ドーモプラスが気になるクリエイターを紹介する「クリエイティブなヒト」。第4回はモデル、DJ、「surreARIS」ブランド・ディレクターと多方面で活躍中の「アリスムカイデ」さんが登場。「『オドループ』MVの右側の人」としてよく知られる彼女に、後編ではブランド・ディレクターのお仕事や、ラフォーレ原宿に出店した期間限定ショップなどについてお話をうかがいました。


インタビュー前編はコチラ


ウサギのロゴも全部自分で描いたんですよ


――では次に、ご自身がディレクターを務める『surreARIS』(シュルレアリス)についてお聞きしたいと思います。まず、ブランドを立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?


ずっとウエディングドレスブランドのモデルをさせていただいているんですが、いっしょにお仕事をさせていただいている方から、そちらの会社のアパレルでディレクターをやってくれないかとお声掛けをいただいたんです。前からできるならやってみたいと思ってましたし、母親の夢がお洋服の店をやることだったみたいなので、やったらきっと喜ぶだろうなって。それで始めさせてもらいました。


――10月にはラフォーレ原宿に期間限定ショップも出展されていましたが、お母様もいらしたんですか?


家が北海道にあることもあって、今回は来られなかったです。でも、珍しく「おめでとう」って言っていたので、喜んではくれてるかなって(笑)。普段はあんまりそういうことを言わないので。


――次の機会には来ていただけたらいいですね。ブランドにはデザインから関わっているのでしょうか?


デザイナーではなくディレクターなので、全て始めからやってるわけではないんですけど、イチからデザインするものも、もちろんあって。例えば今着ている上下がそうなんです。これは、生地市場に行ったり、バックルとかも全部見て、細かいところからやりました。


あとは、作って欲しいイメージをお伝えしてデザイナーさんに発注したり、デザインの候補をいただいたりもしますね。それに「じゃあここをもうちょっとこうしてもらえますか」ってお願いしたりもします。海外まで買い付けに行っているものもあったりして、今度は撮影も兼ねてパリまで行ってくる予定です。まさか自分がこんなに海外に行くようになるとは思ってなかったですね。



――仕事で世界を飛び回るって憧れます。ブランドでは、Tシャツやラバーバンドなど、バンド風のアイテムもありますよね。あれはどういったコンセプトがあるんでしょうか?


今着ているブラウスみたいに、透けていたりするお洋服ばっかりだと買えないっていう子がいるのと、男性にも着てほしいからですね。それと私自身が、どんなに好きなバンドのグッズであっても(デザイン的に)着れないと買わない。だから「フェスにバンドTシャツで行ってはみたいけど、着れるものがない」っていう声を聞いて、フェスにも着ていけて、デザイン的にも手に取りやすいロックラインを作ったんです。バンドグッズを制作されている楽日(ラッカ)さんにご協力いただいて、Tシャツやタオルなど、一連のものを作ってみました。ウサギのロゴも全部自分で描いたんですよ。


あとは、イチから作っているものがあったり、大きなブランドではないから1アイテムを大量に作れないこともあって、お洋服はどうしてもちょっと高くなってしまうんです。そこを考えると、手が届きやすい価格のものも必要だなと思って。アクセサリー類も、価格は抑えるようにしてます。


――ユニセックスなデザインですし、男性の方も買われて行ったのでは?


けっこう多かったですね。一番ふざけて作ったTシャツがめちゃくちゃ売れてました。バンドグッズってあからさまに分かりやすいものが売れたり、変なものが売れたりするっていうお話を聞いていたんで、ひとつ作ってみようってやったんですけど、ウケたみたいです(笑)。



1着を買ったこと自体より、そこからどう変わっていくかが大事


――ラフォーレではモデルさんが務める“一日店長”といっしょに店頭にも立たれたそうですが、お客さんの反応はいかがでした?


“一日店長”さんについては、イベントの一環として立ってもらったというより、本当に店員として接客をやっていただいたんです。普段はそんなことをしていない方々なので、どうしてもsurreARISのお洋服を着てほしい方々に、無理を言ってお願いしました。私が着るともう“私の服”になっちゃうので、私と系統がちがう方を選んだんですよ。「こういうタイプの人がこういうふうに着るんだな」ってお客さまにも見てもらえるので、買いやすくなるかなと思って。


――たしかに。いろんなパターンで見られた方が、自分でも着られるかなって感じますよね。


ハナエちゃんというアーティストの方にもお願いしたんですけど、やっぱりお客さんと顔を合わせてしゃべることがあまりないみたいで。ハナエちゃんにも、お客さまからも「機会を作ってくれてありがとう」って言ってもらえたんですよ。


――そうやって喜んでもらえるってステキですよね。“一日店長”さんのお洋服のコーディネートは、アリスさんがされたんですか?


