ドーモプラスがブレイク期待のアーティストを定期的に紹介! 今回は6月28日発売のシングル『チェリー』でメジャーデビューした“グッバイフジヤマ”のインタビューをお届け!前編では、バンド結成の経緯からメジャーデビューシングル「チェリー」のエピソードまでさまざまなお話をうかがいました。

日常を捨てて飛び込んだバンドの世界。一度きりの人生、後悔しないために



――まず、グッバイフジヤマ結成のきっかけについて教えてください。

中山:僕が社会人になってから2か月くらいたった時に、ベースの健介と最初のドラムだった冬木と3人で呑むことになったんです。その時にノリでバンドをやることになって、スタジオに入って遊んでたんですよね。

その年の夏、僕がフジファブリックにハマったんですけど、そしたら志村さんの死が他人事じゃないような気がしてきちゃって。人生やりたいことをやらなきゃダメだなと思って、次の日には会社をやめてバンドを始めました(笑)。

実は結成当初はメンバー募集で入った、キーボード・ボーカルの女の子がいたんです。本当は彼女と僕でツインボーカルをする予定だったんですけど、その子がライブの1か月前くらいに「ボーカルができない」と言い出して(笑)。それで、僕がボーカルをやることになったんです。

中澤:こいつ、会社を辞めただけじゃなくて長くつきあってた彼女とも別れたんですよ(笑)。

中山:そうなんですよ! 当時、結婚も考えていた半同棲の彼女がいたんですけど、会社を辞めた次の日に振りました。バンドを始めると彼女を幸せにできないような気がして、別れなきゃ!って。家も捨てましたしね(笑)。

最初のライブで対バンした人の中に、いい感じの人がいたら居候させてもらうって決心してたんです。そしたら、すごい気が合う人に出会ったので、ギターと服だけ持って転がりこみました。一般的な会社員の生活をしていたので、それくらいしないと何も変えられない気がしてたんですよね。



――他のメンバーの方は、どのような経緯でグッバイフジヤマとして活動をすることになったんですか?

中澤:ちょうど大学を卒業する頃に中山に誘われて、何も決まってなかったから「じゃぁ、やろうかな」って(笑)。僕は浪人して学年が1つ下だったのでタイミングがよかったのと、メンバーの仲がとてもよかったから上手くいくような気がしたんですよね。

中山:ルー(小島)は元ドラマーの冬木に誘われて入ったんだよね。

小島:そうそう!冬木と専門学校の同級生だったんですよ。彼に「グッバイフジヤマのサポートしてよ」って頼まれて、「いいよ」って言ったらメンバーになってた(笑)。最初の頃は健介が僕と話してくれなくて不安だったけど、年が近いからどうにかなるかなって(笑)。

中山:近いっていうか同い年だからね(笑)。

一同:爆笑



小島:僕がメンバーに馴染んできた頃に、ドラムとキーボードが抜けることになったんだよね。

中山:ちょっとメンバー内で、問題が発生しまして(笑)。それで、星美(高原)に声がかかった感じです。

高原:僕は違うバンドにいたんですけど対バンしてたのもあって、プライベートでお酒を呑みにいくくらいグッバイフジヤマと仲が良かったんです。年も近かったし?

中山:同い年だわ(笑)。

高原:グッバイフジヤマからドラムが抜けるって聞いた時に、彼らがワンマンを控えてるのも知ってて。心配だったので「とりあえずワンマンだけでもサポートしようか?」って中山にラインしました。

中山:速攻頼みましたね。以前にサポートしてもらったこともあったし、何も決まってなかったから(笑)。それで、最初にこの4人が揃ったのが2013年ですね。

――それ以降は、このメンバーで続けてこられてるんですね!

中山:ほとんどそうですね。2014年は鍵盤のサポートメンバーもいたんですけど、2015年からこのメンバーになりました。



どこか鬱屈したグッバイフジヤマの世界。彼らを形成した音楽とは



――みなさんの音楽のルーツは何になりますか?


中山:そうですね。僕の音楽のルーツは、銀杏BOYZとかandymori。でも、メンバーの音楽の趣味はバラバラですね。

高原:本当に。メンバー内で銀杏BOYZを好きなのって、僕と中山くらいだし(笑)。僕はGOING STEDYも好きだったけど。

小島:僕は洋楽ロックかサザンオールスターズ。親父が横浜の出身なので、車の中でずっとサザンが流れてたんですよね。小さい頃から聴いてたからか、日本のアーティストで1番好きです。

中山:ルーは、邦楽を全く聴かないよね。この前、チャットモンチーの“ハナノユメ”がスタジオで流れた時も誰だかわからなかったくらい。

小島:“シャングリラ”くらいはわかるよ(笑)。でも日本の音楽を聴き始めたのは、本当にバンド始めてからが多いかも。

中山:ルーは青春パンクも好きだよね。



――3B LAB.☆S とかですか?

