があるのですが、なぜ日常を歌詞にしようと思ったんですか?
横山:恋愛の歌とか歌えないんですよね。唯一“シャンプー”という恋愛の歌があるんですけど、それも実体験じゃなくて想像で歌詞を書いたし。いま恋愛をしてないからかな(笑)。バンドをしているのが楽しいし、それどころじゃないっていうのもあるけど。僕の友達はKOTORIの歌詞をみたら、僕の日常が全部わかると思いますよ。こんな生活をしてるなっていうのを、その場で思ったことだけ浮かんだことだけをありのままに歌ってます。深いことを考えずに、頭の中に浮かんだことだけ。それが僕の日常だし。
――スッと歌詞に落とし込めるのが<日常>で、その歌詞が気づいたら周りの人に響くものになっていたってことですね。
横山:そうですね。僕、曲を作るときはコード進行から考えるんですよ。コード進行を考えて、とりあえずできたらメロディーと歌詞を同時につけるんです。その時に歌詞は10分くらいあればできますね。
佐藤:えー!僕は絶対に無理ですわ。
横山:10分くらいで書き上げたら、その後に変えたりもしないです。「もうこれやん!」って。その場で思ったことだから、考えるとそれを超えることができないんですよ。
佐藤:それがいいんだろうな。みんなが経験しているようなことを歌にしているから、納得ってことですね。ある意味ストレートじゃないですか。
横山:それはそうだと思う。
佐藤:表現の仕方が違うだけで、どっちもストレート。
横山:koboreはどうしてんの?
佐藤:僕、すっごい悩んじゃうんですよ、歌詞。悩みに悩みぬいて、何回も歌詞を変えます。どうしてもわからない時は、自分で経験したいとか思っちゃうし。本当に経験しないと、そういう歌詞を書けないしライブの説得力も生まれない。等身大の自分の歌詞を書きたいと思っているので、経験していないことを書くと嘘ばっかり並べちゃうことになるんですよね。等身大の自分を書くために、自ら経験しに行っちゃうこともあります。火傷することもありますけど、そういう経験をしている人に伝わればいいなぁって思いますね。でも、ライブは自分のためにやってます(笑)。自分の歌なので。それに共感してくれたら嬉しいなぁ。
――与えられた日常を綴るKOTORIに対して、日常を切り開いて色々な経験を歌おうとするkoboreは対極的ですね。
横山:僕は完全に壁を築いてますから(笑)
佐藤:僕も、ある意味では壁を築いてますよ。ここまでやりすぎたらだめだな、とか。微妙に完全に破壊しない感じ。
――日常は逸脱しないけれども、日常の中の限界地点までの行動を攻めていくんですね。対してKOTORIは、本当に与えられた環境の中での生活を歌っていく感じですよね。
横山:そうっすね。壁の中にある僕の世界を歌っていて、それが外まで届いたらいいかなって。外の世界の人が、僕の世界に入ってきてくれてもいいし。
佐藤:僕は自分の中よりは「もっと誰かのために」っていう感じかもしれないですね。
横山:僕は別に、誰に向かって歌っているわけでもないなぁ。佐藤は歌う時に、誰かを思い浮かべる?
佐藤:浮かべますね。え、浮かべない?
横山:人は思い浮かべないね(笑)。特に人がいない、情景を思い浮かべるんですよね。どの曲をやっている時でも、頭に出てくるのは懐かしい風景とかかな。
佐藤:宮崎の風景とかですか?
横山:そう、地元。でも最近だと思い浮かぶのが、東京の河川敷とかになっちゃったんすよ。かぶれてきてますね(笑)
佐藤:河川敷はまだかぶれてない(笑)。渋谷とかはあれですけど。渋谷にかぶれたら、いよいよっすよ。
横山:都内を思い浮かべることはないなー。
――1人が見ている視点が違うのが面白いですね。KOTORIの横山さんは自分が見ている風景を切り取っているのに対して、koboreの佐藤さんが切り取っているのは自分がいる景色ですよね。
佐藤:そうですね。僕がもう一人いるみたいな。何も思い浮かばない時とか誰も思い浮かばない時は、自分自身を思い浮かべて歌います。こういうことをしてるんだ、こういうことをやらかしたな、とか。でも、だいたいは誰かを思い浮かべますけどね。
横山:絶対に二人以上いるよね、曲の中に。
佐藤:僕以外のもう一人がいて、二人で会話しているような曲も作ったりしました。
横山:だいたい一人ですからね、僕の曲は。羨ましいですよね(笑)
佐藤:いやいやいや、でも僕はKOTORIが作る一人の曲が好きなんですもん(笑)
――お互い違う世界を見ているからこそ、惹かれるところがあるんでしょうね。
佐藤:そうですね。
横山:たしかに。
佐藤:なんか違うんだけど、似てる。違うんですよね、でも同じ感じがしてしまう。何が同じなのかは、深すぎて口では説明できないんですけど。見ていてもなんか似てるなぁって思いますよ。あ、顔じゃなくて(笑)
――先ほどKOTORIの『19歳』という曲の話がありましたが、19歳の後に20歳=成人になりますよね。日常を送る中で「成人」は避けて通れない壁だと思うのですが、二人にとって<大人になる>とは、どういうことでしょうか?
