ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載インタビュー「レコメン図」。今回は「ミュージカル『刀剣乱舞』」陸奥守吉行役や「最遊記歌劇伝-異聞-」峯明役など、話題を集める舞台で活躍中の、俳優「田村 心(たむら・しん)」さんをお迎え。


11月からは「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜真剣乱舞祭 2018〜」への出演が控える田村さんに、前編では役作りで大切にしていることや、ご自身が演じている陸奥守吉行役、そして峯明役について、たっぷり語っていただきました!


インタビュー後編はコチラ

自らの手で「リスタート」のきっかけを掴んだ夢


――では始めに、俳優のお仕事を始めたきっかけについて聞かせてください。


自分自身、幼い頃からヒーローが大好きで。その憧れからかずっと芸能界に興味があって、家族も僕をこの世界に入れたがっていたんです。それで児童劇団に入ったり、オーディションを受けたりしていたんですけど、その間もずっと自分からは恥ずかしくて(芸能界の仕事を)やりたいとは言えずにいて。自分から興味がある意思表示もしていなかったので、家族も「やりたくないのかな」と感じたのかフェイドアウトしていってしまったんです。


そうなると自分で動くしかないなと思って、高校を卒業する頃に進路に悩んでいたんですけど……僕、好きなアーティストがいるんです。そのアーティストのライブに行った時に「自分で動かなきゃ」って感化されて。そこから自分でいろいろなオーディションを受けたりして、今この世界にいる僕がいます。





――演技学校にも通われていたということですが、これはご自身で「まずは学校に行こう」と決められたのでしょうか?


というよりも、そこに行くしかなかったんです。ひとまず事務所に入らなきゃと、いろんな所に書類も出してみたんですが、やっぱり通らなくて。唯一返答があったのが、その演技学校のオーディションだったので、それをきっかけに親にも相談して、そこに通うことにしました。


――ちなみに、その奮起するきっかけとなった大好きなアーティストがどなたか、うかがってもいいですか。


他の取材でもお話しさせてもらうんですが、UVERworldさんが中学生の頃から大好きなんです。曲はもちろん、ライブ中のMCもめちゃくちゃ熱いバンドで。すごくグッとくるんですよ。今でもライブに行って刺激をもらったりしてます。


――ここぞという時に聴く、大切にしている曲はあります?


いやもう、たくさんありすぎて。ランニングが趣味なんですけど、ランニング用のセットリストもUVERworldさんの曲で組んであるんです。それを聴きながら頑張って走ってます。





原作へのリスペクトを心に留めて


――役作りをする上で、田村さんが大切にされているのはどんなことですか?



原作がある作品を演らせていただくことが多いので、作品やキャラクターへのリスペクトを忘れずにやっています。実際にお芝居をする上では、原作と自分のオリジナリティのさじ加減のちょうどいいところを探る感じです。原作に近付けすぎても脚本家さんが言うところの“キャラ芝居”になってしまいますし、オリジナリティを出しすぎても原作に失礼になったり、そのキャラが好きな方にも違和感を感じさせてしまうと思うので。あんまり自分を出そうとは考えずに、なるべくキャラクターがぶれないように意識するのがちょうどいい気がしますね。





――演じる役柄によって、作り込み方が変わったりする部分はありますか?


うーん……役によってプライベートの自分も変わるかなっていうのは、ちょっと思いますね。この前演じた峯明(ほうめい)がすごくマイペースな役だったんですけど、普段の僕はマイペースっぽさはあまりないのに、その時はけっこう周りの人から「マイペースだね」って言われたので。稽古中にも自由にいろいろやらせていただいてました。


――演じている役に性格が似ていくところがあるのでしょうか。稽古をしているうちに、役の気分が入ってくると言いますか。


そうですね、なんとなく。その役だったらこうしゃべるかなとか、こう動くかなみたいな部分は、だんだん考えられるようになってきました。





――舞台『アニドルカラーズ!キュアステージ』~シリウス学園編~で演じられていた夏月 雫は“ドSな女王様”と言われる役柄でしたが、その時にはご自身の性格もそちら寄りになったりしました?


雫の弟(夏月 斗羽)役が阿部快征だったんですけど、快征にはドSでいきましたね(笑)。プライベートでも仲よくなって、ご飯にもよく行くようになったので、なんの気兼ねもなくバンバンしゃべれるようになりました。共演をきっかけに仲よくさせてもらってる人がたくさんいるので、ありがたいなと思います。





実力で引き寄せた、夢のような「続きの物語」


――これまで出演された作品を振り返って、特に印象に残っている役柄や、ステップアップに繋がったなと感じる作品はありますか?


