子育てをしながら、家計を支えるため仕事もこなすシングルマザー。
頑張り続ける日々の中で、疲れがたまったり、子供との時間が取れなかったりすると「仕事を辞めたい!」と思うこともあるでしょう。
とは言え、収入が途絶えてしまうのではないか、コロコロ仕事を変えるのもどうなのかと、モヤモヤと葛藤している人も多いはず。
本記事では、今の状況を冷静に見つめ直し賢い選択をするための3つのポイントをご紹介します。
シングルマザーが仕事を辞めたいと思うのは、どんなとき?
「子供のために時間が取れないと感じたとき」
シングルマザーにとって、子供と過ごす時間は特に大切です。仕事が極端に忙しい、時間の融通が利かない職場などの場合、子供と過ごす時間を十分に確保できずストレスがたまってしまいます。
● 子供が発熱したのに早退ができず、一番つらいときにそばにいてあげられなかった
● 急な残業対応で帰りが遅くなり、おもちゃを買いに行く約束を守れなかった
● シフトの調整ができなかったため授業参観に参加できず、寂しい思いをさせてしまった
子供と一緒に過ごせない自分を責め、仕事を変えた方がいいのかも?と悩む方は多いのではないでしょうか。
「収入が少なくやりくりが苦しいとき」
低収入で生活が苦しいとき、なかなか昇給の機会に恵まれない場合などは、安定した生活が望めず退職の意思が強まる傾向があります。
厚生労働省が実施した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、平成27年度のひとり親の平均収入は243万円。
税金や年金などを差し引くと、生活費に回せる金額はおおよそ手取りで200万円程度。
そのため、子供に十分な習い事をさせるなどの余裕もなく、生活を維持するのがやっとの状態です。
収入を増やすために今以上に働きたい、でも子供と過ごす時間がさらに減るうえに体力的にも精神的にも限界がある…そんな風に葛藤している人は少なくないはずです。
「職場の人間関係に悩んでいるとき」
職場の人間関係の悩みも、退職の引き金となりやすいようです。
シングルマザーの場合、子供の急な発熱などの事情で急遽休んだり、保育園のお迎えのために早退したりする頻度が多くなりがちです。
子育てへの理解がある職場なら問題にはなりませんが、逆の場合は、あまりよく思わない人から嫌味を言われてしまうなんてことも。
「急に休まれると皺寄せがくる」などの不満が態度に表れると辞めたい気持ちに拍車がかかってしまいます。
仕事と子育てを両立しているからこその悩みですが、人間関係がギスギスするのはストレスですよね。
辞めたいと思ったときにやるべき3つのこと
シングルマザーにとって、退職は大きな決断です。
辞めることで事態が好転する場合もあれば、後悔することもあります。
冷静な判断をするためにも、仕事を辞めたいと思ったときにやるべきことを3つご紹介します。
■ 仕事と育児を両立する上で、何を大切にしたいのかを考える
これまでじっくりと考える機会がなかった方も、いざ考え始めると次々と浮かんでくるものです。紙に書き出してみるとより整理しやすいので、ぜひやってみてください。
● 休日は一日子供と一緒に過ごしたい
● 夕ご飯の時間は、子供とじっくり話す時間に充てたい
● しっかり稼いで生活を安定させ、子供が好きな習い事をさせたい
● 今後のキャリアアップのために仕事に時間を費やしたい
● 手に職をつけて長く働くため、資格を取りたい
時間や体力に制限がある中ですべてを実現させるのは困難です。
リストアップした中で特に大事なもの、譲れないものは何かを考え、優先順位を付けてみましょう。
■ 自分に向いている「働き方」について考える
働き方は、正社員や契約社員、アルバイト・パート、派遣社員などさまざまなスタイルがあります。
保有スキル次第ではフリーランスとして働く、いっそ自分で会社を興すなどの選択肢もあります。
自治体等で女性の起業を支援する制度も増えているのでチェックしてみましょう。
