ドーモプラスが気になるクリエイターを紹介する「クリエイティブなヒト」。第3回は流行を取り入れたヘアセット動画で人気のYouTuber「髪西(かみにし)」さんが登場。前編では、動画を投稿するようになったきっかけや、アイテムを紹介する上でのポリシーなどについてうかがいました!

全くの独学でした。



――まず、ヘアセットにこだわるようになったきっかけについてうかがいたいのですが、いつ頃どんなきっかけで髪をセットすることに凝り始めたんでしょうか?

ヘアセット自体は高校3年生くらいで始めました。それをネットにアップするようになったのは、友人がTwitterに自分のヘアセットを載せて、それを美容学生に評価してもらうっていうのをやってたんですよ。それを見ていて「これいいな、僕も評価してもらいたいな」と思って、Twitterに自分のヘアセットを載せるようになったんです。それが始まりだったんですけど、なぜだかいつの間にか僕のほうが評価する側になっちゃったっていう(笑)。

なので、もともとはTwitterに15秒くらいの動画でヘアセットを上げていて、それがきっかけでフォロワーさんが2万人くらいになったんですよ。その数には自分でも「え!? どうした!?」って思いましたけどね。そのうち、Twitterだけだと情報量が少ないということで「YouTubeでも詳しく教えてほしい」と言われて、YouTubeにヘアセットの仕方を動画で上げるようになりました。



――Twitterだと以前は投稿できる動画の長さがかなり短かったですしね。ヘアセットを投稿し始めた頃は、セットのテクニックはどこから得ていたんでしょうか?

全くの独学でした。美容師さんがヘアカタログを撮ってTwitterやインスタグラムにけっこう上げていて、それを見て「これはこう作るんだな」って自分の頭の中でシミュレーションしてましたね。「ワックスはこういうのを使って、アイロンでカールをかける時はこんなふうにカールをかけて」って全部頭の中で作り上げてから、実際に自分の頭でやってみて「うまくいかなかったから、次はこうしよう」っていうのを何度も繰り返して、今みたいな感じになりました。

――ヘアカタログを見ながら研究されたんですね。それはセットのハウツーが書いてあるようなものなんですか?

いや全く書いてなかったです。完成形だけがあって、途中の過程は全部シミュレーションです。



――それはすごいですね。現在投稿されているヘアセットのアイデアは、どのようなところから得ているんでしょうか?

今、男の子も女の子もナチュラル志向になってきていて、髪の毛にカールをかけて動きを出すというよりは、どちらかというとストレートで自然な感じにって流れになってるんです。

というのも、現在活躍されている美容師さんのTwitterやインスタグラムを全部フォローしていて、その方たちが出すヘアカタログであったり、最新の情報であったり、日頃お客さんにどんなヘアセットをしているのかっていうのを逐一チェックしていまして。そこから「今はこんなのが流行っているのかな」っていうのを考えたりしてますね。

――何となくの思いつきだったりではなく、相当な情報収集をした上でアイデアを練ってるんですね。

リサーチはしますね。実際に美容師さんともかなり会っていて、自分の髪の毛を切りに行くっていうのもあるんですけど、2週間に1回くらいはいろいろな美容室に行ってます。そこで実際に「今どんなのが流行ってるんですかね?」って美容師さんと話してみるのも、情報収集のうちに含まれるかなと思いますし。

――そういった美容師さんとの会話というのは、髪西さんにはもちろん現場のリアルな情報を得られるというメリットがあると思うんですけれども、美容室側にも何かメリットはあるんでしょうか?


僕の動画でときどき「ここ、いいな」って思った美容室を紹介させていただいてるんですよ。そうするとけっこう集客につながるみたいです。



僕が個人的に「いいな」って思うものをみんなに紹介したいです。



――なるほど、宣伝効果があるんですね。動画では美容室のほかにアイテム紹介もされていますが、動画内で使っている商品にはタイアップもあったりするんでしょうか?

