
2023年シーズンJ2に昇格し、ホームタウンである静岡県藤枝市をはじめ志太榛原地域とともに大いに盛り上がっている藤枝MYFC。
ここでグッズ関連やファンクラブ運営などを担当する長谷川さんは、地元の焼津市出身。2022 年春にUターン転職した1年目のスタッフです。
大好きなサッカーに携わりたい、という夢を実現させている長谷川さんにじっくりとお話をうかがいました。
2023シーズンはJ2昇格!忙しいけどワクワクしています。
(写真は2023.2.25 V・ファーレン長崎戦勝利後)
長谷川さんの所属する事業部運営課はチームを裏方で支える仕事。
「事業部運営課は、営業と広報以外は何でもする部署です。
グッズの企画、チケット、ファンクラブ、スタジアム出店の飲食店関連、当日のイベントの段取りと多岐にわたっています。
今年はJ2昇格でファンクラブへの引き合いも多く、今は新規入会者に特典を発送するという作業に追われています(笑)。入会してくださった方に少しでも早く届けたいという一心ですね」。
「J2という新しいステージでは、今までの感覚ではダメ。もっとできることがあるのではと感度を高くしています」。
選手だけでなくスタッフも皆、J2昇格でやる気に満ちているようです。
「入社は2022年春、30歳の時です。前職はやはりJクラブのアビスパ福岡でした。アビスパでもJ2からJ1へ昇格、今はバタバタしてしまっていますが、アビスパ時代の経験を存分に生かしたいと思っています」。
サッカーとの出会いは中学時代。たまたま手にしたチケットで観戦したことでした。
長谷川さんがサッカーに関わる仕事をしたいと思ったきっかけを遡ると、中学の時に清水エスパルスの試合を観戦したことからはじまります。
「初めて観戦した時を思い出すと、実は試合内容よりイベントがとにかく楽しくて。引いたくじは2枚とも同じ選手が出て、その選手がすごくかっこよくてハマっていきました(笑)」。
高校時代には放課後に1人で試合観戦に出向くほど。
「ちゃんと毎年ユニフォームを買って、それを着て応援。エスパルス一筋でした」。
新卒で就職した企業はサッカーとは無関係でした。そのうち、見るだけでなくサッカーに関連した仕事をしたいと思うようになったそう。
「その後転職した先はサッカー関連のイベント会社。その時にチームのスタッフや、サッカーコーチと接する機会があり、現場の話を聞くうちに『直接サッカーに関わる仕事がしたい』と思うようになったんです」。
エスパルスに直接「スタッフの募集していませんか?」と聞けるほどの根性がなかったと笑う長谷川さん。Jリーグチームの求人をひたすら探して、見つけたのがアビスパ福岡の仕事でした。
今しかない!いざ福岡へ。アビスパ福岡では、J1昇格も経験。
これを逃してはいけない!福岡に行ってチャレンジです。
「ちょうどワールドカップの時で。イベント会社では、スポーツバーでのイベントも企画していたし、アパレルも扱っていたし。それらの経験を全力でアピールしました。
タイミングよく入社でき、マーケティング部でファンクラブの担当に」。
今まで静岡を離れたことがなかった長谷川さんには不安もあったそう。
「一人暮らしは初めてで、お金の管理の仕方もよくわかりませんでした。でもどうにかなる!と、勢いだけはあったんです」。
「大学生の時エスパルスでインターンの経験があったので、仕事も分かったつもりでいたけど、実際はもっともっときめ細かくて大変でした。
さらに、知らない土地で県民性も異なる人たちの中で、常に気を張っていたように思います。
企画立案の道筋や資料の作り方も一から教わり、自分の経験を企画につなげたこともありました。福岡では4年弱良い勉強をさせてもらいましたね」。
次は、大好きな地元に戻ってサッカーに関わりたい!
