「なかなか仕事が決まらない」「収入が低く生活が安定しない…」。そんな悩みを解決に導き、希望の仕事に就く上で役立つのが資格取得です。


この記事では、シングルマザーが資格を取得するメリットや、資格の種類、活用できる国の支援制度などを解説します。

今後のキャリアを考える際の参考にしてみてください。



シングルマザーも資格取得でより良いキャリアを


「ひとり親」は大きく分けて、母子家庭と父子家庭があります。

厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、父子家庭における父親の平均年収が518万円であるのに対し、母子家庭における母親の平均年収は272万円と、2倍近くの差があります。



図:「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」結果について ―厚生労働省

家事や育児をしながら、収入を上げていくことは容易ではありませんが、「資格」を取得することで、シングルマザーの年収を改善できるかもしれません。


厚生労働省が公開した調査によると、平成28年度に母子世帯全体で資格を取得していると回答した割合は61.2%で、内60.9%は「資格が役立っている」と回答。

平成23年度の取得割合は55.7%だったので、シングルマザーの資格取得率が増加傾向にあることが分かります。



シングルマザーが資格を取得するメリット



資格取得には以下のようなメリットがあります。


仕事の幅が広がる

看護師や調理師などの専門職は、資格を持っていることが応募条件であることがほとんどですから、資格をとることで選べる仕事の幅が広がります。

また、パソコンや経理関係の資格などは、事務職などで幅広く求められるため、「エクセルが使いこなせます」「簿記2級を持っていて仕訳作業ができます」などとアピールすれば、採用される確率が上がる可能性もあるでしょう。



より高い収入が期待できる

一般的に、専門的な資格であればあるほど、時給や月給が高く設定されています。

同じ介護職でも、資格があるのとないのとでは任される仕事が変わりますし、資格が必要な仕事の方が、給与も高くなります。


収入が上がれば生活基盤が安定し、経済的余裕も生まれます。

資格取得には時間もお金もかかりますが、自己投資をしてみる価値はあるでしょう。



副業や独立できれば自分のペースで仕事ができる

自分のペースで働ければ、家事・育児と仕事の両立がしやすくなります。

資格があれば、副業をしたり、個人事業主・フリーランスとして独立したりできる可能性も高まります。


例えば美容師の資格をとって小さなお店をスタートしたり、パソコンで画像を処理する「Photoshopクリエイター能力認定試験」をとって、WEB制作事業を始めたりすることも可能です。


日中は子供との時間を大切に、仕事は家で夜に行うなど、自由度が高まりますし、自分の頑張り次第で収入をアップさせることも可能です。

もちろん、独立にはリスクもありますが、「副業」であればリスクも低く、空いている時間を活用してプラスαの収入を得ることができるでしょう。



自分に自信がつく

勉強をして資格を取得できたことにより、自分の自信につながります。

また、その資格を活かして成功体験を積むことで、「努力をすれば実になる!」という好循環が生まれるでしょう。

お母さんが目標に向かって頑張る姿は、子供にもよい刺激になるはずです。



シングルマザーにおすすめ!チャレンジしやすい国家資格5つ



資格には国家資格と民間資格があります。以下に、チャレンジしやすい国家資格をまとめてみました。



1.医薬登録販売者

一般医薬品の取り扱い・販売に必要な資格で、2009年の規制改革でスタートした公的資格です。

医薬品を取り扱うお店が増加しているため、ドラッグストアや薬局だけではなく、スーパー、コンビニエンスストア、ホームセンターなど活躍の場は広がっています。


養成機関に通う必要はなく、資格取得に向けた学習難易度もさほど高くはないため、はじめて資格を取る人でもチャレンジしやすいでしょう。

実務経験がない場合、資格取得後の2年間を研修期間とし、月80時間以上働くことで正式に資格登録されます。



2.保育士

保育園のほか幼稚園、託児所、学童保育、児童館、児童福祉施設など幅広い施設で就職の道が開ける、需要の高い資格です。


保育士の資格を取得するためには、大学や専門学校の養成機関を卒業する、もしくは国家試験に合格する必要があります。

時間や経済的にゆとりがない場合は、通信講座などを利用して国家試験合格を目指すことも可能です。


試験の合格率は20%と難易度は少し高めですが、現場では育児や家事の経験が活かせるので、子供と関わる仕事に興味のある方はぜひトライしてみてください。



3.介護福祉士

専門的な知識や技術をもとに身体的・精神的なケアを行うスペシャリストで、介護の仕事に関する唯一の国家資格です。

2025年には介護人材が38万人不足するといわれ慢性的な人手不足状態が続くため、将来的にも需要の高い資格です。


資格取得にはいくつかのルートがあります。



受験資格(資格取得ルート図)―公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

まず介護現場で3年以上の実務を積み、「実務者研修」の講座を修了することで、介護福祉士国家試験の受験資格が与えられます。

合格率は比較的高いですが、受験資格を得るまでに時間がかかるため、介護福祉士の資格を取らず、介護職員初任者研修や実務者研修の資格のみで仕事を続けている人も少なくありません。



