ドーモプラスがオススメのライブ・イベントを定期的に紹介。今回は、12月12日(月)に渋谷O-Crestにて開催された、まぜたらうまいpre.『マゼネバ vol.3』の模様をお届けします。一筋縄ではいかないくせ者ロックを集めた一夜を召し上がれ。

羊の群れは笑わない。



トップバッターを飾ったのは”羊の群れは笑わない。”だ。ハイハットの刻みを合図に『Luther』がスタート。1曲目にも関わらず、木谷(Vo./Ba.)の荒げるような全力の歌声が会場中に響き渡る。

続く『包まれた街』では一変して、真っすぐ伸びる高音を観客に届けた。その高音に寄り添うギターは、決してテクニックを魅せつけるようなフレージングではない。しかし、魔法のように動く指から生み出される音色は繊細で、丁寧にギターを愛していることを伝えるには十分すぎるくらいだった。

ドラムソロにより導かれたのは『海鳴りの夜明け』。90年代のロックンロールを彷彿させる曲で、男らしくも色っぽい。構成上ところどころ無音になるところがあるのだが、音が鳴っていない瞬間でも音楽が流れ続ける体感を与えるのは彼らのグルーブ感のなせる業なのではないだろうか。

フロアタムのビートが気持ちいい『夾竹桃』、ファンクリズムのセッションが熱い『送電塔は夜の街に』と続いていく。「最後の曲です。」と告げ始まったのは『藍に依る』。耳なじみのいいロックミュージックを全身全霊で歌い切り、ライブハウスを大いに温めた。

uguis



オーケストラのような特製SEをバックに登場したのは”uguis”である。ステージ中央に集いメンバーでアイコンタクトを取ると、ショータイムが始まった。彼らの特徴とも言える変拍子のキャッチーなアレンジと独特な音づくりは、『煩い』から余すことなく展開される。

それに重なる臼井(Vo./Gt.)の声は爽やかさと脆さが共存していて、切なさに支配されそうになった。間髪空けずに、ベースのスラップソロがかっこいい『七人のディスコ』へと繋がれる。3分もない短い曲なのだが彼らのテクニックやセンスが凝縮された曲で、会場からは自然と手があがった。

臼井が「大量生産・大量消費には興味ないって歌を歌います。」と宣言し『MACHIKO』が披露される。キメの多い曲にも関わらず決してズレることなく、そのセッション力の高さに思わず鳥肌が立った。リズムチェンジの激しい『盆踊りROPPONGI』、ギターのコード感が気持ちのいい『マグマが消えた日』と熱量のあるステージを繰り広げる。

最後の曲となったのは芥川龍之介の小説に準えて創られた『羅生門』。観客の心を虜にして離さないという罪を犯し、彼らはステージから姿を消した。

paranoid void



続いて現れたのは、大阪の”paranoid void”だ。怪しげな照明の中、シューゲイザー感の強い『melt』を演奏し観客を一気にparanoid voidワールドに引きずり込む。ギターソロにより誘導された『妄想狂』は、切なく繊細なイントロとアクティブなメロが対照的な曲だ。いたるところに工夫が凝らされた緻密な構成は、女性ならではとも言える。

歯切れのいいギターのカッティングが鳴ったのは『夜のレプリカ』。青い照明の中でリバーブの深い歌声を響かせるMEGURIの姿は、まるで深海の人魚姫である。ボーカルのアンニュイ感が際立つ『名前のない記憶』、ベースとドラムの低音が心地よい『FROZEN TIME』とノンストップな演奏は続く。

『美しい孤独』ではディレイの効いたギターを響かせ、『君は永遠に、僕は日常に』ではアダルティなギターロックをかき鳴らした。3人の美しいハーモニーに封切りされたのは『コンパス』。MEGURIがまっすぐな視線を投げながらセリフのように歌詞を訴えかける姿に釘付けになったのは、私だけではないだろう。ほぼ休みなくぶっ続けのステージングをし、そのポテンシャルの高さを見せつけた。

yeti let you notice



“yeti let you notice”は穏やかなフォーク音楽と共にステージに上がった。『競技会』は、リードギターの単音が切なく歌う1曲。セミアコの豊かな響きに重なる歌声が、どこまでも優しく透明だ。オシャレなベース進行とロングトーンを活かしたギターソロは、そのエモさをより一層引き立てる。

まさる(Vo./Gt./Syn.)の「1番新しい曲をやります。」という宣言により披露されたのは、タイトルも未定の新曲。海の満ち引きのように抑揚が強く表現されていて、スネアドラムのロールはまさしく波の音だ。間をあけずにドラムの刻みで繋がれたのは『桜の栞』である。リズムの移り変わりが多い曲で、感情がとめどなく移ろい変わっていくさまが反映されているかのようだった。

『ori』はリズムの違うギターの絡み合いが面白いナンバー。騒がしくはないが華のあるタッピングが、曲のスパイスになっていた。まさるによるシンセサイザーの弾き語りで始まったのは『みんなの歌』。人々の深層心理に触れる歌詞と優しく尊い歌声は胸に迫るものがあり、曲が終わるころには至るところで観客の瞳が潤んでいた。まさるは深く頭を下げ、ステージを去ったのだった。