福岡への転職を決めた時から、経験を積んだら静岡へ戻りたいと考えていた長谷川さん。
「そろそろ戻りたいという気持ちが高まった頃、藤枝MYFCの求人を見つけて応募。
もし、採用されなかったらサッカーの仕事は諦めようとも覚悟していました。
でも、アビスパで昇格を経験できたってことは、自分は運が悪くないはず!藤枝もJ1目指しているし、私いけるんじゃないかと、謎の自信もありました(笑)」。
確かに幸運の持ち主かも?長谷川さんが入社した年に藤枝MYFCもJ2昇格を決めました。
「さらに、このタイミングで。エスパルスとジュビロも同じカテゴリーになり、三つ巴の県内対決への期待も高まっています。
チケットの値段も段階的な設定を導入。相手チームによって価格が変わることをファンの皆さんが理解を示し好意的に受け止めてくれているので、ホッとしています」。
ここでひとつカミングアウト。
「実は、最初に好きになった選手が今、藤枝MYFCのアカデミーでコーチをされているんです。
直接お会いすることはほとんどありませんが、同じチームで働けるなんてうれしいですよね」と教えてくれました。
藤枝MYFCは、本当にアットホームな職場です。
職場は、スタッフ全員の顔も名前もどんな仕事をしているのかもわかる心地よい環境。
「同じ運営部署のスタッフは3名。事務所全部でも11人くらい。まさに少数精鋭です(笑)。
みんなの気持ちが一つになってチームを盛り上げようとしていますから、本当に家族みたいに仲がいい職場なんです。
グッズの企画では、提案したことを『ダメ』といわれたことはありません。『おもしろそう、いいんじゃない?』と認めてくれる。信頼してもらっていると思っています。今年は注目度も上がっていますので、常にアイデアを練っています」。
「J2昇格が決まってからはメディアの露出もぐんと増えて、新聞でも写真入りで大きく取り上げてもらえるようになりました。テレビもそうですね。
知人からも、『見に行くよ』と声をかけてもらえるし、地元の盛り上がりを感じています。
注目が上がるとやりがいや手応えも増えていきます」。
応援が選手の力になる。私の仕事は“ファン”を増やすこと。
(写真は昨年J2昇格を決めた試合)
「2022年シーズンの最終節、アウェイの長野で昇格が決まった時、たくさんのサポーターが詰めかけてくれてスタジアムが満員に。昇格もうれしかったけど、その景色がありがたくて泣けました。
コロナの間は声を出せないからチャント(応援の声かけ)も聞けなかったんです。それが今後は、客席を拡大したスタジアムで聞けるようになる、ワクワクしますね」。
「静岡県だけでなく、遠くから来ている選手の地元の方にも喜んでもらえるように、個人グッズも充実させていきます。トレンドもチェックしながら考えています」。
エスパルスのこと気になりますか?とちょっと意地悪な質問にも、
「休みがあれば見に行こうと思っています。負けたくないけど、やっぱり熱は入っちゃいますね」と本音もチラリ。
「でも比べられますから、藤枝の特色はしっかり打ち出していきますよ」と心強い返事でした。
「今は他チームのサッカー観戦に行っても、気が付くとイベントやグッズをチェックしています(笑)。本当に好きなんですよね」。
中学時代に感じた「これが好き」という感覚がずっと長谷川さんの中に存在し続けているのですね。
「基本はサッカーが好きだから、関われていることがうれしいんです。
スタジアムに来た人たちにいい思い出を作ってもらって、また来たいと思ってもらうことが私たちの仕事。
ファンになってもらって、スタジアムに来てもらって。友人と、家族と…輪が広がっていくとうれしいですね」。
「どんなことも、こちらからアクションを起こせば反応してくれる。なんとかなります!第一歩は自分から働きかけなくちゃ」。
直感で感じた「好き」をあきらめずにアンテナを張り続けてきた長谷川さんの言葉は、今この記事を読んでいるあなたの背中を押す言葉にもなるはずです。
2023年3月14日公開