パートの仕事を探す際、求人票に「社会保険完備」という表記を見たことがあるかと思います。「私は夫の扶養(社会保険)*1の範囲で働いているから関係ないかな」と思っている人でも、法律の改正によりいつ急に対象となるかわかりません。


例えば2016年の法改正前までは「週30時間以上の勤務」が社会保険加入の目安でしたが、改正後は501人以上の会社に勤める場合、「週20時間以上勤務」の方も加入対象になるケースが出ました。


2017年4月からは、従業員500人以下の会社でも会社と労働者(労使)で合意すれば社会保険に加入できるように変更され、加入対象が広がりました。


このように、法律は毎年のように変更されていますので、何も知らないうちに社会保険の対象者になり、「急に手取り額が減って困った!」ということにもなりかねません。まずは以下のような基本的なことを知識としてもっておきましょう。


*1 健康保険の扶養と国民年金第3号被保険者を指す。



「社会保険」ってそもそも何?



「社会保険」は2つの意味で使われます。


一つは「厚生年金」を指す場合。厚生年金に入らない場合は国民年金のみの加入 *2になりますが、「厚生年金に入る=国民年金も含む *2」ということになります。


もう一つの意味で使われる「社会保険」は上記のほか、「健康保険(介護保険を含む)」を指す場合。病気や出産によって仕事を休まなければならない場合には「傷病手当金」や「出産手当金」の活用が可能となります。これは1日あたり賃金額の3分の2程度の給付を受けることができるというもので、国民健康保険にはない制度です。


求人票に「社会保険完備」とある場合は、厚生年金 や健康保険はもちろん、労災や雇用保険も原則的に加入することになっています。


*2 国民年金は原則として、20歳以上60歳未満の方が加入



「社会保険」に加入しなくてはならない条件



「パートでも社会保険に入りたい」という方もいれば、「扶養の範囲で働くためにパートにしているのだから、社会保険に入りたくない」というケースもあるでしょう。


週30時間未満で働くという同条件でも、加入対象になる人とならない人の違いは以下の条件を満たすかどうかが基準となります。


1. 週の所定労働時間が20時間以上
2. 雇用期間が1年以上見込まれること
3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
4. 学生でないこと
5. 常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること
特定適用事業所…同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所の被保険者数(短時間労働者を除き、共済組合員を含む)の合計が、1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる事業所が該当します。
※厚生労働省HPより抜粋


ちなみに3の「月額8.8万円」には残業代や通勤手当等は含めません。*3


*3 ここで言う「社会保険」は厚生年金と健康保険を指します。


自分が勤めている場所が10人ぐらいしかいなくても、本社や他の支社に500人の従業員がいれば該当することになりますので、会社がこの条件にあてはまるかどうか不確かな場合は、社員や上司に確認をしてください。



パートが「社会保険(厚生年金)」に入るメリット・デメリット



上記でも少し触れた通り、厚生年金に加入すると老後の年金額が増えることになります。しかも社会保険*3の掛け金は半額を会社が負担してくれるので、先々のことを考えると加入しておくメリットは大きいでしょう。


厚生年金 ・健康保険に加入するデメリットとしては、毎月の給与から掛け金がひかれますので手取り額が減ってしまう事。厚生年金 ・健康保険に入る場合は通常、雇用保険も加入することになりますから、それらの掛け金も天引きされます。


厚生労働省のホームページにある例で見てみると、月収88,000円の人が厚生年金に240カ月加入した場合、厚生年金保険料の本人負担額が月額8,000円程度であるのに対し、将来の年金額が月額で9,700円増えることになります。将来に向けての貯蓄と考えれば、毎月の手取りが減っても加入するメリットはありそうです。


収入に対し保険料がどれぐらいかかり、 将来もらえる年金額がどれぐらいふえるのかということは年金事務所などでも相談にのってくれます 。「どのぐらい仕事をしたいか」というご自身のライフプランを考える際に相談し、社会保険に加入することを考慮してみるとよいでしょう。



手取り額を下げたくないなら「加入条件ぎりぎり」に収入をおさえること!



頭でお伝えした通り、年金制度は度々見直しがありますので、常に最新の情報を得ることが大切です。また、社会保険の扶養*1のほか税制上の扶養についても細かなルールがあり、全てのルールを詳しく理解するのは至難の技。


「社会保険の扶養から外れるのは困る」という場合は、上記1〜5の要件にあてはまらないことをしっかり確認してください。年金事務所や税務署などで確認や相談もできます 。


状況が許せば扶養ぎりぎりの範囲でおさえるのではなく、扶養から外れても収入が増えるような働き方を目指すのも一つの手。


厚生年金に入ることで将来の年金額も増えることになりますし、これからキャリアを少しずつ積み重ねていくことで新たな可能性が開かれることもあるでしょう。今は人生100年と言われる時代。老後の計画をしながら働き方を考えたいものですね。


(※2018年9月現在の法律をもとに記載しています)



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<記事監修>

gpキャリア 
社会保険労務士 
キャリアコンサルタント 
浅野 泰


<ライター>

坂口弥生(さかぐち・やよい)
1週間45000円からできる留学サポートGo Globalを運営。採用・研修から人事制度設計まで、約10年にわたる人事全般のキャリアをもつ。特に大学生やフリーターの方には留学後の就活相談に乗ることも多く、自己分析などのお手伝いも行っている。

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