ドーモプラスが今注目のアーティストを紹介する連載企画! 今回登場するのは、今年4月のメジャーデビューから今夏はいくつもの音楽フェスを賑わせ、活躍の幅を広げている「オメでたい頭でなにより」


老若男女が楽しめるラウドロックを目指す彼らに、10月10日発売のシングル「日出ズル場所」の制作エピソードから、アルバイト経験のあれこれまで、たっぷり語っていただきました!



“オメでたいコア”はジャンルではなくアティチュード


――「オメでたい頭でなにより」(通称:オメでた)というバンド名を掲げる以前から、赤飯さん名義のバンドとして1年間活動されていたそうですが、このメンバーで正式にバンドを組むことになった経緯を聞かせてください。


赤飯(Vocal):もともとみんな、バイト先の仲間で――。


ぽにきんぐだむ(Guitar/Vocal):初っ端からウソじゃん!(笑)


赤飯:まぁ、僕が雇い主で、みんなにバイトしてもらってたみたいな感じなんですけども。バイトにしておくには惜しいなということで、社員登録にしようと。もともとは僕が社長だったんですけど、頼りないからと下ろされまして……と、冗談はこのへんにして、ちゃんと始めますか。


ぽにきんぐだむ:でも、ざっくり言うとその流れで合うてるよね。


mao(Bass):ソロアーティストとして活動していた赤飯さんのところに、僕らがサポートミュージシャンとして集まって。赤飯さんにいろいろ苦節があったんで、みんなで支えていこうということになり、バンドという形になりました!


赤飯:大正解です。僕はもとからバンドというものが大好きだったけど、なかなか形にできずにもがき苦しんでいたところ、彼らと出会って「ちゃんとゼロからバンドやろうよ」という話になったんです。


バンドをやるにあたっては、コンセプトや、何を伝えたいのか、何を形にしたいのかをちゃんと分かっていないと、具現化できない。そう思って自分と向き合ってみた時に、僕の“赤飯”という名前にはオメでたいイメージがあるなと。この名前でずっとソロをやってきましたけど「何でこんな名前でやってもうたんやろ」っていうコンプレックスもあって、この機会にそれを逆手に取ってプラスに変えてやろうと思ったんです。


まずは赤飯のイメージから“オメでたい”をバンド名に入れよう。それから、ずっと夢を諦めきれずに追いかけ続けている自分に対しての皮肉として、“オメでたい頭”っていうフレーズを使いたいなと思って。そして、リスナーさんからもらった感想に「いつも楽しそうで何よりですね」という言葉があったので、これをくっつけて肯定してしまおうということで「オメでたい頭でなにより」になりました。


――そういう経緯でついたバンド名だったんですね。インパクトも大きいですし、何か由来があるんだろうなと気になっていたんです。


赤飯:これを話すと「そんな意味があったんですか!」ってよく言われます(笑)。それで、どんな楽曲やスタイルでお客さんにメッセージを伝えていくかも考えたんですけど、ネガティブな部分がない人なんておらんし、「ポジティブ!楽しい!ウェーイ!」が100%だとウソくさいし伝わらんなと。だから、ネガティブなところもきちんと持ちながら、それをポジティブに転化していく姿を見せたいなと思って、このスタイルになりました。


――バンド名に限らず、武器にしている“オメでたいコア(略して「オメコア」)”なサウンドであったり、さまざまな部分で“オメでたい”というワードが使われていますが、そこに込められた意味は具体的にどんなものなのでしょうか?


赤飯:多分“オメでたい”という概念は日本語特有のものやと思うんですけど、お祭りや出産や正月と、いろんな祝い事の場面で必ず使われる言葉じゃないですか。だから、多くの人に理解してもらいやすい感覚だと思ったし、これをコンセプトの軸にしたらきっとみんなに刺さるんじゃないかと思ったんです。


