みなさんは「雇用保険」に加入していますか?「保険は手取りが少なくなるから入りたくない!」という方も多いのですが、雇用保険はその名の通り一種の「保険」です。

毎月かけておくことで、必要な時に必要な保障を受けられるのです。この記事ではその詳細を解説します。


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パートも知っておきたい!「雇用保険」基本のキ



雇用保険に加入していれば、失業時に安心して転職活動に専念できたり、仕事を探すにあたって必要な知識を得られる学校に通えたりします。


毎月払う雇用保険料は事業内容によって異なります。

一般的な事業では、雇用保険料率は給与の15.5/1000と決まっていて、そのうち6/1000を従業員が、残りの9.5/1000を企業が負担(令和5年度実績)。年度ごとに保険料率が改訂されることがあります。


雇用保険加入条件は以下の通りです。


(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。]

(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。

※出典:「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」-厚生労働省

週20時間未満のパートは雇用保険から外れる



31日以上の雇用が見込まれる人で、週20時間以上働く場合など、上記条件に当てはまる場合は必ず雇用保険に加入しなければならず、「入る・入らない」を選ぶことはできません。

また、「前は週40時間働いていて雇用保険に加入していたけど、今は週20時間未満になった」という場合は、雇用保険から外れることになります。


せっかく雇用保険に加入していた実績があっても、その後保険から外れる期間が長くなると、雇用保険の基本手当を受けられないことがありますので要注意です!


パートが雇用保険の基本手当を受ける条件



雇用保険の大きなメリットの一つは、仕事を失ったときの「基本手当の支給」で、いわゆる「失業保険」と呼ばれるものです。


・雇用保険に入っていたパートが基本手当を受給する条件

パートを辞めて、基本手当の支給を受けるには、以下のような要件を満たす必要があります。


① 離職の日からさかのぼって2年の間に加入していた期間が通算12か月以上あること。「通算」なので、連続した期間でなくてもよい。
② 「通算」の月数を数える時は、離職日から1か月ごとの単位で見た時に、給料支給日が11日以上あること(「11日以上」ない場合でも、その区切られた期間の労働時間が80時間以上であれば、被保険者期間「1ヶ月」としてカウントされます)。例えば1週間に1日、1か月に4日しか働いていない月は、「12か月」のうちにカウントできない。

例えば、入社から5年間は雇用保険に加入していたけれども、退職前の2年間雇用保険の対象外になっていたという場合は、「離職の日からさかのぼって2年の間に雇用保険加入月が12か月あること」という条件を満たせません。


労働日数・時間を減らす場合は、雇用保険の条件も踏まえてしっかり考えましょう。ただし、解雇や倒産などの特別な場合は別条件が適用されます。


・基本手当(失業保険)受給の手順

基本手当を受給するまでには様々なステップがあります。離職理由によっても異なりますが、自己都合退職のケースで見てみましょう。


STEP1:退職をしたらハローワークで求職手続き

失業保険を受給するためには、「積極的に仕事を探していること」「すぐに働けること」が前提条件です。条件に当てはまる場合は以下の書類を持参し、求職手続きを進めましょう。


  ・雇用保険被保険者離職票1と2を退職した企業から入手する
  ・マイナンバーカードかマイナンバー通知カード、または個人番号が明記された住民票
  ・本人確認書類(運転免許証など)
  ・証明写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm)
  ・失業保険振り込みをするための預金通帳やキャッシュカード
  ・印鑑

STEP2:待期期間(7日間)と給付制限期間(2か月)

手続き完了後は、7日間の待期期間と2か月の給付制限期間があり、この間は失業保険を受け取れません。この期間中は雇用保険受給説明会に参加したり、転職活動を進め、4週間ごとにハローワークで求職活動の報告を行ったりします。