ターニングポイントになったのは、初めて舞台に上がった「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」(※1)ですね。ここから全てが始まりました。印象に残っているのはやっぱり「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~結びの響、始まりの音~」の陸奥守吉行(むつのかみよしゆき)役でしょうか。僕にとって大きな挑戦だったので。


(※1 サンリオピューロランドのフェアリーランドシアターで上演されていた、マイメロディとねずみ男子たちが繰り広げるミュージカル。2018年5月を持って千秋楽を迎えた)





――「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」には初めはアンサンブルとして参加されていて、そこからブックス役を演じることになったそうですが、役をもらった瞬間の気持ちはいかがでしたか?


アンサンブルから入れていただいていて、メインキャストの方々のすごさを日々感じていたので、自分がブックスを演らせていただくと聞いた時には驚きでしたね。大丈夫かなって思いました。しかも、アンサンブルから役付きになるのは「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」史上、僕が初めてだったので、お客さんも多分びっくりしたんじゃないかと思います。決まった時には驚きが大きかったですけど、嬉しさもありましたし、今でも思い入れのある作品です。





――田村さんの頑張りが認められての抜擢だったのでしょうね。陸奥守吉行役については、オーディションで役を射止められたのでしょうか?


そうです。もともとミュージカル『刀剣乱舞』が大好きでしたし、憧れの作品だったので本当に嬉しかったですね。以前(「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜幕末天狼傳〜」で)スタッフもさせていただいた作品で、今度は自分が刀剣男士を演じるのも夢がある話ですし、僕が出演させていただくことになったのが「幕末天狼傳」の続きの物語だったんです。だから、あの時のメンバーといっしょに舞台に出られるというのは、夢のような日々でした。


――すごい巡り合わせですよね。


それに、殺陣や歌、ダンス、芝居とやることの多い作品で、さらに使ったことのない小道具もたくさんあったので、いろいろと挑戦にもなりました。





――陸奥守吉行役が決まった時の心境はいかがでした?


僕、電車の中で(合格通知の)メールを見たんですけど。もう、そこで泣いちゃうくらいに嬉しくて、そこからの帰り道の記憶が曖昧になるほどでした。でも、作品の大きさや人気も知っていましたし、自分にとってここまで大きな作品に関わるのは初めてだったので、同時にプレッシャーもかなり感じましたね。


――周りの方からも「おめでとう」という声がたくさん寄せられたのでは?


来ましたね。ミュージカル『刀剣乱舞』ってとても大きな作品ですし、「幕末天狼傳」に出ていた郷本直也さん(近藤 勇役)や、樟太郎(=有澤樟太郎さん/和泉守兼定役)も、発表があってすぐに連絡をくれました。





――稽古中などに印象に残っているエピソードがあったら聞かせてください。


「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」の時には、役の動きやセリフが全部決まっているのを知っている状態で役についたので、自分で考えて芝居を作っていくのはミュージカル『刀剣乱舞』が初めてだったんです。自分で自由に動いていいとなっても、どうしたらいいのか分からなくて。だから、いろんなことを勉強させてもらって、周りに支えていただきながら、何とか板の上に立てたという感覚でしたね。


「結びの響、始まりの音」の公演が終わってから随分経ちますけど、今でも毎日「次に陸奥守として戻った時に、成長した姿を見せられるかな」っていうのは考えちゃうんです。ミュージカル『刀剣乱舞』は息の長いコンテンツですし、今後「真剣乱舞祭(※2)」もあったりと、これからも関わっていく作品になると思うので。


(※2 「ミュージカル『刀剣乱舞』 〜真剣乱舞祭2018〜」。ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズに出演する刀剣男士たちによるライブ公演)





――やはり成長した姿で再会できたらと思いますよね。歌やダンスや殺陣など挑戦する要素が多かったとのことですが、一番苦労したのはどんなところでしたか?


いやもう、全部ですね。僕は周りのキャストに比べたら経験もない状態で入れていただいたので、本当に学ぶことばかりで。正直、大変でした(笑)。


――求められることのハードルも高そうですしね。


そうなんですよ。しかも陸奥守吉行はほかのみんなを励ましたり引っ張ったりしていくようなシーンがあったんですけど、役者・田村心としては真逆だったんですよ。周りのほうが実力も経験もあったので、その差を埋めるのに苦心しました。みんなに立ててもらって、何とかなったなって思ってます。





――今振り返ってみて、陸奥守吉行は田村さんにとってどんな存在ですか?


