ドーモプラスがブレイク期待のアーティストを定期的に紹介!今回は2016年に“未確認フェスティバル”グランプリや“MASH A&R”グランプリなど、数々の賞を総なめにした“YAJICO GIRL”のインタビューをお届け! 学業とバンドを両立させる大学生でありながら、自分たちの力で夢を掴みとりに行く彼らに迫りました。

お互いがどんな人間とか性格とか全く知らなかった(吉見)



――まず、バンドを結成した経緯を教えてください。

吉見:僕たち、みんな高校が一緒だったんですけど、そこの軽音楽部で出会ったメンバーなんです。“邦ロック”みたいな大枠の意味で、音楽の趣味があうっていうのが理由で組んだバンドなんですよね。だから結成当初は、お互いがどんな人間とか性格とか全く知らなかった(笑)。 高校時代は、コピーバンドをしてました。

――どんなバンドのコピーをしていたんですか?


榎本:このバンドていうのはなくて。

四方:ほんまに色々やったよなぁ……。もちろんASIAN KUNG-FU GENERATIONとかBUMP OF CHICKENみたいな、邦ロックど真ん中なバンドもやりましたよ。

吉見:あとはRage Against the Machineとか10-FEETとか。結構ふり幅がありましたね。

榎本:大迷走やったからなぁ(笑)。

吉見:大迷走やったんかなぁ……(笑)。 LINKIN PARKもやったな。

榎本:他やと、NUMBER GIRLとかThe SALOVERSとか?

吉見:このバンドというよりも、やりたい曲をやっていたイメージですね。

――YAJICO GIRLは2012年結成、2015年活動開始というのをネットで拝見しました。そのように表記されているのは、その間にメンバーチェンジなど何かバンドとしての動きがあったのですか?

榎本:メンバーはノーチェンジです。

武志:高校卒業をきっかけにコピーバンドからオリジナルバンドにシフトしたんですよ。

吉見:そのタイミングで、バンド名を変えたって感じですね。

――ちなみにバンド名には、どんな由来があるんですか?


武志:好きな女の子の名前の頭文字をとって、ガールをくっつけました(笑)。

榎本:はずかしいな(笑)。

吉見:後付けでいいから、バンド名の由来変えたい(笑)。

武志:NUMBER GIRLに影響を受けましたって(笑)。

榎本:それは別に嘘ではないもんな。

武志:YAJICO GIRLのGIRLは、NUMBER GIRLのGIRLです!



ほんまに色々聴くんで、どれっていうのはないんですけど(四方)



――以前のインタビューで、みなさん聴く音楽がバラバラだと拝見したのですが、それぞれどのような音楽を聴かれるのですか?

吉見:高校生の時は、昔の洋楽とかブルースとか。あとは有名なギタリストが弾いている曲を、ひたすら聴いてましたね。今はハナレグミとかYogee New Wavesとかを聴きます。実質解散しちゃいましたけど、The SALOVERSとかも好きですね。

四方:僕は昔っからASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きで、そういう邦ロック系が以前は多かったかな。でも最近は、ヒップホップとか海外のブラックミュージックとかをよく聴きます。ほんまに色々聴くんで、どれっていうのはないんですけど。自分の核となってる、ルーツってなるとASIAN KUNG-FU GENERATIONやと思います。

――榎本さんはどうですか?

榎本:実は僕、BUMP OF CHICKENに憧れてギターを始めたんですよ。高校の時からずっとBUMP OF CHICKENが好きだったんですけど、前からWEEZERがめっちゃ好きになって今もずっと好きです。でも、音楽をめっちゃ聴くわけじゃないですね。

――武志さんはどうですか。

武志:洋楽やったら PIXIESがめっちゃ好きで、邦楽やとフジファブリックが好きですね。

古谷:僕はGalileo Galileiって言うようにしてます。



他者からレッテルを貼られて、自分らがそれに酔っていくのも嫌やし(四方)



――数々の賞を受賞したりする中で、周りに「YAJICO GIRLって、こういうバンドだよね」というような批評を受ける機会が多かったかと思うのですが、自分たち自身からみたYAJICO GIRLってどういうバンドですか?

四方:“文学的な歌詞”って、よく言われるんですよね。でも“文学的な歌詞”って、どのバンドにも使われがちやなって思ってて。僕そんなに文学読まんし、絶対に文学的ではないと思うんですよ。文学を知らんから(笑)。

――周りからいわれる“YAJICO GIRL像”と自分たちが思っている“YAJICO GIRL像”は差がありますか?