横山:わからないんすよね、僕。
佐藤:僕も。20歳になって『20歳』って曲を作ろうと思って、歌詞を綴って歌ってみたんですよ。でも歌えないし歌詞もでてこなくって。その時に「大人ってなんだ」って思い始めましたね。もう煙草も吸えるし、酒も飲めるし、一通り自分でできるけど。これをステージで歌えないと思った時点で、等身大じゃないなと思っちゃって。経験してない事って言いづらいです。経験したことに関しては、こうだったよって言えるんですけどね。
横山:まじわからない。社会的地位なんですよね、一般的な<大人>というものが。
佐藤:僕らのいる場所って、社会的地位でも大人じゃないよね。大人になりかけじゃん?親にも「もう大人でしょ」って言われるけど、何をどうやったら大人になれるのって感じです。誰かに「大人になれよ」とか「一人暮らししなよ」とか、そういうことを言われると「そういう年齢なんだな」って思うことはあります。でも改まって、自分が大人なのか子供なのかとか考えたら、たぶん死ぬまで考えますね。
横山:抽象的ですよね大人って概念が。これやったら大人っていう、世界共通の何かが欲しい(笑)
佐藤:どっかの民族のやつね(笑)そういう基準が欲しいですよね。あいまいすぎて、抽象的すぎて。
横山:お酒が吞めるようになることとかだと思ってたんですけどね。全然違いましたね。
佐藤:僕も思っていましたね。高校生の時とかは特に。お酒が呑めて煙草も吸えてって。だから大人に憧れて、こういう感じになっちゃったんですけど(笑)。「20歳になったら大人だよ」って世間一般で言われているからこそ、逆に「え、これが大人なの?」っていう迷いがある。だから18・19歳の時とかは全然わからなかったものが、20歳になってどんどん悩みに変わっていく。僕の場合それの放出の仕方が、歌だったりバンドだったりするんですけど。わざと考えないようにしているのかもしれないです、もしかしたら。ずっと子供でもいいやって。「あいつはああいうやつだ」って言われているほうが、「大人だ」って言われるよりは個性的で嬉しいですし。
――今回の静岡が初対バンなんですよね。その事実にとても驚いたのですが、何がきっかけでこんなに仲良くなったんですか?
佐藤:お互いのライブを見に行きあっているうちに、ですかね。僕らがKOTORIを好きで。
――憧れていたんですか?
佐藤:そうですね。憧れてる…「うわ、かっこいいな」って思ってて。対バンしたいなって、ずっと思ってて。僕、KOTORIを知ったの結構早かったんですよ。たぶんkoboreの中でも1番早い。越谷の先輩のツテでKOTORIってバンドがいるんだよっていうことを、高校3年生くらいの時に知って。2年前くらい?
横山:まじで。
佐藤:弾き語りでKOTORIをカバーしている人がいて、そこからKOTORIを聴き始めました。かっこいいなぁって。
――そこからずっと、いつか対バンできればと考えてらっしゃったんですね。
佐藤:そうっすね、ずっと。
――横山さんは、初めて知ったんですか?
横山:全部初めて知った(笑)
佐藤:ドラムの田代さんとは、よく話してるけどね。
横山:佐藤は、うちのドラムと仲いいんすよ。
佐藤:仲がいいというか、1番最初に仲良くなったのが田代さんなんです。ライブを見に来てくれて、めっちゃよかったって言ってくれて。そこからメンバーを紹介するよっていう流れになったんですけど、ちょっと時間があいちゃったんですよね。やっとKOTORIを見に行ける機会ができて、その時に挨拶させてもらいました。それ以降ですね。
横山:僕はkoboreのベースのそら君がライブを見に来てたのがきっかけで、koboreを知りましたね。暗い感じの子が一人、隅っこにいたのを覚えてます。音源を渡すつもりだったらしいんですよ、僕らに。でも緊張しすぎて渡せなかったっていう(笑)
佐藤:その日、僕が音源を仕込ませたんですよ。KOTORIのライブを見に行くと言っていたので、「じゃぁ、音源絶対に渡せよ」って。ライブ見に行って帰ってきたら、KOTORIのCDと俺らのCD2枚とも持ってきて(笑)。「どうしたの、そのCD」って聞いたら、「渡せなかった」って(笑)
横山:CDを買うだけ買って、帰っちゃったんすよ。
佐藤:それが初知りっすか?
