口コミサイトやSNSの普及により、お客様の声が届きやすくなりました。お客様からのクレームは、直接意見をもらえる貴重な機会ともいえます。


クレーム対応は単なる苦情処理ではなく、重要な接客の1つなのです。この記事では、接客業のクレーム対応におけるポイントとNG行動について解説します。


クレーム対応の基本の流れ



クレームに遭遇すると、慌ててしまったり気持ちが落ち込んでしまったりしますよね。しかし、基本の流れさえ押さえておけば、冷静に対応できます。ここでは、クレームの基本的な対応方法を紹介します。


・何に対する謝罪なのかをはっきりさせて謝る

クレームを受けたらまず謝罪をすることが大切ですが、謝り方には注意が必要です。事実確認をせずに、ただ「申し訳ございません」とたけ言ってしまうと、全面的に非を認めることになりかねないからです。また、原因がわからない状況で不用意に謝られることで、さらに気分を害すお客様もいます。


そこで、まずは何に対する謝罪なのかをはっきりさせた上で謝ることが重要です。「お待たせしてしまい、申し訳ございません」など、具体的な内容を伝えて謝罪しましょう。


・親身になって事実確認をする

クレームの際はお客様の言葉を親身になって聞き、何を伝えたいのかきちんと事実確認をしましょう。

中には興奮して話が行ったり来たりしてしまう場合もありますが、途中で遮って質問などはせず、お客様の話を最後まで一通り聞くことが重要です。


一通り話を聞いたら、「いつ」「どこで」「誰が」「何をした」など、要点をしっかり押さえて事実確認を行います。状況が複雑な場合は、お客様に了承を得てメモを取るようにすると安心です。

この時、むやみに笑顔は作らず、相手の目を見て真剣に話を聞くことも忘れてはいけません。また、クレーム対応となると萎縮して姿勢が悪くなってしまいがちですが、背筋を伸ばして聞きましょう。


・解決策を提案する

お客様の話をしっかりと聞いたら、クレームに対してどのように改善していくかを伝えます。たとえば、「挨拶ができていない」といったクレームであれば、「挨拶を徹底するよういたします。お店全体でも、お客様からいただいたご意見を全従業員へ共有いたします。」など、具体的な解決策を提案しましょう。


上記のように、解決・改善策をその場で提示できることもありますが、クレームの種類は多種多様なので自分で判断できないケースも多くあるでしょう。

その場合には、自己判断せずに店長や社員などに対応を代わってもらいましょう。その際、上の者が対応しても問題ないか、お時間をいただけるかどうかをお客様に聞くことも重要なポイントです。


・上司に報告する

クレームを言われたスタッフだけが悪いのではなく、お店全体で指摘された言動が常習化してしまっているケースもあります。

クレームというネガティブな出来事に遭遇すると、どうしても慌ててしまいがちですが、上司に報告することもクレーム対応の一つです。


上司に報告することで、必要に応じてクレームの内容を従業員全員に共有し、お店全体でサービスの質を向上させることができます。

報告の際は、「いつ」「どこで」「誰が」「何をした」などの要点をまとめ、お客様がそれに対してどんなことを望んでいるのかまでを冷静に伝えられるとベター。上司が、改善への道筋を立てやすくなります。


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NGなクレーム対応



クレームを必要以上に悪化させないためにも、話の聞き方や応え方には注意が必要です。ここでは、クレーム対応でやってはいけないNG行動を紹介します。


・相手の話を遮って発言する

クレーム対応では、お客様の話を最後まで聞くことが重要です。クレームを言うお客様は、すでに気分を害されているため、話を遮ると余計に状況が悪化する可能性があります。


誤解や疑問があっても、話の途中で発言しないようにしましょう。こちらから疑問や誤解の解消をするのは、お客様の話をすべて聞いた後です。


・お客様を疑う・否定する

疑ったり否定されたりして、気分が良い人はいません。クレームを言うお客様は、伝えたいことがあってわざわざ時間を割いてくれているとも捉えられます。疑ったり否定されたりしたら余計気分を害してしまいます。


また、否定していなくても、「人手不足なので」「マニュアルで決まっているので」などといった言い訳ともとれる受け答えも良くありません。これらは、お客様の立場からすると、「仕方ないから我慢してください」という意味合いにもとれてしまうためです。「うちは悪くない」と断言してしまうのも、当然ながらNGです。


疑ったり否定したりせず、「現状は人手が足りていないが、今後は人員を増やして同じことが起こらないよう注意する」「マニュアルを変更できるか責任者と相談する」など、改善のために努力する姿勢を見せることが重要なポイントです。


・頼まれていないのに上司を呼ぶ

アルバイトがクレームを受けた際、「すぐに責任者に代わった方がいいのでは?」と思いがちです。しかし、むやみに対応を代わると逆に状況が悪化することもあるので注意しましょう。


お客様の中には、大事にしたいわけではなく、「気になったからちょっと注意しようと思っただけ」というケースも少なくありません。

そのような場面で、頼んでもいないのに「上の者を呼んで参ります」と言われてしまうと、「話を聞きたくないから逃げたのでは?」と思われるてしまいます。


また、お客様によっては「クレーマーのような扱いをされた」と更に気分を害してしまうこともあります。こうした事態を避けるためには、まずお客様の話をすべて聞き、必要に応じて上司を呼ぶかどうかを検討することが大切です。


・お客様を待たせる

クレームをその場で解決できず、責任者に相談するために時間がかかってしまうこともありますが、お客様をなるべく待たせないようにしましょう。


責任者が不在の場合などは、どのくらい待たせることになるのかを具体的に伝え、期日を守ることが大切です。

対応までに長時間を要するようであれば、お客様の連絡先を聞いて、後日こちらから連絡するよう伝えるのも良いでしょう。


どちらにしても、いつ回答できるのかを具体的に示すことで、お客様は安心できます。また、期日までに回答をもらえれば、「時間をかけて親身に対応してもらえた」という印象に変わることもあります。


クレームの予防にはちょっとした気配りが大切!


レジで横入りしたお客様をそのまま対応してしまう、商品の提供に必要以上に時間がかかってしまったのに謝罪をしないなど、クレームは小さなことや無意識だったこと、つい見過ごしてしまった出来事から生じる傾向にあります。


こうした見過ごしなどを完全に防ぐことは難しいですが、お客様がどのようなことで不快に思うのかを相手の立場になって考え、行動することがクレームを防ぐコツです。「自分が客の立場だったら…」と想像力を働かせてみるのも一つです。


防ぎきれなかったクレームは、話を最後まで聞くなど丁寧な対応で解決し、スタッフの一人としてより良いお店作りに役立てていきましょう。


2023年2月13日公開


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<執筆>

DOMO+編集部

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