ドーモプラスがオススメのライブ・イベントを定期的に紹介。今回は、2016年12月28日(水)~31日(土)の4日間幕張メッセで開催された、ロッキング・オン・ジャパン企画制作による日本最大の年越しロックフェスティバル「COUNTDOWN JAPAN 16/17」3日目(12月30日)。数ある出演アーティストの中から、ドーモプラス編集部オススメピックアップでライブレポートをお届けします。

岡崎体育



3日目、30日のGALAXY STAGEのトップバッターは岡崎体育。スタートの挨拶に登場したROCKIN’ON JAPAN総編集長、山崎洋一郎氏が「実は岡崎体育は、昔ロッキング・オンのライターに募集して来ました。けれど、落としました(笑)でも、落として良かったと思う。ライターで落とされた岡崎体育が、ロッキング・オンのフェスに出るって、すごい物語」と、秘話を明かすと会場がどよめき、声援と手拍子が増していく。


「Open」で登場した岡崎体育は、一気にオーディエンスを味方につけ、冷静なトークで更に盛り上げる。“ミュージックビデオあるある”を見事に表現した映像作品として世間に知られた「MUSIC VIDEO」では、岡崎体育自身の身振りで“あるある”が次々に表現されて行く。


続く「Call on」では、やたら長い英語や速度が要求されるコール&レスポンス、クラップが続き、「Voice Of Heart」では、突如曲の途中で岡崎体育の心の声が聴こえて来る。飛んでしまった歌詞どころか、バイト先の発注の心配に及び、最後に聞こえた“瀬戸内寂聴 feat. m-flo”のフレーズに、会場は大爆笑。

「FRIENDS」では友人のパペットと登場。温かい友情ソングかと思えば、バンドへの憧れから皮肉を見事に表現する。新曲「We Can Get Over It」では、曲の盛り上がりがピークのところで、トラックが停止してしまう。ラストの「Q-DUB」が象徴しているように、岡崎体育はフェスの空間や音楽業界を客観視しているからこそ、ここまで観客を驚かせ、笑わせる時間を創り出せるのだろう。


誰の周りにも、あらゆるバイト先にも、“岡崎体育っぽい人”はいるなぁと思わせる見た目の親近感。それとは裏腹に、予定調和に屈しない、岡崎体育は唯一無二の存在だと感じさせられるバランス感覚。年を越す前に、最高の初笑いをプレゼントされた気持ちになった。

クリープハイプ



熱気に満ちたEARTH STAGEに登場した、クリープハイプ。「こんな景色を前に、何を話していいかわからないので…10秒時間をください」と、尾崎世界観(Vo/Gt.)が観客に向かって投げキッス。歓声が上がるオーディエンスに、「イノチミジカシコイセヨオトメ」のイントロが刺さる。続く「エロ」、「百八円の恋」でも、一音目から観客の心を掴んで離さない。

ドラマの主題歌に起用された「鬼」では、数々のCMやアニメのタイアップ、尾崎世界観の小説「祐介」のヒット、アルバム「世界観」をひっさげたツアーの成功など、2016年のクリープハイプの活躍をあらためて感じさせられた。まさに“鬼素晴らしい”一年の始まりを予感させる、耳に残って離れない一曲。

「知っている曲で盛り上がることもいいと思うけど…、どうせだったら知らなかった曲を知ってほしい」と披露されたのは、「5%」。長谷川カオナシ(Ba.)が弾くキーボードに乗せて、優しいメロディと歌詞がEARTH STAGEを満たしていく。アルバム曲もカップリング曲も、捨て曲が全く無い名曲揃いなバンドであることは、ファンの誰もが知っているだろう。それでも、どんなに大きなステージでもじわじわと熱で巻き込んで行くように盛り上げ、しっかりと聴かせる姿に感動させられる。


後半の「憂、燦々」、「オレンジ」、「社会の窓」と一気に畳み掛け、ラストの「HE IS MINE」。尾崎が「今日、父・勝が来ています。お父さんの前で、こんなことを叫ばせていいんだろうか…でも勝もアレをしたから俺がいるんだし…」と話してオーディエンスを笑わせた後、“セックスしよう!”を数万人と叫び、大団円を迎えた。