横山:そうそうそう。その後にエゴサしてたら、koboreベースって子がなんか言ってて。「あぁ、この子か」ってなって、そこでkoboreを知りました。名前似てるなぁって。Koで始まるし、ローマ字で3文字だし(笑)
佐藤:小文字か大文字かくらいですよね。仲良くなった理由は、よくわかんないんすよ。お互いのライブを行き来するたびに、仲が深まっていった感じですね。
――今回の静岡遠征で、何か楽しみにしていることなどありますか?
横山:僕、静岡初めてなんですよね。もちろんライブも楽しみにしてるんですけど、神の食べ物と言われる『さわやかのハンバーグ』は、めっちゃ楽しみにしてますね。
佐藤:あれはもう、神ですよ。バンドマン界隈でも、静岡=さわやか。「さわやか行こうぜ」ってなったら、「静岡いこうぜ」みたいな。さわやかは、めちゃくちゃ美味かったっすね。
――ライブ日程に併せてさわやかに行ったら、もれなくメンバーに会えるってことですね?
横山:そうです!
佐藤:もう、前乗りして3回くらい行く(笑)。前回行った時は、美味しすぎてプレート2枚食いましたもん。ハンバーグじゃない、別の食べ物ですね。ステーキとハンバーグの中間、KOTORIみたいな感じです(笑)
横山:そんな感じで使われたくないわ(笑)。実は、さわやかの他に、もう1つ楽しみな事があるんです。昔あった『19歳』のライブMVで、キリンのTシャツを着てたんですよね僕。佐藤はその印象がすごい強いらしくて「キリン着てきてくださいよ」って言われて。「わかった、着ていくからそっちも着てきてよ。Tシャツ対決しようぜ」ってなってます(笑)
佐藤:おれ、ブラキオサウルスのTシャツ着ていくんですよ。
横山:キリン絶対に負けるやん(笑)
佐藤:宣伝しちゃったら、そっちにしか目がいかない可能性がありますよね。ライブそっちのけで(笑)
――それでは最後に、静岡での対バンライブにむけて意気込みをどうぞ。
佐藤:どっか大きい箱でやりたいというよりは、毎回のライブで違う自分を魅せられたらいいなと思ってます。「今を伝える」って自分でも言ってるので。2度と同じライブはできないから、静岡でしか見れないライブをしたいですね。
横山:いいライブができたら!いいライブって主観でしかないんですけど、みんなが最高でみんなが「良かった!」って言えるライブになったらいいですね。
佐藤:自分のために歌ってるのに、お客さんも幸せになったら更に幸せですね。うまい酒が呑みたいっすね、打ち上げで。
横山:なにせ初対バンですからね。
――静岡でのライブを大成功させていただいて。この初対バンの日を回顧して、またライブができたら楽しいですね。
佐藤:2年後くらい?Zeppかなー。
横山:野音は雰囲気が違うしなー…。
佐藤:さわやかでいいんじゃないっすか?(笑)
横山:さわやかでインストアライブ!(笑)。スプリットだして。
佐藤:それやりましょう。
横山:スプリットライブは、さわやか!やりたい(笑)
佐藤:めっちゃ爽やかな曲を作ろ。ハンバーグの曲を、どっちが上手くつくれるか(笑)。さわやかを、俺らのタワレコにしようぜ。
オリジナルな視野を持ち、日常をキラキラと切り取っていく”KOTORI”と”kobore”。彼らがまっすぐに見つめ進んでいく道の先に何が待っているのか、今後も目が離せない。
取材・文:坂井彩花
撮影:飯島春子
全力ダッシュしてる感じですもん―横山(KOTORI)
――では初めに今のバンドを結成したきっかけを教えてください。KOTORIは、どういった経緯があったんですか?
