
転職活動で新しい会社を探すときには、毎月の給料額はもちろんのこと、ボーナスや退職金などの待遇もチェックすることでしょう。
特に退職金は老後の生活を左右する大切なものですが、そもそもパート勤務の人でも退職金をもらうことができるのでしょうか。
パートはおろか正社員の退職金もないところも
昨今では一つの会社に長く勤める人が少なくなったことも影響しているのか、「パート・正社員を問わず退職金はない」という会社も増えてきているようです。
退職金が存在していても、パートにも支給するという会社はごくわずかです。下記の調査結果からも少数派であることが分かります。
出典:「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査結果 労働者調査(「働き方等に関する調査」)編 2021年1月29日発表 - 独立行政法人労働政策研究・研修機構
パートの退職金は就業規則・雇用契約書をチェック!
パートも退職金の対象になっているかどうかは、「就業規則」「雇用契約書」で確認できます。
「入社時にもらった雇用契約書には退職金なしと書いてあるけれど、就業規則には退職金ありになっている」という場合、以下の通り、就業規則の記載事項が優先されます。
『第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。』(労働契約法)
また、パート用の就業規則が存在しない場合は、正社員の就業規則をパートにも適用することになりますので、そちらも併せて確認しましょう。
会社の義務! パート(有期雇用者含む)の雇入れ時に労働条件の明示が必要
パートを採用する際、「昇給・退職手当・賞与の有無」を文書で明示しなければならないという法律があります。
「パートタイム・有期雇用労働法のあらまし*」という厚生労働省が発行している冊子があり、主に企業向けに書かれたものですが、わかりやすく解説されているので、パート従業員の方もぜひ確認してみてください。
*パートタイム・有期雇用労働法のあらまし勤めている会社に退職金があるか、上司に聞いてみるのも一つの方法
就業規則が簡単に確認できないという職場もあるでしょう。そんな場合は、上司や身近な社員の人に、率直に聞いてみるというのも一つの手です。
お金についての質問はなかなか切り出しにくいものですが、機会を見計らって確認してみることをお勧めします。
パートの退職金相場ってどのぐらい?
独自に退職金を用意している会社もありますが、中小企業の場合は「中小企業退職金共済」といって、会社が毎月退職金を積み立てる制度を利用しているところもあります。
毎月の掛け金が3,000円で、10年間パート勤務した場合の退職金は、3,000円×120ヵ月=360,000円となります。
上記のような制度は使わず、「寸志5万円」などという形で支払われることもあるようです。
退職金が支払われる一般的な条件とは?
退職金制度がある場合でも、誰でももらえるというわけではありません。
一般的には、「勤続年数3年以上、5年以上」などという基準を設けていることが多いようです。自己都合と会社都合で退職金の額が違ったり、役職によって加算されたりということも一般的です。
参考:中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)
「老後2000万円問題」を考える上でも、退職金の有無を確認することは重要
パート勤務で退職金をもらうのは難しいことかもしれませんが、少なくとも退職金があるのか、ないのかを知っておくことは大切です。
人生100年時代、「老後2000万円問題」に備えていきたいものですね。
2019年2月6日公開/2022年11月25日更新