始動してから2年間の活動を通して「(“オメでたい”って)こういう捉え方もあったのか」と、自分たち自身のアップデートのようなものを繰り返しながら、それに寄り添った曲を作って。「オメでたい!」っていう気持ちがあれば、どんなアウトプットになってもいいよねっていう考えなので、オメコアっていうのはジャンルじゃなくてアティチュードなんですよ。僕らの曲にはいろんなタイプのものがあるけど、その中心には“オメでたい”っていう気持ちがちゃんとあるから、(全部ひっくるめて)これが俺たちなんだぜって胸を張って言えます。





バンドと作品が親和した運命的なタイアップ



――10月10日(水)にリリースされるメジャー2ndシングル『日出ズル場所』は、表題曲の「日出ズル場所」がテレビアニメ「火ノ丸相撲」(※)のエンディングテーマとなっていますよね。バンド初のアニメタイアップ曲ですが、制作時のエピソードを聞かせてください。まずは作曲を担当された324さんからいかがでしょう?


(※「週刊少年ジャンプ」で連載中の「火ノ丸相撲」(川田・作)をアニメ化。10月5日放送開始)


324(Guitar):タイアップが決まった時に、まずはみんなで原作を読み込んで、どこがよかったか、どこが響いたかを共有し合い、それから自分たちらしいエンディングを作るにはどんな曲が必要かを考え始めたんです。楽曲制作の時に僕らはいつも、「どんな曲を作りたいか」を初めに話し合って決めるんですけど、今回は「ライブでこの曲を披露した時に、手を挙げたりジャンプしたりがしやすい曲だといいよね」ということになって。そこから曲のテンポ感を決めて、「EDMっぽいミュージックをミクスチャー・ラウドロックに落とし込んだらどうなるだろう?」という発想から、楽曲制作がスタートしました。


ぽにきんぐだむ:メッセージ性としては、原作を読んできちんとその作品に寄り添おうっていうスタンスで僕は(詞を)作ってるんですけど。ストーリーが、お相撲さんを目指している主人公が、身体が小さいというハンデを背負いながらも努力と根性でのし上がっていくという、少年マンガの王道なんです。


自分たちも何度も挫折を味わってきましたし、決して優れた人間が集まっているわけではないので、そういう5人が上を目指す姿が原作マンガとリンクしてるなと感じて。アニメに寄り添いながら、自分たちの経験や思いも入れ込んだ歌詞が書けたかなと思います。初めてのアニメタイアップなんですが、作品に寄せなきゃという意識で作ったというより、自然と親和性が生まれてできた曲なので「俺たち、いい曲作れたな」って思いますね。


赤飯:うんうん。やっぱりタイアップって相性があると思うんです。今回は、相撲部5人と我々5人の物語がリンクしていたから、僕はそこにシンパシーを感じて。「これは絶対に自分たちが完成させないといけない」という思いでやれましたし、とても意味のあるタイアップ、意味のある曲になったと感じてます。


――初のアニメタイアップが、運命的なものになったんですね。聴きどころはどんなポイントでしょうか?


mao:最初の「ウー!ハー!」とか「はっきよいのこった」とか、みんなでいっしょに言えるところがあるので、そこはライブでもみんなで盛り上がりたいなぁと思いますね。あとは、ラップパートでの2人(=赤飯、ぽにきんぐだむ)の巧みな掛け合いとか。


ぽにきんぐだむ:そうなんですよ。赤飯はいろんな声を出せるボーカリストとして、売り出し中なので!(笑)


一同:(爆笑)


赤飯:もうかなりの間、10年くらい売り出してるけどね!


ぽにきんぐだむ:デビュー曲ではやらなかったツインボーカルも、今回はかなり全面に押し出していて、お互いにいろいろな声で歌っているので、音源だけ聴いたら(ボーカルが)4人くらいいるんじゃないかなって感じるかもしれないです。この曲のテーマが「ちゃんこ」なんですけど、そういうところでもちゃんこっぽいごちゃまぜ感は意識してますし。聴くだけでは伝わりきらない部分があると思うんで、マジでライブを観に来てくださいって思います。


ミト充(Drum):みんなが言ってくれたように、いろんな要素が詰まった曲です。うちのバンドのライブ会場にも、年齢層が幅広かったりといろんなお客さんがいらっしゃるので、その雰囲気も表せてるのかなって思いますね。あとは、ラップ部分の歌詞を赤飯とぽにきんぐだむの2人が書いてるんですけど、それぞれの歌うフレーズを2行ずつ考えて持ってきたものが、全く打ち合わせなしだったのに組み合わせると上手くハマったんです! そういうところも、歌詞を見ながら聴いてみてほしいですね。





個性のあるカップリング2曲、それぞれへのアプローチ


――では、カップリングの2曲についてもお話を聞かせてください。まずは「We will luck you」、こちらの聴きどころは?