4.調理師

食事を提供する施設の調理場で、メニュー開発や調理を行うための国家資格です。

調理師免許を取得するためには、調理師専門学校などの養成機関で学ぶか、調理の現場で2年以上の実務を積んで受験資格を得たのち、国家試験に合格する必要があります。

試験の難易度はさほど高くなく、資格取得後の就職先も豊富です。


調理スキルや栄養・衛生の知識が身に付くため、家庭での料理にも役立ちます。



5.栄養士

医療機関や福祉施設、学校、飲食施設などの食事メニューを考案・調理し、健康の改善に向けた栄養指導などを行う仕事です。

専門学校など、所定の養成機関を修了すれば資格が得られます。


学校や病院、福祉施設など就職先は多いため、勤務時間や休日など、自分のライフスタイルに合わせて選びやすいでしょう。

また、食・健康に直結する知識が得られるのも、子育て中のシングルマザーにとって大きなメリットです。



難易度は高いが専門的なキャリアを築くことができる国家資格3つ



以下の資格は難易度が高い分、専門的な仕事に就くことが可能です。報酬も比較的高い職だと言えるでしょう。



1.歯科衛生士

歯科治療の現場で、歯科医師のサポートや予防処置などにあたる国家資格です。

資格取得には、大学や専門学校などの養成期間で所定のコースを修了し、受験資格を得て国家試験に合格する必要があります。


資格取得まで時間がかかるものの、国家試験の合格率は非常に高く挑戦しやすいのが特徴です。

また、歯科衛生士は夜勤がないため、日中の仕事を希望しているシングルマザーも安心してチャレンジできます。



2.宅地建物取引士

通称「宅建士」と呼ばれ、不動産契約の場で物件や契約内容に関する詳細な説明をおこない、契約締結を適正に進めるための国家資格です。

就職や転職に強く、収入アップにつながりやすい資格で、不動産の知識を自分の人生設計に生かせるメリットもあります。


不動産取引の現場では不可欠な資格で人気は高いものの、国家試験の難易度は例年10%台と程度の狭き門です。

出題範囲が幅広く、独学は困難なため、通信講座の受講や宅建の予備校への通学を検討する人が多い傾向にあります。

試験合格後は、資格が正式に登録されるまで2年以上の実務経験が必要です。



3.社会保険労務士

社会保険労務士は、会社や労働者のために雇用保険や年金の手続きをしたり、労務問題などを解決したりすることが仕事です。

社会保険労務士事務所への就職のほか、企業の人事部への就職でも有利に働きます。


資格取得には学歴要件があり、高卒では受験資格がありませんが、実務経験を3年積めば高校卒業資格の方も受験が可能です。

試験はかなり難しく、ほとんどの人が専門の教育機関で学びますが、独学でも学ぶことも不可能ではありません。



シングルマザーに人気の民間資格2つ



民間資格は仕事に直結しないものも多くあるので、資格を選ぶ時には、その資格が必要とされる求人がどれぐらいあるかを先に調べてみましょう。以下は民間の資格です。



1.日商簿記検定

経理の基礎知識が得られる「日商簿記検定」は、企業の経理部や会計事務所などへの就職に役立ちます。

独学でも学べますが、経理経験のない方は専門の教育機関に通うと理解が早く、合格への近道と言えます。



2.医療事務

病院などの医療機関で受付や会計、診療報酬証明書の作成などを担う業務全般を指します。

医療事務に関連する資格試験には「医療事務技能審査試験」「医療事務管理士技能試験」「診療報酬請求能力認定試験」「医療事務認定実務者」などがあります。


資格を取得するためには、専門学校などで学ぶほか、通信講座、通学コース、公共職業訓練などの受講もできます。

資格取得後は自宅から通いやすい場所に就職しやすく、シフトも比較的柔軟な傾向があるため、シングルマザーにぴったりです。



シングルマザーが利用できる国の「資格取得支援制度」を活用しよう



資格を取りたくても、入学や授業にかかる費用の工面が難しかったり、学校に通うことで給料が少なくなり、家賃の支払いが厳しかったりということもあります。

そういう場合には、以下のような公的支援が使えないかどうか、確認してみてください。



自立支援教育訓練給付金

ひとり親世帯の親が資格取得の際に受講した所定の講座の受講料などの費用のうち、60%を国と自治体が支援する制度です。受講修了後に給付されます。


対象者の条件は以下の通りです。


・児童(20歳に満たない者)を扶養していること
・児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にあること
・就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断し、教育訓練が適職に就くために必要であると認められること

高等職業訓練促進給付金等事業

ひとり親世帯の親が資格取得に向けて一年以上養成機関で学ぶ際、生活費などの費用負担軽減に向けて支給される「高等職業訓練促進給付金」と、養成機関入学時の負担軽減に向けて支給される「高等職業訓練修了支援給付金」の2つがあります。


対象者は上記条件に加え、以下に当てはまる必要があります。


・養成機関において1年以上の講座を終え、資格取得が見込まれること
・仕事または育児と講座受講の両立が困難であること

また、対象となる資格は限定されており、以下のような資格が当てはまります。

看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士、保健師、助産師、シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格 など


参考ページ
母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施についてー厚生労働省

ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業

上記の「高等職業訓練促進給付金等事業」で給付を受ける人が対象の貸付制度です。

教育機関の入学にかかる費用や、現時点で支払っている家賃について、一定期間、無利子で貸し付けるという内容です。


養成機関を修了してから1年以内に就職し、取得した資格を活用する業務に5年以上従事している場合に返済が免除される制度もあります。

自治体によって金額やルールが異なることもありますので、地域の役所などで確認してください。


参考ページ:ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
東京都の場合はこちら
大阪市の場合はこちら

まとめ


資格取得にはさまざまなメリットがあります。よりよいキャリアを築くためにも、公的支援を利用しながら自己投資を検討してみてください。


2022年8月24日公開/2023年10月9日更新


※関連求人はこちら
シングルマザー・ファザーが活躍できる会社特集【静岡】

<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
外資系企業、IT企業、ベンチャー企業などにおいて、採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。現在はWEB系の会社を経営するかたわら、スペインにある学費が15万円/年~の公立大学や、1週間から留学可能な語学学校の紹介をするなど、子どもから大人までの学習支援を行っている。

WEB事業 :https://dy-planning.net/
留学サポート Go Global:https://go-global.info/


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