本番に臨むまでは、役のハードルが高くて壁にぶち当たってた感覚でしたけど、終わってみると「陸奥守の太陽みたいな明るさの部分に、すごく助けられてたのかな」って感じました。僕自身は、底抜けの明るさは普段は持っていないんですけど、演じている時期には「稽古場では落ち込まない!」って思いながら過ごしてました。毎日が挑戦だったので。





役をもらえる喜びが演ずることへの原動力


――俳優というお仕事をこれまで続けてきて、よかったと思った瞬間はどんな時でしたか?


自分自身がエンターテインメントから日々を頑張る力をもらっていたり、この世界に入ったのもエンターテインメントがきっかけだったので、お客さんから「頑張れる力をもらいました」とか「何か挑戦してみようと思いました」と書かれているお手紙をいただいたりすると、すごく嬉しくなりますね。僕も元気付けられる側から、元気をあげられる側に、少しはなれてきてるのかなって思います。


――では役作りや稽古の時などに、嬉しくなるのはどんなタイミングですか?


演出家さんに褒められたりした時は、少しずつ変われてるのかなって思いますし、小道具の使い方や歌など、やれることが増えていくのはステップアップが分かるので嬉しくなります。ミュージカル『刀剣乱舞』では公演期間中も演出家さんや周りの人からアドバイスをもらって、日々芝居を変えてみたりしていたので、初日と千秋楽では変われたなという手応えがありましたし、観ているお客さんにも伝わったんじゃないかなと。





――成長できている手応えがあると、励みになりますよね。


前は芝居を変えることがいいことなのか分からなかったんですけど、いろいろ経験するうちに「変えてもいいんだ」って勇気みたいなものがついたかなと思うんです。だから、ただ同じことをしようと考えずに、自然とその時に出てきたものをやってみようかなって。それに、相手役の人と話し合いながら芝居をより深めていくのはやっぱり楽しいです。


――では、田村さんがお芝居をする上でのモチベーションとなっているものを教えてください。


役をいただけた時の嬉しさ、ですかね。役者にとって、役をいただけないというのが一番苦しいし、虚しいので。僕自身、そういう期間も実際にありましたし。友達から「最近何やってるの?」って聞かれて「役者」って言っても、それ以上答えられるものがないみたいな日々で、その頃の焦りや悔しさ、苦しい気持ちは今だに覚えています。今、少しずつ役をいただけるようになってきて、そのありがたさや嬉しさが、頑張る糧になってるなと感じますね。これからもチャンスを掴み続けていきたいなと思います。





初座長を無事務めて「周りのみんなが僕を峯明にしてくれた」



――では、先頃出演された「最遊記歌劇伝-異聞-」についてのお話も聞かせてください。初めての座長公演を終えて、今の思いはいかがですか?


初めて経験する座長でプレッシャーも感じていたので、稽古が始まる前に「ちっちゃな英雄(ヒーロー)」の頃に座長をされていた加藤真央さんたちとご飯に行って「座長なんですけど、どうすればいいですかね?」って話を聞いてもらったりしたんです。そこで「心は引っ張ろうとか考えなくていいから、とにかく心らしく、一生懸命やりなさい」というアドバイスをいただいたので、じゃあそうしようと。


でも、いざ稽古が始まると、やっぱり「座長はどういるべきなんだろう?」「座長だったらこうするかな?」「座長だからこうしなきゃ」って毎日ぐるぐる考えちゃって、それがかなり重かったですね。ただ、周りがすごくしっかりしている方々だったので、最終的には自由に、峯明らしくやらせていただいたなと感じています。





――最初のプレッシャーを超えて、どこかで峯明らしくなれる瞬間があったんですね。


そうですね。本当に周りの人が峯明にしてくれたなっていう気がします。公演が終わった後に、演出家の三浦 香さんがブログに僕のことも書いてくださったんですが、そこに「(座長の)責任を持つから座長」とあって。座長の責任やプレッシャーを感じられたことが、この作品を通して僕が役者としてステップアップできたところなのかなと感じましたね。いい経験になりました。


――初座長の重圧と、峯明の自由な役柄に、どことなくバランスの妙を感じます。


本当に峯明の自由さで助かりましたよね。結局、役に助けられてるなぁ(苦笑)。





――稽古や出演期間中に、何か思い出深いできごとはありましたか?