まぜたらうまい



不規則なSEが鳴り響く中、大きな拍手により迎えられたのは”まぜたらうまい”だ。静と動の対比が抒情的な『外の世界へ』を挨拶代わりに披露する。センチメンタルなギターの単音に乗る桐原(Vo./Gt.)の穏やかな歌声が、いつも以上に切なく響く。

“同じ景色が続く日々を越えて”きた彼らの目に、この日の景色はどう映ったのだろうか。「ありがとう。まぜたらうまい始めます。」という桐原のアナウンスにより本編が幕開けとなる。ドラムのソロで『天下統一目前にて辻斬りに遭ふ』が導かれ、フロアには自然とクラップが沸いた。和テイストの進行が特徴的な曲で、先ほどとは打って変わって妖艶な雰囲気だ。序盤から抜群のグルーブ感で、キメをしっかりとはめる演奏力の高さはさすがである。

『まぜうまの定義』を挟み、アップチューンな『蜃気楼』へと続く。90年代ロックを彷彿させるギターロックに、観客が自然と揺れた。その様子をステージ上から眺め目を細めるメンバーの顔は、とても満足そうである。MCを挟んで演奏されたのは、新曲である『群れ』。サイケデリックな音作りと変拍子の効いた彼ららしい曲で、ドラムの連打が気持ちよく鳴った。

シンセサイザーのようにギターが叫ぶ『日常に巣食う妖怪』では、キレキレのパフォーマンスで観客を圧倒する。息の合ったドラムとベースのビート感が気持ちよく、体の芯から揺すられているようだった。この日ラストソングとなったのは『溺れる魚』だ。河東(Ba.)と古谷(Gt.)が自然とドラムの前に引き寄せられ、林(Dr.)とアイコンタクトをとりセッションをする姿に思わず笑みが零れる。最後の最後まで己のカッコよさを惜しげもなく発揮し、彼らはステージを後にした。

4人がステージから去ったあとも大きな拍手が鳴り止むことはなく、ほどなくしてアンコールとなった。「セット!」「それ!」「よいしょ!」「どした!」の掛け声を合図に披露されたのは、キラーチューンである『イヤニシミル』。それぞれの魅力が爆発し相乗効果を発揮しているパフォーマンスは、まさしく“まぜたらうまい”。全身全霊のステージングに、イベントは大成功を収めた。
やるかやられるかという本気の夜は、あっという間に更けていった。“痛みも夢も”飲み込んで己と戦い続けてきた彼らだからこそ、仲間と本気のぶつかり合いができたのではないだろうか。この夜がいかに特別な夜だったかなんて、今は誰にもわからない。わからないからこそ、“ひとつずつの物語”を紡いで特別にしていくのだ。この日、肩を並べた彼らなら、いまマゼネバいけなかった意味をきっと証明してくれるはずだ。彼らが“想い焦がれた新しい朝”は、もしかしたらすぐそこまで来ているかもしれない。

まぜたらうまい<LIVE INFO>

2016/12/28 下北沢MOSAiC
~2016 MOSAiC COUNTDOWN #28~ 『COUNT DOWN MOSAiC 2016→2017 Special 6DAYS!』
OP/13:00 ST/13:30 [前]\1000 [当]\1500  +2Drink(\1000)
※高校生以下2ドリンク代のみ\1000 (学生証提示)
アイラヴミー / arrival art / 杏仁クルーエル / イロムク / 嘘とカメレオン / 歌うアホウドリ / ごっこ / 3markets[ ] / TOKYO SAPIENS / The Doggy Paddle / 虎の子ラミー / Pinpoints / popoq / 森の子町子 / DJ : もっこりモリモト /

2017/1/18 下北沢MOSAiC
オルタニカ presents 「オルトプラス vol.1」
OP/18:00 ST/18:30 [前]\2000 [当]\2500 +1Drink(\500)
オルタニカ / イミシン?

2017/1/19 立川BABEL
[ なつみpre JUKE BOX vol.4 ~新年開けてもう19日も経っちゃったけど、新年会やるよ!~]
OP/18:00 ST/18:30 [前]\2000 [当]\2500 +1Drink(\500)
OPEN 18:00 / START 18:30  前売 ¥2000+1D(¥600) / 当日 ¥2500+1D(¥600)
ACT:まぜたらうまい / antigraph / 教育番組 / REDO / APRIL MONET / 迷彩モダン /

2017/1/20 渋谷club 乙-kinoto-
KINOTO proudly presents 「Time is Running」
open>callstart>calladv>¥2000door>¥2400
Moshu/Plot Scraps/RainDrop/さらばルバート、空を飛ぶ/まぜたらうまい  and more...


<ライター>

坂井彩花
元楽器屋のお姉さんの経験を持つ音楽ライター。情景が浮かぶような、感情に働きかける文章が得意。中高で吹奏楽部、大学で軽音楽部に所属していた典型的な音楽だいすきっ子。ライブレポートやアーティストインタビューなど、積極的に活動している。

Twitter :@ https://mobile.twitter.com/ayach___
公式サイト: http://note.mu/color_music