
60歳や65歳になると年金を受給する年齢に差し掛かります。しかし、年金だけでは生活が難しく、収入の足しにしたい方や、「働いていた方が元気でいられる」ということで、あえて仕事をするという人もいるでしょう。
この記事では、65歳以上で年金をもらいながら仕事をする人が知っておくべき基礎知識を解説します。
年金の基礎知識-厚生年金加入は70歳まで
年金には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の二種類があり、会社勤めで厚生年金に入っていた人は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方とも受給できます。
老齢厚生年金をもらいながら、働いて給与を受け取る場合、一定額以上稼ぐと老齢厚生年金が減額されることがあるので注意が必要です。ただし、厚生年金に加入しないで働く場合は減額対象にはなりません。
また、減額されるのは「老齢厚生年金」で、「老齢基礎年金」は給与を多く受け取っても減額されません。
「厚生年金に入らず働きたい」と考えたとしても、条件に当てはまると必ず加入する必要があります。以下が加入の条件ですが、これに加え「70歳未満であること」も条件の一つ。
70歳以上になると厚生年金には加入しなくてよいのですが、70歳以上でも会社から給与が支給される場合は、減額対象になる場合があります。
参考:厚生年金加入の条件 - 厚生労働省
■ 年金の減額対象になるのは「年金+給与+賞与の12分の1=47万円」を超えた場合
上述の通り、給与+賞与の12分の1と年金の合計額が47万円以上超えた場合は、老齢厚生年金が減額されます。具体的には、47万円を超えた額の2分の1が老齢厚生年金より減額されます。
2022年4月より前は、基準額が47万円ではなく28万円になるケース(65歳以上から70歳未満)もありましたが、法改正により一律47万円が基準となりました。
70歳以上の人や、70歳未満でも厚生年金に加入せず働く人は減額対象外となります。
■ 厚生年金保険料を納める70歳未満の方は、毎年1回受給額を見直して
2022年4月の改定により、支払った保険料によって年金額が毎年見直されることになりました。
具体的には、毎年8月までに支払った保険料が9月に計算され、10月以降の年金額に反映するということです。
毎年この時期に年金額が変わる可能性があるため、年金を満額受け取りたい方は受給額を定期的に再確認してください。
上述の通り、70歳以上の方は厚生年金に加入せず、保険料も徴収されないので、金額の再計算は発生しません。
※参考:年金制度改正法 – 厚生労働省
健康保険は75歳まで同じ条件
健康保険は75歳まで被保険者となれるので、通常の健康保険料を納めます。
75歳以上になると、後期高齢者医療制度の被保険者に自動的に移行するので、健康保険料の徴収はありません。
医療機関を受診した際の自己負担額は、70歳以上が2割(現役並の所得のある方は3割)、75歳以上が1割になります(現役並の所得のある方は3割)。
雇用保険は65歳以上でも加入できるが「失業保険」には要注意
週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上継続して雇用される場合は65歳以上でも雇用保険の加入が義務付けられています。
雇用保険に加入するということは、様々な給付も対象になりますが、失業給付に関しては少し注意が必要です。
退職日が65歳の誕生日2日前までは失業給付・基本手当の対象になりますが、それ以降は「高年齢求職給付金」のみが対象になります。
後者は年金と併用できるほか、年金減額の計算対象にはなりません。
■65歳までの失業給付(基本手当)の給付日数
基本手当の所定給付日数-ハローワーク
■65歳誕生日2日を切って離職した方の高年齢求職者給付金日数
高年齢求職者給付金の支給額は、被保険者であった期間に応じて次表に掲げる日数の基本手当に相当する額とされていますが、支給を受けることができる期限は離職日の翌日から1年です。求職申込の手続きが遅れた場合、次表に掲げる日数分の支給を受けることができなくなることがあります。早めの求職申込手続きが必要になります。
高年齢求職者給付金のご案内-ハローワーク
確定申告不要制度
年金も所得税の課税対象なので毎年確定申告が必要なのですが、以下の条件どちらにも当てはまる場合は、確定申告が不要になる制度があります。
条件①年金や収入などの合計が年400万円以下
条件②年金、「雑所得以外の所得」が20万円以下
ちなみに「雑所得以外の所得」というのは、生命保険などから支給される個人年金や満期返戻金、会社勤めの場合の給与所得などを指します。
これらを受け取っている場合や、住宅ローン控除、医療費控除がある人も確定申告が必要です。
参考:「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」 - 厚生労働省
年金を満額もらいながらたくさん稼ぎたいなら「フリーランス」という方法もある
会社に雇用されずに働く「フリーランス(法人ではない自営業者)」は、厚生年金に加入する必要がありません。
年金の減額対象になるのは「厚生年金に加入している」場合なので、厚生年金に加入しない場合は、収入額にかかわらず老齢厚生年金の減額対象となりません。
フリーランスの場合、働く時間や場所の制限を受けない働き方ができ、業務委託契約を結んで仕事をします。
これまで働いてきた会社と交渉し、雇用契約を業務委託契約に変更できれば、減額のことを気にせずに働くことができます。
ただし、業務委託契約は雇用契約より簡単に解除されやすいので、安定性は下がることなどのデメリットも知っておくべきでしょう。
まとめ
定年後の第二の人生をのんびり過ごしたいと夢見ていても、実際に定年してみると「生きがい」や「社会との接点」のために働きたいという人も多いようです。
金銭的に損失を生まないためにも、わからないことがあればハローワークやファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。
2023年1月23日公開
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