みなさんそれぞれ自分に似合うものを選べる方たちなので、好きなものを選んで着てもらいました。お客さまも私が思いつかないようなコーディネートで試着してくださるんですよ。それがすごく嬉しかったです。私のことを知らずに店舗に来て、お洋服を「かわいい!」って言ってくれている人を見ると、なんだかすごいなって。



――ショップという形だったからこそ、知らない方も来てくれたんですね。洋服って、幅広い人に似合う“お手本コーディネート”みたいなものがあると思うんですけど、それとは別に“その人だからこそ似合うコーディネート”もあるんでしょうか?


たくさんあります! いやー、「アリスムカイデだから似合うんでしょ?」って声もたくさんあるんですけど、そんなことなくって。お洋服1点1点はそんなに奇抜なデザインじゃないですし、着てみたら意外と似合うコーディネートがあったりするんですよ。


――自分で持ってる自分のイメージってあると思うんですけど、特にいろんな服を着たりする機会のない人って、普段着ないジャンルの服への挑戦ってあんまりしないですよね。


そうそう。でも例えば、似合わなさそうな服を買ったからこそ、頑張ってヘアスタイルやメイクを変えようと思えたとか、それに合う服を買おうって思えたとか、1着買うだけでめちゃくちゃ世界が広がると思うんですよ。だから「似合わないじゃない、似合うように頑張れ」って言ってるんですけど。ちょっと髪型を変えたりするだけで全然変わるのに、もったいないです。


「私には似合わない」って言ってしまうと、ずっとそのまま生きてくんじゃないかなって思うんですよ。本当はもっとかわいくなれるし、諦めないでほしい。その一歩目として、surreARISのお洋服を一度買って着てみてもらえたらなって。それが、自分を好きになったり、人生変えていったりするために、役立ってくれたらいいなってすごく思ってます。



――surreARISを着た人が、自分自身の可能性を広げるきっかけにもなったら、ということですね。


1着を買ったこと自体より、そこからどう変わっていくかが大事だなと感じていて。勇気を出した服がどう頑張っても似合わなかったことも、多分あると思うんですよ。その場合は「でも、こっちなら似合うかも」ってまた進めるんじゃないかなと思うし。実際に、勇気を出して買ってくれて「今日はメイクもしてみたんです」とか「髪を結ってみたんです」って着て来てくれた子もいて。「いいじゃん、かわいいじゃん!」って思ったんですよ。もったいないから、勇気は出してほしいなって思います。


あと、「この服、どこに着てくんだろう」って話なんですけど。私、そんなこと考えたこともないですよ。通りすがりの今後一生会わない人に「すげぇ服着てんな」って思われてもいいじゃん、別に。


――着たい時に着たいものを着る、と(笑)。


うん。全然いいと思います。さすがに大学とかで「あいつ、いつも変な服着てんな」みたいに浮いちゃうと、ちょっとかわいそうだなと思いますけど(笑)。それはそれで多分、そういう友達が増えると思うし。


もしくは、大学では普通の服を着ていて、別の場所で新しい世界を広げるための友達を作るとか。いくらでも世界って広がるのに、会社とか学校とか、目の前に見えている世界が全てみたいになっちゃってると思うんですよ。ちょっと考えたら、そんなことないって分かるじゃないですか。お店に来たことによって、お店で友達ができたって方もいらっしゃいましたし。そういうきっかけになっていければなって思ってます。



本当に愛してくれる人にどちらへ転がしてもらえるかによって、転がっていきたいなって


――熱いメッセージ、ありがとうございます。モデル、DJ、ブランド・ディレクターとさまざまな顔を持っているアリスさんですが、これから挑戦していきたいお仕事はありますか?


大きな夢を持たずにというか、それだけを方向の目標とせずに進んできて、意外にもふわふわとうまいこといっているように感じていて。取材を受けたりした時に「すごく考えてますね」とか「頑張ってますね」って言ってもらえるんですけど、思ったより私は他人に愛されて生かされてるんですよ。今後の目標というよりは、本当に愛してくれる人にどちらへ転がしてもらえるかによって、転がっていきたいなって思ってます。


「芸能人になりたい」「有名になりたい」っていうのは全然ないんですよ。私、将来も家族でジャスコのフードコートに行って、マックのポテトを食べていたいので(笑)。だから「私としてどこまで楽しく生きられるか」っていうのが、これからもずっと目標だなと思ってます。


surreARISについてはけっこう明確で、もっとみんなに届くようにしていきたいですね。個性的なブランドなので万人受けはしないですけど、きっと求めてる方はいると思うので。そこに届くように、広めていけたらいいなって。