横山:もともと高校の時からバンドをしていたんですけど、バンドをするつもりで宮崎から上京しました。東京でバンドをやりたいから、東京の大学に行くって感じでしたね。バンドを組むのにも誰も知り合いがいないからとりあえず軽音部に入ったら、KOTORIのドラムの田代と出会ったんです。その時はオリジナルのバンドのことは考えずに、軽音部でコピーバンドをやっていました。
その3か月後くらいですかね。オリジナルのバンドをやりたいと思っていた時に、田代に「ボーカル探してるんだよね。」って言われたんです。「でも女の子のボーカルがいいんだよね」って言ってて「じゃあ、むりやん!」ってなって(笑)。でも「ツインボーカルっていう手もあると思うんだよ」って言われて、「なんやこいつ」と思いました。とりあえず1回スタジオ入ろうってなって。メンバーの候補にもう一人、女の人がいたんですよ。
うちのドラムとベースは高校の時から一緒にバンドをやってて。そこに僕と女の人が加わる形で、スタジオに入りました。そうしたら、それぞれ1曲ずつ披露する流れになったので、僕はaikoの『カブトムシ』を弾き語りで歌いました。その日は特に何もなく終わったんですけど、やっぱり女の子を入れないで3人でやろうってなったんです。でも、ギターはもう1本欲しいよね、ってなって。その時は軽音部の先輩にサポートギターとして入ってもらいました。ある程度のKOTORIってものができたのは、その時ですね。
その後に、軽音部の違う先輩にサポートギターをしてもらってCDを1枚作りました。それから1年もせずに、その人はやめちゃったので2か月くらいは3ピースで活動していましたね。今までやっていた曲が4人用の曲だったので、ヤバい!ってなって。それで、3ピース用の曲を作ろうと思ってできたのが『19歳』。でもやっぱり4人でやりたくて。その時に、ドラムの田代が今のギターの上坂を連れてきたんです。1回スタジオ入ったら、もう完璧で「これや」って(笑)。今の形に落ち着いたのは、去年の9月くらいかなぁ。
――激動の1年だったんじゃないですか?
横山:そうなんすよ。あいつが入ってから、全力ダッシュしてる感じですもん。なんでこんな風になったのかわからないけど(笑)。すごいっすよね、全然繋がりなかった人と繋がりができてる。
――最近の活動も、とても勢いがありますもんね。
横山:いやいやいや、一般人ですよ(笑)
佐藤:最近、天狗になってるらしいっすよ(笑)
横山:いやー、言われるんすよ。天狗だなって、有名じゃんって(笑)
佐藤:この前Twitterにあがってた、KOTORIのライブ写真が天狗でしたね(笑)
――そういうことを言えちゃうくらい仲がいいんですね。
横山:生意気くらいがいいんすよ。
一緒にいる期間が長ければ長いほどバンドになっていくんだなって―佐藤(kobore)
――koboreは、どういった経緯で結成されたんですか?
佐藤:エモーショナルになるような話はなくて、本当にノリで結成しました(笑)。もともと弾き語り思考だったんですよ。実際『ヨルノカタスミ』に収録されている曲も、自分の弾き語りからできた曲がほとんどで。バンドは、すごいやりたかったです。でも、付いてきてくれるメンバーがいないし、思考の合わない人が多すぎて。だったら一人でやっていくほうが楽かなって思っていましたね。
そんな時に、高校の先輩になる今のギターと高校の後輩になる今のベースが、たまたま僕の弾き語りを見に来てくれたんですよ。その時に2人が「これをバンドでやったらすごいカッコいいんじゃないの」って言ってきて。最初は「嫌だ、弾き語りのほうがかっこいいし」って言ったんですけど、すごいゴリ推しされて(笑)。「そこまで言うなら、やってみる?」みたいな。それがきっかけだったので、最初の頃はドラムがいない形式で活動してました。弾き語り風なアレンジをしながらスタジオに入ってたら、僕も楽しくなってきて。それで、ドラム入れたいよね、って話になったんです。
そんな時に、僕が働いているライブハウスで、偶然会ったのが今のドラム。呼んだバンドにたまたまいて、2年ぶりくらいの再会でした。彼に「歌ものやりたいんだよね」って言われたので誘いました。スタジオに一緒に入ったら、めっちゃ良くて感動しましたね。
――意図せずにできたバンドなんですね。
佐藤:最初は嫌でしたもん、バンド組むの。
横山:すごいと思うわ。僕は、バンドじゃないと生きていけない。一人の力じゃ絶対に無理だと思ってるので。だから、弾き語りの人すごい。
佐藤:僕も最初こそ弾き語りでやっていこうと思っていたんですけど、バンドをやり始めたら、やっぱりバンドがいいなってなりました(笑)。それほどメンバーに助けられてますし、一緒にいる期間が長ければ長いほどバンドになっていくんだなっていうのを、弾き語りをしていたからこそ強く感じますね。
ちょっと好きだとめっちゃ好きになっちゃうー横山(KOTORI)
――KOTORIの新しいアルバムである『tokyo』は、とあるアーティストの影響を色濃く受けているとお伺いしましたが、お二人は影響を受けたアーティストはいますか?