吉見:あー……、ある。僕は、ある。

四方:僕たち自身がバンドとしてまだ固まってもないのに、一言で枠にくくられてしまったら困る。決めつけられたら。他者からレッテルを貼られて、自分らがそれに寄っていくのも嫌やし。

吉見:最近だと「いえろう」の印象が強いらしくて、“「いえろう」みたいなポップなバンド”って言われるんですよね。もちろんポップな一面もあるとは思うんですけど、全然それだけじゃなくってほんまに模索中というか。

――YAJICO GIRLは「いえろう」の印象で聴きこんでいくと、イメージが変わっていくバンドですよね。以前はDIY系と自称されていたようですが、それは今も継続されているんですか?

吉見:最近それは不足してますわ…。人がおらんかったから、やってただけやもんな。

榎本:お金もないし、貧乏系バンド(笑)。

吉見:貧乏系バンドゆえのDIY。安くするために自分らで作りだしていたんですけど、最近はありがたいことに助けてくれる人がたくさんいるので。お金は今もないけど、結成当初よりちょっとDIY要素は減ってるよな。

榎本:減ってるな。

吉見:最近、制作してないのもあるかもしれないですね。MVとかCDジャケットとかを作ってないのもあるので、それでちょっとDIY要素が減ってるかな。

――「いえろう」のMVのクオリティが高くて、自主制作という事実に驚きました。YAJICO GIRLは、アートワークにもこだわりが強いバンドですよね。

吉見:アートワークは、古谷に一任してますね。

古谷:中学の時にサカナクションとかandropとか音楽とその周辺のアートワークに凝ってるバンドに憧れてて、バンドやるとしたらそういうのやってみたいなぁって。



譲れない核みたいな部分は持ちつつも、間口は広くしたいな(武志)



――作詞作曲へのこだわりは、何がありますか。

四方:自分が好きじゃないと嫌っていう……。

吉見:それ普通や(笑)。

四方:けっこう凝った音楽を目指してはいるんですけど、それがうちを向いて突き詰めすぎると、一人よがりになっちゃうと思うんですよね。

武志:内向きすぎると誰も聴いてくれないようになっちゃうんで。そういう譲れない核みたいな部分は持ちつつも、間口は広くしたいなっていう。

吉見:ええ塩梅ってことやんな。

四方:それですね。

――曲作りは、どのようにされているんですか?

四方:僕がギターのコードと歌のメロディーを作って、それにガレージバンドで他の楽器を足したものをメンバーに持っていって形にするって感じですかね。弾き語りの状態で曲を持っていって、メンバーにアレンジしてもらう場合もあります。

吉見:四方が考えてきたリフをコピーするだけの時もあれば、バンドでセッションしつつ曲の展開を考えることもあったり。ほんまに曲によって色々。

――歌詞はどのようなところからインスピレーションを受けているんですか?

四方:自分が日常で感じていることや、映画に影響されてですかね。色んな作品を見ていると、自分と重なることがあって。そういうところから、歌詞のテーマが決まったりします。
僕、弾き語りの時は適当に歌うんですよ。歌いながら言葉選びをする中で、口が気持ちいい言葉が突然でてくることがあって。その瞬間に頑張って広げますね。その言葉を納得させるために、他の言葉を置いていって成り立たせることが多いかもしれないです。

――歌詞はパッと思いつくタイプですか?熟考するタイプですか?

榎本:曲によるな。

四方:僕は楽曲によって歌詞の重要度って違うと思っていて、そこまで歌詞に意味を求めんでもいいなっていう曲や、歌詞がバラついててもそれが味になったりする曲もあると思うんですよね。だから、歌詞の作り方も結構バラバラです。最近だとパッと思いついた言葉を付箋にガーッて書いて、それを繋ぎ合わせて書いたりしてて。

榎本:そんなことしてたん?(笑)。プロや!

四方:普通に机にはってやってるよ(笑)。

――今後「こんな曲にチャレンジしてみたい」といったものは、何かありますか?

四方:今までギター2本、ドラム、ベースって限られてたんで、ちょっと音色とか増やしてみたいなっていうのが漠然とありますね。鍵盤とかあると、もうちょっといろいろアレンジできるかなって。



バンド名の意外な由来から曲作りへのこだわりまで、様々な話をしてくれたYAJICO GIRLの皆さん。メンバーそれぞれの個性が見えたインタビューでした。後編では、アルバイト経験やバンド・学校との両立についてのお話をお届けしますのでお楽しみに!

取材・文:坂井彩花
Photo:伊藤由岐

【プロフィール】
YAJICO GIRL

四方颯人/vo、榎本陸/gt、武志總真/ba、吉見和起/gt、古谷駿/dr
大阪を中心に活動する5人組ロックバンド。2016年は十代白書、未確認フェスティバル、出れんの!?サマソニ、eo MUSIC TRY 2016、MASH FIGHT! 2016などのさまざまなオーディションイベントにて結果を残した。みんな、ヤジヤジしようぜ!

【リリース情報】
現在製作中


【MV】「いえろう」


「YAJICO GIRL」インタビュー“いい音楽”を求め叫び続ける想い。掴んだ夢のその先へ。【後編】
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