アルバイトでも一定条件を満たせば「社会保険」に加入することになります。
「社会保険に加入してくれるバイト先を探している」という人のみならず、「社会保険に入りたくない」という人にとっても重要なポイントです。
社会保険の制度は複雑ですが、一生必要な知識ですので簡単に理解しておくと良いでしょう。
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「社会保険」とは
求人情報などで「各種保険完備」とあれば、多くの場合、以下のような内容を指しています。
詳しく説明をすると複雑な仕組みですが、ここではごく簡単に概要を解説します。まずは下記のような大枠を理解しておくとよいでしょう。
・健康保険
健康保険は大きく分けて、会社に雇われていない人が入る「国民健康保険」と、バイトや会社員が入る「協会けんぽ(または健康保険組合)」の2種類あります。医療費が3割負担になるのは、これらの「健康保険」に入っているからです。
親などの扶養になっている場合は、個別に保険料を支払う必要はありません。
ただし、「扶養の範囲」を超えると自分で保険料を支払い加入する必要が出てきます。
・厚生年金
厚生年金とは、老後や死亡時、障害を負った時のための保障です。
社会保険に入っていない人は、厚生年金ではなく「国民年金」に入ります。
国民年金保険料は全員一律であるのに対し、厚生年金は収入に応じて額が異なります。
厚生年金の場合、保険料は会社が半分、本人が半分を負担します。
・雇用保険
雇用保険とは、労働者が安心して働けるよう、失業時の保障や就職活動時の補助、就業時のキャリアアップ支援などに充てられる保険です。
バイト先が保険料を払いますが、労働者側も保険料の一部を負担します。
・労災保険
労災保険は、就業時のケガや病気を補償する保険で、保険料は全額会社負担です。
通勤時のケガも給付の対象となります。
例えば通勤時に交通事故に遭った場合は、健康保険ではなく労災でまかなわれ、病院での医療費を本人が負担する必要がなくなります。
雇用保険・労災については別の記事で詳しく解説しています。
知らないと損をすることも多いので、ぜひ一度目を通してみて下さい。
<こちらも合わせてチェック>
アルバイトの「労働保険」について。通勤途中のケガは医療費が無料!【専門家が解説】
アルバイトが社会保険に入るための加入条件
以下条件すべてに当てはまれば、アルバイト・パートでも「社会保険」に加入させる義務が会社にあります。
・従業員数が100人以下の会社
・2022年10月以降、従業員数が101人以上の企業に「社会保険に加入させる義務」として下記条件が適用されています。
2024年からは従業員数が51名以上の企業に範囲が拡大される予定です。
出典:政府広報オンラインより
社会保険に入りたくなくても条件を満たせば必ず加入が必要
「社会保険料を払いたくありません。加入したくないと会社に伝えればよいですか?」という方がいますが、前述の条件を満たす場合は必ず入らなければならず、個人の意思でぬけることはできません。
・どうしても社会保険に入りたくない人
社会保険料の控除で手取り額を減らしたくないなど、何らかの理由で社会保険に加入したくないという人は、2か月未満の超短期バイトを転々とするか、働く日数を社員の4分の3未満におさえたり(社員数が100人以下の会社)、給与額を月88000円未満(社員数が101人以上の会社)になるよう調整したりしながら働くようにします。
・社会保険に入るメリット
社会保険は「給与から保険料が引かれる」というデメリットばかりではありません。社会保険はその名の通り「保険」ですから、いざという時に助かることもよくあります。
例えば雇用保険に加入していれば、失業した時に「失業保険」を受給することができますし、「厚生年金」の保険料を払っていると、老後にもらえる「年金」が増えます。
アルバイトでも安心して働きたいという人は、社会保険に加入できるとよいでしょう。
自分が職場で保険に入っているかどうかを確認する方法
アルバイトの場合、自分が社会保険に入っているかどうかがわからない、という人もいるでしょう。
一番簡単に確認できるのは、給与明細の「健康保険」や「雇用保険」などに数字が入っているかどうかを見るという方法です。
保険料が引かれていれば、職場の社会保険にはいっているということになります。もし家族の扶養に入っている場合は、「職場で保険に入っているので、扶養から外してもいいみたい」と家族に伝えてみて下さい。扶養から外れたくない場合は、働き方を見直しましょう。
「年収の壁・支援強化パッケージ」とは
2023年10月より、政府による「年収の壁・支援強化パッケージ」がスタートしました。
ニュースなどで耳にしたことがある方もいるでしょう。
「年収106万円、年収130万円を超えて働き、社会保険料を払うことになったら、手取りが減ってしまった!」といういわゆる「年収の壁」問題への対策です。
今回の支援内容は、簡単に言うと、パートやアルバイトで働く人が「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりを支援するものです。
負担増に抵抗を感じ、就業時間を調整して扶養の範囲で働くケースがありますが、これは人手不足の企業にとっての問題でもあるのです。
詳しくは、厚生労働省のページをご覧ください。
年収の壁・支援強化パッケージ【厚生労働省】社会保険に関するよくある質問
社会保険の仕組みは複雑ですので、色々な疑問があるでしょう。代表的な質問を以下にご紹介します。
Q1.:社会保険完備と聞いていたのですが、初月給与から保険料がひかれていません。
A1.: 保険料の徴収は次月ですので、2ヶ月目の給与からひかれるはずです。もしひかれていなければ会社に確認して下さい。
Q2.: アルバイトを経て正社員になりました。アルバイトの期間も加入資格を満たしていたのに社会保険に入れてもらえませんでした。あとから加入することはできますか? またその場合、会社負担分は会社に請求できるのでしょうか?
A2.: 2年の時効がありますが、さかのぼって加入することはできますし、会社に負担をしてもらうことも可能です。ただしその場合は厚生年金と健康保険の自己負担分を納付する必要があります。
Q3.: アルバイトを無断で欠勤し、そのままバイトに行かなくなりました。何か手続きすべきことはありますか?
A3.: もし給与が未払いであれば請求をしましょう。年金手帳を預けているなら必ず返却してもらってください。会社で健康保険に入っていれば、保険証を返却する必要があります。無断欠勤だと会社の規程によっては「解雇」という扱いになってしまうかもしれないので、手紙などで「退職をしたい」という旨を伝えましょう。そのときに保険証や借りていた制服などを一緒に返すと良いでしょう。
Q4.: 2箇所でアルバイトをしています。どちらからも社会保険がひかれるのでしょうか?
A4.: 2箇所のアルバイトが両方とも社会保険に加入する程度に労働時間があれば、2つの会社で同時に社会保険に加入します。雇用保険は1つの会社だけしか加入できません。2箇所で働いている場合、給与額が多い会社の方で雇用保険に加入しますので、給与が少ない会社には「もう一つの会社で加入しています」と伝えてください。
まとめ
「国民健康保険」に入っていた人がアルバイト先で「健康保険」に加入する場合には、役所で「国民健康保険」脱退の手続きが必要です。
放っておくと、国民健康保険も健康保険もお金を払い続けることになりますので、必ず手続きをして下さい。
2017年10月5日公開/2023年4月27日更新
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