横山:『tokyo』は”くるり”の影響が強いですね。J-ROCKが好きなんですよね。バンドをやろうと思ったきっかけも“9mm Parabellum Bullet”だったり。
――意外ですね。KOTORIは歌ものなイメージがあったのですが、最初はテクニカルでエフェクターの効いたバンドを目指していたということですか?
横山:スタートは”サカナクション”になろうと思ってました。その当時は“KANA-BOON”とか“indigo la End”が人気で、流行りに流されてました(笑)
佐藤:ミーハー?
横山:ミーハーというか、ちょっと好きだとめっちゃ好きになっちゃう。その曲ごとに好きだったりするので、影響を受けたアーティストは誰って聞かれると言えないですね。
佐藤:わかる。崇拝しているアーティストはいないですね、いろいろかじっちゃって(笑)。メタルとかデスコアも聴きますし、インストとかジャズとかフュージョンも聴きますし。洋楽もK-POPも聴きます。
なんにも考えなくていいときに流れてほしい曲がKOTORI―佐藤(kobore)
――koboreから見たKOTORIって、どんなバンド・音楽ですか?
佐藤:僕はさっきの“KOTORI”が“くるり”の影響を受けているっていうの、すごく納得しましたね。“くるり”は朝起きて朝食を作っているときとかに聴きたくなる日常的な音楽。KOTORIもそういう感じかなって。バイクを乗っているときとかに聴きたい。すっごく悲しくなったときに聴くような感じではなくて、日常の中で聴きたい音楽。
横山:そういう音楽って中々なくないですか?
佐藤:煙草を吸っているときとか、なんにも考えなくていいときに流れてほしい曲がKOTORI。僕は結構そういうイメージですね。
横山:めっちゃいい。僕自身それがないなと思っていて、そういう曲を作れたらいいなと思っていたので。特になにもないけど聴きたくなる曲。
佐藤:そうっすね、『19歳』とか。
横山:ちょっと重くない?『19歳』だと。
佐藤:本来だと題材になっている年齢以外の人が聴いたら、共感って少ないじゃないですか。それなのに、19歳以外の人にも歌われてるから、すごいなって思いますよ。
横山:年齢の曲ってズルいと思うんすよね。だって、その先も後もあるし。未来も過去もあるし。
佐藤:この19ってところがいいですよね。大人なのか大人じゃないのかわからない、この中間。中間好きっすよね、KOTORI。
横山:中間好き(笑)
佐藤:エモいのかハッピーなのかみたいな、この中間。
横山:いろんなアーティストを聴く中で、一か所だけじゃ嫌みたいな感じになったんだよね。ここもかっこいいし、ここもかっこいいって。その結果、真ん中よりになった(笑)
「かっこいい」だけなのも、またストレートじゃないですかー横山(KOTORI)
――koboreから見たKOTORIって、どんなバンド・音楽ですか?
横山:僕にないものを持っていると思うんですよ。僕に言えないことを言っちゃう人。僕だったら言えないですもん「愛してる」とか。ここは、僕との大きな差だと思うんですよね。「好き」って言えるか言えないかって。僕は、「好き」って言えないから遠回しになるっていう。なんか変な表現をしちゃって。
佐藤:僕はド直球ですからね(笑)
横山:言えないから、憧れでもありますよね。すげえなコイツって思う。
佐藤:でも、あんな「好き」という表現の仕方を思いつく横山君すごいなって思いますよ?
横山:僕は逃げてる。恥ずかしいじゃないですか(笑)
佐藤:僕は思いつかないです。「好き」っていう言葉が存在しちゃっているから。それでよくない?って。めんどくさがりなんですよね。
横山:ストレートに伝えられるアイツはモテますよ。koboreはモテる音楽で、KOTORIはモテない音楽って感じじゃないですか。実際に僕はモテないし(笑)
佐藤:いやいやいや(笑)
横山:koboreは、かっこいいと思います。ライブ見たんですけど、「良い」とか「感動した」とかあるじゃないですか。でも、「かっこいい」だけなのもまた、ストレートじゃないですか。それもまた、いいなって思いました。
佐藤:めっちゃ嬉しかったですね、見に来てくれて。かれこれ2年間くらい、一方的にKOTORIを見続けてきたので。まさかツアーのサポーターをさせてもらえるとは、思わなかったなぁ。
横山:僕も超たのしみですもん。
表現の仕方が違うだけで、どっちもストレートー佐藤(kobore)
――両バンドとも日常を大切に歌い上げるバンドだという印象があるのですが、なぜ日常を歌詞にしようと思ったんですか?