ただし、解雇や倒産などの会社都合離職や、契約期間満了の「特定受給資格者」、「特定理由離職者」は、給付制限期間が免除されるなど異なった条件があります。



STEP3:失業認定を受けて振り込みを確認する

給付制限期間が明け、求職活動報告が認められると「失業認定」を受けることができます。失業認定を受けると、数日後に登録した口座に基本手当が振り込まれます。


基本手当についてのよくある質問は、厚生労働省の以下Webサイトに詳しく記載されています。


Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)-厚生労働省

雇用保険のメリットとデメリット



雇用保険の内容は失業保険だけではありません。それ以外のサポートも活用したいものです。


・メリット① 基本手当

上述の通り、一般に「失業保険」と呼ばれるもので、仕事が見つからない間、しっかり就職活動ができるようにと支給される手当です。


・メリット② 育児休業給付金

基本手当は「いつでも仕事ができる状態にあり、就職活動をしている人」が対象ですので、育児や病気で働けない人は対象外です。

しかし、育児のために仕事を休業している雇用保険の被保険者の人には基本手当とは別にある「育児休業給付金」が支給されます。


育児休業給付金は、出産後1歳又は1歳2か月未満の子を育てるために仕事を休んだ場合、雇用保険から給付されるもので。(期間延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳。「パパママ育休プラス制度」を利用すると、育児休業の対象となる子どもの年齢は原則的に1歳2か月までとなります。)


支給される額は、休業する直前の日額×支給日数の67%の金額。休業開始から6か月経過すると50%ですので、収入全額をカバーするものではありません。


・メリット③ 傷病手当

退職し、ハローワークで求職の申込みをした後に病気やケガで働けなくなることもあるでしょう。

失業保険は基本的に「すぐにでも就業できること」が条件となっていますので、病気療養中の人は「すぐに就業」できず、失業保険の対象にはなりません。


その代わり、病気やケガで15日以上就職できない人には「傷病手当」が雇用保険から支給されます。日々の生活を安定させるための給付で、給付額は基本手当と同額です。


・メリット④ 職業訓練

より良い仕事につくために、必要なスキルを身につける職業訓練に通うことができます。この職業訓練に通う間は「受講手当」や「通所手当(交通費)」も支給されます。


・メリット⑤ 再就職手当

再就職が決まった場合、ある一定の条件のもと、再就職手当が支給されます。


・メリット⑥ 広域求職活動費

遠くにある会社の面接を受ける場合、ハローワークの紹介であれば、交通費や宿泊費が支給されることがあります。面接にかかる交通費が支給されるのなら、引越し前でも思い切って遠方の面接を受けることができるかもしれません。


その他、「高年齢雇用継続給付」や「介護休業給付」などもありますので、60歳以降も働き続ける方や、家族の介護で仕事を休まなくてはならない場合、受けられる給付があるかもしれません。


・雇用保険加入のデメリット

雇用保険に加入するデメリットは、保険料の支払いがあることぐらいでしょうか。とはいえ、保険料は賃金の1000分の6と少額ですから、メリットを考えるとデメリットはそれほど大きくないと言えるでしょう。


パート在職中でも雇用保険のメリットあり!


雇用保険は「教育訓練給付金」といって、在職中でも受けられるサポートもあります。仕事をしながら勉強し、資格やスキルをつけてキャリアアップしたり、自分のやりたい仕事に転職したりすることも可能になるかもしれません。


支給には各種条件がありますので、自分が対象になるかどうかを知りたい場合は最寄りのハローワークで確認してください。

参照:雇用継続給付 – ハローワーク


2019年1月29日公開/2023年2月24日更新


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<監修>

杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。静岡県内の中小企業を主な顧客としている。顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。
<保有資格>特定社会保険労務士
社会保険労務士法人ローム https://roum.info/


<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
外資系企業、IT企業、ベンチャー企業などにおいて、採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。現在はWEB系の会社を経営するかたわら、スペインにある学費が15万円/年~の公立大学や、1週間から留学可能な語学学校の紹介をするなど、子どもから大人までの学習支援を行っている。

WEB事業 :https://dy-planning.net/
留学サポート Go Global:https://go-global.info/