大手企業のアルバイトに申し込んだ際「うちは研修期間が1か月で…」などと面接担当者にいわれることも珍しくありません。

この研修期間は一体何を研修する期間で、どのようなものなのか、知っていますか?

研修期間が何か知らないまま勤務を開始すると、思っていた給料がもらえるまで意外と時間がかかってしまうかもしれませんよ。



研修期間はアルバイトとして一人前になる期間



研修期間はアルバイトとして一人前になる期間を想定しており、様々な業務を覚えるまでの期間は給与面、その他の待遇で、研修期間を過ぎたアルバイトやパート社員などと区別をつけることが多いのが特徴です。


またこの期間はアルバイト、雇用主双方ともにアルバイトを続けることがふさわしいかを見定める期間でもあります。

このため、勤怠が悪いなどの正当な理由がある場合、この期間満了をもって解雇することも可能となります。

働きたいのに解雇された、ということのないよう、しっかり勤務することが大切です。



研修期間の平均ってどのくらい?



研修期間の長さは法律では明示されていないものの、1週間程度のごく短期のものから6か月程度が相場とされています。

とくに難しい技術取得が必要でもないはずなのに、同じ職種の平均期間より明らかに長い場合は、雇用主の賃金対策であることも考えられます。

雇用契約書にサインをする前に、研修期間の定めについてしっかりと確認しておきましょう。


また研修期間に実際の研修が伴うか、期間の短縮や延長の可能性があるのかについても確認しましょう。

一般的に採用後から研修期間を行い、期間が満了した後は自動で本採用になり、再度研修期間の延長が必要な時は、雇用主から申し出、労働者も承認する必要があります。



研修期間の賃金って、低くてもいいの?



研修期間は業務内容をこなす面でまだ半人前であると考えられますので、アルバイトの基本給を満額支払わなくても良いことになっています。

ただし、研修期間中であっても労働者として最低限の権利は認められており、労働基準法に抵触する賃金設定を認めることはできません。


※参考⇛【2023年】最低賃金額の全国平均が初の1000円超!

例えば求人広告内に「アルバイト時給1050円(ただし研修期間中は950円)」などの記載があった場合この「950円」が都道府県の定めている「最低賃金」に下回る雇用契約はできません。

この例の場合研修期間が終わった後の通常の時給1050円=最低賃金の基準値ではないことに注意しましょう。


また研修期間中でも残業費は認められます。

残業時間の時間数や休日出勤の契約内容の設定などによっては割増賃金も支払われます。

ただし、深夜勤務が基本条件になっているアルバイトの場合は、基本給が割増賃金を見越して高くなっているケースもありますので、面接時から入社時までに忘れずに確認する必要があります。



研修期間があるって聞いてない!これっていいの?



この研修期間は本当に研修を受けている訳ではなく、この期間を過ぎるまで見習いです、という契約内容になります。

そのため、「研修期間が定められているのに研修がない」という可能性は大いにあります。

ただ、雇用主は雇用契約を結ぶ時点までに、研修期間の有無については明示する必要があります。


・どのくらいの期間か
・労働条件や賃金に違いがある場合はその条件
・研修期間が繰り上げになる場合の要件


入社時の書類に書いていても、小さな文字で見逃す可能性などもあります。

このため、就業条件明示書や雇用契約書の内容はできるだけ細かなところまでチェックし、疑問は解消してサインすることが大切です。


なお、「研修期間がある」と、故意に伝えないまま雇用契約を開始した場合は雇用主がペナルティを負うことになりますので、「雇用契約書にも書いていない」という場合は労働基準監督署に相談することをおすすめします。



まとめ


研修期間はアルバイト、雇用主ともにお互いの状況を見るためにも大切な期間です。

契約時に納得がいかないことがあれば事前に必ず解消したうえで就業開始するように気をつけましょう。

就業期間は楽しく一生懸命働いて、本契約を迎えてくださいね。


2016年9月19日公開


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