今年は、桜の開花が遅かったようですが、春の訪れを告げるのは桜だけではありません。毎年、静岡の春は、4月1日から5日まで、静岡浅間神社の春の例大祭、廿日会祭(はつかえさい)が開催されています。

今年も、廿日会祭に協賛した大道芸人が、地元静岡のみならず日本全国から集まり、「廿日会祭大道芸」と銘打って、浅間通り商店街を大いに賑やかしました。

今回は、「廿日会祭大道芸」誕生のきっかけや魅力についてご紹介します。

「廿日会祭大道芸 芝居小屋シアター」が誕生したきっかけ



赤鳥居をくぐった先、浅間神社までの一本道の両側に、さまざまな店が軒を連ねる、浅間通り商店街があります。

その商店街を盛り上げるために発足した「みちバタまちナカ演芸団」。
その中心人物が、この「廿日会祭大道芸」の興行主。静岡を代表する大道芸人、あまる氏です。

もともとは浅間通り商店街の、とある店主さんから「廿日会祭の時に、浅間通り商店街を盛り上げて欲しい」と相談があり、歩行者天国の道路で日中に大道芸で賑やかしていたのですが、今から6年前の2012年、「せっかくの廿日会祭の時に商店街のシャッターが下りている店舗があるのはもったいない。空きテナントを活かして何かやろう!」と、あまる氏に話が持ち込まれたのが始まりでした。

改装のため店を閉めていた呉服屋「おりへい」さんの店舗を、あまる氏と静岡の大道芸人たちが結集し、自らの手仕事で改装、あまる氏に賛同した静岡の造形作家、たたらなおき氏が絵を描き、浅間通り商店街有志の方々の応援を受け、日中だけでなく夜も大道芸を楽しめる、廿日会祭限定「大道芸の館 芝居小屋シアター」を作り上げたのです。

静岡は大道芸の街。秋の名物が「大道芸ワールドカップ」なら、この「廿日会祭大道芸」が、新たに静岡の春の名物になった年だと言えるでしょう。

夜の芝居小屋シアターは、個性派ぞろいの芸人による競演




今年の芝居小屋シアター会場は、毎日場所が違って、初日は浅間神社の境内にある道場、「篤誠館」で。二日目は、境内にある「特設ステージ」。三日目は、浅間通り商店街のフジワカ電化さん隣の倉庫を大道芸人自らが改装した、「大道芸の館」。四日目、五日目は、浅間通り商店街から少し離れた七間町にある劇場バー、「七間町このみる劇場」で開かれました。


昼間に浅間通りで大道芸を観たお客さんや学生、仕事を終えて駆けつける大道芸ファンも、「座・芝居小屋シアタープログラム」を手に、夜の芝居小屋シアターを訪れます。
日中は、歩行者天国の道路で大道芸を披露している芸人が、夜になると、また違う顔を見せるのが、この芝居小屋シアターです。

雨や風の影響も受けず、室内という密閉された空間の中で、演者と観客が一体となって作り上げる世界は、魅惑のエンターテインメントショー。


ジャグリングやマジック、バルーンショー。時代劇や、コント仕掛けのパントマイム、怪談朗読。
大道芸ならではの「客いじり」で、お客さんを巻き込んだバラエティショーなど、あっという間の2時間で、終始、笑いの絶えないものとなりました。


特に、七間町の劇場バー、七間町このみる劇場で行なわれた芝居小屋シアターは、バーでお酒を飲みながら観られるとあって、立ち見も出るほどの大盛況でした。


同じ時間を共有する幸せ



大道芸を観る醍醐味は、演者と観客が同じ空間の中で、笑いと時間を共有することにあると思います。「今、この瞬間」は、今だけのもの。毎日毎回観たとしても、決して同じ空気感は生まれないからです。

「大道芸ワールドカップ」は知っていても、「廿日会祭大道芸」は知らなかった静岡人も多いのではないでしょうか。次回「Part.2」では、廿日会祭大道芸の、ちょっと変わった企画をご紹介します。

<ライター>

猫たぬき
時に、舞台の脚本を書くシナリオライター。趣味、主婦業。静岡に住み始めて十年以上経つのに未だ関西弁が抜けない生粋の関西人。いつまでも新鮮な目で静岡を見つめ、楽しくおもしろい記事を綴っていきたいと思います。