横山:恋愛の歌とか歌えないんですよね。唯一“シャンプー”という恋愛の歌があるんですけど、それも実体験じゃなくて想像で歌詞を書いたし。いま恋愛をしてないからかな(笑)。バンドをしているのが楽しいし、それどころじゃないっていうのもあるけど。僕の友達はKOTORIの歌詞をみたら、僕の日常が全部わかると思いますよ。こんな生活をしてるなっていうのを、その場で思ったことだけ浮かんだことだけをありのままに歌ってます。深いことを考えずに、頭の中に浮かんだことだけ。それが僕の日常だし。
――スッと歌詞に落とし込めるのが<日常>で、その歌詞が気づいたら周りの人に響くものになっていたってことですね。
横山:そうですね。僕、曲を作るときはコード進行から考えるんですよ。コード進行を考えて、とりあえずできたらメロディーと歌詞を同時につけるんです。その時に歌詞は10分くらいあればできますね。
佐藤:えー!僕は絶対に無理ですわ。
横山:10分くらいで書き上げたら、その後に変えたりもしないです。「もうこれやん!」って。その場で思ったことだから、考えるとそれを超えることができないんですよ。
佐藤:それがいいんだろうな。みんなが経験しているようなことを歌にしているから、納得ってことですね。ある意味ストレートじゃないですか。
横山:それはそうだと思う。
佐藤:表現の仕方が違うだけで、どっちもストレート。
横山:koboreはどうしてんの?
佐藤:僕、すっごい悩んじゃうんですよ、歌詞。悩みに悩みぬいて、何回も歌詞を変えます。どうしてもわからない時は、自分で経験したいとか思っちゃうし。本当に経験しないと、そういう歌詞を書けないしライブの説得力も生まれない。等身大の自分の歌詞を書きたいと思っているので、経験していないことを書くと嘘ばっかり並べちゃうことになるんですよね。等身大の自分を書くために、自ら経験しに行っちゃうこともあります。火傷することもありますけど、そういう経験をしている人に伝わればいいなぁって思いますね。でも、ライブは自分のためにやってます(笑)。自分の歌なので。それに共感してくれたら嬉しいなぁ。
――与えられた日常を綴るKOTORIに対して、日常を切り開いて色々な経験を歌おうとするkoboreは対極的ですね。
横山:僕は完全に壁を築いてますから(笑)
佐藤:僕も、ある意味では壁を築いてますよ。ここまでやりすぎたらだめだな、とか。微妙に完全に破壊しない感じ。
――日常は逸脱しないけれども、日常の中の限界地点までの行動を攻めていくんですね。対してKOTORIは、本当に与えられた環境の中での生活を歌っていく感じですよね。
横山:そうっすね。壁の中にある僕の世界を歌っていて、それが外まで届いたらいいかなって。外の世界の人が、僕の世界に入ってきてくれてもいいし。
佐藤:僕は自分の中よりは「もっと誰かのために」っていう感じかもしれないですね。
横山:僕は別に、誰に向かって歌っているわけでもないなぁ。佐藤は歌う時に、誰かを思い浮かべる?
佐藤:浮かべますね。え、浮かべない?
横山:人は思い浮かべないね(笑)。特に人がいない、情景を思い浮かべるんですよね。どの曲をやっている時でも、頭に出てくるのは懐かしい風景とかかな。
佐藤:宮崎の風景とかですか?