また、低賃金や健康上の理由で生活に困窮している場合は、公的制度を活用するのも1つの手段です。
シングルマザーの場合は母子手当だけでなく、生活保護も受けられる場合があるので、無理のない働き方を考える際の参考にしましょう。
受給には一定の条件があるため、該当するかどうか、まずは地域の行政機関に相談してみてください。
■ 転職したい場合は次の仕事が決まってから辞める
今の職場を辞めたからといって、すぐに次の仕事が見つかる保証はありません。
先走って仕事を辞めたものの、なかなか新しい就職先が見つからず一時的に収入が途絶えてしまう可能性があります。
そのため、転職したい場合は、次の仕事が決まってから退職を申し出るのが無難です。
シングルマザー×仕事に関する体験談
子育てと仕事を両立しながら転職を経験したシングルマザーの体験談やアドバイスはとても参考になります。
以下にご紹介する3人の体験談を通じて、今のあなたの状況を好転させるヒントを見つけてみてください。
【 仕事を辞めて良かった体験談 】
以前働いていた会社は、夜8時や9時までの残業もザラ。
同僚に「お先に失礼します」と声をかけ退社する際は、いつも罪悪感がありました。
昇給も何年も据え置きで、育ち盛りの子供3人を養っていくには経済基盤も不安定でした。
そこで思い切って保険会社の営業職に転職。
最初はノルマが厳しい、基本給が安いなどの不満もありましたが、実際に始めてみると、こつこつ勉強して商品知識を高めていく、個々のお客さんと時間をかけて関係づくりをする仕事のスタイルは、性格に合っていました。
保険営業の仕事は自由にスケジュールを立てやすく、家庭の状況を理解して訪問日時も柔軟に対応してくれるお客さんも多いのです。
そのため、家庭との両立もうまくいき、仕事面でも大きなやりがいを感じています。
【 仕事を辞めて後悔した体験談 】
前職は多忙を極め残業も多く、一人息子が急に熱を出した際も休みを取るのが一苦労でした。
周囲もあからさまに反感を示してくるため、神経がすり減る思いをしていました。
そこで、息子が高校生になった時点で、もう少し精神的に余裕が持てる仕事に就きたい思い退職。
ところが、待っていたのは大きな年齢の壁。
年齢不問としながらも、実際には自分より若く経験がある人が優先的に採用されるため、なかなか次の仕事が決まりません。
とは言え、前職よりも条件が下回る仕事は避けたい…と悶々としています。
自己都合での退職なので、失業手当が入るのは数か月先です。せめて新しい仕事が決まってから辞めればよかったと後悔しています。
退職を決意した場合の心構え
自分にとってプラスとなる選択をするためにも、退職を決意した場合に心がけたいポイントをご紹介します。
■ 悩みがある場合は身近な人に相談する
精神的に辛い、強いプレッシャーを感じている場合は、一人で抱え込まずまず周囲に相談しましょう。友人や家族、職場の上司や同僚など、信頼できる身近な人に話を聞いてもらうだけでも気持ちは晴れ、冷静なアドバイスをもらえるかもしれません。
心身が疲れて不調を覚えている人は、一度心療内科などの専門的な医療機関で診察を受けるのも一つの方法です。
■ どんな仕事がしたいのかを具体化する
退職のゴールは、今の仕事を辞めることではなく、転職を通じて新たな人生をスタートさせることです。
どのような仕事がしたいか、どのような働き方・待遇が合っているのかなどを、具体的にリストアップして整理しましょう。
まとめ
子育てと仕事の両立で多忙を極めるシングルマザーが、時に仕事を辞めたいと思い悩むのは、ごくごく自然な感情です。
大切なのは、一時の感情に流されずに冷静に自分の現状を把握できるかどうかです。なぜ自分は仕事を辞めたいのか、本当に優先したいものは何なのか、次の仕事先が見つかるまでの経済的な蓄えはあるかなど、退職を決断する前に吟味すべきポイントがいろいろあります。
今回の記事で解説したポイントや体験談を参考に、ぜひ新しい生き方や働き方を模索してみてください。
2022年8月22日公開