ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載インタビュー「レコメン図」。今回お話をうかがったのは、舞台「宝塚BOYS」上原金蔵役や、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」孤爪研磨役、映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』里中先輩役など、幅広く活躍中の俳優・永田 崇人(ながた・たかと)さん。


先日、舞台「いまを生きる」への出演を終えた永田さんに、前編では役作りで大切にしていることや、ターニングポイントとなった作品などについて、じっくり語っていただきました。


インタビュー後編はコチラ

とある一言に背中を押され東京へ。俳優を志したきっかけ


――まず初めに、俳優のお仕事をはじめたきっかけについて聞かせてください。


当時、大学に通っていたんですが、そこで勉強していたことを仕事にしたいとはどうしても思えなかったんです。その頃にたまたま、高良健吾さんを輩出した熊本のタウン情報誌で少しだけモデルをさせてもらっていて。


カメラマンさんから「永田くん、俳優やればいいのに」って言われたのを鵜呑みにして、東京に出てきちゃった感じです(笑)。





――そこで実行に移せる行動力はすごいと思います。タウン誌のモデルのお仕事は、スカウトされて始められたんですか?


いえ、スカウトというよりは……大学生の時に「何かやりたいな」という思いがあったので、知り合いの人の紹介でやらせてもらうようになって。ちょこちょこ誌面に載せてもらえて楽しかったです。


もともと歌うことが好きで、俳優に限らず何かそういうお仕事ができないかなとは思っていたんですが、モデルというのは思ってもみなかったですね。


――では以前から人前に立つお仕事に興味があったと。歌の道も考えられたことはあったのでしょうか?


歌のオーディションがきっかけで、養成所に入りました。でも俳優については、当時からやってみたい気持ちはあったんですが、はじめはそれだけをやろうという気持ちだったわけではないんです。というのも、その頃は(芸能関係の仕事内容が)そんなにちゃんと分かれているものだとは思っていなくて、みなさん何でもこなしているように感じていたので。だから、お芝居のほかにもいろいろやってみたい気持ちはあったと思います。





役のオーラを纏って「自分が役であることを一番信じる」


――初舞台は2015年の「東京ワンピースタワー」ライブアトラクションのモンキー・D・ルフィ役だったそうですね。それ以降さまざまな作品に出演されてきて、役作りの上で大事にしていることは何ですか?


言葉にするのは難しいんですが、役の雰囲気というか、オーラを纏うこと、ですかね。台本を読んだ時に感じた「この人ってこういう感じなのかな」という空気感がすごく大事だと思っています。原作がある作品なら、原作を読んだりもしますし。あとは、その役であることを自分自身が疑わないこと。一番信じてます。あくまで僕の感覚なんですけど。





――役のオーラを纏い、自分が役であることを信じる……そのために、所作や立ち姿などを役に合わせて作っていくという感じでしょうか。


そうですね。「(役作りの上で)僕はこれを大事にしています」と思いながらやっているわけではないんですが、よく考えてみたらそうやっているなぁと。(稽古が進む中で)後から肉付けをしたり、バックボーンを足したりはしていきますけど、最初にしているのはそれなので、自分にとって一番大事なのかなと思います。





ターニングポイントとなった「宝塚BOYS」上原金蔵役


――では、これまでの出演作を振り返って、特に印象に残っているものや、ターニングポイントになったのはどの作品ですか?


つい最近出演させていただいた作品なんですが、「宝塚BOYS」の上原金蔵役がターニングポイントになった気がしています。それまでは原作のある作品に携わることが多かったので、「宝塚BOYS」では(自分が演じる役柄の)“人間を作る”ということに、よりきちんと取り組む機会になりました。


もちろん原作モノでも、できるだけ人間でありたいなとはずっと思いながらやっていたんですけど、人間を作るために必要なことをこの作品で改めて学んだように思います。





――「宝塚BOYS」は、実在していた宝塚歌劇団男子部の方々がモデルになっているんですよね。


役柄はフィクションで、在籍されていた方の実名を使わせてもらっているわけでも、誰かをなぞって演じているわけでもないんですけど、それでも実在されていたみなさんのお話なので、演じることへの責任のようなものをこの時初めて感じました。


――責任、ですか。


宝塚には男子部が存在した、その事実があまり世の中に知られていなくて。そのことは実際に在籍されていた方もすごくおっしゃっていたんです。だから、男子部が実在したということや、戦後すぐの日本が一番落ち込んでいた時期に、「エンタメをやりたい」という強い気持ちを持った人たちがいたけれども、9年間に陽の目を見ることなく解散になってしまった、そういう事実を伝えていかなきゃなって、すごく思ったんです。





――上原金蔵と、これまで取り組んできた役柄では、役作りをするにあたってちがいを感じる部分はあったのでしょうか?