惨めで痛くてどうしようもない時はたくさんあるけれど、だからこそ、クリープハイプの曲に出会えた人生で良かった、と思う。そんなあらゆる感情をぶつけて来て、最後は聴く人達を見捨てない音楽だから。どんな2017年になっても、彼らの曲がそばに在り続ける日々であってほしいと願った。

雨のパレード



COUNTDOWN JAPANに初出演を果たした雨のパレードは、鹿児島出身の4人組バンド。「Tokyo」でスタートすると、会場中が一気にその世界観に引き込まれて行く。“東京”と名の付く名曲は多いが、“夢を捨てたって 生きてけるように出来た街だ”と歌い上げるこの曲も、今後も多くの人の支えになるだろう。


福永浩平(Vo.)は「僕たちが、この曲で次のステージに上がれるようにと想いを込めて作りました」と話した後に披露されたのは、2016年12月にリリースされたばかりの「stage」。サビで弾ける、表現者としての切実な想いが胸を打つ。




「皆さんは、自分の大事な物をわかっていますか?僕は大事な物がわからなくなった時があって…。僕は音楽に何度も救われました。今度は、僕が誰かの支えになれたらと思って書いた曲です。」と福永が話し、「You」へ。続く「1969」でも、演奏の一音一音に芯があるからこそ、大切な想いを乗せた歌詞が歌声と合わさって真っ直ぐに届いて来る。


以前から“幕張メッセをぶち抜きで埋めるようなバンドになる”と宣言している雨のパレードは、この日も幕張メッセに集まった観客の前でその目標を堂々と伝えた。そして、ラストは「new place」。光に包まれるような高揚感と同時に、まさに、音楽の雨で耳が潤って行く感覚が訪れた。「本気で時代を変えていきたいと思っているんです」と告げた雨のパレード。彼らの見せてくれる新たな場所が、2017年も楽しみで仕方がない。

Suchmos



スタンド席も立ち見の人が溢れるほど大盛況のASTRO ARENA。待ちわびた観客の前にSuchmosが登場すると、「Pacific」でライブがスタート。“SNSよりbeachで 愛の言霊をささやいて”というセンスに溢れる歌詞と、YONCE(Vo)の自由に伸びる高音が耳に残る。


「年の瀬なのによく来たね。パンパンにしてくれてありがとう!神奈川から来ましたSuchmosです。よろしく!」と告げると、KCEE(Dj)のスクラッチが映える「YMM」へ。隅から隅までかっこいいのに、程よい脱力感があって押しつけがましさがない。街のカフェ、特別な日のドライブ、自分の部屋。どこでも邪魔をせず溶け込む景色が思い浮かぶし、日常のそばにあって欲しいと思わされる音楽だ。


続いては、2017年1月リリース予定のニューアルバム『THE KIDS』から、「A.G.I.T.」を披露。これまでの曲にない新たな曲調で、ラストに向けて繰り返される歌詞の中、身体ごと引きずり込まれていくような世界観を見せてくれた。そして「STAY TUNE」がスタートすると、会場中で大きな歓声が上がる。寄せては返す波のように、フロアが揺れ続けた。ラストは「MINT」。年末だからこそ浮き彫りになる後悔も不安も抱えつつ、新しい一年に向かう一人ひとりの背中を押すような包容力に溢れている。


Suchmosには“○○っぽい”という言葉は当てはまらないが、“Suchmosっぽい”と言えば通じる、唯一無二の存在感と表現力がそこにある。満員のASTRO ARENAを見渡し、「今年はここをパンパンにできるぐらい頑張ったという証でしょうね。ありがとう!」と語ったYONCE。2017年は、更なる飛躍を遂げるに違いないと思わされた、圧巻のステージだった。

BIGMAMA



COUNTDOWN JAPANに9年連続出演しているBIGMAMAが、今年も満員のGALAXY STAGEに登場。金井政人(Vocal and Guitar)が手にしたギターを高く掲げ、「荒狂曲“シンセカイ”」がスタート。東出真緒(Violin)の奏でる旋律が、会場の興奮を導いてゆく。






