
あまり知られていないようですが、週に1日しか働かないバイトにも、有給休暇をとる権利があります。この記事では、バイトがもらえる有給休暇の条件の他、退職時に有給休暇が残っている場合の対処法について解説します。
そもそも有給休暇とは
有給休暇とは、ある一定条件を満たす労働者に対し、企業が与えなければならない休暇で、労働者は賃金をもらいながら休むことができます。
■ 有給休暇が与えられる条件
上記の条件を満たすことで、有給休暇が付与されます。
■ 「全労働日」とは
正社員の場合、就業規則などで「年間の労働日数」などが定められていますが、バイトの場合は「シフトで勤務と定められた出勤日」を指します。
例えば月に10日間の勤務すべき日が決まっていたとき、風邪や家庭の事情で1日休んだとしても「8割以上」働いたことになるので、有給休暇が付与されます。この場合、3日休むと全労働日の7割となり、権利がなくなります。
■ 1日の労働が2時間でも「1日」と数える
労働日を数える場合、2時間でも働けば「1日」とカウントされます。
週に1日、2時間のみのバイトでも有給休暇が付与されるのです。
年次有給休暇の日数は「1年間のバイト日数」で変わる
年次有給休暇の付与日数は、働く日数によって法律で定められています。
■ 週5日または週30時間以上働く場合
週5日または週30時間以上の場合は、入社から半年後に10日間、入社から1年半後に新たに11日間という風に、有給休暇の日数が付与されていきます。
バイト、正社員など、雇用形態によって差はありません。
■ 1週間のバイト日数が4日以下&週30時間未満の場合
付与日数は、以下の表から確認できます。有給休暇の付与日数は1週間に働く日数によって付与日数が異なります。
図版:年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています – 厚生労働省
例えば、週に2日バイトに出る場合は、半年後には有給休暇が3日間、1年半後には新たに4日間付与されます。
有給休暇の有効期限は2年間!
労働基準法第115条により、有給休暇は2年で時効になり、消滅すると定められています。
たくさん有給休暇を貯めようとして、3年間使わずにいた場合、初年度に付与された有給休暇は失効し、使えなくなりますのでご注意を!
また、退職した時点で有給休暇の権利も消滅します。
バイトを辞めることが決まったら計画的に有休消化を!
上述の通り、退職すると有給休暇は消滅しますので、退職を考え始めたら有休の消化も考慮しながら進めてください。
■ 有休残日数は常にチェック
有給休暇が付与されるタイミングは入社日から数えて半年後、1年半後と、1年ごとに追加されます。いつ、何日付与されたかを管理するのは難しいですが、チェックしておくとよいでしょう。2年で失効することもお忘れなく。
自分の残日数が分からないという人は、人事部や上司に問い合わせてみてください。会社によっては、給与明細に「有給休暇残日数」が記載されていることがあります。
■ 退職日を決める時は有休消化後の日程を設定して
退職を申し出る際は、「退職日」を会社との間で決めることになります。例えば「3月31日をもって退職します」というように、こちらから希望日を伝えるケースが多いでしょう。
もし3月1日時点で有休が10日ある場合、21日まではバイトに出て、3月22日~31日はバイト代をもらいながら休むということが可能となります。
このように、有休が何日あるかによって希望退職日が変わってきます。退職の意思を示す前に残日数を確認しておくとよいでしょう。
残った有給休暇を無駄にしない方法
思うように有給休暇をうまく消化できない場合、以下のような方法があります。
■ 退職日の設定をずらして退職前に有休消化する
上記の例で考えてみましょう。
「3月31日までバイトに出てほしい」と言われた場合、有休消化に充てる日数がありません。その場合は「退職日を4月10日する」ことを会社に相談してみましょう。
退職日は末日でなくても構いませんので、特別な理由がない限り、退職日をずらすことで有休消化できるはずです。
次のバイト先が4月1日から始まるとしても、2か所から給与を受け取ることは可能ですので心配ありません。
■ 退職日がずらせないなら残日数分の有休を買い取ってもらう
何かしらの理由があり、どうしても3月末まで出勤し、退職日が3月末でなければならないという場合は、残った10日間の有休をお金に換算して受け取ることが可能です。
この取り扱いを行うか行わないかは、会社の判断となります。有休の買取を希望する場合は会社に相談してみましょう。
「有休の買取を制度化すること」は、違法とされています。しかし、「退職時に消化できない時に限り、お金で買い取ること」は違法ではないとされています。
有給休暇に関するよくある質問
バイトに対する有給休暇については企業もよく理解していないケースがあります。よくある質問をいくつかご紹介しましょう。
■ バイトに有給休暇はない、と言われた
会社がどう主張しても、条件に当てはまれば週1回のバイトでも有休が付与されます。人事部に相談し、それでも納得できる回答が得られない場合は「労働基準監督署で聞いてみます」と伝えれば、人事部が改めて調べてくれるかもしれません。
■ 他の人に迷惑をかけないように有休をとるには?
労働者の権利とはいえ、忙しい職場だと有休が取りづらいということはよくあります。そんな中でも有休をとる場合は、以下のようなことに留意してみるとよいでしょう。
有休をとる理由を会社に伝える義務はありませんが、「久しぶりに家族そろっての旅行だから」などと理由を伝えることで、周りの理解と協力が得やすくなるということもあります。
■ 有給休暇はあるけれど、誰もとっていなくて取りづらい
みんな同じように思っているかもしれません。あなたが勇気を出して取得することで、周りの人も休みやすくなるかもしれませんから、ぜひ上司やリーダーに相談してみてください。
風邪などでお休みをする時に有休を使う、というのも取りやすい方法です。
■ 自己都合退職でも有休消化できる?
有休は自己都合退職の時でも消化できますし、(会社によっては)お金に換えて受け取ることもできます。
バイトを辞める時に有休を100%消化するためのステップ
退職を考え始めたら、以下のようなステップで準備を始めましょう。
バイト先との話が難航したら労働基準監督署へGO!
企業が「有休は消化させない」「有休は与えない」などと法律違反に当たることを主張する場合、うまく説明できずに泣き寝入りしてしまう人もいるかもしれません。
そういうときは、各地域にある労働基準監督署に相談してみてください。適切なアドバイスがもらえるはずです。
2022年12月22日公開
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