原作がある作品では役のキャラクターが存在しているので、言ってみれば(役作りの)答えはもうあるわけなんですが、それを一度忘れて向き合ってみると、人間同士の姿を描いた物語なんです。明らかにキャラクターのような役だったとしても、どこか人間的な部分があったりして。


そういう役に関しては、脚本の段階から演劇として取り組んでいるので、原作の有無には僕は大きなちがいを見出しているわけではないんです。でも、「宝塚BOYS」の背景には史実があるので、そのパワーは感じましたね。





――作品としては5年ぶり4度目の再演、今回は2チームの俳優陣で臨まれたわけですが、それだけの実績がある舞台に携わるにあたってプレッシャーはありましたか?


ありましたね。何度も上演されている作品ですし、さらにこれまでで一番平均年齢の若いチームで挑んだので、そういう面でのプレッシャーは感じました。それを共にやりきったので、公演を終えた今でも、メンバーとスタッフさんはみんな本当の仲間だと思っています。


それに、今回別チームで上原金蔵を演じていた良知真次さんや、過去に演じていた方々を超えたいという、ライバル心みたいなものもあって。分かりやすく点数をつけられるのなら、誰よりもいい点を取ろうと思って頑張ったんでしょうけど、実際はそうではないし、すごく不確定なものだと思うんです。だから「自分にしかできない上原金蔵を演じられていたらいいな」という気持ちでしたね。





――自分なりの上原金蔵を作る上で、心がけたことは何でしょうか?


演出家の鈴木裕美さんから「(役に)ぴったりだ」と言っていただいていたんです。身体的な話にはなりますが、まず小柄だし、声が高いこともあって。そういう部分は自分にしかない武器なのかもしれないと思ったので、大事にしながら取り組みました。あとは、暴れまわるような芝居をするのが稽古の時にすごくハマったので、僕の上原のよさはそういうところなのかなと思いながら演っていましたね。


――誰かをなぞるのではなく、永田さん独自の上原役を描いていたんですね。この役を演じたことで掴み取れたものは、どんなものでしょうか?


何だろう……多分いっぱいあるんですよ。芝居に関して言うなら、明らかに台本の読み方が変わりました。作者の意図をどこまで読み取るか、それが今までは甘かったなと思います。今の自分が100%できるようになったとは思わないですけど、その点はすごく勉強になりました。





「お芝居が好きだから」原動力はシンプルで強い気持ち


――俳優のお仕事をされていて、特にやりがいを感じるのはどんな時ですか?


お客さんからの反応や、感想が励みになるというのがまず大前提としてあって。役者同士での話だと、演技というのはあくまでキャッチボールなので、(稽古などを通して)自分が感じていることが変わった時に、それによって相手が感じることも変わるっていう連鎖、化学反応みたいなものが起きた時には、「すごいな」って思いますし、震えがきます。役を通して通じ合えたのかなと感じる瞬間ですね。


――演じる側だけが感じられる醍醐味ですね。では、お芝居をする上で原動力になっているものは何だと思いますか?


これも難しいんですけど……お芝居がすごく好きなので、お芝居自体が原動力になっている気がするんですよね。何かのためにやっているというより、お芝居が好きだからやっているというか。何となくなんですが、自分にとっては、演技をしている時の自分じゃない自分のほうが(素の自分より)魅力的だと思っているんです。自分のままでは「ちょっとできないな」と思うことも、役だとリミットが外れる時があったりして、そういう瞬間がとても好きなんですよね。





――お芝居をすることに喜びを見出せているんですね。


上手くいかない時にはその分だけ悔しいですけど、すごく楽しませていただいてます。それから、役を演じていると「俺、こんなの知らない」っていう感情や考えと出会うことがたまにあるんです。実際にそういう経験はないのに、その世界に連れていかれたような感覚になって、そういう瞬間はもう鳥肌が立ちますね。


――素の自分のままだったら開かなかった扉が開いたような感覚でしょうか。


イメージとしてはそんな感じだと思います。あとは、舞台に関していうならナマなので、その時その場所で生まれたものがお客さんに伝わっていく……それってすごいことだなと思うんですよ。





トッド・アンダーソンとして、役と、自分とシビアに向き合う


――現在上演中の舞台「いまを生きる」では、転入生のトッド・アンダーソン役を演じられていますよね。両親からの愛情不足がトラウマとなっている難しい役どころですが、手応えはいかがでしょうか?(※取材は10月中旬に行いました)


自分とは相反するような役なので、公演ごとに気合を入れて、自分にストレスを与え続ける必要をすごく感じています。苦しいんですけど、それが楽しくもあって。その時々でどれだけ自分にストレスをかけられるかによって、役の感情の振れ幅が微妙に変わってくるんです。本当はプロとしてそういう部分も一定じゃなくてはと思うんですが、コンディションによって生まれるわずかな差を、とても感じる舞台かもしれないです。


――毎公演、自分を見つめながらシビアに役作りをされているのを感じます。生徒役は総勢6名ですが、永田さんが最年長だそうですね。


そうなんですよね。8つ年下の子もいますから。


――では現場ではお兄さん的存在なんでしょうか。


最年少の子が17歳の現役高校生なので、お兄ちゃんというか何というか……自分はかわいいなと思っているんですけど、あちらからはどう思われてるんでしょうね(苦笑)。かわいがらせてもらっている感じというか、かわいがられてくれているんじゃないかなって(笑)。





――ここまでの期間に、共演者の方との印象深いエピソードがあったら聞かせてください。


主演の佐藤隆太さんと、生徒役のメンバーとはよくご飯に行くんですけど、いつもすごく楽しいです。


――ご飯を食べながら、みなさんで演技について話をしたりするんでしょうか?