ぽにきんぐだむ:聴きどころって、実際ないんですよ。感じてほしい。


赤飯:おいおい(笑)。


ぽにきんぐだむ:いや、本当に。聴かせようと思って作ってないんですよ、この曲。7月にZepp DiverCityでツアーファイナルのワンマンライブをやったんですけど、そこに向けて作った曲だったんです。ストレートで、一度聴いたらお客さんが参加できるような曲がいいなと思って、デモの段階ではけっこう作り込まれていたものから、あらゆる肉を削ぎ落としました。一聴したら手を挙げてノれる、歌えるっていうコンセプトにしたくて。


324:「極力シンプルにしよう」ってバンド内ですごく話し合って、僕が最初に作っていったデモが5分くらいあったんですけど、それを3分台までにしました。


赤飯:最初は展開も多くて、エアロスミスの極上のラブバラードみたいな感じだったんですよ。


ぽにきんぐだむ:それをキュッと短くして、感覚でイケる曲にしたいなと思って。


――イントロを聴いた時点でもう、分かるものがありますよね(笑)。


ぽにきんぐだむ:「あ、これか!」って、何か感じますよね(笑)。


赤飯:最近フェスに出させてもらう機会が増えてきたんですけど、そこで演ってもみんな声を出してノってくれるので、きちんとイメージ通りの曲にできたなぁと思います。これはお客さんが会場で参加してくれて、初めて完成する楽曲なので。


――お次は「サイレンとジェラシー」についてですが、この曲のコンセプトは?


赤飯:嫉妬です。


――“悶”という文字が乱舞してますもんね。


赤飯:そうなんです。夜中に悶々としてるところから「もん……もんもんって言葉、面白いなぁ」「もんもん、めっちゃ言ってみようかな」ってところから始まりました。悶々だから、これは嫉妬の曲やなと思ったので、嫉妬=ジェラシーから、サイレントジェラシー。警告音、サイレン、サイレンとジェラシー……こんな感じで。


――“嫉妬 & 乱”も面白いなと思いました。これは鳥居みゆきさんのネタへのオマージュ……ですよね?


赤飯:そうです、イエーイ! 嬉しいなぁ、見つけてもらえるの(笑)。





「オメでた名物」オマージュの裏側



――ほかにも「もしや、これは」と思うフレーズがいくつもあって、オメでたの楽曲にはそれを探す楽しみもあるように思います。この流れでオマージュについてもうかがいたいのですが、さまざまな要素を曲中に取り入れるに当たって、「ここまでなら攻めても大丈夫かな」というラインの見極めはどうされているのでしょうか?


ぽにきんぐだむ:法に触れるか触れないかです。


mao:あとはオマージュ元の方が不快な気持ちにならないかどうかも重要だと思ってます。


324:そこはめっちゃ気にしてますし、先方に確認も取るようにしてます。


ぽにきんぐだむ:気を遣うのは、オマージュさせてもらう時のやり方や取り入れ所ですよね。上手い感じにやれたら、相手の方がすごく喜んでくれたこともありましたし、逆にそこをまちがえると、相手をすごく不快にさせてしまうと思うので。たとえこちらにリスペクトの気持ちがあっても、先方が「イヤやな」って思ったらそれはよくないし、一方的にならないようにとは常に考えてます。


赤飯:「あられ雛DANCE!!」っていう曲の歌詞に“ぎんぎらぎんとさりげない ザ・グッバイ 抱きしめるTONIGHT”と、たのきんトリオさんをオマージュしたフレーズがあるんですけど、それをたまたま聴いた野村のよっちゃんさん……野村義男さんが「これ、うちらじゃん!」って喜んでくれたことがあったんですよ。それでトーク番組にもゲストで呼んでもらえたりして、嬉しかったですね。



「オメでたい」と思うところに、オメでたいことアリ


――ではお次に、これまで活動してきた中で「こいつはオメでたい!」と思った瞬間は?


