ドーモプラスが注目の男子を紹介する連載企画「レコメン図」。第12回にご登場いただくのはミュージカル「スタミュ」や舞台「KING OF PRISM -Over the Sunshine!-」など、2.5次元作品を中心に活躍中の若手俳優「星元 裕月(ほしもと・ゆづき)」さん。


1月には「『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜To the shining future〜」への出演が決まっている星元さんに、前編では役者を目指したきっかけや、稽古中にあったエピソードについてたっぷりと語っていただきました!


舞台上の橋本祥平さんに憧れて、役者の道へ


――では初めに、舞台俳優として活動を始められたのが2016年からということですが、いつ頃、どんなきっかけで舞台俳優を目指されるようになったのでしょうか?


自分が高校2年生、17歳の時に「ミュージカル『薄桜鬼』藤堂平助篇」という舞台を、自分でチケットを取って観に行ったんです。その舞台では、現在同じ事務所の先輩である橋本祥平さんが斎藤一役を演じられていたんですが、その祥平さんの醸し出す雰囲気や強い眼差し、演技力にすごく惹かれるところがあって。「こんな世界があるんだ!」と思ったんです。


私自身ももとからアニメなどが好きなこともあって、「薄桜鬼」のアニメも好きでしたし、ダンスを中学1年生の時からやっていたので、舞台というもの自体も好きなんです。


「ミュージカル『薄桜鬼』」では“二次元の世界”と“舞台”、その2つの好きなものが組み合わされていることにすごく感動して。それを、もしも自分も仕事にできて、誰かに感動を与えられるのだったら、どんなにすてきなことなんだろうと。「こんな仕事をしたい!」と強く思って、そこで夢をひとつ見付けました。



――そこから実現までが、すごく早かったですよね。


そうですね、2年ぐらいでしょうか(笑)。


――ご自分で履歴書を事務所に送られたそうですね。


そうなんです。「藤堂平助篇」の後に上演された「黎明録」も観に行ったんですが、「藤堂平助篇」を観た時にはまだ「役者になりたいな」っていう夢だったんですけど、「黎明録」で意識が変わったんです。


ストーリー的にも浪士隊から新撰組を結成する過程を描いていたので、それを観て心を動かされたというか。「なりたい」という感覚から「なる」に変化して、その時に自分の中で決心ができたので。そこからはもう履歴書を送って、夢へと突き進んでいきました。



――すごい行動力です。そこから「Sin of Sleeping Snow」で初めて舞台に立たれたわけですが、その時の心境はいかがでしたか?


デビューが決まったと聞いた時には、正直実感がわかなかったですね。「夢が現実になる」って、ひとことで言うのは簡単だけども、体感的にはけっこう大きいことで、自分の中でそれを処理するのにその日は必死でした。


それから実際に稽古場に入って、自分がかつて客席から観ていた俳優さんとお仕事をするという感動もあったんですが、初めて入るお芝居の世界だったので、芝居の「し」の字も全く知らなかったんです。本当に探り探りだったんですけど、周りの先輩方に助けていただいて。今でも「Sin of Sleeping Snow」は思い出深い作品ですね。


役が掴めた瞬間には「鍵が開いたような感覚」に



――その次に出演された「『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜Take your marks!〜」(以下、TYM)では、姫宮桃李(ひめみや・とうり)役に大抜擢されましたよね。そこから2.5次元作品に続けて出演されていますが、2.5次元作品で舞台に上がる上での苦労や、魅力について聞かせてください。


2.5次元作品というのは原作があるので、そのキャラクター像が原作の中やファンの方の中にあって。演じる上では、自分とそのキャラクターを重ね合わせていく過程が、思っていたよりもはるかに難しかったです。


ただマネをすればいいわけでは決してないですし、自分なりの解釈でキャラクターと寄り添い、キャラクター自身とそれを演じる自分自身のバランスも考えながらお芝居を組み立てていって、それでいて面白いものをお客さまに提供しなくてはならないんです。


一筋縄ではいかないんですけど最初は特に大変で、周りの方に助けていただきながらのスタートでした。すごく難しかったですが、実際に舞台の上に立った時のお客さまの反応だったり、いただいたお手紙を見ると、込み上げるものがありましたね。


2.5次元作品というのは、お客さまからしてみると、実際にそこにキャラクターがいるかのような感覚になれる作品だと思うんです。三次元の我々がどんなに頑張っても、本当の意味では二次元に行くことはできない。けれども三次元の世界で、役者である私たちが二次元を再現するということで2.5次元になるんですけど、それによってある意味では実際にキャラクターと会えるというか。お客さまがそういう感覚になれるというのは、ひとつの魅力だと思います。


なおかつ原作があるということで、お客さまもよりストーリーに入りやすくなって、構えずに観られる部分もあると思いますし。気軽に演劇に触れていただける、その一歩になれるんじゃないかなとも考えています。



――ブログで役作りに悩まれていることも綴られていましたが、役がつかめる瞬間は、演じる役によってタイミングがそれぞれちがったりするんでしょうか?