中山:懐かしい! 僕19好きだったので、一時期めちゃくちゃ3B LAB.☆S好きだったんですよ。

高原:音楽をちょっと好きな人が聴いてるような青春パンクをルー以外の3人は高校の時にリアルタイムで聴いてたけど、彼はそういう道を通ってこなかったから、すごく新しく映るみたいです(笑)。

小島:ずっとハードロックばっかりやってたから、全然そういう界隈を知らなくて。SEX MACHINEGUNSと対バンした時とか、超かっこよくてめっちゃ興奮したもん!! メンバーが10代の時に感銘を受けた音楽に、20代に入ってから影響されてますね。



中山:健介のルーツはthe band apartとかだよね?

中澤:そうだね。ベースがバキバキしてるバンドが好きなんです。あと元々マイノリティを好む人間なので、音楽に関しても誰も知らないようなのがよくて(笑)。だから地元の山梨で流行ってなかった、GOING STEADYやthe band apart、FRONTIER BACKYARDにハマった感じです。

中山:大学で久しぶりに再会したら、「コイツすげぇサブカル! 超典型的大学生!」って感じになってました(笑)。 bonobosとかも聴いてたし、「超フジロック」だった。

中澤:フジロックは行ったことないけどね(笑)。R&Bみたいな洒落た音楽が好きでした。

中山:星美はTHE BEATLESだよね。

高原:そうね。「好きなバンド何」って聞かれたら、とりあえずTHE BEATLESって答えるかな。あとはEMINEMとか。でも他のメンバーみたいに、このジャンルが好きっていうのはないかな。

中山:星美はメンバーの中で1番、音楽の趣味が広いよね。音楽に対する偏見がない。

高原:確かに。これもいいじゃん、あれもいいじゃんってタイプかも。好きなバンドとして名前をあげるのはTHE BEATLESだけど、銀杏BOYZも好きだしGOING STEADYも好き。あとは、マキシマム ザ ホルモンもめっちゃ好き!最終的には歌ものばかりに落ち着いたんですけど、重たい音楽もそういう音楽として好きなんです。



音楽をつかさどっているのはグレーが存在しない中山の潜在意識



――グッバイフジヤマは、どのように曲作りをされているんですか?

中山:僕が曲を書いて、3人がアレンジしてる感じですね。ちょっと恥ずかしいんですけど、曲が降ってくるタイプなんですよ。

高原:夢でできた曲もあるもんね。

中山:“ですとらくしょん!”が、まさしくそれ。夢でできたから朝起きた瞬間、速攻ボイスメモで録りました。

中澤:普段、僕は曲作りしないんですけど、1回だけ夢で曲ができたことがあって。めっちゃいいメロディーだと思ってボイスメモに録ったら、ポルノグラフィティの曲でした(笑)。

一同:爆笑

中山:でも曲を作ってるとそういうことあるよ。それで没にすることあるもん。



――先ほど「曲は降ってくる」とお話されてましたが、歌詞もセットで降ってくるんですか?

中山:そういう感じです。好きなことに対する集中力がすごいタイプなので「こういう音楽を作りたいな」って考えてると、あるときパッと頭の中に沸いてくるんです。そこから曲ができるまでは、自分の中に閉じこもってグッと集中する。それで曲ができてる感じなので、作る過程ってあんまり覚えてなくて。たまに「この曲、本当に俺が作ったのかなぁ」って言ったりするくらい(笑)。

――意識的に生み出してるわけじゃないからこそ、中山さんの潜在意識が曲に反映されやすいっていうのはありそうですね。

中山:たしかに。僕、すっごく極端らしいんですよね(笑)。YESかNO、白か黒かしかない。僕にとって普通のことなんですけど、間の意見が全くないんですよ。だから僕の色が反映されやすいっていうのは、あるかもしれませんね。白だったら白! 黒だったら黒! みたいな。バンドを始めるって決めて、会社をやめちゃうくらいですから(笑)。



ファンの人に改めて気づかされた名曲“チェリー”の魅力



――グッバイフジヤマは中山さんのカラーが特徴の1つだと思うのですが、それにも関わらずスピッツの“チェリー”をメジャーデビューのリード曲にしたのは何故でしょうか?