“一人称迷子事件”ですね。峯名は「私」、ひとつ前の雫が「僕」で、陸奥守は「わし」、僕自身は普段は多分「自分」って言うんですけど、稽古中に一度全部出てきちゃったことがあって、一人称が迷子になっちゃったんですよ。「私……じゃない、僕……あれ?わし?」「あれ?一人称どれだっけ!?」ってなって、みんなにめっちゃ笑われました。


――そんなことがあるんですね(笑)。


本番期間にあったことだと、劇中に峯明が紙飛行機を飛ばすシーンがあるんですけど。初日の幕が開く前に、スタッフさんがそのシーンで使う飛行機を、稽古で傷んだものから新しいものに交換してくれたんですよ。「ありがとうございます!」ってお礼を言ってから、紙飛行機ってけっこう個体差があるので飛び具合を確認したくなって、広い所で試しに飛ばしてみたんです。そうしたらすごくよく飛んで、行方不明になっちゃって……(苦笑)。





――えぇぇ!


「どうしよう!」って10秒くらい固まりましたけど、バーっとスタッフさんのところへ行って正直に謝ったら、予備を用意してくれていたので助かったという……これは本当にめちゃくちゃ反省しました。今後気を付けます。


――大変なアクシデントでしたが、大事に至らずよかったです。出演者の方との思い出はありますか?


基本わちゃわちゃしてましたね。そういう作品でもあったので。プライベートや楽屋でもけっこう賑やかで、携帯電話を隠し合うのが流行ってました。と言っても、基本的には僕と齋藤健心(抄雲役)の間でしかやってなかったんですけど(笑)。





――それはまたなかなかスリルのある遊びですね(笑)。


健心が僕の携帯を隠して、それでやり返すと、また健心がやり返してくる感じで、ずっとやってましたね。で、ある時に僕の携帯がなくなって、10分くらいしても見付からないので「ない!」って探してたら、僕ののど飴の袋から出てきて。携帯がですよ? それで「誰がやったのか?」と話してたら、健心が「自分じゃない」と。それからいろんな人に容疑をかけ始めて……大先輩の唐橋さん(唐橋充さん/烏哭三蔵役)まで巻き込んだ大事件になっちゃいました。結局今だに犯人が分からないんですよ。


――男の人ばかりの座組で、やんちゃな感じだったんですね。これまでも男性の多い現場だったかと思うのですが、やはり男子校のような雰囲気なのでしょうか?


「最遊記」は一番男子校っぽかったです。本当に男子校の夜みたいなシーンもありましたし、その青春みたいな空気感を目標にしていたところもあったので。いい形で作品にも反映されていたんじゃないかなと思います。楽しかったですね。





――座長を経験できたのが大きな収穫だったということですが、峯明役から受け取ったものは何だと思いますか?


自由に芝居をしてもいいっていう感覚を、改めて峯明から学べた気はしています。何をやっててもOKって感じだったので、ちょっと自由すぎた感じもありましたけど。


――(笑)。アドリブもかなりあったんでしょうか?


アドリブは特に演出家さんから求められてはいなかったんですけど、自分で勝手に作っちゃいました。日替わりパートも(笑)。それで3日目あたりからバリエーションがなくなってしまって苦しんで、やってぃさん(谷戸亮太さん/隆善役)にも相談したりしながら……「今日ないんですけど、どうすればいいですか?」「じゃ、これやりなよ」「やって来ます!」ってやりとりをよくしてました(笑)。ほかの共演者の方にも意見をもらいながら、何とか千秋楽までやり遂げられましたね。





ドラマティックな展開で陸奥守吉行役を射止めた田村さん。「役に助けられていますね」と眉尻を下げながら語るってくれましたが、演技への姿勢からは自分の力量を真摯に見つめ、コツコツとさらなる向上を目指す前向きな気持ちがひしひしと感じられました。後編では、同志ともいうべき役者さんや、今後挑戦したいお仕事、アルバイト時代のエピソードについてお話ししていただいていますので、お楽しみに!


取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)


インタビュー後編はコチラ


【プロフィール】
田村 心(たむら・しん)
1995年10月24日、東京都出身
舞台『アニドルカラーズ!キュアステージ~シリウス学園編~』夏月雫 役、
ミュージカル『刀剣乱舞』〜結びの響、始まりの音〜 陸奥守吉行役、
舞台「最遊記歌劇伝-異聞-」主演・峯明役などに出演。
11月24日〜ミュージカル『刀剣乱舞』〜真剣乱舞祭2018〜 陸奥守吉行役で出演を控えている。


【田村心さん動画コメント】

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