6月6日から千本桜ホールにて、舞台「空行」が上演されています。今回は直前舞台稽古に、ドーモプラス編集部が潜入! 貴重な稽古風景の様子や、出演者の方の意気込みコメントをお届けします。

「空行」あらすじ&キャスト


その街は炭鉱であった。
大きな何かは判らない荘厳な塔のような機械のような古びた建物。
石灰の匂いと白い埃、希望を求めて人々はほこりを巻きちらし穴を掘り続けた。
その営みの中、少女が産まれた。
貧しい家族にとってそれは望まれていない生命であった。
ある日、炭鉱と売春宿のオーナーであるモトヤマが連れてきたのは、7歳のその少女だった。

「イチカです。何も知りません。色々教えてください。」

少女は教えられた通りに言葉を発した。
炭鉱夫たちは金を払い少女で自身を慰める。
少女はモトヤマの息子のヒロトと出会う。
彼の読む物語を通して、イチカは世界を知って行く。
彼女の持つ信念を通して、ヒロトは自分を知って行く。
運命を受け入れる少女と、運命を壊したい少年の心は、どこに答えを見つけるのだろうか...

「大人って寂しいのよ。だから近くの誰かを求めるの。
でも子供はそんなこと必要ないの。だって一人じゃないってことを知っているから」

【キャスト】
竹中凌平(ドリーヴス)/ヒロト役(モトヤマの息子)
桜彩/イチカ役(売春宿の女)
磯野大/タカギ役(ボランティア団体の人間)
栗田学武(Allen suwaru)/サメジマ役(フリーのジャーナリスト)
普光院貴之(Allen suwaru)/ヨシオカ役(炭鉱夫)
片山隼/マキノ役(炭鉱夫)
荒木未歩/ルリ役(売春宿の女)
石川多恵/ミナ役(売春宿の女)

來河侑希(Allen suwaru)/カトウ役(政府の人間)
近童弐吉/モトヤマ役(炭鉱と売春宿のオーナー)


鈴木茉美さん(脚本・演出担当)





――作品の見どころは?

今回の空行という作品は再演になるんですが、前回とは全く変わったアプローチができればと思っています。初演を見てくれた方がいましたら、今回は違うアプローチを見ていただければなと。どこか自分とは違う世界ではありますが、お客様も含めて一人ひとりの生きている意味や、私たちが生きている中で、感じている感情や関係性といった部分は、共感できる何かがあるのではないかと思います。

――観客の方にメッセージをお願いします。

この物語は、決して遠くの世界の話ではないと思います。もしかしたら自分に降りかかることや、近くで起きていることでもあるかもしれない、そういうことを考えるきっかけになっていただける作品になれば、嬉しいなと思います。

出演者コメント



竹中凌平さん(ヒロト役)





――演じる役の見どころは?

この作品は炭鉱の街が舞台になっていて、また国や年代はあえて見る人の想像にお任せしています。そんな炭鉱で働く人や売春宿で働く女の子たちがいるなかで、それぞれが自分の運命というものを受け入れて生きている世界。僕が演じるヒロトは、そんな運命に必死に抗おうとしている役で、炭鉱の街的に言うととても異質な存在なんです。ただ、現代人の僕らの目線から言うとヒロトはごく普通で好きなように生きたいと思っているだけなんですよね。そんなヒロトが成長して定められた運命や環境、そして社会に対しどう抗っていくのか、その姿が一番の見どころです。



――舞台への意気込みを聞かせてください。

世代や人種・国や宗教にも関係なく、この作品が扱っているテーマは、不特定多数の国々で昔から問題視され続けてきたことだと思うんです。それをヒロトとしてちゃんとリアリティを持ってできたらなと思っています。この作品自体はフィクションですが、テーマの核となっていることは、実際に起きていることでもあるので、単なるメッセージではなく、そのことを知ってもらえたらなと思っています。今回、若いお客様も多いと思うので、将来子供ができたり、交友関係が広がっていったときに、再びこの作品のテーマについて考え、この作品を知らない方々にも伝えていってもらえたら、この作品に携わった意味があるなと思っています。

磯野大さん(タカギ役)





――演じる役の見どころは?

僕が演じるのは、タカギというボランティア団体の人間の役で、正義感はものすごく強いんですけど、正義のヒーローではなくて、ただ正義感だけある、ヒーローだと思い込んでいる人なんです。イコール偽善者なんですよね。役作りがとても難しくて、金八先生の作品をすごく見ましたね。ただ、タカギは解決しない金八先生なんです。心は金八先生なんですけど、発言はそこまで芯が通っちゃいけないっていうのがあって。今、本番まで調整しながらやっているんですが、熱すぎず、冷めすぎず、なかなか中間が見つからなくて頑張っているところです。最終的にはすごく酷いやつにならないといけないんですけど、その前振りをどんな熱量でやっていけばいいのかというところを調整してますね。

――舞台への意気込みを聞かせてください。

この作品を見てくれたお客様に、一つでもなにかを感じていただけたらと思っています。それが、今回この舞台をやる中で、ひとつの僕たちの課題でもあると思うので。それを伝えられるように、より一層細かいところまで詰めていきたいなと思います。

栗田学武(Allen suwaru)さん(サメジマ役)





――演じる役の見どころは?

