就職や転職のシーンなどで見かける「一身上の都合」という言葉。


何となく知っているつもりではあるものの、具体的な意味や使う場面などがよくわからない、または「一身上の都合」とはどんな事情か聞かれて対応に困ったことがある人もいるのではないでしょうか。


本記事では、「一身上の都合」の意味や具体的な使い方などを解説します。

「一身上の都合」を使えないケースや注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてください。


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「一身上の都合」とは?


「一身上の都合」とは何を意味するのでしょうか?

ここでは、読み方・意味・含まれる範囲・使い方と、多方面からわかりやすく解説します。


・読み方と意味

「一身上の都合」は「いっしんじょうのつごう」と読みます。

意味は「自分の身の上の事柄」で、簡単にいうと「個人的な都合・事情」を指す表現です。


・含まれる範囲

「一身上の都合」には、自分本人に事情・理由がある「私事都合」のほか、自分が間接的・直接的に影響を受ける家族・家庭のことなども含まれます。


・利用シーン

「一身上の都合」は正式な言い回しのため、シーンを選ばず使えるのが特徴です。

一般的には退職に関して、詳しい理由を伏せたい場合に使われます。


「一身上の都合」の具体的な利用シーンには、以下のような場面が挙げられます。


• 退職願・退職届に記載する
• 履歴書の職歴に記載する
• 内定を辞退する場合

どれも状況は異なりますが、すべてのケースで「一身上の都合」が使えます。


なお、有給を取得する理由(使い道)も具体的な内容を説明する義務がないため、取得理由を「一身上の都合」としても問題ありません。


【シーン別】「一身上の都合」の例文


「一身上の都合」が良く使われる退職願・退職届・履歴書・内定辞退のシーン別に、具体的な例文を紹介します。


・退職願

退職願は、会社に対して「記載の日付で退職したい」という意思表示をする際に提出する書類で、文中では以下のように表記します。


「このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら◯月◯日に退職させていただきたく、ここにお願い申し上げます。」


・退職届

退職届は、会社に対して「記載の日付で退職します」と通告する際に提出する書類で、文中では以下のように表記します。


「このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら◯月◯日をもって退職いたします。」


・履歴書の職歴

履歴書の職務経歴欄では、1社の入社・退職を以下のように表記します。


◯年◯月 株式会社◯◯ 入社
◯年◯月 一身上の都合により退職

・内定辞退

内定辞退を文面で伝える際も、文中で以下のように「一身上の都合」が使えます。


「大変恐縮ですが、一身上の都合により、内定を辞退させていただきたく存じます。」



「一身上の都合」を使えないケース


「一身上の都合」は、シーンを選ばずに使える汎用性の高い表現ですが、「自己都合ではない場合」は使えないため注意が必要です。

たとえば、以下のようなケースは「一身上の都合」ではなく「会社都合」となります。


• 勤めていた会社の倒産や経営破綻による退職
• 人員整理などによる一方的なリストラ
• 会社からの退職勧奨に応じた場合
• 雇用契約の打ち切り

上記のほか、転勤やハラスメントなどを理由に、勤務の継続が困難になった場合も「会社都合」として認められる場合があります。


なお、雇用契約の期間が満了した場合は「契約期間満了により退職」と記載するのが一般的です。



どうする?「一身上の都合」の中身を聞かれた際の答え方


「一身上の都合」は内容がまったくわからないため、対面で会話する場合に詳しい内容を聞かれる場合があります。

書面に記載する場合と異なり、会話のなかでは「一身上の都合」で貫くとかえって不都合が生じるケースもあるため注意が必要です。


ここでは、職場に退職の意向を伝える場合と、面接で聞かれた際の答え方を解説します。


・退職の意向を伝えた時

前提として、上司や同僚に詳しい退職理由を聞かれても、言いたくなければ無理に言う必要はありません。

詳しい理由を言わなければ退職が認められないわけではないためです。


しかし、形式上はそうであっても、会話の流れで理由を言わざるを得ない雰囲気になる場合もあるでしょう。

このような場合は、「家庭の事情」や「スキルアップのため」など、差し障りのない表現で答える方法もあります。


本当は職場や同僚に対するネガティブな退職理由だとしても、辞めるタイミングで伝えるのはお互いにとってデメリットの方が大きいため、避けるのが無難でしょう。


・面接の時

面接の場合は事情が異なり、しっかり答えられるよう準備しておく必要があります。

面接における退職理由は相手企業にとって重要な情報であり、合否に影響する可能性があるためです。


嘘を付くのはもちろんNGですが、ネガティブな理由をそのまま伝えるのも考えもの。仮に事実であったとしても、「人のせいにしがち」「自分で解決しようとしない」など、かえって良くない印象を与えてしまう可能性があります。


面接で退職理由を説明する際は、ネガティブな理由もポジティブな表現に言い換えて、前向きな理由に変換して伝えることが大切です。



「一身上の都合」を使う際の注意点


「自己都合」であれば「一身上の都合」で事足りるケースがほとんどですが、ケースバイケースで使い分けることが大切です。


実際に、文章や文面では「一身上の都合」がよく使われますが、対面の会話ではあまり使われないのが実情です。


文面で記載する場合でも、長期間のブランクを「一身上の都合」で片付けてしまうと、伏せたい事情があるのではないかとかえって不信感を抱かれかねません。

あえて「一身上の都合」を使わずに、「留学のため」「資格取得のため」など、事実を述べた方がプラスになる場合もあるのです。


便利な言い回しである反面、詳しい事情は一切わからないため、相手によっては誤解を招く可能性があることも理解しておきましょう。



まとめ:「一身上の都合」の意味や用途を正しく理解しよう


自己都合を意味する「一身上の都合」。

詳しい理由の明言を避けつつ、ビジネスやプライベートのさまざまなシーンで使える便利な表現です。


汎用性が高い表現なのは確かですが、余計な誤解を与えないためにも、ケースバイケースで使い分けることが大切です。

言葉の意味や使用シーンを正しく理解して、臨機応変に使い分けましょう。


2024年8月8日公開


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<執筆>

DOMO+編集部

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