全額支給してもらえるととっても助かるパートの交通費。逆に、「交通費が出ていない! 会社が負担する義務があるのでは?」と内心不満に思っている方もいるかもしれません。


従業員の交通費は会社が負担するべきなのか否か、今回はパートの方が知っておくべき「交通費」の知識についてまとめました。



パートへの交通費支給は会社の義務ではない



最近では交通費支給という企業が多いですが、法律的な義務はなく、「交通費は出しません」と言っても企業が罰せられることはありません。


交通費支給の場合でも、「1日往復500円まで」「1か月1万円まで」などと上限を設けている会社もありますので、求人情報に「交通費全額支給」と書かれていない場合は、面接時に確認してください。


マイカー通勤の場合、会社独自で決めた計算方法に従って、ガソリン代が支給されることがありますが、そもそも駐車場がない、渋滞で遅刻の可能性があるという理由で「車通勤禁止」というところもあります。



パートの扶養範囲に影響なし! 15万円未満の交通費は非課税



「交通費は支給されないけど時給の高い方を選ぶ」という考え方もありますが、これには注意が必要です。


国税庁の説明には以下のように書かれています。


『役員や使用人に通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となっています。』


『最も経済的かつ合理的な経路及び方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税となる限度額となります』


交通費は所得税の計算には含まれませんから15万円までならたくさんもらってもよいですが、時給に含まれてしまうと「所得の一部」になってしまうので、所得税が高くなる可能性は知っておいたほうが良いでしょう。



扶養範囲で働くパートは要注意! 社会保険料計算に交通費は含まれる



所得税の計算には交通費を含まないと書きましたが、一方で、社会保険を算出するときには交通費を含みます


日本年金機構の説明:
『厚生年金保険法でいう報酬とは、被保険者が事業主から労務の対償として支給されるすべてのものをいい、賃金、給料、手当などその名称にかかわらず対象になります。』


「交通費が5万円もかかるけど、全部会社が負担してくれてラッキー!」と思いきや、その5万円が社会保険料を高くしてしまっている、いるということになりかねません。扶養の範囲で働きたいと思っている人は、交通費によって扶養の範囲を外れないかどうか、特に注意が必要です。


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全額負担だと助かる交通費


法律では支払い義務がないということで、支給がなくても文句が言えない交通費。とはいえできれば全額支給してくれるところを探したいという人は多いでしょう。


税金や保険料の計算方法は人事部の人でも難しい点ですから、扶養範囲を超えないかどうか、自分では判断しづらいという人は年金事務所などで確認するのが確実です。


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<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
外資系企業、IT企業、ベンチャー企業などにおいて、採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。現在はWEB系の会社を経営するかたわら、スペインにある学費が15万円/年~の公立大学や、1週間から留学可能な語学学校の紹介をするなど、子どもから大人までの学習支援を行っている。

WEB事業:https://dy-planning.net/
留学サポート Go Global:https://go-global.info/


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