いや、一切タイアップはやってないです。絶対にやりません。ワックスだけじゃなくて化粧水や乳液、洗顔料などもレビューしたいなと思っているんですけど、美容系のアイテムって健康に関係するものが多いので、そこにタイアップを入れてしまうとあんまりよくない。リスナーさんのためにはならないから。

――タイアップを受けてしまうと、髪西さんが発信するものに誰かちがう人の思惑が入ってくることになりますよね。

そうですね。やっぱり僕が個人的に「いいな」って思うものをみんなに紹介したいです。それなりに集めた情報があった上で判断してるので、「いいな」と思ったものはやっぱりいいんですよ。タイアップを打つ広告費があるのと、商品として優れていることには相関性はないので、隠れた“いいもの”を「これいいよ」ってみんなに教えてあげるのがいいんじゃないかなと僕は思ってます。



――“大々的に広告をしているからいい”というわけではないですもんね。

そうですね。それに(タイアップ契約という形で商品紹介をせずとも)結果的に何らかの形で僕に返ってくるものはあるので。別にタイアップのお金がほしいわけではないですし、だからそこは絶対にやらないですね。こだわりっていう感じで。

――その“返ってくる形”というのは、具体的にどんなものなんでしょうか?

やっぱりリスナーさん(=視聴者)の信用が一番大きいですね。僕はタイアップを一切やってないんで、信用はかなりされてるなって思います。僕個人的にも「僕の動画を見ればとりあえずいいものはある。いい美容室しか紹介してないから、ここに行けば絶対成功する」ってこだわりがやっぱりありますね。

――ヘアセットや美容系のアイテムについては、成分などの勉強もされていたりします?

全くしてないです。僕自身は分からないんですけど、専門家の人とつながりがあるので、その人が言っていることをちゃんと調べておくんです。その上で「これは大丈夫なのかな」と僕が思ったものを紹介する。だから「成分的にいいよ」とは一切言わないです。「僕は個人的にいいと思うよ」って伝えてますね。

――やはり自分で調べるというのは必須なんですね。ヘアセットだけでなく、洋服のリメイクやスキンケアのワンポイントテクなどの動画も投稿されていますが、そういった広い意味での“おしゃれを楽しむコツ”を配信しようと思ったのはなぜだったんでしょうか?


最初はヘアセットから入ったんですけど、それだけだと、どうしてもネタが尽きてきちゃう部分があって。それでいろいろやってみようと思って、DIYであったり、美容グッズの紹介だったりをやってみたんですけど、一周回ってヘアセットをやってもいいのかなと思って。だから今はヘアセットの動画に力を入れたいなと思ってます。



何と言うか、全部趣味なんです。



――では次の質問なのですが、髪西さんにとっての“YouTuber”という肩書きはどんなものなんでしょうか。趣味ですか? それとも仕事?

もともとは趣味ですね。でも、正直そこは僕もよく分からないです。

――先ほどネタが尽きそうな時があるとのことでしたが、例えば趣味ならば、ネタがなかったら自然と思いつくまで待てばいいのではと思うんです。意識的にネタを出そうとするあたり、趣味の域を出ているような気もするんですが。

僕も本当に分からないんですけど、多分、仕事と趣味の感覚がほかの人とちがってるんですよね。何と言うか、全部趣味なんです。学校も趣味っていうくくりだし、アルバイトも続けているんですけど、アルバイトも趣味としてやってるし。で、もちろんYouTubeも趣味という感覚でやってます。仕事っていう感覚はあんまりないのかなって感じですね。

――やりたいから続けるという感覚でしょうか?

やりたいから続けてます。あとはやっぱり、僕の動画を待ってる人がいるって考えると「出さなきゃ」って思っちゃう。

――それは確かに原動力になりますね。ではもう生活の一部みたいな認識に近いですか?

かなり近いですね。ほぼそんな感じです。



――そして長い尺の動画を投稿するためにYouTubeを使うようになったということでしたが、ほかにも動画を投稿できるサービスがある中で、YouTubeを選んだのはなぜですか?

もともとツイキャスとYouTubeで迷ったんですよ。でも、ツイキャスはライブ配信なので、その時しか楽しんでもらえないんですけど、YouTubeだと1回投稿しちゃえば何年先もずっと楽しめるなと思ってYouTubeを選びました。

――動画を投稿するには、動画編集や著作権関連などいろいろな知識が必要になるかと思うんですが、そういった部分はどうやって勉強されたんでしょうか?

全部独学ですね。1回1回動画を投稿するたびに「今回はこれを勉強しよう」って自分に課題を課していて。ひとつクリアしたら、また次の課題に進むんです。動画編集の技術といっても、ソフトが変わっちゃうと結局またゼロからやり直しになっちゃうんですよ。だから、とりあえず使うソフトを定めて、順々にゆっくり勉強していこうと。僕も現段階ではまだまだ動画編集がヘタだなと思っているので、これからもっともっと技術的に上げていかないといけないです。



――どなたかの方法を参考にしたりもしますか?