324:最近だと、タイアップかな。


ミト充:メジャーデビューできたことですね。


赤飯:それから、諸先輩方に認めていただいて、フェスに呼んでもらえるようになったのもオメでたいなぁと思いますね。


mao:「週刊少年ジャンプ」にアー写が載ったこと。あれはオメでたかったな。


ぽにきんぐだむ:去年あたりに思い描いてたことが、今年になってわりとカタチになってるんです。「アニメのタイアップ取りたいなぁ」っていうのも言ってましたし、「フェスにも出たいね」って。


赤飯:「出たいねー。でも、こんなん出れるかな? 何年先の話やねん」って言ってたら、今年出れましたみたいな。


――しかも、かなりたくさん出演されてますよね?


赤飯:いやもう、こんなん奇跡ですよ! オメでたくないですか?


――オメでたいです!


mao:自分で「オメでたい」って言ってると、オメでたいことってけっこう寄ってくるよね。


赤飯:そう。だから僕は常日頃、細かいことに幸せを感じながら生きてるんで。


ぽにきんぐだむ:言葉にするのって大事だよな。


赤飯:超大事だよ。だからずっと「楽しい!」って言ってるもん。





「楽しむ意志」があればOK! あらゆる層に開かれたライブ


――みなさんはライブを大切にされている印象があるのですが、オメでたのライブの見所はどんなところにあると思いますか?


ぽにきんぐだむ:僕らが軸にしているラウドロックって、上級者向け・危なそう・怖そうみたいなイメージがあって、敷居が高いところがあると思うんですけど。ライブ中にみんなでやるアクションも分かりやすいものにしたりと、一緒に楽しんでもらえるライブ作りを常々心がけてます。そして、このジャンルの入り口になれるような存在になりたいですね。


赤飯:それが功を奏して、今の自分たちのライブには、キッズはもちろん親子連れからサラリーマン、主婦の方まで幅広い層の方が遊びに来てくれるようになって。若い子たちがぐちゃぐちゃになってるのを親子が「すごいねー!」って眺めてたりするんです。そういうのを見てると、我々には「ラウドロックをお茶の間に届けたい」っていう目標があるので、ジャンルの入り口になりたいという思いがみんなに伝わってるのかなって。


自分たちが主催のライブでは“デリケートゾーン”、通称デリゾっていう、騒がずゆっくり観るためのエリアも設けてるんですよ。最初はそこで観て、「これなら私もできそう」ってタイミングで(通常エリアに)参加し始めたっていう人もたくさんいます。ライブの最後は、みんな汗だくになって笑顔で帰って行きますよ。


mao:「ライブは怖い」っていうイメージがある人がいるので、自分たちの楽しい音楽でそれを払拭できたらなって思います。


ぽにきんぐだむ:最近は2階席がある大きめの会場でやることも増えてきたので、親子連れのお客さんがそこで観られるシートも作ったりしてます。“大五郎シート”っていうんですけど(笑)。ライブ中に2階に向けて「大五郎!」ってコールして、お子さんに「チャーン!」って応えてもらったりして。


324:年代や男女も関係なく、楽しむ意志のある人にはできるだけ配慮したいと常々心がけているので、安心して観に来てください。





あらゆる人になじむ「国民的なバンド」になりたい



――それでは今後バンドとして、個人として、目指す目標を聞かせてください。


mao:バンドとしてずっと目標にあるのが「武道館でワンマンをやりたい」。それも僕は通過点だと思ってるので、まずは武道館でやって、そこから一歩一歩さらに先を見据えて進んでいきたいなと思ってます。


ぽにきんぐだむ:国民的なバンドになれたらいいなと思います。ここ2〜3ヶ月とフェスに出演して、メインを張る国民的なアーティストっているじゃないですか。ステージを見ながら、いつかああいう存在になれたらいいなって思いました。


