仕事をやめて、転職活動をしている時は収入がなくて困りますよね。
しかし、前職で雇用保険に加入し、一定の条件を満たしていれば安心して転職活動ができるよう、国から「失業保険」を受給することができます。


この記事では、雇用保険の基礎知識や、バイトが雇用保険に加入するための条件、メリット・デメリットなどを解説します。


そもそも雇用保険とは?


雇用保険制度とは、人々が安定した生活を送り、失業の予防や失業時のサポートを行う「雇用の安定」と、スキルアップ・キャリアアップなどの「能力開発」をサポートする制度です。


※雇用保険制度 ―厚生労働省


雇用保険料と支払方法について、雇用保険料は本人と会社が決められた金額を負担し、本人負担分は毎月のバイト代から控除されます。
なお、保険料はバイト代に保険料率をかけて計算します。


・雇用保険料=毎月のバイト代×雇用保険料率

令和5年度の保険料一覧



※雇用保険料について ―厚生労働省


2023年8月時点の保険料率は、以下の通りです(一般的な事業の場合)。
 ・労働者(バイト本人) 6/1000
 ・事業主(会社)   9.5/1000


バイト代が月8万円の場合、バイト本人は月に480円を、会社は760円を負担します。
 ・労働者(バイト本人)80,000円×6/1000=480円
 ・事業者(会社)   80,000円×9.5/1000=760円


バイトでも雇用保険に入れるの?


加入条件さえ満たしていれば、バイトやパート、正社員などの雇用形態に関わらず、誰でも雇用保険に加入できます。
一方で、加入条件を満たしていると拒否することはできず、「保険料を払いたくないから、加入したくない」ということはできません。


【雇用保険に加入する3つの条件】
1.31日間以上、引き続き雇用される見込みがあること

31日間以上雇用されるということなので、例えば夏休み10日間だけのバイトの場合、雇用保険には加入できません。


2.1週間の所定労働時間が20時間以上であること

例えば、週に4日・1日5時間=週20時間働いていると雇用保険の対象になりますが、週5日働いていても、1日2時間労働ならば週10時間となり、雇用保険の対象にはなりません。


3.原則昼間学生ではないこと

学校教育法第1条において規定されている学校(一般的な高等学校や大学、高等専門学校など)に所属している昼間の学生は、雇用保険の対象外です。


※DOMONETで仕事を探す
静岡県で探す
愛知・岐阜県で探す
東日本エリアで探す
西日本エリアで探す

雇用保険のメリットや保障内容


雇用保険に加入すると、「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」「育児休業給付」という、 5種類の給付制度があり、さまざまな手当や給付金が用意されています。


スキルアップのために通う学校の費用や、遠い場所で採用面接を受ける時の交通費などをサポートするものもあります。手軽な保険料でこれらの補償や給付を受けることができるのですから、知っておいて損はありません。


参考:ハローワーク 雇用保険制度の概要


1.求職者給付

バイトを辞めて、次の仕事を探している最中は収入がなく、生活が不安定になります。
「求職者給付」は、安心して就職活動をするためのサポートで、みなさんが良くご存じの「失業保険(正式には「基本手当)」もここに含まれます。


また、病気で仕事ができない間のサポートをする「傷病手当」や、仕事に就きやすいよう勉強をするための費用をサポートする「技能習得手当」などもあります。


2.就職促進給付

再就職のサポートを目的とした給付です。失業保険をもらう前に仕事が見つかった場合には「再就職手当」を受け取ることができます。
これは早期就職を促進する、いわば「就職お祝い金」のようなものです。
また、面接に進めるけど遠方だから交通費が出ない…などという時のために、交通費や子どもを預けるための費用をサポートする「求職活動支援費」もあります。


3.教育訓練給付

スキル・キャリアアップのために、たとえばパソコン教室や看護師になる学校など、認可された学校で学ぶ際には「教育訓練給付金」を活用することができます。
自己負担を減らしながら、より良い仕事に就くことを目的としています。


4.雇用継続給付

介護で休業せざるをえない場合や定年退職後に再雇用される際に賃金低下があった場合、に給付金を受け取ることができます。
仕事とプライベートを両立し、働き続けられる状態を保つためのサポートです。