「音楽でメリーゴーランドを作っちゃいました」と披露されたのは、2017年3月にリリース予定のアルバム『Fabula Fibula』に収録される「Merry-Go-Round」。BIGMAMAらしい華やかなメロディと、繊細さと力強さを併せ持つ歌詞が印象的だ。続いて「the cookie crumbles」が始まった瞬間、会場から歓喜の声が上がり、思い思いに音楽の渦に飛び込んでいく。


「この時間にBIGMAMAの音楽を選んでくれたとてもセンスの良い皆さん…、貴様ら全員大正解だからな」と金井が微笑み、新曲「Make Up Your Mind~運命に着火する~」へ。冒頭から心地よい合唱が会場中を包み込み、走り出したくなるメロディが、新年も背中を押してくれる予感を連れて来る。後半戦も「秘密」、「No.9」とキラーチューンを畳み掛け、スケールの大きな演奏とサビで爆発する多幸感で、オーディエンスを虜にする。


「甘い夢を、素敵な夢を」と届けられた「Sweet Dreams」では、金井の「笑おうぜ幕張!」という呼びかけで、GALAXY STAGEに大合唱が響く。ラストの「MUTOPIA」ではハンドクラップに合わせてきらきらと輝くような音が降り注ぎ、“どんな明日が待ち受けていても 全て忘れて今夜ひとつになろう”という歌詞で最高のステージを終えた。年末のご褒美に、愛しさがぎゅっと詰まったお年玉をもらえた気分だ。

UNISON SQUARE GARDEN



この日GALAXY STAGEで初めてトリを務めるのは、40ヶ所44本にわたる全国ツアーを、12/24に大成功で終えたばかりのUNISON SQUARE GARDEN。「MCなし!アンコールなし!このまま最後まで行きます!」と斎藤宏介(Vocal, Guitar)が告げ、「パンデミックサドンデス」がスタート。


スポットライトに照らされた鈴木貴雄(Drums)が勢いよくリズムを刻み、華やかなサビのメロディで、観客を一気にユニゾンの世界に誘う。何色もの照明に包まれ、虹を作る景色が浮かぶ「フルカラープログラム」、ポップなメロディの中で田淵智也(Bass)が首を振りながら飛び跳ねた「mix juiceのいうとおり」と、間髪入れずに続く。


再び鈴木にスポットライトが当たり、ドラムソロから田淵のベース、斎藤のギターが加わり激しいセッションが披露されると、「場違いハミングバード」へ。誰もが笑顔になってしまう多幸感が、オーディエンスのコーラスになって響いて行く。「天国と地獄」で田淵がステージを縦横無尽に駆け回り、瞬きをするのももったいないほどの演奏を見せつけたかと思えば、「黄昏インザスパイ」では斎藤が弾き語りで1番を歌い、ステージの3人が聴く者すべてに勇気を手渡しするような、スケールの大きなアンサンブルと広がっていく。


「アトラクションがはじまる(they call it “No.6”)」、「シュガーソングとビターステップ」と続けて、会場の高揚感はピークに。「箱庭ロック・ショー」では鈴木のもとに田淵、斎藤が近寄って息の合ったラストを見せつけると、「ラストっ」と斎藤が口にして、「オトノバ中間試験」へ。「楽しかったです!よいお年を!」の一言を残し、颯爽と去って行った。


あらためて、シングル曲1曲のみという攻めのセトリに驚かされるし、3人が観客を煽る場面は一度もない。それにもかかわらず、どの曲でも誰もが心から楽しめる。UNISON SQUARE GARDENは、楽曲と演奏のクオリティの高さに裏打ちされた自由をくれるからかもしれない、と思う。それは常人がちっとも当たり前に作り出せないものなのに、いつも当たり前のような顔をしてそこに存在していて、“それぞれが自由に楽しめ”と言ってくれているような気がするのだ。

(文:竹内歩)

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