そうですね。実際にアニメを観たり、ゲームを進めたりしながら見て行くんですけど、キャラクターに寄り添うのがなかなか難しいんですよ。自分とはちがう人物を演じるというのはストレートの舞台でも変わらないんですが、二次元のキャラクターだと、本当に個性のかたまりみたいな子が多いので、それを自分に落とし込んでいくのは難しい作業だなと感じます。


でも、そんな中で自分と似ている点を見つけていくのは楽しいですし、それをどんどん続けていくと、キャラクターと自分がぴたりと重なるというか、何か鍵が開いたような感覚になることが絶対あるんですよ。その瞬間が私はとても好きなんですが、いつになるかは自分では分からなくて、本番のギリギリ前、稽古の最後までなかなか答えが出ないこともよくあります。


それでも全部舞台が終わった後に、みんなで「頑張ってやってきてよかったね」って素直に笑顔になれる瞬間があったら、それは自分とキャラクターが寄り添ってきた証拠だと思いますし、その瞬間に鍵が開くこともあるので。タイミングはバラバラですけど、それでも必ず一致する瞬間はありますね。



「キンプリ」稽古中に迎えた「一生忘れられないバースデー」


――お芝居の世界に飛び込むきっかけとなった橋本さんとの共演も「『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Judge of Knights〜」(以下、JOK)、舞台「KING OF PRISM -Over the Sunshine!-」と続けて果たされましたが、いかがでした?


いやもう、最初に聞いた時にはそれこそ実感がわかなかったというか(笑)。「へ?」って、一瞬頭がぽかーんとなったくらい。「祥平さんといつか共演したい」というのはデビューした時からずっと思っていたんですけど、夢ってそんなに簡単に叶うものじゃないと思っていたので。それがまさか、初めて2.5次元に携わった「あんステ」(=「あんさんぶるスターズ!」舞台化作品)で共演できるなんて。


現場では、稽古中も無意識に祥平さんのことを目で追ってる瞬間があったりして「なんかずっと見ちゃってるなぁ」って思ったりもしましたけど(笑)。その中で、普段見せる楽しい祥平さんも、役者としての顔も、全てにおいて誰からも愛される人だなっていうのをすごく感じましたね。


先輩からも愛されて、後輩からも慕われていて、しかも「キンプリ」(= KING OF PRISM)では座長という立ち位置で。改めて「この人を見て、この世界に入ってきてよかったな」って思いました。



――「キンプリ」共演者のみなさんは仲がいいそうですが、舞台中に印象に残っているエピソードがあったら聞かせてください。


期間中にちょうど自分の誕生日(10月15日)があったんです。当日の稽古には自分はいろいろあって出られなかったんですが、その翌々日の稽古でみなさんからどっきりサプライズを仕掛けられまして(笑)。


そのどっきりの前日に、祥平さんから「せっかくだから買い物に行かない?」っていうLINEがきて、いっしょに出掛けさせていただいたんです。ご飯を食べてる時に「稽古はどんな感じですか?」って聞いたら「いや、今ちょっと……現場がピリついてるんだよね」っていうのを言われて。「あれ、待って? この前までみんな、あんなに仲よかったのに、なんでピリついてんの!?」ってびっくりしちゃって、次からどういう顔で稽古に行ったらいいんだろうとか考えてたんですよ。


それで翌日、稽古場に行ってみたら、いつもは仲がいい五十嵐雅さんと横井翔二郎さんが、朝から目も合わせない、口もきいていない状態で、空気感が本当にピリついてて……やっぱりみんな役者ですよね、騙すのがうまい!(笑) ウソだなんて全然思わなかったですし、周りも微妙な空気が漂ってたんです。


いざ稽古が始まって、舞台オリジナルでクリスマスソングがあるんですけど、私はまだ内容を知らなかったので後ろで見学することになって。音楽がかかっても、みんなどこか気だるそうにやっているので、それを見た演出家の宇治川まさなりさんは「これじゃお客さんに見せるものにならねぇだろ! ふざけるな!」って激昂し始めるし、私、ビビっちゃって(笑)。