横山:そう、地元。でも最近だと思い浮かぶのが、東京の河川敷とかになっちゃったんすよ。かぶれてきてますね(笑)
佐藤:河川敷はまだかぶれてない(笑)。渋谷とかはあれですけど。渋谷にかぶれたら、いよいよっすよ。
横山:都内を思い浮かべることはないなー。
――1人が見ている視点が違うのが面白いですね。KOTORIの横山さんは自分が見ている風景を切り取っているのに対して、koboreの佐藤さんが切り取っているのは自分がいる景色ですよね。
佐藤:そうですね。僕がもう一人いるみたいな。何も思い浮かばない時とか誰も思い浮かばない時は、自分自身を思い浮かべて歌います。こういうことをしてるんだ、こういうことをやらかしたな、とか。でも、だいたいは誰かを思い浮かべますけどね。
横山:絶対に二人以上いるよね、曲の中に。
佐藤:僕以外のもう一人がいて、二人で会話しているような曲も作ったりしました。
横山:だいたい一人ですからね、僕の曲は。羨ましいですよね(笑)
佐藤:いやいやいや、でも僕はKOTORIが作る一人の曲が好きなんですもん(笑)
――お互い違う世界を見ているからこそ、惹かれるところがあるんでしょうね。
佐藤:そうですね。
横山:たしかに。
佐藤:なんか違うんだけど、似てる。違うんですよね、でも同じ感じがしてしまう。何が同じなのかは、深すぎて口では説明できないんですけど。見ていてもなんか似てるなぁって思いますよ。あ、顔じゃなくて(笑)
「え、これが大人なの?」っていう迷いがあるー佐藤(kobore)
――先ほどKOTORIの『19歳』という曲の話がありましたが、19歳の後に20歳=成人になりますよね。日常を送る中で「成人」は避けて通れない壁だと思うのですが、二人にとって<大人になる>とは、どういうことでしょうか?
横山:わからないんすよね、僕。
佐藤:僕も。20歳になって『20歳』って曲を作ろうと思って、歌詞を綴って歌ってみたんですよ。でも歌えないし歌詞もでてこなくって。その時に「大人ってなんだ」って思い始めましたね。もう煙草も吸えるし、酒も飲めるし、一通り自分でできるけど。これをステージで歌えないと思った時点で、等身大じゃないなと思っちゃって。経験してない事って言いづらいです。経験したことに関しては、こうだったよって言えるんですけどね。
横山:まじわからない。社会的地位なんですよね、一般的な<大人>というものが。
佐藤:僕らのいる場所って、社会的地位でも大人じゃないよね。大人になりかけじゃん?親にも「もう大人でしょ」って言われるけど、何をどうやったら大人になれるのって感じです。誰かに「大人になれよ」とか「一人暮らししなよ」とか、そういうことを言われると「そういう年齢なんだな」って思うことはあります。でも改まって、自分が大人なのか子供なのかとか考えたら、たぶん死ぬまで考えますね。
横山:抽象的ですよね大人って概念が。これやったら大人っていう、世界共通の何かが欲しい(笑)
佐藤:どっかの民族のやつね(笑)そういう基準が欲しいですよね。あいまいすぎて、抽象的すぎて。
横山:お酒が吞めるようになることとかだと思ってたんですけどね。全然違いましたね。
佐藤:僕も思っていましたね。高校生の時とかは特に。お酒が呑めて煙草も吸えてって。だから大人に憧れて、こういう感じになっちゃったんですけど(笑)。「20歳になったら大人だよ」って世間一般で言われているからこそ、逆に「え、これが大人なの?」っていう迷いがある。だから18・19歳の時とかは全然わからなかったものが、20歳になってどんどん悩みに変わっていく。僕の場合それの放出の仕方が、歌だったりバンドだったりするんですけど。わざと考えないようにしているのかもしれないです、もしかしたら。ずっと子供でもいいやって。「あいつはああいうやつだ」って言われているほうが、「大人だ」って言われるよりは個性的で嬉しいですし。
対バンしたいなって、ずっと思ってて。-佐藤(kobore)
――今回の静岡が初対バンなんですよね。その事実にとても驚いたのですが、何がきっかけでこんなに仲良くなったんですか?
佐藤:お互いのライブを見に行きあっているうちに、ですかね。僕らがKOTORIを好きで。
――憧れていたんですか?
佐藤:そうですね。憧れてる…「うわ、かっこいいな」って思ってて。対バンしたいなって、ずっと思ってて。僕、KOTORIを知ったの結構早かったんですよ。たぶんkoboreの中でも1番早い。越谷の先輩のツテでKOTORIってバンドがいるんだよっていうことを、高校3年生くらいの時に知って。2年前くらい?
横山:まじで。
佐藤:弾き語りでKOTORIをカバーしている人がいて、そこからKOTORIを聴き始めました。かっこいいなぁって。
――そこからずっと、いつか対バンできればと考えてらっしゃったんですね。
佐藤:そうっすね、ずっと。
――横山さんは、初めて知ったんですか?