隆太さんと二人だと演技の話もけっこうしますけど、みんなと行く時には、そういう話はあまりしないですね。パーっと楽しい感じの雰囲気です。


――いいリフレッシュになりそうですね。先ほど年齢差の話題も出ましたが、そういう時にはどんな話題で盛り上がるんですか?


8つ下の彼に関しては九州出身の子なんですが、僕も同じく九州の福岡県出身なのでそういうところで話が合ったりします。あとは「どんな音楽聴くの?」って聞いてみたり。それで「ワンオク(=ONE OK ROCK)です」って返ってきたら、本番前の楽屋で僕がワンオクを大熱唱して、その子にはファンになりきってもらうっていう、よく分からないコントみたいなことをしたりします(笑)。





――とても楽しそうですね(笑)。永田さんご自身も音楽はお好きなんでしょうか?


好きですよ。最近は WANIMAさんをよく聴くんですけど、妹の影響なんです。妹がすごくWANIMAさんが好きで、けっこうライブにも行ってますね。親も音楽は好きなんですが、妹は音楽に関してちょっとこだわりがあるみたいで。Acid Black Cherryさんには、母もいっしょにハマってました。


僕自身は阿部真央さんがずーっと好きで、近頃は玉置浩二さんも聴いたりしてます。ここのところ、楽屋で何を聴くかをわりと大事にしてるんですよ。それでけっこう気分が変わったりするので。


――楽屋で音楽をかけるとなると、共演者の方の音楽の趣味も気になったりしません? 「今日は誰がかけるか?」であったりとか。


あー……誰もかけないので僕がかけてますね。そこらへんが、年上のエラそうなところでちょっとよくないんですけど(笑)。まぁ、でも、いっしょに盛り上がってくれるので。





――後輩のみなさんの優しさを感じますね(笑)。では話を戻しまして。大先輩の佐藤隆太さんからは、稽古場や舞台上、あるいはご飯の時など、いい刺激をたくさん受けられているのではと思うのですが、いかがですか?


隆太さんって、本当にすごくカッコいいんですよ。演技はもちろんなんですけど、作品に挑む姿勢なども勉強させてもらったと思います。隆太さんが演じるジョン・キーティングは、教師役ということもあってめちゃめちゃセリフが多いんですけど、最初の稽古で2〜3幕通しでバーっとやった時に、その段階で長いセリフまでほぼほぼ覚えてらっしゃって。


そういうのを目の当たりにして「背中で見せる方なんだな、カッコいいな」って感じました。本当に真摯に役と向き合われているので、本番中もたくさんのことを学ばせていただいてます。





秋らしい装いで取材場所に現れた永田さん。舞台期間で忙しい中にも関わらず、ご自分の演技に対する思いを、言葉を選びながらじっくり語ってくださいました。「自分がその役であることを自分自身が一番信じる」という言葉は、どんな仕事をする上でも自分自身を支える助けになることに気付いて、ハッとした思いです。後編では、尊敬する役者さんや今後挑戦したいお仕事、アルバイトのエピソードなどについて、たっぷりうかがっていますのでお楽しみに!


取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)


インタビュー後編はコチラ


【プロフィール】
永田 崇人(ながた・たかと)
1993年8月27日生まれ、福岡県出身。2015年3月に開業した東京ワンピースタワーの「ONE PIECE LIVE ATTRACTION」でモンキー・D・ルフィ役を1年間務める。2016年以降、「ROCK MUSICAL BLEACH」~もうひとつの地上~、舞台「錆色のアーマ」、ミュージカル「リューン~風の魔法と滅びの剣~」など数多くの人気舞台に出演。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズでは、人気キャラクター音駒高校・孤爪研磨役として出演しており、その演技が注目され、人気・実力ともに急上昇中である。さらに、舞台だけでなく、映画「アヤメくんののんびり肉食日誌」、TVドラマ「リフレイン」、「世にも奇妙な物語~秋の特別編」など映像作品での活躍の場も広げている。


<告知情報>
●TBS火曜ドラマ「初めて恋をした日に読む話」エンドー役にて出演決定!
 1月スタート 毎週火曜よる10:00〜11:07

●C.I.A.presents「SUPER LIVE 2018」
 2018年12月28日(金)19:00
12月29日(土)13:30/17:30
@品川インターシティホール

●C.I.A.presents「NEW YEAR EVENT 2019」
 2019年1月14日(月・祝)14:00/17:30
@品川インターシティホール


【永田崇人さん動画コメント】

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