働いていた会社を辞める際に提出する「退職届」。正社員の場合とは違い、パートの場合原則として提出不要ですが、提出することになった場合に備えパートが会社を辞める際の退職届について、注意すべき点や書き方例をご紹介します。



パートの場合、退職届は原則として不要!


正社員として会社に雇用されている場合、退職届を提出するのが一般的です。

しかし、パートやアルバイト契約の場合は、基本的に退職願や退職届などの書類提出は必要ありません。

口頭で退職することを伝えるだけでも、法律的にも問題はないとされています。


ただし、会社から退職届の提出が求められる場合もあります。なお、混同されがちな退職願と退職届の違いは、次のとおりです。


● 退職願…退職させてほしい、退職しても良いですか?と、退職の意思を会社に伝えるものです。


● 退職届…退職する、という強い意思を告げるものです。退職願との大きな違いは、原則、撤回することがありません。

退職の意思を伝えるのが退職願であり、退職が認められた段階で提出するのが退職届とお考え下さい。

就業規則に、退職時の提出書類として、「退職願」または「退職届」の指定がある場合は、それに従って提出することをお勧めします。


ただし、以下のような場合は退職届が必要になります。


・会社から提出を求められた場合
・就業規則で提出が定められている場合
・退職を巡ってトラブルになる可能性がある場合


退職の意思を表示したのに退職を認めてもらえない等という場合、「言った・言わない」の問題になることがあります。トラブルになりそうな場合は、意思表示の証拠として、あえて退職届を出しておいたほうが良いこともあります。


■どんな紙を選べばいい?

無地の白い紙や便箋などを用意しましょう。サイズはA4やB5が一般的。コピー用紙などでも構いません。


■書き方のルールはある?

一般的に縦書きすることが多いですが、横書きでも可能です。

手書きの場合は鉛筆や消えるタイプのペンを避け、黒色のボールペンを使用してください。


■必ず含めるべき項目

退職届に含めるべき情報は、以下の6点です。

「退職届」というタイトル/退職の意思/退職届提出日/退職希望日/氏名(署名)/宛名


口頭で退職希望を伝える際に、「退職希望日」についても合意を得ておくとスムーズです。宛名は会社の代表取締役の名前を記すのが一般的です。


■封筒の注意点

封筒表面の中心に「退職届」と記載し、裏面には氏名を明記してください。封筒も縦型で白無地がよいでしょう。



退職届の例文―パートの契約期間満了退職は「会社都合」!


退職届を作成する際、注意すべきは「自己都合退職」か「会社都合退職」かということです。それぞれのケースにわけて例文をご紹介します。


■「自己都合」で退職する場合の例文

自己都合の場合、退職理由には「一身上の都合により」と書くのが一般的です。理由を詳細に記す必要はありません。



1行目:「退職届」という文字は中央に寄せて書きましょう。
2行目:年月日は右寄せで記入します。
3行目:所属の企業名を正式名称で書きます。
4行目:代表取締役の名前を書き、「様」を敬称につけます。
※「殿」の使用には賛否両論ありますので「様」が無難です。
5行目:自分の名前を右寄せで書きます。名前の右側には印鑑を押しておきましょう。
6行目:一行、改行します。
7行目:右寄せで「私事、」と書き始めます。
8行目~:本文を記載します。
最後の行:右寄せで「以上」と記します。

■残業代が出ないなどを理由に退職する場合の例文

残業代が出ないなどを理由に退職する場合、その旨を記載した退職届を作成することをお勧めします。


雇用保険の資格喪失理由は自己都合となりますが、失業保険給付の場面で会社都合退職者と同じ取扱いを受ける可能性があります。なぜ辞めるのか、その理由を簡単に記載するとよいでしょう。




パートが退職届を提出する際の注意点


退職届が書けたら、直属の上司に直接退職届を手渡します。


1.直属の上司に手渡しするのが基本

本来、正式な書類は社員に手渡すべきですが、もし直属の上司がアルバイトやパートの場合は、誰に提出すべきか直属の上司に確認しましょう。

なお、退職届を手渡すときは、ほかの人がいない場所で、目立たないように渡すのがマナーです。


2.退職届は退職希望日の1か月前までに!

民法では2週間前の告知で退職できることになっていますが、2週間で次の人を探すのは大変ですから、1か月前には伝えたいものです。いきなり退職届を出さず、まずは口頭で退職の意思を、直属の上司に伝えましょう。

なお、退職届は不要の場合でも、トラブルになりそうな場合は提出しておいたほうが無難です。


3.退職届を受け取ってもらえない場合

人員不足の職場などでは、退職届を受理してくれないケースもあり得ます。退職届を受け取ってもらえない場合は、もう一つ上の上司に提出したり、本社の人事部あてに提出したりするとよいでしょう。



まとめ


退職届は簡単な書類のようで、注意すべき点がたくさんあります。

スムーズな退職手続きのためにも、正しい知識を持って早めに提出してください。


2023年1月25日公開


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<監修>

杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。静岡県内の中小企業を主な顧客としている。顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。
<保有資格>特定社会保険労務士
社会保険労務士法人ローム https://roum.info/


<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
外資系企業、IT企業、ベンチャー企業などにおいて、採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。現在はWEB系の会社を経営するかたわら、スペインにある学費が15万円/年~の公立大学や、1週間から留学可能な語学学校の紹介をするなど、子どもから大人までの学習支援を行っている。

WEB事業 :https://dy-planning.net/
留学サポート Go Global:https://go-global.info/

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