横山:全部初めて知った(笑)
佐藤:ドラムの田代さんとは、よく話してるけどね。
横山:佐藤は、うちのドラムと仲いいんすよ。
佐藤:仲がいいというか、1番最初に仲良くなったのが田代さんなんです。ライブを見に来てくれて、めっちゃよかったって言ってくれて。そこからメンバーを紹介するよっていう流れになったんですけど、ちょっと時間があいちゃったんですよね。やっとKOTORIを見に行ける機会ができて、その時に挨拶させてもらいました。それ以降ですね。
横山:僕はkoboreのベースのそら君がライブを見に来てたのがきっかけで、koboreを知りましたね。暗い感じの子が一人、隅っこにいたのを覚えてます。音源を渡すつもりだったらしいんですよ、僕らに。でも緊張しすぎて渡せなかったっていう(笑)
佐藤:その日、僕が音源を仕込ませたんですよ。KOTORIのライブを見に行くと言っていたので、「じゃぁ、音源絶対に渡せよ」って。ライブ見に行って帰ってきたら、KOTORIのCDと俺らのCD2枚とも持ってきて(笑)。「どうしたの、そのCD」って聞いたら、「渡せなかった」って(笑)
横山:CDを買うだけ買って、帰っちゃったんすよ。
佐藤:それが初知りっすか?
横山:そうそうそう。その後にエゴサしてたら、koboreベースって子がなんか言ってて。「あぁ、この子か」ってなって、そこでkoboreを知りました。名前似てるなぁって。Koで始まるし、ローマ字で3文字だし(笑)
佐藤:小文字か大文字かくらいですよね。仲良くなった理由は、よくわかんないんすよ。お互いのライブを行き来するたびに、仲が深まっていった感じですね。
キリン絶対に負けるやん(笑)―横山(KOTORI)
――今回の静岡遠征で、何か楽しみにしていることなどありますか?
横山:僕、静岡初めてなんですよね。もちろんライブも楽しみにしてるんですけど、神の食べ物と言われる『さわやかのハンバーグ』は、めっちゃ楽しみにしてますね。
佐藤:あれはもう、神ですよ。バンドマン界隈でも、静岡=さわやか。「さわやか行こうぜ」ってなったら、「静岡いこうぜ」みたいな。さわやかは、めちゃくちゃ美味かったっすね。
――ライブ日程に併せてさわやかに行ったら、もれなくメンバーに会えるってことですね?
横山:そうです!
佐藤:もう、前乗りして3回くらい行く(笑)。前回行った時は、美味しすぎてプレート2枚食いましたもん。ハンバーグじゃない、別の食べ物ですね。ステーキとハンバーグの中間、KOTORIみたいな感じです(笑)
横山:そんな感じで使われたくないわ(笑)。実は、さわやかの他に、もう1つ楽しみな事があるんです。昔あった『19歳』のライブMVで、キリンのTシャツを着てたんですよね僕。佐藤はその印象がすごい強いらしくて「キリン着てきてくださいよ」って言われて。「わかった、着ていくからそっちも着てきてよ。Tシャツ対決しようぜ」ってなってます(笑)
佐藤:おれ、ブラキオサウルスのTシャツ着ていくんですよ。
横山:キリン絶対に負けるやん(笑)
佐藤:宣伝しちゃったら、そっちにしか目がいかない可能性がありますよね。ライブそっちのけで(笑)
いいライブができたら!-横山(KOTORI)
――それでは最後に、静岡での対バンライブにむけて意気込みをどうぞ。
佐藤:どっか大きい箱でやりたいというよりは、毎回のライブで違う自分を魅せられたらいいなと思ってます。「今を伝える」って自分でも言ってるので。2度と同じライブはできないから、静岡でしか見れないライブをしたいですね。
横山:いいライブができたら!いいライブって主観でしかないんですけど、みんなが最高でみんなが「良かった!」って言えるライブになったらいいですね。
佐藤:自分のために歌ってるのに、お客さんも幸せになったら更に幸せですね。うまい酒が呑みたいっすね、打ち上げで。
横山:なにせ初対バンですからね。
――静岡でのライブを大成功させていただいて。この初対バンの日を回顧して、またライブができたら楽しいですね。
佐藤:2年後くらい?Zeppかなー。
横山:野音は雰囲気が違うしなー…。
佐藤:さわやかでいいんじゃないっすか?(笑)
横山:さわやかでインストアライブ!(笑)。スプリットだして。
佐藤:それやりましょう。
横山:スプリットライブは、さわやか!やりたい(笑)
佐藤:めっちゃ爽やかな曲を作ろ。ハンバーグの曲を、どっちが上手くつくれるか(笑)。さわやかを、俺らのタワレコにしようぜ。
オリジナルな視野を持ち、日常をキラキラと切り取っていく”KOTORI”と”kobore”。彼らがまっすぐに見つめ進んでいく道の先に何が待っているのか、今後も目が離せない。
取材・文:坂井彩花
撮影:飯島春子