中山:僕の独断と偏見ですね(笑)。

高原:もともと“チェリー”自体は、中山が弾き語りでカバーしてたんです。その弾き語りの東名阪ツアーがあったんですけど、ちょうどその時に彼が失恋しちゃって(笑)。ライブの時に“チェリー”をお客さんに歌わせて、慰められた経験が大きかったらしいんです。

中山:ツアーから帰ってきてすぐ「バンドでチェリーのカバーしようぜ」ってメンバーに提案しました(笑)。

高原:しばらくは、お客さんに歌わせることを目的としてライブのSEで使ってたんです。それがいざメジャーデビューするってなった時に“チェリー”をスタッフに提案したら、意外とすんなりOKがでてしまって(笑)。通っただけでもびっくりなのに、プロデューサーがスピッツのディレクターをしていた竹内さんになったりして、本当に<想像した以上に騒がしい未来>が僕らを待ってましたね。



――「メジャーデビューするならチェリーのカバーがいい」という拘りもあったんですか?

中山:そういう拘りはなかったですね。「次のリリースは“チェリー”がいいなぁ」と考えていたら、たまたまメジャーデビューのタイミングだっただけで。「たくさん曲があるのに、なんでわざわざ“チェリー”のカバーなの?」っていう声はありましたけどね(笑)。

高原:バンドだとカバー曲でメジャーデビューする人って、あんまりいないと思うんですけど「別によくない?」って思ってます。ソロシンガーとかだと珍しいことではないし、僕の大好きなTHE BEATLESも初期はほとんどカバーでしたしね!

中山:「“チェリー”歌いたいから、歌わせてくれ!」って感じです(笑)。本当にいい曲すぎて、自分で書いた曲よりも歌っててグッとくるもん。

――アレンジの拘りはなんでしょうか?

小島:いざアレンジするってなった時に、原曲が完成されすぎてて色々と試行錯誤したんです。完璧すぎて本気でどうしようと……。

高原:いろいろ試したあげく原曲通りでやってみたけど敵うわけもなく、だったら1番グッバイフジヤマっぽい曲にしようと思って。それで、カントリー調の軽快で爽やかな雰囲気にしたら上手くいったんです。そこからはスムーズだったけど、そこまでは本当に大変でしたね。

中山:正解が見えなかった。迷走しすぎて「最初から最後までアカペラでいくか」っていう案も出たくらい。バンドの意味って感じですよね(笑)。



バンド結成の経緯から、6月28日にリリースされたメジャーデビューシングル「チェリー」のエピソードまでさまざまな話をしてくれたグッバイフジヤマの皆さん。メンバーの仲の良さが伝わってくるインタビューでした。後編では、ミニアルバム「チェリッシュ!」の話やメンバーそれぞれのアルバイト経験について語っていただいているので、お楽しみに!

取材・文:坂井彩花
Photo:れい。

【プロフィール】

グッバイフジヤマ
I WANNA KILL YOUR BOREDOM MUSIC!!!
2012年夏、東京都にてグッバイフジヤマとして活動開始。2014年に今の4人編成になる。全国のライブサーキットやフェスに出演しながら全国区に活動を広げる。
2014年「RO69JACK2014」に入賞、サマソニのオーディションでは寺岡呼人賞を勝ち取り「サマーソニック2014」に出演。その間出演したサーキットイベントでは入場規制も続出、ワンマンライブもソールドアウトとなる。
さらに2015年にはRISING SUN ROCK FESTIVALにも「RISING★STAR」に選出されて出演、9月にはLadder Recordsよりミニアルバム「スイートセブンティーン」をリリースする。
2017年6月、インペリアルレコードよりメジャーデビュー。
リスナー & 音楽業界関係者にも好評価を受けながら、バンドは日々精進中。

【LIVE】
メジャー1stシングル「チェリー」レコ発ツアー『ウィー・アー・(ノット)・チェリーボーイズ!』

8/17(木)大阪心斎橋Pangea
w/ドラマチックアラスカ、ナードマグネット
18:30/19:00 ¥2500+1d

8/18(金)名古屋新栄CLUB ROCK’N ROLL
w/ドラマチックアラスカ、みそっかす
18:30/19:00 ¥2500+1d

8/21(月)下北沢SHELTER
w/ザ・チャレンジ
19:00/19:30 ¥2500+1d

8/22(火)下北沢SHELTER
w/SAKANAMON
19:00/19:30 ¥2500+1d


「グッバイフジヤマ」公式ホームページ



【リリース情報】

6/28発売
メジャー1stシングル「チェリー」
※期間限定盤は5曲入りミニアルバム「チェリッシュ!」付きの2枚組!



【MV】「チェリー」


【MV】「チェリッシュ!」


「グッバイフジヤマ」インタビュー 日常を捨て掴んだメジャーデビュー。後悔しない人生を送るために必要なこと。【後編】
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