
私たちにとって日常的に身近な存在である料理。
料理が得意な人や好きな人のなかには、それを仕事にしたいと考えたことがある人も少なくないでしょう。
しかし、実際に「料理」を仕事にするには調理師免許が必要なのか、どのような資格で、取得するにはどのような手順を踏めば良いのかなど、さまざまな疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
本記事では、調理師免許の特徴・取得条件・試験内容・合格率のほか、アルバイトは実務経験に含まれるのか、どんな職場で活躍できるのかなども網羅的にまとめています。
料理を仕事にしたい人や、調理師免許について知りたい人はぜひ参考にしてください。
調理師と料理人は何が違う?
調理師免許を理解するにあたり、まずは「調理師」と「料理人」の違いを知っておく必要があります。
料理を仕事にしている人は「調理師」や「料理人」と呼ばれていますが、両者は似ているようで異なるものだからです。
「調理師」を名乗れるのは調理師免許を保有している人だけと定められています。
これは調理師免許が「名称独占資格」に分類されているためです。
とはいえ、料理に関する仕事をするために必須の資格はありません。
免許がなくても料理の仕事はできるうえ、資格や免許がなくても「料理人」を名乗ることは自由とされています。
調理師免許とはどんな資格?
調理師免許は、栄養・衛生管理・調理方法などについて専門知識を持っていることを証明する国家資格です。
ここからは調理師免許の取得条件・資格内容・合格率や取得難易度などの基本情報を解説します。
・調理師免許の取得条件
調理師免許を取得するには、以下2つのうちいずれかの条件を満たす必要があります。
1.各都道府県が指定している調理師学校もしくは養成施設を卒業する。(この場合調理師試験は免除され、卒業と同時に資格を取得できます)
2.中学卒業以上かつ飲食店などで2年以上の継続した調理の実務経験があり、調理師試験に合格する。
・調理師免許の試験内容
調理師免許の試験に実技はなく、筆記のみで合否が決まります。
試験内容も公表されており、以下7つの科目が出題範囲となります。
・食文化概論
・衛生法規
・公衆衛生学
・栄養学
・食品学
・食品衛生学
・調理理論
・調理師免許の合格率・取得難易度
調理師免許の合格率は年度や地域によって異なりますが、概ね60〜70%程度で推移しています。
たくさんある国家資格のなかでは合格率が高い方であり、相対的に取得難易度はそこまで高くないといえます。
とはいえ、もちろん簡単なものではないため、事前にしっかりと勉強してから臨む必要があります。
アルバイトも条件を満たしていれば実務経験に含まれる!
取得条件の1つである「2年以上の継続した実務経験」は、以下で解説する2つの条件さえ満たしていれば、アルバイトであっても実務経験に含まれます。
ここではその2つの条件と、満たしていることを証明する方法を解説します。
・労働時間や就業ペース
1つ目の条件は、労働時間や就業ペースです。
「週4日以上」「1日6時間以上」のペースで、「2年以上継続して」勤務した実績があれば、その経験は実務経験とみなされます。
この条件はすべてを満たす必要があり、どれか1つでも欠けていると実務経験には含まれないため注意が必要です。
・勤務場所と業務内容
2つ目の条件は、勤務していた場所と調理に関わる業務に就いていたかどうかです。
たとえば、鮮魚店やスーパーの鮮魚コーナーで魚介類を調理していた場合は実務経験に含まれますが、勤務場所が同じでも業務内容が販売だけの場合は実務経験には含まれません。
上記以外にも、給食施設・飲食店(旅館や宿泊施設も含む)・惣菜製造業などでの調理経験も実務経験とみなされます。
一部例外として、業務内容によっては喫茶店・カフェ・コンビニでの調理経験も実務経験として認められるケースがあるため、該当する場合は問い合わせてみると良いでしょう。
・実務経験の証明方法
調理師国家資格の願書には「調理業務従事証明書」という書類が同封されています。
勤務先の代表や職場の責任者がこの書類に記入し、実印を押してもらうことで「2年以上の継続した実務経験」があることを客観的に証明します。
ただし、この書類は受験する本人と2親等以内の血族は記入できないルールになっているため、親や家族が経営しているお店や施設は対象外である点に注意が必要です。
調理師免許を取得するメリット
調理師免許を保有していることは、国が定めたスキル・知識の基準を満たしていることの証明になります。
客観的にも説得力・信憑性があるため、就職・転職活動をする場合は当然有利に働くでしょう。
会社によっては、昇進・昇格に影響したり、資格手当が付いたりする場合もあります。
そのため、調理師免許を保有していることが直接的に給料の差につながる可能性があります。
一方、自営業として自分で店舗を構える場合は、食品衛生責任者資格があれば開業はできるものの、調理師免許があることで味や品質、ひいては店そのものに対する対外的な信用につながります。
調理師免許が活かせる勤務先
調理師免許を活かせる具体的な勤務先を3つ紹介します。
・大小さまざまな飲食店
飲食店が選択肢に入るのは当然ですが、調理師免許を持っていることでその選択肢が広がる可能性があります。
具体的には、個人経営の小さな飲食店から、全国展開しているチェーン店、ホテルなどが挙げられます。
規模の大きな組織のほうが給与体系や福利厚生が充実している傾向にありますが、修行を積んで独立開業を目指す場合は個人店のほうが適していることもあるでしょう。
職場によってメリットは異なりますが、選択肢が多いということはそれだけ自分に合った職場を選択できる可能性が高いことを意味します。
・給食調理場
給食センターや調理室が併設されている幼稚園・学校なども調理師が活躍できる職場です。
飲食店などとは大きく毛色が異なり、決められた時間に決められた献立を提供できるよう調理するため、勤務時間が短くプライベートとの両立がしやすい点が特徴です。
「調理師」とひとくちに言っても、優先したい条件は人それぞれ。
自身のライフスタイルや働く目的によっては、このような安定した職場が最適な場合もあるでしょう。
・食品関連企業
専門知識を活かして、企業の一員として働く道もあります。
具体的には、実際の調理は行わず、調理師としての知識や経験を活かして新商品の企画・開発に携わっている人も少なくありません。
資格の活かし方は料理だけではなく、特技・特性も人それぞれです。
新たなアイデアを生み出すのが得意な人や、研究開発が好きな人などは、調理師をひとつの武器としたほかの働き方があることも知っておくと良いでしょう。
まとめ:調理師免許を取得して自分の可能性を広げよう!
料理の仕事をするうえで必須ではないものの、調理師免許の取得が自身のスキルアップや選択肢の拡大に良い影響を与えるのは間違いありません。
調理師免許の取得難易度は決して高くなく、料理の仕事をしている人が仕事をしながら取得することも十分に可能です。
料理が得意な人・好きな人・すでに仕事にしている人にかかわらず、次のステップへの足がかりとして調理師資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
2024年2月7日公開
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