「家事や育児の空き時間に、ちょっとお小遣い稼ぎができたらいいな」と考える人も多いと思いますが、税金や扶養に関する知識がないと、ソンをしてしまうこともあります。
この記事では、フリーランスをはじめる主婦の方が知っておくべき基礎知識をまとめました。
そもそもフリーランスってどういうこと?メリットやデメリットも解説
正社員の他、アルバイトやパートなどのように、企業に「雇用」されずに働く人を「フリーランス」と呼んでいます。
世の中では「労働時間」や「最低賃金」など、労働者を保護するために労働基準法で様々な決め事がありますが、フリーランスは自分の裁量で働くため、労働基準法は適用されません。
近年では増加するフリーランスを守るために、「下請代金支払遅延等防止法」などのルールが整備されてきました。
■主婦がフリーランスで働く「メリット」
フリーランスのメリットは、なんといっても働く時間や場所に縛られず、自由に仕事ができること。
お子さまがいらっしゃる方にとっては、子どもの学校行事に参加できたり、帰宅時に家で迎えてあげられたりすることは大きなメリットと言えるでしょう。
また、社会とのつながりができて心に余裕ができたり、自分で稼いだという自信が得られたりするかもしれません。
フリーランスは稼いだ分だけ自分の収入になるので、頑張ればパートよりも多く稼げる可能性もあります。
フリーランスには「定年」という概念がないので、元気でいれば何歳になっても収入が得られるのも魅力です。
■主婦がフリーランスで働く「デメリット」
会社であれば年末調整をしてくれますが、フリーランスの場合は自分で収支を管理し、確定申告をする必要があります。
また、営業や経理なども自分で行わなければならず、「仕事がなくて今月は売り上げがゼロ円」ということも。
何歳になっても働ける反面、決まった給与がもらえるわけではないため、収入が不安定になるということもあるでしょう。
主婦がフリーランスで働くにはどんな仕事があるの?
育児や家事をしながらフリーランスで働く主婦の場合、例えば空いた時間と自宅を使ってネイリストとして活躍したり、手作りしたものをフリマアプリや店舗で売ったり、ライターとして文章を書いたりするような仕事があります。
また、家事代行やベビーシッター、ペットシッターなど、主婦の仕事そのものが仕事になることもあります。
年間48万円の利益が出たらフリーランスとして確定申告を
フリーランスの場合、所得が年間48万円を超えると確定申告をする必要があるのですが、この「48万円」とは、売り上げた金額から使った経費を引いた額となります。
ただし、会社などから「給与」として受け取っている所得が20万円以上あれば、48万円未満でも確定申告の必要があります。
給与所得はなく、アプリの売買で収入を得ているケースで考えてみましょう。商品の仕入れ値総額が10万円で、フリマアプリで売って総額60万円を得た場合は、「60万円―10万円=50万円」となり、確定申告が必要です。
しかし、10万円で仕入れて20万円で売れた場合、所得は10万円となり、確定申告は不要となります。
所得が年2400万円以下であれば、一律48万円を引いてもらえます。このことを「基礎控除」と呼んでいます。所得が10万円の場合、48万円がひかれるため、課税される所得がなく、確定申告が不要となるのです。
基礎控除についてー国税庁ただし、住民税の控除額は「43万円」。例えば年間所得が35万円の場合、所得税がかからなくても住民税がかかることになります。
主婦のフリーランスが48万円以下でも確定申告をした方が良い理由
確定申告は面倒なように思いますが、所得が48万円以下でも確定申告をした方が良いこともあります。
その一つは「お金の還付」。例えばライターとして活動している場合、依頼主である企業があなたにかわって所得税を前払い(源泉徴収)しているかもしれません。
しかし、所得が年間48万円以下であれば、前払いしていた税金を返してもらう必要があります。
確定申告をしない限りは戻ってきませんのでご注意ください。
もう一つは「住民税」について。確定申告は所得税計算のための手続きですが、税務署が確定申告の内容を市区町村に情報を連携し、市区町村で住民税が計算されます。
確定申告をしておけば住民税も正しく計算されるのですが、確定申告をしない場合は、別途、自ら住民税の申告をする必要が出てきます。ちなみに、住民税の控除額は43万円です。
主婦がフリーランスになるときは「扶養の範囲」を要チェック
空き時間を活用して所得を増やすことはよいことですが、思った以上にうまくいき、経費を除いた額が133万円を超える場合は、配偶者の扶養から外れることになります。
その場合、配偶者の税金も高くなりますし、主婦の方は健康保険に独立して加入することとなり、保険料の支出が発生します。
もちろん、扶養を外れてどんどん頑張ることに越したことはありませんが、もし「扶養の範囲で稼ぎたい」と考えている場合は、毎月の売上と経費を計算し、累計で利益がいくらになっているか毎月チェックしておきましょう。
まとめ
フリ―ランスになると仕事の質を上げていくことはもちろん、経理や税金に関する知識、新規開拓をしていく営業力、世の中のニーズを見通すマーケティング力なども勉強が必要になります。
フリーランスを始めるにあたり、「世の中で求められていること×自分ができること」を軸に考えるとよいでしょう。
また、どのぐらいの収入を目指すのかは目標を決めておくとスムーズです。もし毎月必要な額を稼ぐ必要があるなら、フリーランスとしての仕事が軌道にのるまで、パートなど「給与」がもらえる仕事と並行して行うことをお勧めします。
2023年1月25日公開