赤飯:彼が言ったことリンクするんですけど、国民的なバンドって、もっと生活に寄り添えるバンドだと思うんです。日常のふとした時に、自分たちのことや、自分たちの曲を思い出してもらえる、そういう存在になっていきたいですね。


あとは最近よく思うのが、みんなでいっしょにひとつのものを楽しむ機会がどんどん減ってるじゃないですか。昔なら、同じテレビ番組をみんなが見ていて、次の日はその感想で周りの人と盛り上がるみたいなことがあったけど、今はそういうのが希薄だなって。だから、自分たちがその“みんなで共有して楽しむもの”になれたらいいなって思いがあります。


僕はセンスがけっこう古いので(笑)、今の若い子の親世代に響くことをナチュラルにやっちゃうんですけど、それが親御さん世代には「懐かしい」、若い子たちには「新鮮!」って受け止められるわけで。そこで親子の会話が生まれるというように、世代と世代の接着剤的なものになりたいなと思いながら活動してます。


ミト充:まず、バンド結成の時に公約として掲げた“武道館ライブ”がひとつの目標ではありますね。それから、紅白歌合戦であったりとか、音楽に詳しくない層でも知っているステージに出てみたいです。


ひとりのドラマー、あるいはバンドマンとして、僕がずっと持っている目標は「自分が誰かの、何かのきっかけになりたい」。例えば「オメでたのライブが観れたから、明日学校頑張れる」でもいいし、「楽器を始めてみよう」なんて思ってもらえたら、楽器をやっている人間としては本望ですし。そういう、いいきっかけになれたら嬉しいし、そうあれる人間になっていきたいですね。


324:僕も、国民的なバンドになりたいという思いはあります。フェスでメインを張っているアーティストと並べるような存在になりたい。僕個人としてはソングライターでもあるので、どこにいても流れてくるくらい有名な曲、それくらい人の人生に入り込めるような曲を、書けるようになりたいという目標があって。僕は北海道のすごく田舎のほうの出身なんですけど、そんな田舎のおじいちゃん、おばあちゃんが聴いてるラジオからも流れてくるような曲を作りたいです。それをこのバンドでやれたらと思ってますね。





「バンドマンの仕事は音楽だけじゃない」今でも活きるアルバイト経験



――では「DOMO」がアルバイト求人誌であることにちなんで、これまでのアルバイト経験のうち、今のミュージシャンのお仕事に活かされているなと感じるものはありますか?



mao:僕は居酒屋で3年くらい働いていたんですけど、イヤでも人としゃべることになるじゃないですか。バンドをやっていると、常に仕事をしている感覚というか、誰かと話したことがその先で仕事に繋がっていたりもするので。そんな時に、バイト時代に人と話してコミュニケーションしたことが役に立ってるのかなと思います。


ぽにきんぐだむ:自分はそもそも、バンドに活かそうと思って音楽事務所のデスクの仕事を始めたんです。2〜3年続けたんですけど、今の所属先がそこなんですよ。バンドをやるためには、お金の生まれ方、宣伝のされ方、バンドはどうやって売れていくのかを知らないと、きっと遠回りになるなと感じたので「じゃあ、(業界の)中に入って勉強しながらバンドをやろう」と。辛かったですけど(笑)、すごくいい経験になったし今に活かされてますね。


赤飯:僕はコンサートスタッフをやったりしてたんですけど、そこで現場の末端を経験してるので、今、アルバイトで入ってくれている子たちの気持ちも分かるし、やってよかったなって思います。当時、アーティストさんに「お疲れさま」って言われた時にはめちゃくちゃ嬉しかったですし、自分も声をかけてあげたいなって。そういう目線を知れてよかったですね。


ミト充:僕だけ職歴が多いので、どれを言ったものやら……(苦笑)。ライブハウスで働いていたことがあるので、出演する側の気持ちも、スタッフの気持ちも一応分かるつもりですし、いつもスタッフさんには絶対感謝を忘れないようにしてます。5人で活動を始めた当初はバンドにまつわる業務を全部役割分担してやっていたので、いろんなところと連絡を取ったりする時には、コールセンターや接客業をやっていた頃の対話術が役に立ったなと。車屋や配達の仕事をしていた時の道路や車の整備についての知識は、車移動が多い今も活きてるなと思います。ドラムを叩くことには全く活きてないですけど(笑)。


――バンド活動にはすごく活きてますね!