YouTuberさんを参考にすることはあんまりないですね。テイスト的にはPVなどの動画編集のほうが僕は好きなんで。あとは海外の、特にアメリカの映像編集技術ってかなり高くて、日本では全然考えられないくらいのスキルがあるんです。なのでそれを参考にしたり。

日本のYouTuberって、どっちかと言うとエンタメ要素が強いんですよ。僕はそっちよりもPVであったりとか、ちょっとアーティスティックでおしゃれな感じの動画のほうが好きなので、そちらの方向で動画編集の技術を高めてますね。

――動画編集のノウハウも、先ほどの髪型の作り方と同じように、見て、自分でやり方を考えることで、テクニックを盗んでいくんですか?

そうですね。見て分かるようになるまでにも、基礎知識は必要にはなるんですけど。それでも誰かに教えてもらうってことはほとんどないですね。教えてくれる人もなかなかいないので。



段階をどんどん上げてく成果をみんなに見てもらいたい



――そうなんですね。では、撮影する時に心がけていることは何かあったりしますか?

元気な時に撮影すること、ですかね(笑)。疲れてる時にヘアセットしても全然よく見えないし、話をしている動画も撮ることがあるんですけど、そっちも全然話がまとまってないし。「動画って、けっこう体力の状態が目に見えるもんなんだな」と思って。編集で何とかなるとは言っても、やっぱり元気がないと面白くないですし。そこだけ気をつけてはいますね。

――Twitterでも「ボツにした」ってツイートしてましたよね。

そう、それは元気ない時に撮った動画です(笑)。

――ちなみに、撮影はどなたかに手伝ってもらったりすることもあるんですか?

もう全部1人ですね。だから部屋に1人でカメラに向かいながら「こんにちは、髪西です」ってやってます。台本も作ったりしませんし、照明代わりのデスクライトで顔の辺りを照らしながら「えっと、今日は……えーと」みたいにしゃべってて。それを後から編集で上手くつなぐ感じです。

――動画を見ている時はどうやって撮影しているかという部分までは考えないですけど、想像してみると実はちょっとシュールなんですね(笑)。投稿されている動画を拝見したんですが『キモ男がヘアセットをしたら』が特に面白かったです。“キモ男”とイジメっ子的な役の2パターンの格好をされてますけど、あのメイキングはどうなってるんでしょうか?

あれも全部1人でやっていて、片方の格好でのシーンを全部撮ってから、もう片方に着替えてまた撮影しました。男女のパターンの動画(『ヘアセットで年上女性を落とすキモ男』)もあるんですけど、それも男バージョンを全部撮っておいて、カツラかぶって、女バージョンを全部撮ってっていう段取りですね(笑)。それを編集で組み合わせてます。



――衣装替えがあるとより大変そうですね。ネタをわりと頑張って探しているとのことでしたが、具体的にはどんな視点で探すんですか?

毎日見ているもので「これ、いいな」ってものがあったら、すぐ動画にしちゃおうって考えていて。ヘアカタログを見ていても、いいなと思うものがあったら、すぐマネして、すぐ動画にしてます。

だから僕はあんまり動画のストックがないんですよ。ほかのYouTuberさんって、何本か動画をストックしておいて「これはまだアップしないから、今日はこれを代わりに上げよう」って具合にやってるんですけど、僕はすぐ編集してその日のうちにアップしてしまうので、ストックにならないんです。

というのも、僕の場合は1週間とか時間をおいてしまうと、自分で自分の動画を見ていても「クソつまんねぇな」って思っちゃう癖があって。だから、撮ってすぐにバーンと出しちゃおうと。

――髪西さんの場合はねかせるとよくないんですね。

僕はダメですね。ねかせてるうちに、また新しいことを勉強しちゃってて「これダメだな」と思ってしまうので。やっぱり、段階をどんどん上げてく成果をみんなに見てもらいたいと思いますし。



動画のメイキングなど裏話も聞かせてくださった髪西さん。「視聴者にすすめるのは、自分の目で選んだ“いいもの”を」というこだわりからは、誠実な人柄がうかがえました。後編ではYouTuberを取り巻く環境や、今後の展望について、ディープなお話をしていただいていますのでお楽しみに!

取材・文:古原孝子
Photo:くさかべまき

【プロフィール】
髪西(かみにし)
へアセットなど美容系のyoutube動画配信を開始、現在チャンネル登録者数14万人にのぼる。その他サロンモデル、脚本執筆など幅広く活動を行いながら大学生として教職課程も履修中。


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ヘアセット動画で人気のYouTuber・髪西が見すえる未来(後編)【クリエイティブなヒト vol.03】
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