みなさんは「給与明細」をきちんと見たことがありますか? なければ今すぐ見てみてください。もしかすると、払わなくても良い税金をずっと支払っているかもしれません。

通常、1ヶ月のお給料が88,000円以上だと所得税がひかれ、88,000円未満だとひかれていないはずなのですが、88,000円未満でも2カ所以上で働いているケースなどはひかれていることが多々あります。

1月から12月の収入合計が103万円を超えない場合は、「念のため」ひかれていた税金はもどってきます。ただしそのためには「確定申告」を自分でしなければなりません。一度知ってしまえば難しいことはありませんので、これを機におおまかに知識を整理しておきましょう。

1.所得税とは



所得税とは、お給料の合計が年間103万円を超えた場合に支払う義務が発生します。103万円未満だと支払う義務はないのですが、もしかすると支払う義務がないのに、給与明細から所得税がひかれている、という可能性もあるのです。

詳しくは以下で説明しますが、年に1度の「確定申告」をすることで、不必要にひかれていた所得税を返してもらうことができます。

2.自分は税金が戻ってくるかどうかをチェックする方法



まず、去年1年間の給料明細を用意してください。そして毎月いくら収入があったか、いくら所得税がひかれたかを書き出してみましょう。

たとえば2016年9月から12月まで働いたとします。
      
    給与額   税額    支給額
9月   7万円   2,144円   67,856円
10月  10万円   3,600円   96,400円
11月   8万円   2,450円    77,550円
12月   7万円   2,144円   67,856円
合計  32万円   10,338円  309,662円

給与額は全部で32万円ですので、103万円以下。ですから、給与からひかれた税額合計の10,338円がもどってくるのです!

もし103万円をこえても、国民年金を自分で払っていたら年金保険料を年収から引くことができます。

例えば1年間頑張って、110万円稼いだとします。「103万円以上稼いだから、所得税をおさめなければいけないな……」と思うのはまだ早いです!

国民年金を全部で80,000円払ったとすると、110万円―8万円=102万円となり、これで103万円を下回ることになります。自分で生命保険に入っている人も、その額を給与から引くことができます。(この「引くこと」を専門用語では「控除(こうじょ)」といいます)

また、年末に会社から「年末調整の書類」が配られるかどうかもポイントです。

会社が「年末調整」をしてくれるということは、払い過ぎた税金を計算して返金の手配をしてくれる、ということになりますので、自分ではなにもしなくてもよいのです。

自分で申請すれば税金が戻ってくる要件は以下の通り。

3つのポイント「すべて」に当てはまる人は、「確定申告」をして払った税金をとりもどしましょう!

ポイント1 毎月のお給料から所得税がひかれている
ポイント2 毎年年末に「年末調整」の用紙をもらっていない→確定申告
ポイント3 一年の給与額が103万円未満である


3.確定申告ってなに?



「確定申告」とはいったいなんのことでしょう。国税庁の説明を見ると、以下のようにあります。

毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税及び復興特別所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続です。

税金は給料から概算でひかれますので、税金の払い過ぎ・払い漏れが発生するため、これを正しく計算して精算する手続きのことです。

上述のとおり、会社でそれを代行してくれる場合は何もしなくてもよいのですが、アルバイトだとしてくれないところも多いので、自分でチェックしてください。

4.毎年2月16日~3月15日に確定申告を行います



では、確定申告とはいったい何をどうすればよいのでしょう。

・まず給与明細を見て、所得税がひかれていたかどうか確認します。

・給与額の合計が103万円以下で所得税がひかれていれば、税金が戻ってくる可能性が高いことがわかります。(国民年金・生命保険の掛け金は収入からひけますので、それをひいて103万円以下ならOK)

・会社に「源泉徴収票(げんせんちょうしゅうひょう)ください」と言って、小さい用紙(A5サイズ)に1年の収入額などが書かれたものをもらいます。

・確定申告の用紙に記入するか、オンラインで申請書を作成します。

用紙は税務署でもらえますし、以下国税庁のHPからダウンロードし、自宅で印刷して使えます。


申告書A

申告書B

・国民年金や生命保険を払ったという証明書が、年末ごろに自宅に送られてくるので、それを添付して提出します。

書き方は慣れないとわかりづらいと思いますので、わからないかたは税務署に行って、書き方を教えてもらうと間違いありません。その時は上記国民年金・生命保険の証明書、源泉徴収票、印鑑、銀行口座情報をもっていきましょう。

税務署は色々なところにありますが、自分が住んでいる地域の税務署にいってください。

国税庁のホームページに動画で説明してくれています。

5:所得税・確定申告のよくある質問



Q: アルバイトを2つ掛け持ちしていますがそれぞれの会社で年末調整をするのでしょうか?

A:給与が多い方で年末調整をし、その後少ないほうなどをあわせて確定申告をする。Wワークをしていると税金の計算方法が違うので、両方の会社にそのむねを伝えましょう。伝えずにいると、あとから税金を支払わなければならなくなる可能性があります。

Q:親の扶養にはいっています。何か気を付けることはありますか?

A:アルバイトで社会保険に加入すると扶養から外れますから、扶養者(親や家族)に「社会保険に加入したよ」と伝えておきましょう。目安としては、1ヶ月の給与が8万円を超えると扶養から外れる可能性があります。毎月いくらぐらい稼いでいるかをつたえておくとよいでしょう。

Q:扶養の範囲内で働きたいと考えていますが気を付けることはありますか?

A:毎月の給与額を確認し、103万円を超さないように会社の人と相談しながら予定を組んでください。週3日働く契約なのに、12月になってはじめて103万円を超えそうだとわかった場合に、「103万円を超えそうなので、忙しい12月に申し訳ないですが働けません」と言うのは、契約違反になります。扶養の範囲で働く人(学生もふくめ)は、扶養してくれている人ときちんと確認を取りましょう。

<取材協力>

星野陽子(ほしの・ようこ)

一安裕美(いちやす・ひろみ)
http://www.officesato.jp/

HRプラス社会保険労務士法人所属の社会保険労務士。東京都渋谷区恵比寿を拠点に、「HR(人事部)に安心、情報、改善という付加価値をプラスしていく」いうコンセプトのもと、全国の顧問先に対し人事労務に関するソリューション提案を行っている。企業が元気にならないと雇用は生まれない、賃上げはできないとの思いから「人事労務で疲弊する日本中の経営者・人事マンを元気にする!」をミッションに掲げ、人事労務担当者の立場に立った人事労務相談、就業規則や諸規程の整備、IPO支援、海外進出支援、社会保険事務のアウトソーシングなどを展開。品質と信頼を担保するために、担当するスタッフ全員が社会保険労務士有資格者。万全のセキュリティ体制でマイナンバー制度へも対応している。




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