ミト充:活きてます!


mao:そうなんだよね、バンドマンって楽器弾くだけじゃないからね。


324:バンドとは、会社であり、政治家でもあるから。


ぽにきんぐだむ:楽器や音楽をやってるだけじゃ生きられないですよ。どうにも立ち行かない。


mao:びっくりしたよね、この2年間で。


赤飯:自分らでそれを経験できたから、今、手伝ってくれているスタッフさんのありがたみをめちゃめちゃ感じますね。超助かります、本当に。


――では324さん、いかがでしょうか。


324:僕の場合は、アルバイトがバンド活動に活きたかというと微妙で。学生時代に飲食店でアルバイトをしていたんですけど、お猪口とチョコをまちがえて怒られるという、まぁ手酷い失敗をしたんです。それで「俺はもう普通に生きるのはムリだな」と悟って、音楽一本で頑張らなきゃと。普通の仕事に見切りをつけたというか、あるいは自分が社会に見切りをつけられたのか。


一同:(大笑)


324:で、音楽一本でやっていく覚悟が決まったので、音楽制作やギターを弾く仕事をするために、プロユースに耐える機材を揃えようと思ったんです。それでウン十万の資金を貯めるために、やったのが治験のアルバイト。2ヶ月で100万くらい稼いで、一気に機材を買い、制作できる環境を整えました。


赤飯:賢いな! 2ヶ月でそれを実行できるって、すごい賢い!





「人を大切に」幸せになる意志を持って日々を生きる


――なかなかドラマティックなエピソードをありがとうございます。では最後に、今夢に向かって頑張っている読者のみなさんに、一言ずつメッセージをお願いします。


mao:むやみにバイトをするのではなしに、「何のためにバイトをしてるのか」という目的や目標をしっかり見つめ直して、今一度バイトをしてほしいなって思います。頑張ってください。


ぽにきんぐだむ:僕は、人付き合いを大切にしてほしいなと思います。お客さんも同僚も、上司も部下も、業者の人も、みんな人間なんです。そういうところで人を大切にしていたら、巡り巡ってお金も入ってくるようになるだろうし、自分の立場も生きやすくなって、幸せになれるんじゃないかなと。“環境を作るのは自分自身”というのを常に意識しながら働くと、すてきな日々になるんじゃないでしょうか。


赤飯:ちょっと深い話になるんですけど……「なんで生きてんの?」っていったら、幸せになるためだと思うんです。こいつ(ぽにきんぐたむ)が言っていたこともそうだし、何というか……幸せになる意志というものを持ち続けることで、いろいろ意識できてくると思うので。自分の感情に素直になって、自分が今、何に対して感動したり笑ったり、泣いたり怒ったりしているのかを、もっと注意深く観察して、自問して。そうやって得られたひとつひとつが、自分の幸せにつながるヒントになると思うし、そのヒントを日々の生活の中で集めていくことが、どんな未来を作っていきたいかを考えることにつながっていく。バイトをするのもその過程だと思うので、日々幸せになる意志をしっかり持ち続けてほしいなと思います。


ミト充:バイトをするにもいろんな職場があると思いますけど、自分のためになる技術や知識を、そこで何かひとつでも見つけてほしいと思います。それから、僕はバイトリーダーみたいなポジションにいることが多かったんですが、すぐ辞めちゃう人ってわりと多いんだなと見ていて感じたんです。でも、そうやってあっさり諦めちゃうのは何だかもったいないと思うので、できるだけ続けてみてほしいですね。やらないで後悔するより、やって後悔するほうが、きっと人生としては正しいと僕は思うので、バイトといえどもそういう気持ちで向き合ってみてもらえたらと思います。


324:僕は挫折したタイプの人間ではあるんですけど、ひとつ言えることは。時給っていうのは余命の切り売りなんです。自分の命に値段がついて、1時間いくら。それと同義なので。大切な時間の中で、自分の人生にとって有益なものって何だろうっていうのを、しっかり考えながら日々生活してくれたらなぁと思います。大事なものを見つけてください。