それでも後ろからこわごわ見守っていたら、サビにかかった時に急に歌詞が変わったんですよ。「なんだ、なんだ?」って思ったら私の名前が入った替え歌になって、その瞬間にみんながバースデーケーキを持ってきてくれて……ピリついた空気から突然和やかな雰囲気になって、自分の中で緊張の糸が切れたんでしょうね。一気に自分の中で何かが崩れていって、もう、涙が出てくる出てくる(笑)。


その時期、いろいろな都合で稽古に出れない時もあった中で、それでも周りのみんなが「いっしょに稽古しようよ」って声を掛けてくれたりして。支えてくれる仲間がいることをその時改めて認識しましたし、本当に温かくて幸せなカンパニーだなって思いました。その瞬間の気持ちは、きっと一生忘れられないんじゃないかな。そして、何より自分がツッコミたいのが「ふつう、2日掛かりでドッキリを仕掛けるか?」ってことですね(笑)。



――さすが役者さん(笑)。記憶に残る20歳のバースデーになりましたね。


まさかの、祥平さんが最初に自分に1本ジャブを打ってからの、翌日にサプライズっていう。このためだけに、わざわざこっそりグループLINEも作っていたらしいです。スタッフさんまで動いてくれていたと聞いて、すごく嬉しかったですね。



「姫宮桃李」そして「fine」との3度目の邂逅


――そして次作では「『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜To the shining future〜」(以下、TSF)に臨まれるわけですが、姫宮桃李を演じるのは今回で3度目となりますよね。やはり回を追うごとに心境や役作りに変化があったのではと思うのですが、いかがでしょうか?


姫宮桃李については、そもそもお芝居のことがあまり分かっていない状態から入ったので、初めのTYMではとにかくお芝居から何とかしていくしかなかったです。右も左も分からなくて、同じfine(姫宮桃李が所属するユニット)の前山剛久さん(天祥院英智役)には本当に助けられました。


桃李のキャラクターも自分の中に落とし込まなきゃいけなかったり、お芝居のこともしっかり考えなくてはならなかったり、ついていくのに必死で切羽詰まったりもしたんですけど、それでも先輩たちに支えられて何とかなった部分がありました。


2度目のJOKでは、まだまだ未熟中の未熟ながら、これまでの作品で得たものを生かしていきたいと思っていたので、「桃李ともうちょっと寄り添いたいな」といろんなやり方を試しました。この作品は本編ではなくエクストラ・ステージ(=番外編)ということで、メインストーリーから半年後くらいのお話だったんです。


だから、桃李はメインストーリーの時とはちがう桃李ということになるわけで。fineにもコミカルなシーンが多かったりと、メインストーリーでは見られないようなパフォーマンスもあったので、それを自分たちで相談しながら作り上げていくのは、最初の私じゃできなかっただろうなと思います。いくつか作品に出演したことでの自分自身の成長と、桃李本人の成長を掛け合わせてできた結果だなと。


ただ、次のTSFではメインストーリーに戻るので、今度は最初の桃李に戻らなきゃいけない。その部分で、今回はどういうふうにやっていこうかなというのは、まだ悩んでいるところですね。



――fineのメンバーでは、伏見弓弦役の野嵜豊さんと“姫宮主従”を演じていらっしゃいますが、野嵜さん自身や伏見弓弦とのエピソードがあったら聞かせてください。


豊は最初に会った頃にはかなり低姿勢で、稽古の初期なんかは「星元“さん”」って呼ばれてましたね(笑)。だけど、そこからいろいろな話をしていく中で、桃李と弓弦は主従だし、お互いのことを知り尽くしているだろうなと思ったんです。


ダンスにもその関係性を生かせないかなと、TYMの時に「Perfect World」っていうfineの舞台オリジナル曲があったんですけど、振り付けのフリーな部分を少しだけ考えさせてもらったりして。2人の関係性を投影したかったので、社交ダンスっぽい振り要素を入れました。


JOKでも弓弦役の豊とはニコイチで出ることもあったので、自然とお芝居の話をすることも多くなりましたし、本番の楽屋でも「あのシーンってどうしたらいいんだろう?」「これはこうだよね」って相談したりもしてたんですよ。


豊はメンバーで最年少なんですけど、それを感じさせないくらい、しっかりした考えがあって行動してるので、お互いに信頼もしてます。それに、私は彼なりの弓弦が好きなので、その弓弦といっしょにお芝居できるのが幸せだなって思いますね。



――では、前山さん、安井一真さん(日々樹渉役)とはいかがでしょうか?