僕が演じるサメジマという役は、フリーのジャーナリストで、その街をずっと取材をしている人間なんですけど。サメジマを含め、この作品に出てくる大人たちって社会の縮図のような、人間の欲がすごく如実に出ている人間だらけなんです。サメジマは、自分の欲のためだけに生きている人間なので、本当に嫌な人間、大人として映ればいいなと思います。ただ、サメジマ自身は自分の正義の中で生きていて、自分がやっていることを正しいと思っているんですけど、結果何もしていないんですよね。でもそういうことって日常生活にも多分あると思うんです。なので、自分自身と重ね合わせてもらえるような、そういう見方をしてもらえたら嬉しいですね。

――舞台への意気込みを聞かせてください。

今回の空行というのが、僕らAllen suwaruという劇団の第2回公演で、実は昨年の5月に初演をやっているんです。でも再演だからといって、同じものをやるのかといったら全く違っていて、前回見てくれた方でも、全然違う印象を受けると思います。というのも、前回は売春婦として売られたイチカという子の視点を中心に描いた世界で、すごく嫌な現実というところを、彼女の母性や柔らかさ、信念というもので、抽象的な世界観で描いていたんですけど、今回の再演では、売春宿のオーナーの息子である、ヒロトの視点から描かれているんですね。台本自体はそんなに大きく変わっていることはないんですけど、演出手法でいうと、すごく生々しいというか、彼に影響を与えられるように、抽象的ではなく具現的な嫌な世界を描いていると思います。

この話は、すごく重い作品だととらえられがちなんですけど、でも僕はどちらかというと、すごくポジティブで未来のあるお話だと思うので、ただ暗くて重い作品ではない、ちゃんと希望のあるお話として作り上げていけるように頑張っていきたいなと思っています。

普光院貴之(Allen suwaru)さん(ヨシオカ役)





――演じる役の見どころは?

僕が今回演じるヨシオカという役は炭鉱夫の役なんですが、ものすごく人間の欲の権現というものを視覚化したような役柄なんです。暴力をふるったり、売春宿に行くなど、人としてかなり欠陥しているんですけど、でも動物としての本能にかなり直情的な人種だと思います。でも彼らはそれを悪いことだとは思っていなくて、炭鉱夫というのは、社会的な地位をあまり持っていないという背景を持っているんですが、人として誇りをもって働いているんです。純粋に仕事をして生きていく、それを体現しているキャラクターだなと思います。暴力をふるったり、売春宿に行くなど、すごく嫌なキャラクターに映るかもしれませんが、かなりこの物語のアクセントになるような登場の仕方なので、出てくるたびにお客様はすごく刺激的に思ってくれるかもしれません。

――舞台への意気込みを聞かせてください。

僕ら、Allen suwaruという劇団で、昨年も旗揚げ公演としてこの空行という作品をやらせてもらったんですが。今回再演するにあたって、前回と箱もキャストも違いますし、全く違う空行がやりたいなと思ったんです。題材が軽い話ではないというのは重々承知していて、こういう題材ってだけでも悲しいお話ととらえられがちなんですが。でも、すごく希望や愛を感じていただけるような作品にできたら嬉しいなと思っています。

來河侑希(Allen suwaru)さん(カトウ役)





――演じる役の見どころは?

僕の演じるカトウという役は政治家で、すごく表と裏が強くある人なんですね。なので、その建前と本音のようなものをお芝居で表現することによって、作品を見ていただいたお客様に、こういう政治家がいるんだと、じゃあ自分は何をしたらいいのか、というようなことを考えるきっかけにしてもらえるような役になったらいいなと思います。役の見どころとしては、本音と建前をどんな風に表現して、役者が芝居をしているのかというところを見ていただけたらなと思っています。

――舞台への意気込みを聞かせてください。

この物語って表面的に見ればすごくかわいそうな話に見えると思うんですけど、舞台の中でリアリティをもって伝えたときに、希望が見えるような話になればいいなと思っています。この物語に出てくる子たちは普通の状況というのがあまりわからないと思うんです。でも、もしかしたらこの先日本もそうなるかもしれないし、どこの国で起こるかもわからないという、一見非日常的なように見えるものをお客様に見てもらって、今現実にある、普通の日常に対して、ああなんか幸せだなとふと思えるような、そういう作品になったらいいなと思っています。

出演者フォトギャラリー




桜彩さん(イチカ役)


片山隼さん(マキノ役)


荒木未歩さん(ルリ役)


石川多恵さん(ミナ役)


近童弐吉さん(モトヤマ役)

稽古風景フォトギャラリー




いかがでしたか? 通し稽古中の出演者の皆さんは、演出の鈴木さんと相談しながら、とても細かく演技を調整されていて、繊細に役を作り込んでいる印象でした。劇場でどんな「空行」の世界観を見せてくれるのか期待が高まりますね。6月6日から千本桜ホールで上演中の舞台「空行」。ぜひ劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。

取材・文:ドーモプラス編集部
Photo:比留川義一

<空行>
2018年6月6日(水)~6月12日(火)まで千本桜ホールにて上演中
「空行」公式ホームページ


関連するワード