まだまだ寒い日が続いていますね。この時期は、暖かいベッドやふとんで寝ることが一番の幸せという方も多いのではないでしょうか。今回はそんな就寝前に読みたい小説を3冊ご紹介していきます。

映画化されて話題沸騰!吉田修一 著「怒り」 



昨年映画化され大ヒットを記録したことで話題になったこの作品。ある夫婦殺害事件をきっかけに3つの舞台で物語が繰り広げられます。上下巻に分かれており、ページ数はなかなかのボリュームがあるにも関わらず、あまりの面白さにあっという間に読破してしまいます。

ページをめくる手が止まらないというのはまさにこの事で、作品の中には常に重厚感と緊張感が漂い、先の展開が非常に気になって仕方ないのです。3つの舞台で主人公や周りの登場人物は異なるのですが、夫婦殺害事件を軸に「人を信じるとはどういうことなのか」という一貫したテーマをそれぞれの物語が訴えかけてきます。

殺人事件が起きて、犯人捜しをして、という単純なサスペンスではなく、事件の周りで起きている人間ドラマに焦点が当たっているため感情移入でき、丁寧な場面描写で景色などが想像しやすいため、読み進めるうちにいつのまにかこの作品の世界観に圧倒されていくことでしょう。読後、苦しく切ない気持ちを持て余しながら「人を信じるとは…」という作品のテーマについて考えさせられるはずです。

琵琶湖にまつわる不思議な物語 万城目学 著「偉大なるしゅららぼん」



こちらは怒りとは打って変わって、万城目学ワールド全開の摩訶不思議なコメディタッチの作品です。琵琶湖の周辺に暮らし、琵琶湖によって特殊能力を授けられた一族の物語で、その能力を持った主人公が同じ一族である少年と出会い、自らの運命に立ち向かっていきます。琵琶湖の特殊能力という架空の能力について、どういった力であるという明確な説明があまりないのですが、なぜか読んでいく内にその力にリアリティが出てきて、非常に壮大な冒険物語になっていきます。

登場人物はくせ者ばかりで、自称しっかり者の主人公(実際はなかなかのおとぼけ)は彼らに翻弄されてばかり。かみ合っているのかいないのかよく分からない主人公たちとのやり取りが滑稽で楽しいので、ぜひくすっと笑いながら読んでみてください。この作品も映画化されているので、原作と一緒にそちらも楽しんでみると面白いかもしれません。本当に琵琶湖が不思議な湖に感じられて、読むと滋賀県に遊びに行きたくなってしまうこと請け合いです。

女性の複雑な心境を繊細に描写 飛鳥井千砂 著「サムシングブルー」



物語は主人公の女性が、自分の高校時代の親友と、同じく高校時代の恋人の結婚式の招待状を受け取る場面から動き出します。招待状を受け取る前日に現在交際していた恋人と別れており、ただでさえ傷心の状態である所へさらに親友と元恋人の結婚という知らせが届いたことに主人公は激しく動揺します。この作品は現在と、主人公の高校時代を交互に描いています。

高校時代の回想シーンでは、当時の恋人や親友、友人たちとの青春の日々が鮮明に描かれているため、現在でその恋人と親友が結婚してしまうという複雑な心境を読者も見事に共有させられてしまいます。序盤では常に苦悩し、どこかやるせない気持ちを抱えている主人公ですが、徐々に人との関わり合いの中で自分なりの答えを導き出していきます。ドラマチックな事件が起きたりするストーリーではなく、作品の中の出来事は淡々と描かれていますが、主人公の気持ちが変化していく様子がとても繊細に表現されており、みずみずしく、甘酸っぱい一冊です。読後感は爽やかな気持ちに包まれるので、余韻に浸ってみてください。

まとめ


読書はどこにもでかけなくてもいろんな世界を体験することができます。主人公の気持ちに寄り添い、泣いたり笑ったり怒ったり。読む前と読んだ後では物事の考え方が変わっていたり、本には大きくて不思議な力が宿っています。普段あまり本は読まないという方も、外出を敬遠してしまうこの季節が読書を始めるチャンスです。ぜひお気に入りの一冊を見つけて、一緒に本の中の景色を楽しみましょう。

<ライター>

やぎぬま 飛鳥
季節の変わり目のにおいが好きです。
夕暮れの海を見るのが好きです。
静岡での暮らしが大好きです。
日常の中に大好きなものを散りばめることが
毎日をハッピーに過ごすコツです。

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