5. 育児休業給付

子を養育するために休業せざるをえない場合に、給付金を受け取ることができます。子育てと仕事を両立し、働き続けられる状態を保つためのサポートです。


雇用保険加入のデメリット

あえてデメリットを挙げるとすれば、保険料の支払い、ということになりますが、前述の通り、雇用保険料の負担額はそれほど多くないため、デメリットよりもメリットのほうが多いと言えるでしょう。


「失業保険」について


雇用保険の保障において、代表的なものに「失業保険」があります。正式には「失業等給付」の中の、「求職者給付の基本手当」というものです。


バイトが失業保険を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。


1. 仕事を辞める前の2年間に、12か月以上雇用保険を払っていること
※「会社都合での離職」の場合は、12か月ではなく、6カ月でよい
2.ハローワークで求職・就職活動をしていること


「内定がでたら、いつでも内定先で働ける状態にある」ことが前提ですので、「しばらくは働かずにゆっくりしたい」「会社には雇われず起業をする」というような場合は、給付対象にはなりません。


「自分が対象になるかどうかがわからない」という方は、最寄りのハローワークで確認することができますので、足を運んでみてください。


失業保険として受給できる、1日の額(日額)の計算方法


受給できる失業保険の金額は、「1日の額(日額)×日数」で計算することができます。
バイトを辞めた直前に得ていたお給料を、直前6か月分を合計し、180日(6カ月間)で割ると1日当たりの金額が出ます。ボーナスなどは含まずに計算します。
但し、以下の通り、1日の金額には上限があります。


■支給額の上限


出典:ハローワークインターネットサービス
※なお、基本手当日額の下限額は、年齢に関係なく2,061円になります。


例えば、月に8万円のバイト代があった場合は、以下の通りです。
8万円×6カ月÷180日=2 ,666円 ←1日当たりの失業保険の額


この額に「日数」を掛け合わせると、失業保険の総額を計算することができます。


■日数の出し方

雇用保険に加入していた期間が長ければ長いほど、給付日数が多くなり、受給できる金額が増えます。
また、年齢によっても受給額に差があり、45歳以上60歳未満の人は、他の年齢の人よりも多くもらえることになっています。


基本手当の所定給付日数
~会社都合の離職者の場合


出典:ハローワークインターネットサービス


例:32歳で、雇用保険の加入期間が3年の場合 →所定給付日数は120日
8万円×6カ月÷180日=2 ,666円×120日=319,920円


~自己都合理由による離職者の場合


出典:ハローワークインターネットサービス


このようにして計算した額が、失業保険としてもらえる「満額」となり、この額を数か月にわけて受け取ることになります。


■失業保険受給までの流れ

失業保険をもらうには、条件を満たした上で、以下の手続きを行う必要があります。


1. ハローワークへ行き、求職の申し込みをし、就業の意思を示す
2.7日間の待機期間を待つ
3-1.【会社の倒産や解雇などでバイトを辞めた場合】
失業保険を受け取る
3-2.【自己都合でバイトを辞めた場合】
7日間待機した後、さらに2カ月間の給付制限期間があります。
この間も就職活動をしていることが条件で、制限期間の間にバイトがきまった場合、失業保険はもらえませんが、「再就職手当」がもらえます。
4.失業認定の1週間後、指定の銀行口座に基本手当が振り込まれる。※基本手当の振り込みは、4週間ごと

仕事が決まるまで求職活動を続けながら、4週間毎にハローワークへ行って進捗状況を報告する必要があります。
これを怠ると、失業保険の受給資格を失いますので注意してください。


まとめ


バイトでも、雇用保険に入っているとこれらの補償や手厚いポートが受けられます。
各給付を受給するには、それぞれに条件がありますので、気になる方はハローワークのWebサイトで調べるか、近くのハローワークに行って質問してみるとよいでしょう。


2023年8月23日公開


<監修>

杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。静岡県内の中小企業を主な顧客としている。顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。

<保有資格>特定社会保険労務士社会保険労務士法人ローム https://roum.info/


<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
外資系企業、IT企業、ベンチャー企業などにおいて、採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。現在はWEB系の会社を経営するかたわら、スペインにある学費が15万円/年~の公立大学や、1週間から留学可能な語学学校の紹介をするなど、子どもから大人までの学習支援を行っている。

WEB事業 :https://dy-planning.net/
留学サポート Go Global:https://go-global.info/


※DOMONETで仕事を探す
静岡県で探す
愛知・岐阜県で探す
東日本エリアで探す
西日本エリアで探す

関連するワード