サウンドはゴリゴリしているのに、とってもキャッチー。そんなギャップを備えた彼らの楽曲のように、大真面目に熱く面白いことをやろうとしている姿が、とても魅力的に映りました。みんなでお茶の間に集まり同じコンテンツを楽しめていた頃のように、その“みんなをつなぐもの”になりたいという目標は、とても大きく、優しい。その優しさがライブ会場の“デリケートゾーン”や“大五郎シート”にも現れているのかもしれませんね。


こぼれ話としては、インタビュー中に突如開催された「日出ズル場所」オマージュ答え合わせにて、慌てるドーモプラス編集部に投げかけられた「50cmのプールで溺れてる(笑)」という言葉が忘れられません(もちろんいい意味で)。このエッジの効いたセンスもまた、彼らの作品をキラリと輝かせるエッセンスのように感じました。今後も発信されるオメでたいラウドロックに要注目です!


取材・文:古原孝子
Photo:比留川義一

【プロフィール】

オメでたい頭でなにより
日本一オメでたい人情ラウドロックバンド、オメでたい頭でなにより。
赤飯(ボーカル)、ぽにきんぐだむ(ギター&ボーカル)、324(ギター)mao(ベース)、ミト充(ドラム)の5人組。”オメでたいコア”略して「オメコア」を武器に、日本一オメでたくて汗だくで騒げるバンド。一人でも多くの人に「楽しく、幸せに騒げる、底抜けに自由でオメでたいバンド」をコンセプトとして活動中。

【ツアー情報】
東名阪3マンスプリットツアー
「幸三昧2018」
【東京】
日程:11月10日(土)
会場:渋谷 WWW X
時間:OPEN 17:15 / START 18:00
料金::前売り ¥3,500
出演:FABLED NUMBER / ビレッジマンズストア / オメでたい頭でなにより
チケット:完売御礼!!
※問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999

【大阪】
日程:11月15日(木)
会場: 十三 246 LIVEHOUSE GABU
時間:OPEN 18:15 / START 19:00
料金:前売り ¥3,500
出演:FABLED NUMBER / ビレッジマンズストア / オメでたい頭でなにより
チケット:発売中
eプラス
ぴあ(Pコード:124-740)
ローソン(Lコード:55729)
※問い合わせ:清水音泉 06-6357-3666

【愛知】
日程:11月16日(金)
会場:名古屋 Electric Lady Land
時間:OPEN 18:15 / START 19:00
料金:前売り ¥3,500
出演:FABLED NUMBER / ビレッジマンズストア / オメでたい頭でなにより
チケット:発売中
eプラス
ぴあ(Pコード:124-734)
ローソン(Lコード:43186)
※問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100


「オメでたい頭でなにより」オフィシャルサイト



【リリース情報】

「日出ズル場所」
2018年10月10日(水)発売
2ndシングル「日出ズル場所」
(アニメ「火ノ丸相撲」エンディングテーマ)

◆通常盤(CD only) ¥1,010(税込) / PCCA-04702
【CD収録曲】
01:日出ズル場所
02:We will luck you
03:サイレンとジェラシー

「日出ズル場所」配信サイト一覧
「日出ズル場所」特設サイト



【リリース情報】

「日出ズル場所」
2018年10月10日(水)発売
2ndシングル「日出ズル場所」
(アニメ「火ノ丸相撲」エンディングテーマ)

◆火ノ丸盤(CD only) ¥1,010(税込) / PCCA-04703
※アニメイラストジャケット仕様
【CD収録曲】
01:日出ズル場所
02:We will luck you
03:日出ズル場所 TV Ver.
04:日出ズル場所 TV Ver.(Inst.)
05:オメでたい知ったかメドレー〜HAKEI-TSUNAGI〜 DJ飯の種 a.k.a. 赤飯(オメでたい頭でなにより)

「日出ズル場所」配信サイト一覧
「日出ズル場所」特設サイト



【Music Video】「日出ズル場所」


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