前山さんは、初めて自分に「お芝居ってこういうふうにやるんだよ」って教えてくれた人なんです。だから、すごく印象深くて大好きな先輩ですね。公演中もよくしてくださって、fineのリーダーでもあるので「自然と自分たちも、いつの間にか天祥院英智と姫宮桃李みたいな関係性になっちゃってたね」みたいな話もしてましたし。本当に仲がいいので、お互いに気兼ねなく話せて、お芝居についても相談させてもらってます。


それから一真くん……彼はもう、すごく日々樹渉なんですよね(笑)。彼が変わっているとかそういうことではなくて、独特な雰囲気がすごくすてきだなと思うんです。歌の上手さも随一ですし、身長が高くて細いモデル体型なので、そんな雰囲気が日々樹渉に似合うと思います。いっしょに帰ったりすることも多かったので、彼ともいろんなお芝居の話をしたんですよ。TYMの時よりもJOKでさらに、この4人の仲は深まったんじゃないかなと思いますね。



fineらしい「絶対的なパフォーマンス」を目指して


――みなさんで自主練習もされていたとうかがいましたが。


人気も実力もあるとされるfineなので「絶対的なパフォーマンスを見せなきゃいけない」っていう意識が自分の中にすごくあって。桃李って普段はガキっぽくて、言うならば子猫みたいな感じの子なので、お芝居のパートの時にはそう意識しながら演じているんです。


でも、いざパフォーマンスになったら、きっと周りのメンバーに追いつこうと陰で必死に練習をするような努力家な子だと思っているので、私自身もそうでなくてはと思うんですよね。fineのメンバーも「パフォーマンスではfineは一番でなくてはいけない」とみんなが思っているので、誰が見てもこのユニットが学院で一番なんだと思っていただけるよう、稽古をしてきましたし。


自分が中学生の時からやっていたダンスが、ジャズダンスとバレエとタップなんですが。fineのダンスはちょうどバレエとジャズをベースにした振り付けで、自分的にも分かることやできることが多かったので、ダンスの面ではfineのメンバーと話したり「こうしたらいいんじゃないかな」と自分から提案したりもできたんです。


逆にお芝居のパートでは前山さんにとことん指導していただいたりしましたし。だからfineは、そういう意味ではすごくバランスがいいと思うんですよ。ダンスや歌やお芝居と、それぞれの優れている分野があり、それがひとつになって「これがfineだ」って提供した時に、いい化学反応が起こるので。次のTSFでも、みなさんに絶対的なパフォーマンスを見せたいなと思います。



――期待しています。fineのダンスには優雅さがある印象ですよね。


振り付けの先生も「しなやかに、優雅に」というのをいつも仰っていて。いつかの自主練の時に、先生が来て練習を見てくださったんですよ。そうしたらダンスが終わった後に、先生が急に顔を伏せて涙を流し始めて「短い期間で、よくここまで仕上げてくれて」って言葉をかけてくれたんです。


練習して本当によかったなと思いましたし、振付師の先生にそう感じていただいたものをお客さまにも披露できるんだと思ったら、わくわく感と自信が湧いてきたのが、今でも印象に残っています。



――1月からの公演でもfineのダンスにぜひ注目してほしいですね。


そうですね。ぜひfineのダンス・パフォーマンス、歌、そしてお芝居に注目していただきたいです。特にダンスは、自分自身もより一層気合を入れていきたいと思っていますし、お芝居でも歌でも、これまでとはちがったやり方で桃李と向き合いたいと思っているので。よりレベルアップしたfineを観ていただけるように、誠心誠意努めてまいります。



憧れの先輩と出会い、役者の世界へ飛び込んだという星元さん。その行動力はさることながら、お芝居やパフォーマンスと向き合う姿勢からは努力家の一面もうかがえました。それらがきっと、現在の活躍を支えているのでしょうね。そして、役者さんが本気で仕掛けるサプライズはインパクトがすごいです(笑)。後編では、稽古の合間の意外な息抜き法から、自分らしさについての深い話まで語っていただいていますのでお楽しみに!


取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)


インタビュー後編はコチラ


【プロフィール】
星元 裕月(ほしもと・ゆづき)
1997年10月15日生まれ、静岡県出身。
趣味はアニメ、プロレス観戦、料理、特技はダンス(ジャズ・バレエ・タップ)、裁縫。
1/19(金)より舞台『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』~To the shining future~ に出演、2月にも舞台 犬と串case.17「ピクチャー・オブ・レジスタンス」への出演が決定している。

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