――ブランドのお披露目で台湾にも行かれるとのことですし、日本に限らず広まっていったらいいですね。


あ! 目標、まだありました! 私をきっかけにして、何か好きなものに出会ってもらえるように頑張りたいです。私が仕事を頑張ることによって、私の好きなものが広まる。あるいは、私を知ってくれることによって、その子が好きなものが増える。そういうのが増えればいいなと思って。私と出会ったから「ライブに行くようになりました」「CDを買うようになりました」って人がたくさんいるんですよ。ライブに行くだけで、かなり毎日が輝くじゃないですか。


それに、自分の好きなものに興味を持ってもらえるということは、そちらも人気が上がるわけで。それができればいいなって思うし、そういう仕事をしていきたいです。自分の好きなものを広めたり、誰かの好きなものが増える、そして人生が変わる! そんなアイコンになれたらなって思います。



私は誰かといればいるほど元気になるタイプなので


――では次に、アクティブな印象のアリスさんですが、お休みの日はどんな過ごし方をされていますか?


とにかく人と会ってますね。休みじゃなくても、誰かとご飯を食べることが多いんです。仕事の帰りとかに「ご飯! 渋谷!」って連絡したりして(笑)。


――疲れていても、人と会うことで元気になるんですね。


そうなんです。最近、大人になると“人といるのが疲れる”って人もいることを学んだんですけど、私は誰かといればいるほど元気になるタイプなので。疲れていたとしても予定は入れるし、本当に忙しくて辛い時ほど、無理やりでも“絶対楽しくて、しかも金がかかる”っていう予定を詰め込んだりします。それこそグランピングに行くとか、川下りをしてみるとか。まぁ、その時に7メートルの岩から川に飛び込んで、骨折ったんですけど(笑)。


あとは、やったことがないこととか、興味のないことをやってみるのがすごく好きなので、趣味の合わない友達が意外と多いんですよ。知らないジャンルの知らないことを教えてくれる人とか。すごく楽しいんです。


――ではあまり垣根を持たずに、友達が勧めてくれたから挑戦してみようと。どんどん世界が広がりますね。では最後に、今夢に向かって頑張っている読者の学生さんに向けて、応援メッセージをお願いします。


自分で責任を取ろうって気持ちさえあれば、どうにでもなると思うんですよ。例えば、親の反対だったり、あれこれ不安に思う気持ちなんかがあったりすると思うんですけど、意外と全部無くしても、取り戻せる機会はあるので。現実が辛いと思っていても、絶望しないでほしいです。あくまで自分の人生なので、自分で責任を取ってほしいと思うんですけど、親の反対を押し切るのなら、それ以外で親に信用してもらうかを考えたらいいし。「これをやって友達を失ってしまったらどうしよう」と思うなら、それ以外で愛されればいいと思うんですよ。それにそもそも、何かひとつを選んだだけで縁を切られるなら、ほかにも何か問題があるんですよ、きっと(笑)。


人間関係もそうですけど、自分が好き勝手生きるには、それ以外で愛されるだけの愛情を自分が持っていないといけない。誰かに嫌われるっていうのはだいたい言い訳で、それならもっと気を遣えよと思うんですよ。自分のことしか見えていなかったり、自分の考えや感情を押し付けるのは、本当によくないから。自分がやりたいことをやるんだし、自分がやれるだけ、もしかしたらそれ以上に気を遣って、その分の責任は全部自分で取れるように頑張ってねって思います。そこまですることができたなら、意外と何でも何とかなるよと伝えたいですね。



自分を起点にして、新しい世界や好きなものに出会ってほしいと熱く語ってくれたアリスさん。インタビューを通して彼女のまっすぐな人柄を感じたからこそ「誰でも本当はもっとかわいくなれる。だから諦めないでほしい」という言葉が、多くの女の子に届いてほしいと感じました。音楽関連やファッション分野でどんどん活躍の幅を広げるアリスさんの今後の活動にも要注目です。


取材・文:古原孝子
Photo:高村 勇一郎


【プロフィール】
アリスムカイデ
高校卒業と共に何のアテもなく上京。
事務所に所属しドラマ、映画を主とした芸能活動を開始するがモデルとしての活動がしたかったためフリーに転身、再始動。 独自のキャラクター性とスタイルを自らプロデュースして売り込み、現在では日本のファッションからカルチャー系のモデルとしてショーやスチールの撮影はもちろん、自身の音楽愛が届き20本を超えるミュージックビデオへの出演、DJ、MC、インタビュアーとしての活動、さらには「モードとファンタジーとロックミュージック」をテーマにプロデュースブランドを立ち上げるなど活躍の場を広げている。ニューエイジ・ヒロイン。


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“MV女優”を掲げるモデル・「アリスムカイデ」が巻き起こすスーパー・ポジティブ・タイフーン(前編)【クリエイティブなヒト vol.04】
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